魔法神話 レイ&アフーム ~もしもリリなの世界にハジケた奴らと邪神が絡んできたら~   作:ショーン=フレッチャー

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前回のあらすじ
 アリシア・テスタロッサ復活ッ! アリシア・テスタロッサ復活ッ! アリシア・テスタロッサ復活ッ! アリシア・テスタロッサ復活ッ! アリシア・テスタロッサ復活ッ!



第12.6話 病は気から

 泣きじゃくりながら必死にアリシアを抱きしめるプレシア。

 うるんだ目で抱きしめ返すアリシア。

 

「チェック」

「ほう、そう来たか」

 

 ユーノとレイはチェスを指していた。

 

「こんな時に何してんだ、君達は」

 

 クロノのツッコミを意に介さず、チェスを指し続ける2人。

 アリシアが口を開く。

 

「お母さん、言わなきゃいけないことがあるでしょ、フェイトに」

「そうね、そうよね」

 

 プレシアはアリシアを離すと、フェイトの方へと向き直る。

 

「フェイト、ごめんね、ごめんね……」

 

 プレシアはさめざめと泣きながら、フェイトを抱きしめる。

 

「なあ、結局何が真実だったんだ?」

 

 アルフが疑問を口に出す。

 

「プレシアは母親だった。どうしようもなく母親だった。それが真実です」

 

 リニスが答える。

 アリシアの服が用意され、アリシアは着替えている。

 ぱんぱんとレイが手を叩く。

 

「あ、さて、そろそろプレシアはんの病気の回復と参りましょか」

 

 プレシアは涙をぬぐう。

 

「そうね、お願いできるかしら」

「お任せあれ、と言っても下準備はとっくに整っているんやけどな」

 

 そういうとレイはプレシアの背中をさする。

 

「ふうむ、ここか」

「何がだ?」

「プレシアはんの病気悪化の原因は娘を失ったことによる狂気、精神状態がリンカーコアに悪影響を及ぼしていたんや」

「そうだったの!?」

 

 プレシアが驚愕する。

 

小魔力(オド)、いやリンカーコアは精神と深くリンクしているという研究結果が地球にある。実際それは臨床済みや。リンカーコアの異常は外的要因やからうかつには手を出せん。しかし狂気によって異常発達した部分は回復できる。狂気を払うことでな。プレシアはんの狂気は大分払われた。後は最後の一滴まで絞り出すだけなんやけど」

「じゃあ、お母さんは!」

「余裕で生きられるで」

 

 アリシアがレイの言葉を受け満面の笑みを浮かべる。

 

「じゃあ、リンカーコア取り出してください」

「「「「「「出来るか!」」」」」」

「えー簡単やのに」

 

 そういうとレイとアフームは胸を扉の様にパカリと開き、リンカーコアを取り出すのであった。

 

「「「「「「人間技じゃない!」」」」」」

「なら、これでどうにかしましょ」

 

 そういうとレイは解放者の鍵(Remorter’s Key)を構えるとプレシアの胸に突き刺した。

 

「リンカーコアよ、肉体から解放されよ」

 

 ずずず、とリンカーコアがプレシアの体内から出てくる。

 プレシアはその様子に目をひん剥いて驚く。

 プレシアのリンカーコアには黒い腫瘍のようなものが取り付いていた。

 

「うん、これ払って小さくしてしまいましょ」

「大丈夫なの!? 大丈夫なの!?」

 

 慌てるプレシアに対し、レイは冷静そのものである。

 

「まずは清めの塩を振ります」

 

 レイは妙に堂に入ったポーズ、塩振りおじさんのポーズで塩を振る。

 

「「「「「「そのポーズの意味は!?」」」」」」

「次にオリーブオイルをかけます」

「「「「「「何で!?」」」」」」

「これも大切な儀式や」

 

 オリーブオイルがリンカーコアにかかると、腫瘍から怨嗟の声と共に狂気が出てくる。

 それに比例するかのように腫瘍が小さくなっていく。

 

「出た! プレシアの狂気!」

「「「「「「何か出てきた!?」」」」」」

「後はこれを祓い清めるだけ! 大丈夫! 俺は神職の息子! 将来の宮司や! これぐらい払って見せるわ!」

 

 そういうとレイはオーク材の杖と大幣をもって狂気に向かっていく。

 

「悪霊退散! 悪霊退散!」

「「「「「「まさかの物理!」」」」」」

 

 レイは杖と大幣で狂気をぶん殴っていく。

 

「「悪霊退散! 悪霊退散!」」

 

 アフームも加わり、狂気に対するリンチは一層激しさを増す。

 堪らず狂気は一瞬の隙を突いて逃げ出す。

 

「「あ!」」

 

 逃げていく方向はジュエルシードの方だ。

 

「不味い! ジュエルシードと反応すればえらいことになる!」

 

 レイは無反動砲を構えると、狂気に向かって撃つ。

 

「南無三!」

「ちょっと!」

 

 クロノの制止は届かず、砲弾が爆発する。

 

「「「やったか!?」」」

 

 レイ、アフーム、ユーノは固唾を呑んで見守る。

 黒煙が晴れていく。

 そこに何かがいる。

 黒い雷だ。

 プレシアの姿を模した黒い雷がそこにいた。

 

「あかん、狂気とジュエルシードが反応しおった! しかも9個も!」

「ヤバい! これはヤバい! どれくらいヤバいかというとジャズバンドの中にタコがいる、これくらいのヤバさかな」

「「「「「「全然わかんないよ!」」」」」」

 

