魔法神話 レイ&アフーム ~もしもリリなの世界にハジケた奴らと邪神が絡んできたら~   作:ショーン=フレッチャー

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 前回のあらすじ。
 きんぴらごぼうが食べたいな。



第8話 交渉人 レイ=金剛=ダイアモンド

「オラオラ! 時空管理局様のご到着やー!」

「全員武器を捨てて投降せいやー!」

 

 キックでのびたクロノを振り回しながらレイとアフームが悪人面で叫ぶ。

 

「フェイト! 撤退するよ、離れて!」

 

 アルフが全員の足元に魔力弾を放ち、土煙を巻き上げ煙幕代わりにする。

 

「おっと逃がさん、奥義『分身ディフェンス』!」

 

 レイが一瞬で回り込み、フェイトとアルフを分身で足止めする。

 

「いや、普通に空飛ぶけど……」

「Oh my god!」

 

 フェイトとアルフは空を飛んで逃げていく。

 

「逃げるなー! 逃げる奴は撃つぞー!」

 

 婦警のコスプレをしたアフームが二丁拳銃で背後からフェイト達を撃つも当たらない。

 

「何してんの!? やめて! 撃たないで!」

 

 なのはの叫びでクロノが目覚める。

 分身する少年、婦警コスの少女、場はまさにカオスであった。

 

「大丈夫、直に慣れますよ」

 

 ユーノがクロノの肩に手を置き、サムズアップする。

 その顔はいやににこやかである。

 

「あの、全員いいかしら」

 

 どこからともなく妙齢の女性の声が聞こえる。

 見ると空中にモニターのようなものが映し出され、そこに緑髪の女性が映し出されている。

 

「ちょっと話を聞きたいから、クロノ、皆さんをアースラまで案内してもらえないかしら?」

 

 

 

 

 

 クロノ・ハラオウンは内心憤然としていた。

 駆け付け早々に蹴り飛ばした銀髪の少年少女、レイとアフームは悪びれる様子もなくアースラ艦内を観察している。

 彼等は自分たちを虚空戦士(ハジケリスト)といった。

 だからと言って何をしても許されるわけでもない。

 

虚空戦士(ハジケリスト)だからと言って何をしてもいいわけないだろう」

 

 クロノはそういったが、その言葉はきれいに無視されてしまった。

 その行為がクロノのはらわたを煮えくり返す。

 白い魔導士、なのははそんな彼らを咎めてはいたが、聞き入れないとわかると、あきらめたようにため息をついていた。

 きっと彼女はいつもこのような目に遭っているのだろうと思うと、クロノはその心労をいたわりたい気持ちでいっぱいだった。

 

(こんな辺境の次元世界に虚空戦士(ハジケリスト)がいたとは初耳だ。第6次元文化圏だけじゃなかったのか)

 

 第6次元文化圏とは、第6管理世界ブリリアントを中心とした7つの次元世界の事である。

 虚空戦士(ハジケリスト)はこの世界に多数生息しており、虚空戦士(ハジケリスト)の96%がこの文化圏に属しているといわれている。

 他の世界からは『地獄』と、虚空戦士(ハジケリスト)からは『天国』と呼ばれている文化圏である。

 やがて、彼らは艦長室の前につく。

 

「艦長、お連れしました」

 

 精神を整え、クロノは声をかける。

 

「「「「へ?」」」」

 

 中に入った4人は素っ頓狂な声を上げる。

 そこにあったのは、盆栽に茶道具、鹿威しといった和空間であった。

 もっとも、どこか違和感を感じる造りではあったが。

 

「お疲れ様。まぁ4人ともどうぞどうぞ楽にして」 

 

 まだ混乱しているものの言われるままに座ると抹茶と羊羹が出された

 

「それじゃあお話し、聞かせてもらえるかしら。でもその前に自己紹介ね、私はこの船、次元空間航行艦船アースラの艦長、リンディ……」

「こかきくけここけかぁーーーーーーっ!!!」

 

 突如としてレイが叫びだす。その体からは怒りのオーラが噴出する。

 

「えっ、何、何!?」

 

 なのはが驚くのも無理はない。

 あまりにも突然のことだったからだ。

 

「いかん! レイはこの中途半端な和空間を見て怒りのあまり我を忘れておる!」

「「「どーゆーこと!?」」」

 

