魔法神話 レイ&アフーム ~もしもリリなの世界にハジケた奴らと邪神が絡んできたら~ 作:ショーン=フレッチャー
父さん、アルフの一言がレイの逆鱗に触れたようで……。
早朝の高町家の道場では、恭也と美由紀が朝稽古をしている。
今日は珍しくなのはが道場にいた。
何か思うとことがあるのか、物憂げな顔をしている。
「どうしたんだ、なのは」
恭也がなのはに話しかける。
「お兄ちゃん、稽古はいいの?」
「今のなのはの方が大事だ。何があったのか、教えてくれないか」
なのははぽつり、ぽつりとフェイトについて話し始めた。
「話を聞いてくれないのは、つらいよね」
美由紀が静かに呟く。
「でも大丈夫、いつかきっとなのはの思いは通じるから」
「ほんの少しのきっかけで、分かり合える時がきっとくる。それまで強く呼びかけ続けるんだ。そうすればいつかきっと届く」
なのはは頷く。
きっとフェイトに私の思いを届けて見せる。
そう胸に誓って。
あるビルの屋上、アルフとフェイトがおり。フェイトの手にはケーキの箱があった。
「お土産はこれで良し、と」
「甘いお菓子か、こんな物あの人は喜ぶのかね?」
そう言いながらアルフはケーキの箱をフェイトの代わりに持つ。
「わかんないけど、こういうのは気持ちだから」
「そんなもんかね」
フェイトの言葉に素っ気なく返すアルフ。
「…事件転移、次元座標。876C 4419 3312 2699」
フェイトが座標を口ずさむと2人の足元に魔法陣が現れる。
「3583 A1460 779F 3125、開け誘いの扉。時の庭園、テスタロッサの主の元へ」
そして魔法陣はアルフとフェイトを包み3人はその場から消えた。
とある次元空間、そこに白を基調とした巨大な船のような物体が存在した。
「みんなどう? 今回の旅は順調?」
「はい、現在第3戦速にて航行中です。目標次元には今からおよそ160分後に到達の予定です」
その船の中で緑髪長髪の女性の質問に男性オペレーターが答える。
「前回の小規模次元振以来特に目立った動きはないようですが、2組の捜索者が再び衝突する危険は非常に高いですね」
続けて別の男性オペレーターが目的地での状況を説明する。
「そう」
女性は返事をしながら自分の席らしき椅子に座る。
「失礼します。リンディ艦長」
すると、リンディ艦長と呼んだ女性スタッフが運んできた紅茶を机の上に置く
「ありかと、エイミィ。そうねぇ、小規模とはいえ次元振の発生は…ちょっと厄介だものね。危なくなったら急いで現場に向かってもらわないと。ね、クロノ」
渡された紅茶を飲みながらリンディは傍らにいる黒髪の少年に声をかける。
「大丈夫、分かってますよ艦長。僕はそのためにいるんですから」
少年、クロノは任せろと言わんばかりに自信よく答えた。
「たったの4つ……、これはあまりにも酷い」
椅子に座った女性が呟く。
女性の視線の先には両手を縛られたフェイトがおり、フェイトの身体中は鞭で叩かれた傷があり、所々服も破けている。
「はい。ごめんなさい母さん」
「いいフェイト?貴方は私の娘、プレシア・テスタロッサの一人娘。不可能な事などあってはダメ」
女性、プレシア・テスタロッサはフェイトに近づき命令するように語りかける
「こんなに待たせておいて上がってきた成果がこれだけでは母さんは笑顔で貴方を迎えるわけにはいかない。分かるわね? フェイト」
「はい、分かります」
「だからよ。だから、覚えてほしい。」
プレシアは自分の持つ杖を一本鞭に変える。
「もう二度と母さんを失望させないように」
フェイトの顔が恐怖に染まる。
そしてプレシアは手に持った鞭をフェイトに振り下ろした。
鞭を叩く音が響く度フェイトの悲鳴が響き渡る。
その声をアルフは壁越しに聞こえてくるそれから耳を塞ぎ、怒りと恐怖で震えていた。
いつの間にか鞭の音が消えている。
部屋の中からプレシアの声が聞こえてくる。
「ロストロギアは、母さんの夢のためにどうしても必要なの。貴方は優しい子だから、躊躇ってしまうこともあるかもしれないけど、邪魔にするものがあるなら潰しなさい! どんな事をしてでも! 貴方にはその力があるのだから」
鎖が消え、フェイトは倒れこむ。
「行ってきてくれるわね? 私の娘、かわいいフェイト」
「はい。行ってきます、母さん」