 ユーノのたとえにツッコみつつも全員臨戦態勢に入る。

 

「アリシア、アリシアァァァァァァ!!!」

 

 発動体が叫ぶ。

 その迫力に全員の間に怯みが生まれる。

 

「あれがプレシアの狂気の本質、か。えらいもんが生み出されてしもうたな」

「どうするのじゃ、レイ。生半可な攻撃をしては逆効果になりかねんぞ」

「決まっとる、いつも通り、祓い清めるだけや!」

 

 そういうとレイはオーク材の杖と大幣をもって駆け出していく。

 

「一気に決める!」

 

 レイは発動体に向かって接近していく。

 巨大な盾の裏に隠れながら慎重に。

 

「「「「「「めちゃくちゃ慎重だー!」」」」」」

「アリシアァァァァァァ!!!」

 

 発動体の放つ黒い雷がレイを襲う。

 

「ぎゃああああああ!!!」

「レイくん! 大丈夫!?」

 

 なのはが声をかける。

 

「ああ、この通り、平気や」

「「「「「「骨になってるー!!!」」」」」」

 

 レイの体は骨と化していた。

 

「ちっ、あれでは迂闊に近づけんぞ」

「近づけば雷、どうすればいいのやら」

 

 アフームとユーノが策を組み立てようとする。

 

「だったら、遠距離からの砲撃で! 行くよ、フェイトちゃん!」

「うん!」

 

 フェイトとなのはが息を合わせ、砲撃を放つ。

 

「ディバインバスター!」

「サンダーレイジ!」

 

 2人の砲撃が発動体に迫る。

 しかし、2筋の砲撃は発動体が展開した障壁に阻まれるのであった。

 

「そんな……」

 

 なのはの声は力を失う。

 

「アリシアァァァァァァ!!!」

 

 発動体がなのはたちの方へと電撃を放つ。

 技術も何もないただの放電であるが、その威力は大地を穿つほどであった。

 

「おいおい、マジかよ」

 

 アルフが冷や汗をかきながら呟く。

 

「近づくことは不可能、遠距離砲撃も効かない。となると、どうしたらいいのか」

 

 ユーノが必死に策を組み立てようとする。

 しかし有効なアイデアが浮かばない。

 一方のレイは静かに発動体を見据えている。

 そして、口を開く。

 

「一か八か、スターライトブレイカーに賭ける! 少なくともあれが俺たちの中での最大威力の攻撃や! 全員でなのはのお膳立てをして、なのはは魔力の収束に集中! これで行く!」

「大博打じゃな」

「それしかないか……」

 

 アフームとクロノがレイの策にしぶしぶ同意する。

 

「なのはは一刻も早く魔力の収束をするんや! 限界までな!」

「妾達のハジケで食い止めて見せる!」

 

 レイ、アフーム、ユーノが発動体に向かって駆け出していく。

 キラキラとエフェクトが3人にかかる。

 フェイトとクロノはなのはを守るようにじっとなのはの前に立つ。

 両脇をアルフとリニスで囲んで守っている。

 

「「「君の瞳に乾杯」」」

 

 3人はホストになって発動体を食い止めようとした。

 

「「「「「「100%食い止められないよ!」」」」」」

「「「ぎゃああああああ!!!」」」

 

 雷撃を3人が襲う。

 

「「「なんのまだまだー!」」」

 

 3人は立ち上がり、次なる手を打つ。

 

「全力でハジケ切って見せるわー!」

 

 アフームの叫びに呼応したレイとユーノは互いに頷き合う。

 

「うおおおおおお! エアギター! エアギター!」

「弾いてるようで弾いてなーい! 匠、匠なの!」

「「「「「「変な方向にハジケたー!」」」」」」

 

 再び雷撃が3人を襲う。

 

「「「ぎゃああああああ!!!」」」

 

 そうこうしているうちに、なのはの砲撃の収束が完了する。

 

「みんな! 行くよ!」

 

 なのはの掛け声と共に中央を開ける。

 

「お願い、通って! スターライトブレイカー!」

 

 桜色の砲撃が発動体に向かって撃ちこまれる。

 発動体は障壁を展開して、防御しようとする。

 やがて、発動体は障壁ごと砲撃に呑まれていく。

 誰もが固唾を呑んで行方を見守る。

 やがて煙が晴れる。

 そこには確かに、発動体が立っていた。

 

「そんな……」

 

 フェイトの声から力が失われる。

 誰もが諦めていた。

 ただ一人を除いては。

 

「……切り札(ジョーカー)を切るか」

「「「「「「え?」」」」」」

 

 レイの呟きに全員が反応する。

 

「正直切りたくはなかった。これは諸刃の剣、下手をすれば味方を巻き込みかねん。けど、そうも言ってられん!」

 

 レイは解放者の鍵(Remorter’s Key)を構えると、天に掲げた。

 

「開け、聖門『聖金剛領域(ダイヤモンドワールド)』!」

 

 レイが解放者の鍵(Remorter’s Key)を右に回す。

 すると解放者の鍵(Remorter’s Key)の先端から世界が書き換わっていく。

 

「これは、一体?」

 

 リンディが声を上げる。

 あっという間に世界は花畑へと変化していた。

 レイは発動体を睨みつける。

 

「みんな、その魂、開放してもらうで」




 ヤバいな、感想が来なさ過ぎて、モチベーションが保てない。
 UAを眺めることしか出来ないよ……。
 みんなこの作品をどう思っているのだろう?

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