 アフームの説明はさらに混乱を招く。

 

「何を隠そうレイは裏千家家元から直々に茶の手ほどきを受けた茶人! お茶にはうるさい系男子! 故にこの空間が許せんのじゃろう。見るがよい、怒りのあまり千利休を召喚しておる」

「何で!?」

「「誰!?」」

 

 レイの帽子が割れて、千利休が上半身を出している。

 その額には青筋が浮かんでいる。

 

「詫びも無ければ寂びもない、数寄の要素が何もない。これでは宗匠の怒りを買うも同然」

 

 利休の目が見開かれる。

 

「喝ぁーーーーーーっ!!!」

 

 その瞬間、辺りが光で包まれた。

 

「「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」」

「「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

 光が部屋を飲み込んだ。

 光が晴れると、何ということでしょう、中途半端な和空間は見事な茶室へと早変わり。

 盆栽、鹿威しの配置も計算され、ここに小宇宙が体現された。

 すっかり落ち着きを取り戻したレイが茶を点てている。

 

「あの、私がもてなす側じゃ……」

 

 リンディの言葉に、射殺すような目線で答えるレイ。

 

「あ、ハイ、すいません」

 

 もはやこの場の主導権を誰が握っているかは明白だった。

 

 

 

 

 

 ユーノから今回の一件の経緯、クロノとリンディから時空管理局についての説明が終わった。

 レイの立てる茶は素人の舌にも優しい味であった。

 

「これよりロストロギア、ジュエルシードの回収に持ちましては時空管理局が全権を持ちます」

「「「「え」」」」

 

 突然の決定に反応が出来ない3人。

 レイだけが微笑みを崩さない。

 

「君たちは今回のことは忘れて元通りに暮らすといい」

「でも、そんな…」

「急にそんなこと言われても…」

「それはあきまへん」

 

 反応できたのはレイただ1人。

 

「本件の解決に至って僕は国際魔術結社(International Magic Society)から全権を委任されとります。時空管理局さんには申しありまへんけど、正式な手続きをもって僕から委任を申し渡すまで介入せんでもらえんでしょうか。」

 

 これにはリンディも面を喰らう。

 

「それに、僕はどうもあなたたちを信用しきれへん。重役出勤かました挙句、高圧的な態度で現地協力者に対応した。中途半端な方法で懐柔しようとした。どうせこの後、こちらの好意に付け込んで協力を取り付けようとしたんでっしゃろ?」

 

 レイの言葉にリンディは内心ぎくりとする。

 さらにリンディとしては優秀な魔導士に唾をつけておこうという魂胆もあった。

 だが、リンディはそれを9歳の少年に暴かれたことに動揺してしまう。

 

「ふむ、なら今の僕からいえることはたった一つです。『地球なめんな』。なんで、委任は無しの方向で」

「そんな話が通るか!」

「クロノ!」

 

 クロノが声を荒げる。

 

「ロストロギアの回収と保管、時空犯罪者の取り締まりは時空管理局の仕事だ! IMSだったか? そっちにそれが出来るとは思えない!」

「出来ますえ。ただしこちらのルールに従ったうえで」

「信用できないな、10にも満たない子供に全権を委任する組織なんて」

「そのセリフ、そっくりそのままお返しします。13歳の執務官殿」

「何だと!」

「クロノ!」

 

 リンディがクロノを諫める。

 

「っ! 申し訳ありません。艦長」

「こちらも言い過ぎましたわ。申し訳ありまへん」

 

 慇懃無礼な態度でレイが謝り返す。

 その様子にリンディは顔をしかめる。

 

「私達はあなたがIMSでしたか? そこから本当に全権を委任されているのか疑問に思っています。何か証拠のようなものはあるでしょうか」

「持っててよかった全権委任状」

 

 レイが懐から一枚の書類を取り出す。

 それはIMSから送られてきた全権委任状だった。

 

「これには時空管理局との交渉についても全権委任するという旨が書かれとります。勿論本物ですよ」

 

 リンディは全権委任状を受け取ると、仔細にそれを眺めた。

 クロノも全権委任状を覗き見る。

 

