魔法神話 レイ&アフーム ~もしもリリなの世界にハジケた奴らと邪神が絡んできたら~ 作:ショーン=フレッチャー
最終決戦! 完! でももうちょったけ続くんじゃ。
一旦アースラに戻った一同。
はやてを寝かせるとクロノがなのはたちに話しかけてきた。
「夜天の書の破壊?」
「どうして!? 防御プログラムはもう破壊したはずじゃ……」
「闇の書……夜天の書の管制プログラムからの進言だ」
クロノが答える。
「管制プログラムってなのは達が戦ってた?」
「防御プログラムは無事破壊出来たけど夜天の書本体がすぐにプログラムを再生しちゃうんだって」
ユーノはさらに続ける。
今度ははやてを侵食する可能性が高い、夜天の書が存在する限りどうしても危険は消えないと。
そこからさらにクロノが言う。
「だから闇の書が……防御プログラムが消えている今の内に自らを破壊するよう申し出た」
「そんな……」
「でもそれじゃシグナム達も……」
「いや、私達は残る」
そこに現れたのはシグナム、シャマル、ザフィーラ。
「防御プログラムと共に我々守護騎士プログラムも本体から解放したそうだ」
「それでリインフォースからなのはちゃん達にお願いがあるって」
「お願い……?」
リインフォースからのお願いを聞いたレイは激高した。
「直す方法ならある! 俺の頭脳があれば夜天の書を完全復活できることなど容易いことや! それでもか! それでも破壊されたいんか!」
「……これ以上主はやてに負担をかけるわけにはいかない。それに、確実に復活できるわけではないのだろう? それよりかは確実なはずだ」
「……チッ、勝手にせい、この自殺志願者が。俺は寝る」
そういうとレイはずかずかと仮眠室へと歩いて行った。
誰もがそれを眺めているしかなかった。
雪が降る高台でリインフォースは一人待っていた。
そこにザッザッと雪を踏みしめる音が7つ。
なのは、アリサ、すずか、フェイト、アリシア、アフーム、ユーノの7人だ。
「あぁ、来てくれたか」
リインフォースは優しい笑顔で出迎える。
「リインフォース、さん」
「そう呼んでくれるのだな」
「……貴女を空に還すの私達でいいの?」
「お前達だから頼みたい、お前達のおかげで私は主はやての言葉を聞く事が出来た。主はやてを食い殺さずに済み騎士達も生かす事が出来た。感謝している、だから最後はお前達に私を閉じてほしい」
そう言いながらリインフォースはキョロキョロと周囲を見回す。そして一つだけ尋ねて来た。
「あの少年は?」
「レイ君は……」
「レイなら来ぬよ。声をかけても返事すらせんかった」
「そうか……彼にも感謝の気持ちは伝えたかったのだがしょうがないな」
「あの……はやてちゃんとお別れしなくていいんですか?」
その言葉を聞いた時、リインフォースの眼が揺らいだ。
「主はやてを……悲しませたくないんだ」
大切だからこそ、悲しませたくないからこそ何も言えず消えたい。
それがリインフォースの願い。
主を大切に思うが故の彼女なりの心遣いだった。
「お前達もいずれ分かる……海より深く愛し、その幸福を守りたい者と出会えればな。いや、もう心の内では分かってるのかもしれないが」
そう言われてしまうと何も言う事が出来ない。
今の言葉だけで、その表情だけでどれだけリインフォースがはやてを思っているのか理解出来たが故に。
そこで6つの足音が聞こえてきた。
ふとその足音の方に目を向けるとそこには守護騎士達とあすか、エストの姿が。
「そろそろ始めようか、夜天の魔導書の終焉だ」
魔法陣が敷かれる。
ベルカの魔法陣を中心に前後左右に橙色、紫色、桜色と金色の魔法陣。儀式は着々と進んでいった。
そこへ。
「自殺志願者は何処やー!」
パトカーが突っ込んできた。
「グハッ!」
パトカーは容赦なく逃げ遅れたリインフォースを轢く。
「「「「「「何事~!?」」」」」」
「リインフォース!?」
パトカーの中から声がする。はやての声だ。
「リインフォース! 大丈夫か!?」
「あ、主、なぜここに……」
「俺がここまで運んだんや」
パトカーの運転席からレイが降りてくる。
レイは後部座席からはやてを降ろすとリインフォースのところまで車椅子を押す。
「リインフォース、止めて! 破壊なんかせんでええ! 私がちゃんと抑える! 大丈夫や、こんなせんでええ!」
「主はやて、良いのですよ」
「いい事無い! いい事なんか何もあらへん!」
「随分と長い時を生きてきましたが最後の最後で私は貴女に綺麗な名前と心をいただきました」
さらにリインフォースは言う。
騎士達も貴女の傍にいる、何も心配はないと。
「心配とかそんな……」
「ですから私は笑って逝けます」
「……! 話聞かん子は嫌いや! マスターは私や、話聞いて! 私がきっと何とかする、暴走なんかさせへんって約束したやんか!」
「その約束はもう立派に守っていただきました」
「リインフォース!!」
