魔法神話 レイ&アフーム ~もしもリリなの世界にハジケた奴らと邪神が絡んできたら~   作:ショーン=フレッチャー

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 前回のあらすじ。
 ユーノ、パワーアップを果たす。


第8話 未必の故意は悪ですか?

 あの後、アリサとすずかもまた魔力を蒐集された。

 仮面の男に気を取られている間に、エストによって蒐集されたのだ。

 4人はすぐに本局医療局に運ばれた。

 残る面々はアースラに集合していた。

 

「医療班の報告では、みんなリンカーコアに酷いダメージを受けてるけど命に別状はないそうよ」

「私の時と同じように闇の書に吸収されちゃったんですね…」

「アースラが稼働中で良かった。なのはの時以上に救出が早かったから」

「だね……」

 

 4人の無事を聞き安心するなのは達、すると俯いていたエイミィが口を開く。

 

「2人を転移させた後、駐屯所の管制システムがクラッキングであらかたダウンしちゃって。それで指揮や連絡が取れなくて……ごめんね。あたしの責任だ」

 

 エイミィの謝罪に少し静まる会議室。

 それを破ったのはアルフとアフームだった。

 

「んなこったないよ! エイミィがすぐシステムを復旧させたからアースラに連絡が取れたんだし、仮面の男の映像だってちゃんと残せた」

「ギリギリで妾も割り込むことが出来た。あの場では最善だったと思うぞ」

「2人とも、ありがとう」

「でもおかしいわね? 向こうの機材は管理局で使っているものと同じシステムなのに、それを外部からクラッキングできる人間なんているものなのかしら?」

 

 空中に現れた仮面の男の映像を見ながら呟くリンディの言葉にエイミィが反応する。

 

「そうなんですよ!防壁も、警報も、全部素通りでいきなりシステムをダウンさせるなんて」

「少しありえない事ですよね」

 

 アレックスもエイミィの言葉に同意する

 

「ユニットの組み換えはしてるけど。もっと強力なブロックを考えなきゃ…」

 

 顎に指を当て考え込むエイミィ

 

「それだけ凄い技術者がいるって事ですか?」

「仮面の男は2人居た、なら、あの2人をサポートする奴が居る可能性はもちろんあるね」

 

 なのはが目の前に座るアリアに聞くとアリアもそれを肯定する。

 

「外部からではないかもしれんな」

 

 アフームが呟く。全員が驚きをもってアフームを見る。

 

「レイならどう考えるか、妾なりに考えてみた。管理局の防御システムは次元世界最高峰なのじゃろう? それを突破できるハッカーなど数が知れておるはずじゃ。外が駄目なら内側から、レイならそういうことも言いそうじゃ」

 

 全員にどよめきが走る。

 

「すまぬ、考えすぎかもしれん」

「アフームちゃん、貴重な意見をありがとう。アレックス! アースラの航行に問題は無いわね?」

「はい。問題ありません」

「では、予定より少し早いですが、これより司令部をアースラに戻します!各員は所定の位置に」

『はい!』

 

 リンディの決定に全員が返事をする。

 

「と、なのはさんとアフームちゃんはお家に戻らないとね」

「うむ」

「あ、はい。でも…」

 

 思い出したように2人を見るリンディ。

 アフームは直ぐに返事をするがなのはは少しためらう様に返事をする。

 

「大丈夫よ。フェイトさん達のことは私たちが見ているから」

「…はい」

 

 リンディに諭されなのはは少し悩んだ顔をするがしっかりと返事をした

 

「それじゃあ、会議は終わりです」

 

 

 

 

 

 八神家にて。

 

「助けてくれた、ってことでいいのよね」

 

 シャマルがぽつりと呟く。

 

「少なくとも、奴が闇の書の完成を望んでいるのは確かだ」

 

 腕組みをしながらシグナムが答える。

 

「完成した闇の書を利用しようとしているのかもしれんな」

 

 狼形態のザフィーラが意見を述べる。

 

「ありえねぇ! だって、完成した闇の書はマスター以外には使えないじゃん!」

 

 ヴィータが声を上げる。

 

「完成した時点で主は絶対的な力を得る。脅迫や洗脳が効くはずも無いしな」

「まあ家の周りには厳重なセキュリティが張ってあるし、万が一にもはやてちゃんに危害が及ぶことはないと思うけど」

「念のためだ、シャマルは主のそばを離れん方がいいな」

「うん」

「ねえ、はやてが闇の書を完成させてさ、はやてがマスターになってさ、それではやては本当に幸せになるんだよな」

 