「これは……」

「どうやら本物のようですね。確かめる手段がありませんが、少なくとも偽物とは言い難いでしょう」

「ご理解いただけてほんにおおきに」

 

 レイは全権委任状をリンディから取り返すと、再び懐にしまった。

 

「それで、ジュエルシードの回収の権限についてですが……」

 

 リンディがレイに話しかける。

 

「ふむ、こちらとしても管理局の手は借りたいのですよ。ただしこちらにも面子というものがありましてな、その辺、ようわかりますやろ」

「……ええ、痛いほどに」

「全権委任は不可能ですけど、協力体制を築くことは不可能やないです。我々と時空管理局の協力をもって事件解決にあたるんがよろしいかと」

「……それが一番無難でしょうね。わかりました、時空管理局はIMSに協力を申し出ます」

「IMS代表としてその提案を受け入れます。ほな、書面で確約してもらいましょか」

 

 そういうと、レイの帽子がプリンターとなって書類を吐き出し始める。

 

「その帽子、どうなっているんだ?」

 

 クロノが疑問に思う。

 

「いやんエッチ。そこは男の子の秘密の場・所♡ 余計な詮索はしないでちょ」

 

 その一言で場が凍り付く。

 レイはそれを気にしないかのように、書類を取り上げると、読み上げる。

 

「主文、国際魔術結社(International Magic Society)、以下甲は時空管理局、以下乙の要請を受け入れ、甲乙間でのジュエルシード捜索における協力体制を築くことをここに宣言する。甲代表、レイ=金剛=ダイアモンド。と、提督殿、ここに署名を」

「ええ、わかったわ」

 

 リンディは書類を受け取ると、さらさらと署名をする。

 

「はい、これで我々は協力を築くことになりました。作戦行動の際は俺を呼んでくださいね。作戦立案にはかかわらんといかんもんですから」

「大丈夫なの?」

「安心してください、これでもIQは216あるもんですから」

 

「くそっ! 負けた! 僕213だ!」

 

ユーノが悔しそうに畳に拳を叩きつける。

 

「いや、両方凄いからな!?」

「ユーノ君もすごい頭良かったんだ……」

 

 クロノとなのはがレイとユーノの頭脳に驚嘆する。

 

「それで、その子たちはどうするのかしら?」

 

 リンディが示す方向には、話についていけないなのは、のんびりと茶を楽しむアフームとユーノがいた。

 

「ああ、彼女らはこの後意思確認しますよ。茶飲んどる方は参加するやろうし。それに、あの子にはずいぶん助けられましたしなぁ。なんか報酬を考えんと」

 

 

 

 

 

 その日の夕方、アースラから戻ったレイはその足で高町邸へと向かった。

 目的は作戦参加の意思を固めたなのはの代わりに史郎たちを説得するためである。

 高町家の面々に時空管理局の介入と、協力体制の構築の件を話したレイは、なのはが作戦に加わりたい旨を話した。

 

「なのはは出来ることを最後まで責任もってやり遂げることを望んでいます。僕としても信用できる人物がいた方が有難いので、嬉しいのですが、何分相手は巨大組織です。僕もできる限りなのはを守ることを誓います」

「お父さん、お母さん、お願い! このまま投げ出すのはいやなの!」

「僕からもお願いします! なのはの不利益なことにならないよう気を付けますので!」

 

 史郎は目を閉じ、熟考する。

 やがて考えがまとまったのか、静かに口を開く。

 

「レイくん、ユーノ君。頑固だが娘をよろしく頼む」

「レイ、わかっているな」

 

 恭也の問いにレイは目配せで答える。

 

「兄貴の誓いを違えるつもりは毛頭ありまへん」

「それが聞けて良かった」

「なのは、後悔しないようにやるのよ」

 

 桃子の言葉に頷くなのは。

 こうしてなのは、ユーノ、レイ、アフームは管理局に協力することになったのである。

 




 現在、空白期を書いているのですが、原作がないといくらでも書けることに気付きました。
 もういくらでも盛れる盛れる、ギャグも設定も。
 やっぱり主人公がなのはからレイに移った所為かな。
 原作部分は非ギャグキャラの出番が多いから、ギャグが挟みづらい。
 かと言ってレイを活躍させすぎるのもなあ。
 レイにはそこそこ苦労してもらわないと困るんだよなあ。
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