魔法神話 レイ&アフーム ~もしもリリなの世界にハジケた奴らと邪神が絡んできたら~   作:ショーン=フレッチャー

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前回のあらすじ。
 ハジケが足りなかったなあ。


第9話 クリスマスと言ったら山下達郎と竹内まりや

 12月24日、朝。今日は修業式である。

 

「ねえ、みんな、はやてちゃんへのプレゼント用意してくれた?」

 

 今日の放課後、サプライズではやてのお見舞いに行くのである。

 すずかは皆にプレゼントの確認をした。

 

「モチのロンや」

「妾たちを舐めるでない」

「当然用意したわ」

「「「「うん」」」」

 

 全員が持ってきていることを確認したすずかは満面の笑みで答える。

 

「あ、アリシア、教室でこの話題はせんようにな」

「なんで?」

「八神弟に聞かれると計画がおじゃんになるからな」

「そっか、じゃあ気を付けないと。こういう秘密の計画ってワクワクするね」

「せやからサプライズは楽しいんや。むしろ計画中の方が楽しいかもしれん」

「アンタの行動がサプライズみたいなもんだからね」

「アリサ、お前さんはそんな風に思っとったんか」

「全員思っているわよ」

「「「「うん」」」」

 

 アリサのツッコミに何も言えなくなるレイとアフームだった。

 

 

 

 

 

 放課後、はやての病室では守護騎士とあすかとエストが集まっていた。

 

「はやてゴメンね、あんまり会いに来れなくて…」

「ううん。元気やったか?」

 

 謝るヴィータにはやては気にしてないと声をかけ頭を優しく撫でる。

 その姿を見てシグナムとシャマル、エストは微笑み、あすかは満足げな顔で幸せな時間を過ごしていた

 するとコンコンとドアを叩く音がする。

 

「こんにちはー」

「あれ? すずかちゃんや」

 

 その声に守護騎士たちは戦慄する。

 

「はーい!どうぞー!」

 

 扉が開き、サンタ服でジョジョ立ちを決めるレイとアフームが守護騎士たちの目に入る。

 

「「メリークリスマスッ! 祝わずにはいられないッ!」」

 

 場が凍り付く。

 守護騎士たちは目の前の奇妙な言動となのはたちの存在に、なのはたちは守護騎士たちの存在に、それぞれ言葉を発することが出来なかった。

 沈黙を破るのはやはりこの2人であった。

 

「ツッコミがないと寂しいのじゃ」

「みんなどないした、あまりの世間の狭さに驚愕しとる場合やないで」

 

 全員が何とか我を取り戻す。

 

「初めましてやな、俺はレイ=金剛=ダイアモンド。弟さんとはクラスメイトや」

「あっ、八神はやてです。いつも弟がお世話になってます」

「ちょっと、はやて、やめてくれ」

「おうおう、あすか君、いっちょ前に恥ずかしがりおって。いつものクールな態度はどないした?」

「やめんか! めっちゃ恥ずいわ!」

「珍し、こんなあすかは初めてかもしれんわ」

「けっけっけ、はやて嬢、男というもんは女の前ではかっこつけたがる生き物なんですわ」

「これはええこと聞きました。情報おおきに」

「いえいえ、今後とも御贔屓に」

「……あんたらは何をしてんの」

「悪徳商人ムーブをな」

 

 アリサのツッコミが入ったところで話が本筋に戻る。

 

「それより、今日はみんなどないしたん?」

 

 はやてが訪問してきた理由を尋ねるとすずかとアリサは腕にかけていたコートを取りプレゼントを見せる。

 

「「「「「「サプライズプレゼント!」」」」」」

 

 差し出されたプレゼントに目を輝かせるはやて。

 

「今日はイブだから、はやてちゃんにクリスマスプレゼント」

「俺たち全員で選んだんやで」

「ホンマに!? ありがとうな!」

 

 何とか繕いながらサプライズを成功させようとする。

 

「あ、みんな。コート預かるわ」

 

 シャマルが場を和ませようと気を利かす

 

「念話が使えない、通信妨害を?」

 

「シャマルはバックアップのエキスパートだ。この距離なら造作もない」

「あなた達、守護騎士が此処に居るとゆうことははやてちゃんが闇の書の…」

 

 病室に備え付けのクローゼットにコートをかけながらフェイトはシグナムと、アリシアはシャマルに周りには聞こえない声で話す。

 無言の返答だったがそれは答えを言っているようなものである

 

「えっと、あの、そんなに睨まないで…」

「睨んでねーです。こうゆう目つきなんです」

 

 なのははヴィータから一方的な拒絶を受け落ちこむ

 

「ヴィータ! 嘘はアカン。そんな悪い子はこうやで!」

 

 するとはやてがヴィータの鼻をつまみお説教をし始める。

 その光景に緊張がほぐれクスクスと笑いが起きる。

 

「お見舞いしてもいいですか?」

「ああ」

 