 ヴィータの言葉に顔を見合わせる一同。

 

「何だいきなり」

「闇の書の主は大いなる力を得る。守護者である私たちはそれを誰よりも知っているはずでしょう」

「そうなんだよな、そうなんだけどさ、私は大事なことを忘れている気がするんだ」

 

 その場が言いようのない空気に包まれる。

 

「私の記憶では、あなたたちの認識や記憶に不備があるとは思えません」

 

 エストが言葉を発する。

 

「闇の書について多くを知るわけではないですが、少なくとも、魔力蒐集をやめる理由はありません」

 

 その時だった、はやての部屋の方から何かが倒れる音がした。

 向かうと、はやてがベッドから落ちている。

 

「病院! 救急車を!」

 

 

 

 

 

 アースラでは、ユーノから現時点での調査報告が行われていた。

 

「うん、ここまでで分かったことを報告しとく。まず、闇の書というのは本来の名前じゃない。古い資料によれば、正式名称は夜天の魔導書。本来の目的は、各地の偉大な魔導士の技術を蒐集して、研究するために作られた、主と共に旅をする魔導書。破壊の力を持ったのは歴代の所有者の誰かがプログラムをいじったからだと思う」

「ロストロギアを使って、むやみやたらに莫大な力を得ようとする輩は今も昔もいるってわけね」

 

 リーゼアリアが話に割り込む

 

「その改編のせいで、旅をする機能と、自動修復する機能が暴走しているんだ」

「転生と無限再生はそれが原因か」

 

 クロノが考え込む

 

「古代魔法ならそれくらいはありかもね」

「一番ひどいのは持主に対する性質の変化。一定期間収取がないと持主自身の魔力や資質を侵食し始めるし、完成したら持主の魔力を際限なく使わせる。無差別破壊のために。だから、これまでの主は完成してすぐに……」

「ああ、停止や封印の方法についての資料は」

「それは、今レイが調べてる。だけど、完成前の停止はたぶん難しい」

「何故?」

 

 クロノが質問する。

 

「闇の書が真の主と認識した人間でないと、システムへの管理者権限は使用できない。つまりプログラムの停止や改変が出来ないんだ。無理に外部から操作しようとすれば主を吸収して転生しちゃうシステムもはいってる」

「そうなんだよね、だから闇の書の永久封印は不可能って言われてる」

「元は健全な資料本が、何というか、まあ」

「闇の書、夜天の魔導書もかわいそうにね」

 

 リーゼロッテとエイミィがそれぞれ同情する。

 

「調査は以上か」

「現時点では、まだいろいろ調べてる。流石無限書庫、探せばちゃんと見つかるよ。それに、管理システムも復活したしね」

「ていうか、あたし的には君達がすごい。すっごい捜査能力」

「そう言えばレイはどうしているんだ」

 

 クロノがレイについて聞く。

 

「ああ、レイは今夜天の魔導書の再現を試みてるよ」

「何でそんなことを……」

 

 エイミィが呆れたように呟く。

 

「レイ曰く、どう直せばいいのかシミュレーションするからだって」

「アイツ、闇の書を直す気でいるのか!」

 

 クロノが叫ぶ。

 

「すごいよ、あの子。もう古代ベルカのプログラム言語をマスターしちゃった」

「相変わらず、規格外の頭脳なんだから」

 

 リーゼアリアは驚き、エイミィは呆れつつも驚く。

 

「不可能を可能にする方法を考えるのが僕たち頭脳労働担当の仕事だからね。今は資料調査が僕、夜天の魔導書の直し方をレイが担当しているよ。今は一分一秒が惜しいみたいで、報告を僕に丸投げしてきたからね」

「上手くいきそう?」

「どうだろう? レイのことだから煮詰まるまで何も言ってこないだろうし、今は順調じゃないかな」

「順調も順調や」

 

 バニーガール姿のレイが話に入ってくる。

 

「レイ、作業はいいのか?」

「今は小休止。なあにこの分なら闇の書を夜天の魔導書に直せそうや。てかツッコミは無しかい」

「本当か!」

 

 叫ぶクロノ。

 

「上手くいけばな、それよりクラッキングの件や。やはり俺は内部犯やと思う」

「どうして?」

 

