魔法神話 レイ&アフーム ~もしもリリなの世界にハジケた奴らと邪神が絡んできたら~   作:ショーン=フレッチャー

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前回のあらすじ。
 千利休がブチ切れた、数寄の無い部屋にブチ切れた。



第9話 近づいていく、決戦は金曜日

 アースラ内部ではある模擬戦の内容が映し出されていた。

 4人それぞれの総当たりでの模擬戦だ。

 名目は訓練として、実際は彼らの情報を得るためである。

 

「ほへぇ、みんなすごいねぇ」

「ああ、これだけ出来れば十分戦力として期待出来るだろう」

「クロノ君とどっちが上かなぁ?」

 

 オペレーターのエイミィ・リミエッタがクロノをからかう。

 対するクロノは憮然としつつも返事をする。

 

「4人の実力は認める、だけど僕は自分が負けてるとは思ってない」

「だねぇ、何てったってアースラの切り札なんだから」

「からかうのもいい加減にしろ」

 

 クロノはそっぽを向くのに対しエイミィはクスクスと笑いながら再びその映像の方へと目を向ける。

 するとちょうどレイとアフームの決着が着いたところだった。

 

「この2人は……、なんかすごいんだけど」

「ああ、何かが違う。お互いに全力じゃない。それだけ隠したいことが多いんだろうな。ていうかなんだ、ゴボウしばきあい対決ってふざけているのか」

「ええ、そうね。この2人は政治や外交で動いているもの。手札を全て見せるような真似はしないでしょう。レイくんの魔術という技術は私たちの魔法とは異なる。なるべく対策されたくないのでしょうね。もっとも、見せてくれた札だけでも十分すぎるほど強いのだけど」

 

 リンディが2人の感想を補足する。

 その手には砂糖入り緑茶が握られている。

 レイが見たらキレられる代物だ。

 すると、ジュエルシードの反応がレーダーに現れる。5人の出動が要請された。

 

 

 

 

 

 今回の暴走体は巨大な烏だ。

 

「ユーノ、あれ縛れるか?」

「ちょっと今のままじゃ無理かな、速すぎるし、レイはどう?」

「俺も難しいなあ、あのスピードじゃ縛れるもんも縛れん」

 

 ユーノとレイが話し合う。

 しかしすぐに作戦がまとまる。

 

「なら引き付けて動きを止めるしかないな」

 

 そう言うと全身にハンペンを張り付けると、巨鳥に相対する。

 

「さあ、こい大烏。このプロテクターでもって貴様を止めてやろう!」

「大丈夫なの、コレ!?」」

「アフーム! 引き付けぃ!」

「了解じゃ!」

 

 レイの合図でアフームが大烏に魔力弾を放ち、挑発する。

 巨烏はまっすぐ4人の方へと向かってくる。

 

「さあ、来い! 受け止めたるわ!」

 

 レイが気合を入れて、巨鳥に立ち向かう。

 やがてその嘴がレイに激突する。

 

「レイくん! 大丈夫!?」

 

 なのはの声にレイが反応する。

 

「大丈夫や、プロテクターのおかげで助かったわ」

 

 その腹には見事な風穴が空いていた。

 レイが巨鳥を掴んでいる。

 

「貫通してるーーー!!!」

「ほい、バインド」

 

 なのはとのツッコミを意に介さず、ユーノはバインドを大烏にかける。

 

「「「さあ、封印を!」」」

「え、う、うん」

 

 困惑するもなのははジュエルシードを封印する。

 無数の光の帯が巨鳥に突き刺さり巨鳥の悲鳴と共にジュエルシードが摘出される。

 飛び出したジュエルシードにレイジングハートを向けると、ジュエルシードはそのまま吸い込まれていった。

 

「さて、戻るとしますか」

「まだ、穴空いてるよ!」

「じょ、状況終了です……ジュエルシード・ナンバーVIII無事確保。お疲れさま。4人とも」

「「「「あ、はーい」」」」

「ゲートを作るね、そこで待ってて」

「分かりました、というかレイそろそろ戻りなよ」

「もう戻っとる」

「「「「「「いつの間に!?」」」」」」

 

 いつの間にか腹の穴がふさがっているレイを見て、アースラスタッフの顔は引きつる。

 

「優秀だけど……、私では持て余しそうね。なのはちゃんだけならねえ」

 

 リンディの呟きは船の駆動音に掻き消されていく。

 事実、虚空戦士(ハジケリスト)は管理局内にもいるが、彼らを制御できる上司は全くいない。

 優秀なのは事実なのだが、それをうまく使いこなすかは別問題なのである。

 その頃、クロノとエイミィはあるデータを見ていた。

 そのデータはフェイトその使い魔アルフのもの。

 ここ数日の間に管理局が発見したジュエルシードを二個も奪われてしまっている。

 感知も出来ない事から相当強力な結界を張っている事が容易に想像出来た。

 そして問題はそのファミリーネーム、テスタロッサだ。

 