 フェイトがシグナムに聞くと少しの間のあとシグナムが許可を貰い、はやてへのクリスマスサプライズは一応の成功を収めた。

 

 

 

 

 

 お見舞いが終わり病院を後にしたなのは達はあるビルの屋上でシグナムとシャマルに呼び出され、シグナムから話を聞かされていた

 

「はやてちゃんが闇の書の主…」

 

 分かってはいたがシグナムから告げられた話に動揺を隠せない8人

 

「悲願はあと僅かで叶う」

「邪魔するのなら…はやてちゃんのお友達でも」

「待って!ちょっと待って!ダメなんです!闇の書が完成したらはやてちゃんは……」

 

 戦闘態勢をとるシグナム達になのははユーノとレイが調べた情報を話そうとする。

 だが突如アイゼンをもって現れたヴィータの強襲になのはは障壁を張り防御するが吹き飛ばされフェンスに激突する。

 飛ばされたなのはに気を取られたその一瞬、シグナムはレヴァンティンで斬り掛かるがフェイトとアリシアは後ろに飛んで下がる。

 

「管理局に我らが主の事を伝えられては困るのだ」

「私の通信妨害範囲から出す訳には、いかない!」

 

 シグナム達の姿が先程までの私服から騎士甲冑に変わっていく

 

「ヴィータ、ちゃん」

「邪魔、すんなよ、もう後ちょっとで助けられるんだ。はやてが元気になってアタシ達の所に帰ってくるんだ!」

 

 涙を流しながらなのはを睨むヴィータ

 

「必死に頑張って来たんだ、もう後ちょっとなんだから……邪魔すんなーーー!!!」

 

 ヴィータはカードリッジをロードし、アイゼンを振り下ろす。大きな爆発が起き炎と煙が上がる

 

「はぁ、はぁ……ちぃ」

 

 息を切らすヴィータは炎の中から現れたなのはに舌打ちをする。

 バリアジャケットを着たなのはに怪我はなく、バリアジャケット自体にも目立った損傷はない

 

「悪魔め」

 

 思わずそんなことを口にするヴィータ

 

「悪魔で、いいよ」

「Axel Mode Driveignition』

 

 レイジングハートを展開し構えるなのは

 

「悪魔らしいやり方で。話を聞いてもらうから!」

「それはあきまへん!」

 

 突如として全員が包帯で縛られる。レイの仕業だ。

 

「「入院『病院ではお静かに』!」」

「何のつもりだ!」

「どういうこと、レイくん!?」

 

 シグナムとなのはが声を上げる。

 

「ここで俺らが争ったところで何のメリットもあらしまへん。むしろ奴らに付け入る隙を与えることになりかねん」

「ふざけるな! もう少しで、もう少しではやてが!」

「うん、わかっとる。闇の書を完成させるんやろ。そうすればはやて嬢の体は治る。そういうことやろ?」

「だったらどうして!」

 

 ヴィータの叫びにレイは静かに答える。

 

「確かに体は治るかもしれん。それ以上に色んなもんを失うことになるがな」

「嘘だ! 大いなる力があれば失うものなんて……」

「なら、力を手に入れた後、主たちはどないしたん?」

 

 レイの言葉に守護騎士たちは黙って呆然とする。

 

「やはり、な」

「どういうことだ、なぜ覚えていない!」

 

 シグナムの慟哭にもレイは眉一つ動かさない。

 

「闇の書が完成した時、守護騎士は再蒐集される。どうやら記録通りのようやな」

「レイ、1から説明したら?」

 

 アリシアがレイをじっとりと睨みつける。

 アフームは縛られていることに興奮している。

 

「アアッ、いいっ! ナイス縛りッ!」

「うーむ、説明してもええんやけど、今のこいつらが受け入れるかどうか。せや! お前さん方、夜天の魔導書という言葉に心当たりは?」

「夜天の、魔導書、……なんかぼんやりとあるようなないような」

 

 ヴィータが呟く。

 

「ビンゴ。記憶は完全には失っとらん。夜天の魔導書。闇の書へと改悪される前の名前。本来の名前、心当たりあるやろ?」

 

 守護騎士たちが頭を抱える。

 その様子をレイは静かに見守る。

 

「夜天の、魔導書……」

 

 あすかが呟く。

 次の瞬間、仮面の男が現れる。

 

「お出でなすったか!」

「すでに拘束されているか、なら話は早いな」

「ところがぎっちょん!」

 

 レイが全員の拘束を解く。

 

「何のつもりだ!」

 

 シグナムがレイに向かって叫ぶ。

 

「こいつらの目的が俺の予想通りなら、守護騎士が狙われる!」

 

 いうが早いか、仮面の男が守護騎士たちやなのはたちにバインドをかけていく。

 

「よくわかったな、さて、どうする?」

「貴様をぶっ飛ばす! 六角如意金剛棒!」

 

 レイが金属棒を取り出し。仮面の男へと突撃する。

 