プレシアの言葉に僅かに体を起こし返事をするフェイト。
「暫く眠るわ。次は必ず母さんを喜ばせてちょうだい」
「はい」
そう言い残しプレシアは奥の部屋へと消えていった。
プレシアが居なくなったあと立ち上がったフェイトはプレシアが座っていた椅子の横にあるテーブルを見る。
そこにはフェイトが母のために買ってきたケーキの箱が置かれたままだった。
金剛=ダイアモンド家のリビングは香の煙で充満していた。
「こんなことが……」
一人の女性が驚いている。
「すごいよね、魔法とは全然違うのに」
宙に浮いた半透明の少女の声ががこの世のものではないところから響く。
「これで証明はええやろ? 問題はここから先、どうやって元に戻すかや。といっても実際に見るまでわからんが、大体の予測はつく。そのための準備がいるな」
レイは封印したジュエルシードを手の内で弄びながら2人に語りかける。
「……本当になおるんだよね?」
少女が不安そうに呟く。
「今のままやとキツイが、協力してくれるんやったら。いくらでも直しようはあるで」
「私に出来ることがあれば何でも申し付けてください。そういう契約ですから」
「私だって、出来ることがあるならなんだってするよ」
「その言葉が聞きたかった! それなら……」
2人に指示を出すレイの顔は、悪い顔をしていた。
海鳴海浜公園。そこにジュエルシードがある。
何のいたずらか、ジュエルシードが発動する。
なのはたちはそれを察知して現場に急行した。
そこにはフェイトとアルフも来ていた。
ユーノが結界を張るのを合図に戦闘が始まる。
「へぇ!生意気にバリアまで張るのかい」
「うん、今までのより強いね。それにあの子もいる」
暴走体の姿は木をモチーフにしているようだ。地面から根を生やして近づけないようにしてくる。
「飛んで避けて!」
「絡まったー!」
「お助けー!」
ユーノの助言空しく、レイとアフームは見事根に捕まる。
「アークセイバー。いくよバルディッシュ!」
『Arc Saber』
フェイトはバルディッシュを振り魔力刃を放つ。
魔力刃は根を切るが本体には障壁を張って防がれる。
しかし根を切られたのが痛いのか暴走体は苦しそうな声を出す。
『Shooting Mode』
暴走体が怯んでいる隙になのはは砲撃の準備をする。
「撃ち抜いて!ディバイン!」
『Buster』
なのはの砲撃が放たれる。
暴走体は障壁を使い防御するが、耐えきれないのか体が沈む。
「貫け轟雷!」
『Thunder Smasher』
更にフェイトも砲撃を放つ。
暴走体は2人の砲撃を防ぎきれず、その体を光らせて消滅した。
そこからジュエルシードが光の中から現れる。
『Sealing Mode. Setup』
『Sealing Form. Setup』
「ジュエルシード、シリアルⅦ!」
「封印!」
封印魔法によってジュエルシードの輝きが弱まる。
「あの根っこ、煮物にしたらええ味しそうやったなぁ」
「ああ、確かに!」
「「何の話をしてんの!?」」
なのはとフェイトが同時にツッコむ。
「ジュエルシードには刺激を与えたらけないみたいだ」
「うん、昨夜みたいなことになったらレイジングハートもフェイトちゃんのバルディッシュも可愛そうだもんね」
「だけど、譲れないから」
「私は、フェイトちゃんと話をしたいだけなんだけど」
『『Device Mode』』
「私が勝ったら……ただの甘ったれた子じゃないって分かってもらえたら。お話し聞いてくれる?」
黙ったままバルディッシュを構え直すフェイト、次の瞬間2人は距離を詰めてデバイス
を振るう。
「ストップだ!」
2人のデバイスがぶつかる寸前、1人の少年が現れ割って入る。
「ここでの戦闘は危険すぎる!時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。詳しい事情を聞かせてもらおう……」
「「来るんが遅いんや(じゃ)ボケーーーッ!!!」」
レイとアフームのダブルドロップキックが少年、クロノに炸裂する。
「「「ええええええええええええ!?!?!?」」」
「はてさてどうなることやら」
ユーノの声が空に吸い込まれていく。夕日は澄んだ赤い色だった。
評価がなかなかつかない……。
次回、レイ、ア-スラで大暴れする。
明日もサービスサービスぅ!