「かつて追放されてしまった大魔導師と同じファミリーネーム、か」

「じゃあその人の関係者なのかな?」

「分からない、本名とも限らないしこればっかりは何とも……」

 

 そしてフェイトの事を気にしているのは何もクロノ達ばかりではない。

 アースラに帰還したなのはは少し浮かない顔をしていた。

 

「なのは?」

「もしかしてフェイトの事かの?」

「うん、現れないなって」

「ジュエルシードを集めていればいずれ必ず会う事になるじゃろう」

「うん、そうだね」

 

 なのはとアフームはフェイトの悲しそうな眼が思い浮かべた。なぜあんな眼をしているのか。その訳を知りたいと、一層強く思うのだった。

 

 

 

 

 

 大烏戦からさらに数日、互いに手に入れたジュエルシードは2個づつとなった。

残りは6個を残すところとなった。

地上は全て探し終えたので、残すは海中だろうというのが管理局側の見解であった。

捜索の手伝いをしていたレイもそれには同意していた。

 

「うーん、見つからないなー」

 

 キーボードをたたきながらエイミィが呟く。

 

「あまり根を詰めすぎんと、見つかるもんも見つかりませんで」

 

 レイがティーセットを持ち運びながら寄ってくる。

 

「はい、お茶どす、熱いんで気ぃつけてつかあさい」

「ありがとう、気が利くねえ」

「いえいえ、こっちも結果が出んのは心苦しいですから」

「レイくんはすごいねえ、戦闘だけじゃなくてバックヤードでも大活躍じゃない」

「いえいえ、むしろこっちの方が得意なんですよ、僕」

「そうなの? あの強さだったらAランク魔導士なんてあっという間に倒せそうなのに、ずるいなあ」

「強うないと家を継げんもんですから、大変ですよ。下手に色々出来ると、一つ一つが中途半端になりかねんもんですから」

「そういうものかなあ、色々出来る人ってあこがれるけどね」

「万能の天才か、器用貧乏になるかは、当人次第ですから」

 

 レイはコンソールを覗きながら、茶をすする。

 

「見つかりませんか」

「全然見つかんないよ」

「この辺りは海流が乱れまくってますからなぁ。故に『海鳴』、潮が激しいときには文字通り海が鳴く」

「どっか1か所に固まっていると楽なんだけど」

「そんな都合のええことが……」

 

 突然艦内にアラームが鳴り響いた。

 

『エマージェンシー! 捜索域の海上にて大型の魔力反応を感知!』

「……ありましたな」

「うん……」

 

 

 

 

 

 モニターにはフェイトとアルフが映っている。

2人は巨大な魔方陣を展開している。

 

「強制発動、か。無茶なことを」

 

 レイが呟く。そこへ、なのはたちが現れる。

 

「これは……」

「フェイトちゃん!」

 

 モニターには6つの竜巻が映る。フェイトとアルフは翻弄されながらも封印しようとしている。

 

「あの、私急いで現場に」

「その必要はないよ、放っておけばあの子は自滅する」

 

 なのはの言葉をクロノは否定する。

 

「仮に自滅しなかったとしても、力を使い果たした所で叩けばいい」

「でも、」

「今のうちに捕獲の準備を」

「「「了解」」」

 

 無情にもジュエルシード捕獲に動くアースラスタッフに困惑するなのはたち。

 

「提督殿!」

「私達は常に最善の選択をしないといけないわ。残酷に見えるかもしれないけど、これが現実」

 

 アフームがリンディに詰め寄るも、なしのつぶてである。

 

「最善、ねぇ。なら僕も最善を尽くしますわ」

 

 レイが声を上げる。

 

「今すぐ転送の準備を、現場に出ます」

「レイ! 話を聞いていたのか!」

 

 クロノが大声を出す。

 

「聞いとりました。そちらはジュエルシード確保に向けて動いてどうぞ。こちらは人命救助と地球を救うために動きますんで」

「レイくん!」

 

 なのはの歓声が上がる。

 

「なるほど、そちらの言い分も最もや、ジュエルシードを最優先すればな」

 

 レイがじっとりとクロノとリンディを睨みつける。

 

「こっちは目的が違うんで。こっちの目的は土地の安全や。あのままでは地球が潰されかねん。あくまで共同捜査ですよね、なら地球全権の僕が命令しても問題ないはずや。頭2人おるんやから」

「レイ! 転送の準備できたよ!」

 

 ユーノの声にレイが振り向く。

 