「加勢するで!」

 

 まだバインドを掛けられていないあすかも剣を構えて、仮面の男へと切りかかる。

 仮面の男はそれらをシールドで防ぐ。

 そこにもう一つの影が背後からレイへと襲い掛かる。

 

「レイくん! 後ろ!」

 

 なのはの叫び声よりも速く、仮面の男の拳がレイの背中へと届こうとする。

 

「見切ったり!」

 

 レイの背中が開き、多数の砲塔が顔をのぞかせる。

 帽子が開き、司令官らしき老人が座っている。

 

「撃て」

「集中砲火ー!」

 

 砲撃が背後の仮面の男に直撃する。

 その反動でシールドを破り、一撃、正面の仮面の男へとお見舞いする。

 

「やはり、2人おったか。そしてその正体も見破った!」

 

 仮面の男たちはレイたちから距離を取り、集まる。それをレイは好機ととらえた。

 

「喰らえ! 野猫撃退『ペットボトルフラッシュ』!」

「「「「「「それに何の意味が!?」」」」」」

 

 全員のツッコミが水入りペットボトルと懐中電灯を構えたレイに向けられる。

 その光を浴びた仮面の男たちは変身魔法が解け、本来の姿が露わになるのであった。

 

「あれは……」

「リーゼロッテさん!? リーゼアリアさん!?」

 

 なのはたちは驚愕する。

 今までサポートしてきた仲間が、犯人だったのだから。

 

「くっ、まさかばれちゃうなんて」

「でも、闇の書はここにある!」

 

 リーゼロッテの手には闇の書がある。

 

「いつの間に!?」

 

 シャマルが悲鳴を上げる。

 

「最後のページは、不要となった守護者自らが差し出す。これまでも幾度か、そうだった筈だ!」

 

 リーゼアリアが闇の書に魔法を施す。

 

「「させるか!」」

「邪魔だよ!」

 

 レイとあすかがリーゼアリアの邪魔をしようと飛び掛かる。

 それをリーゼロッテが守る。

 

「「「「ぐああああああ!」」」」

 

 守護騎士たちが1人、また1人と消えていく。

 

「一手遅かったか!」

「悪いけどみんなにはおとなしくしててもらうよ!」

 

 2人はリーゼロッテに蹴り飛ばされた後、バインドを掛けられる。

 そのまま全員まとめてピラミッド型の結界、クリスタルゲージに閉じ込められる。

 そして、2人はなのはとフェイトに変身し、残っているヴィータとザフィーラを連れ去ってしまう。

 

「あかん、最悪の事態になってまう」

「どうすればいいの!?」

「何とかしてバインドとこのゲージを破壊せんと!」

 

 なのはとフェイトに変身したリーゼ姉妹がはやてを召喚する。

 

「誰が壊す!」

「俺がやる!」

「あすかくん!」

 

 はやての前でヴィータとザフィーラが消されていく。

 はやての顔が絶望に染まっていく。

 

「マスター! あの技を!」

「わかっとる! 溜めがいるからちょっと待て!」

 

 はやてを膨大な魔力が包み込む。

 リーゼ姉妹ははやてから離れていく。

 

「喰らえ! M・B・T(マキシマム・バスター・タイフォーン)!」

 

 衝撃音と共にゲージが破られる。

 

「バインド全員解き終わったで!」

「急ぐぞ!」

 

 全員がはやての元へと駆け付ける。

 しかし、はやての姿はすっかり変貌していた。

 

「また、全てが終わってしまった、いったい幾つ、こんな悲しみを繰り返せばいい……」

 

 長い銀の髪、黒の騎士甲冑を纏い背中からは漆黒の翼がはえている

 

「「はやてちゃん!」」

「「「「「「はやて……」」」」」」

「まさか……あれがはやてなんか!?」 

「我は魔導書。我が力の全ては……」

『Diabolic emission』

 

 女性が手を上げると巨大な魔力の塊が現れる。強大な魔力に全員体を強ばらせる。

 

「主の願いを、そのままに……」

 

 魔力が収束し小さくなる

 

「闇に沈め」

「来るぞ!」

 

 収束された魔力が解放させ周囲を巻き込みなのはたちに迫る。

 

『Full Moon Mode, Round Shield』

「防御『川西部長の絶対防御圏』!」

 

 すずかがフルムーンモードで障壁を作り、レイが段ボールと新聞紙でバリアーを張る。

 全員がその後ろに隠れると更に全員でシールドを強化する。

 次の瞬間、攻撃が障壁にぶつかる。

 だが、魔力は障壁ごと全員を飲み込むのだった。




 クリスマスと言ったら山下達郎の『クリスマス・イブ』と竹内まりやの『素敵なホリディ』ですよね。
 後、稲垣潤一の『クリスマスキャロルの頃には』とかも聞きたくなります。
 皆さんはクリスマスソングと言ったら、何を思い浮かべますか?

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