 エイミィが質問する。

 

「タイミングが良すぎるんや。外部からやろうもんならそれこそ何時間も前から準備をせんとあかん。だけど内部からなら十分もかからん。もちろん理由はこれだけやないで。ファイヤーウォールの突破形跡がないこともあるな。どんな優秀なハッカーも自分の足跡を消すんは大変な作業や。その足跡が無いっちゅうことは、やっぱり内部犯行やろ」

「……だとしたら誰が一体」

 

 クロノが考え込む。

 

「気になることがある。仮に仮面の男と今回のハッカーが同一グループやとすると、そいつらの動機が分からん。目的は闇の書の完成ちゅうことは分かる。しかし、なぜ完成させる必要があるんか、それが解らん。もう一つ。今回集めた闇の書の資料やけど、どうも固まって保管されとる」

「それの何がおかしいの?」

 

 エイミィの疑問ももっともだ。

 

「すでに誰かが1回調べたように思えるんや。そして、前回の資料も一緒に置かれとる。一般の文書の中に管理局の公文書。余りにも不自然や」

「考えすぎじゃないのか?」

「考えすぎならそれでええ、問題はそれらを見落とすことでどれだけの被害を俺たちが被るかや」

 

 

 

 

 

「お見舞い、かの」

 

 昼休みにアリシアと合流したなのはたちはお昼ご飯を食べながら、すずかが最近できたという友達について話をしていた。

 すずか曰く、図書館で出来たというその友達は病状が悪化し入院することになったという。

 それを先程彼女の弟から伝えられたのである。

 

「弟って私のクラスにいたんだ、八神あすかって男の子。レイと双璧を為す2組の関西弁男子だよ」

「はやてちゃんも関西弁だったし、やっぱり関西の人って、言葉に愛着があるのかな」

 

 すずかが疑問に思う。

 

「レイ曰く、畿内、ああ関西のことじゃが、日本の中心だった誇りがあるんじゃよ。特に京都はな」

「そうなの、日本って一国の中での言葉の違いが大きいわよね。単語すら違うのって大変だわ」

「それよりお見舞いは?」

「「「「「もちろん行く」」」」」

 

 

 

 

 

 とある次元世界、雨が降り、雷が走る赤い空の中ヴィータは海の上を飛んでいた。

 

(何かがおかしいんだ…こんなはずじゃないんだって私の記憶が訴えてる)

 

 何か大事な事を忘れていると、引っ掛かりを感じるヴィータ。

 だが、それを振り払うようにアイゼンを構える。

 

(でも…今はこうするしか無いんだよな)

 

 海が大渦を巻く

 

「はやてが笑わなくなったり、死んじゃたりしたら、やだもんな!」

『Ja』

 

 ヴィータの叫びにアイゼンが応えると渦の中から巨大なタコのようないくつもの目を持つ魔導生物が現れる。

 

「やるよ!アイゼン!!!」

 

『Explosion』

 

 柄が伸縮しヴィータの魔力が爆発的に増える。

 

「ギガント!!! ブッ潰せーーー!!!」

 

 巨大化したアイゼンを振りかぶりヴィータは魔導生物に向かう。

 

 

 

 

 

 時空管理局本局、ギル・グレアム提督は自身の書斎で闇の書のデータを見つめているとアリアとロッテが入ってきた。

 

「父様。あんまり根を詰めすぎると体に毒ですよ」

「そうだよ」

「2人か、どうだい様子は?」

 

 働きすぎを諌められ肩を竦めながらグレアムは2人に現状を聞く。

 

「まぁ、ボチボチですね」

「クロノ達も頑張っていますが闇の書が相手ですから、一筋縄では…」

「そうか。…すまんな、お前達まで付き合わせてしまって」

 

 突然、グレアムは俯き2人に謝るとアリアとロッテは身を乗り出す

 

「何言ってんの父様!」

「私達は父様の使い魔。父様の願いは私達の願い」

「……ありがとう。2人共」

 

 励ましてくるアリアとロッテにグレアムは笑顔を見せる。

 

「大丈夫だよ、デュランダルも完成しているし」

「今度こそ、闇の書の封印を成功させましょうね」




 うーむ、シリアスなシーンが続く。
 うまい具合にハジケられない。
 現在執筆中の第2章第3部もシリアスな話だからなあ。
 ていうか、皆この作品のことどう思ってます?
 大分原作よりなのは認めますが。

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