「ようし! 今行く!」

 

 去っていくのレイの後姿をアースラスタッフは見つめているしかなかった。

 

「そう言えば、レイくんとアフームちゃんって飛べたっけ」

「あ……」

 

 エイミィのつぶやきがアースラに混乱をもたらすのであった。

 

 

 

 

 

 空を落ちていく5人、一直線にフェイトとアルフのもとへと向かっていく。

 なのははデバイスを展開する。

 

「そういえば、レイくんとアフームちゃんは!?」

 

 なのははここで2人が飛べるかどうかに思い至るのである。

 なのはは思い返す、2人が空を飛んだことは一度もないことに。

 なのはは慌てて2人を見る。

 そこには、帽子からタケコプターの様なプロペラを生やしたレイとアフームがいた。

 

「飛べるの!?」

「「頑張れば」」

「頑張って済む問題じゃないよ!」

 

 そんな4人の登場をフェイトとアルフも察知した。

 

「フェイトの……邪魔をするなああああっ!!」

 

 アルフが体を縛っていた電撃を振り払い飛びかかるもユーノに止められる。

 

「なに!?」

「違う、僕達は戦いにきたんじゃない!」

 

 そしてすぐさまユーノは動いた。

 

「とにかく今は封印のサポートを!」

 

 そう言って魔法陣から鎖を伸ばし竜巻を縛り付けた。

 

「俺もサポートに回ろう! 捕獲『夏休み最終日の昆虫採集』!」

 

 レイが虫取り網の様な魔力をジュエルシードにかける。

 虫取り網が虫籠の様に変化してジュエルシードを包み、逃そうとしない。

 

「さあ、お二人さん! あとは任せましたえ!」

「フェイトちゃん、手伝って! ジュエルシードを止めよう!」

 

 レイジングハートから光の帯が放たれバルディッシュへと吸い込まれていく。

 

『Power charge』

『Supplying complete』

 

 先ほどまで刃も維持できなくなっていたバルディッシュが回復し、修復される。

 なのはの魔力がフェイトに分け与えられたのである。

 

「二人できっちり半分こ」

 

 ユーノ、レイにアルフまで加わったバインドはぎりぎりのところで踏ん張っていた。

 

「今のうち! 二人でせーの! で一気に封印!」

 

 そう言ってなのはは飛び立つ。

 

『Shooting mode』 

 

 それを阻もうとするように襲い来る多くの雷。

 だがそれもアフームの弾幕が的確に撃ち抜いていく。

 おかげでなのははただただ真っすぐに空を飛ぶだけで済み回避行動は一切取ってない。

 そして魔法陣を足場になのはは空中に立つ。

 

『Sealing form, setup』

「バルディッシュ……?」

 

 相棒が突然変形した事に驚くフェイト。

 

「ディバインバスター・フルパワー、いけるね?」

『All right, my master』

 

 魔法陣が広がる。対しフェイトの足元にもまた金色の魔法陣が浮かび上がり広がった。

 

「せーの!」

「サンダー!」

「ディバイン!」

「レイジ!!」

「バスター!!」

 

 金色の雷が落ち、桜色の砲撃が飛ぶ。

 二つの力は一つとなり大きな爆発と衝撃を生んだ。

 そんな中、海中から光と共に六つのジュエルシードが浮かび上がって来る。

 そのジュエルシードを見ながらなのはは思う、フェイトについて、自分がどう思っているかを。

 

「友達に、なりたいんだ」

 

 正直に、真っすぐに伝えるのだった。

 その時だった。レイの第六感がアラートを流した。ばっと上空を見る。紫色の雷が迫っていた。

 

「防御『ヘキサグラムシールド』!」

 

 正六角形の板がレイの目の前に展開されるが、紫電は容易に貫く。

 

「ぎゃああああああ!!!」

 

「レイくん!」

 

 レイは見事こんがり肉へと変貌していた

 

「「「「「「何で!?」」」」」」

 

 全員に紫電が襲い掛かる。落ちていく6人。

 そんな中フェイトを回収したアルフは真っすぐジュエルシードの方へと向かう。

 それをいつの間にか到着していたクロノによって阻まれる。

 

「邪魔を……するなあああああっ!!」

 

 吹き飛ばされるクロノ、アルフは急いでジュエルシードに目を向けるが3つしかない。 既にクロノが三つを回収していたのだ。

 

「う、あああああ!!」

 

 アルフは叫びながら魔力弾を海面に打ち付ける。

 すると特大の水しぶきがあがった。

 気が付いた時にはフェイトもアルフもその姿を消していたのだった。




 どうやったら読者が増えてくれるか、試行錯誤中。
 感想も評価も増えるといいな♪
 質問疑問待ってまーす♡

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