「主の危険を祓い、主を守るのが魔導の器の務め……貴女を守るための最も優れたやり方を私に選ばせてください」
「せやけど……ッ!?」
「何が最も優れたやり方や、俺には最も愚かな選択にしか思えん」
「何だとッ!」
ヴィータがレイにつかみかかろうとする。
シグナムがそれを制する。
「俺がせっかく夜天の書を直す方法を見つけてきたというのに、それを拒否して安易な自殺を選ぶ。確かに自壊すれば確実にはやての体は助かるやろ。せやけど心はどうや? 大切なもんを失う悲しみをしょってはやてに生きていけと? これ以上はやてから奪う気か? この臆病もんの自殺志願者! 不忠もん!」
「何だと、テメェ! お前にリインフォースの何が分かるんだよ!」
とうとうヴィータがレイにつかみかかる。
「何もわからん。全てをあきらめた奴のことなど何もわからん。悪いが俺は最後まで足掻くで。誰に何と言われようと、完全無欠のハッピーエンド目指して這いずり回る覚悟はとっくにできとんねん。これ以上、命を無駄にするような真似はせんといてな」
レイの顔は愁いを帯びていた。
「俺は昔飛行機事故に巻き込まれたことがある。生き残ったんは俺一人。みんな生きたかったやろ、必死に足掻いとったわ。俺も足掻いた。運よく俺だけ生き残った。せやから俺は安易に死んだらあかんと思うとる。それは命に対する侮辱、あの事故で死んだ人たちへの侮辱や。せやから俺の目の黒いうちは、目の前で命を侮辱するような真似はさせへん。あんたはどうしたい、リインフォース。生きて、生きて主を見守ることこそ本懐やろが!」
誰も何も言えなかった。
ヴィータが静かにレイの襟首から手を放す。
「……私を、直せるのか?」
リインフォースが静かに口を開く。
「直すとも」
「本当か?」
「十中八九、俺の予想通りなら、直せるとも、いや、予想が外れても直す」
「……羨ましいな、そう言い切れる強さが」
「俺は強くはない。根拠があるから言えるだけや」
「……頼む、私を生かしてくれ!」
「リインフォース!」
はやての顔が明るくなる。
「その言葉が聞きたかった!」
「「「「「「ブラック・ジャック先生!?」」」」」」
いつの間にかレイはブラック・ジャックのコスプレをしている。
「まずは夜天の書の現状を確認せねば、ここに夜天の書をセットしてくれへん?」
レイの帽子が上下に開く。そこには機械的なブックスタンドがある。
はやては恐る恐るそこに夜天の書をセットする。
「解析開始! ガンバレ、ガンバレ、ガンバレ、ガンバレ、ガンバレ、ガンバレ、ガンバレ」
レイからカタカタと機械音がする。
レイの口からパーフェクトと書かれた紙が吐き出されていく。
「チャンスターイム!」
アフームはその紙を箸で掴もうとする。
「ていっ! やあっ! とうっ!」
((((((何をしているんだろう……))))))
「せいやぁ!」
アフームが紙を掴むことに成功する。
「オメデトウゴザイマス、3メートル60センチデス」
「こんなものかの」
レシートの様に紙が切り取られる。
アフームはその紙をじっと眺めている。
「どうやら、レイの予想通りのようじゃな」
「正しく、これなら直すのは容易や」
いつの間にか戻っているレイ。
その手には夜天の書が握られている。
「さて、修復プログラムを用意するとするか」
そういうとレイは複数の液体の入った瓶とシェーカーを用意する。
レイは鮮やかな手つきで、液体をシェーカーに入れ混ぜ合わせる。
そしてグラスに液体を注ぐと、リインフォースの前に差し出す。
「修復プログラム、セイント・ルチアです」
「「「「「「酒じゃんッ!!!」」」」」」
総ツッコミが入る。
リインフォースは困惑している。
「え? え?」
レイは笑顔のままバーカウンターに立っている。
「え?」
リインフォースの困惑は続く、その時だった。
「早よ飲めや!」
レイがグラスの中身をリインフォースにぶちまける。
「「「「「「ええーっ!?!?!?」」」」」」
「飲めや! 俺の酒を飲めや!」
「飲まんか! レイの酒が飲めんというか!」
レイとアフームが瓶の中身をリインフォースにぶちまけていく。
「「「「「「何してんの!?」」」」」」
「ふざけるな!」
「「ぎゃああああああ!」」
リインフォースが魔力を放出し、2人を引きはがす。
「全く、こんなもので治るはずが……」
次の瞬間、リインフォースの体が光に包まれる。
「な、何や!?」
「プログラムが無事に発動したようやな」
はやては驚愕する。
光が晴れるとそこには、巨大な銀色の鳥がいた。
「「「「「「巨大な鳥になったー!!!」」」」」」
巨大な鳥は一つ大きくいななくと、卵を一つ生んだ。
「「「「「「卵産んだ!」」」」」」
「おめでとう……、無事に生まれてきてくれて……」
「主はやて!? 何を言っているのですか!? ここはツッコむところでは!?」
シグナムがはやてに詰め寄る。
「うるへー、ワシの勝手じゃボケ」
「「「「「「主(はやて)がグレた!」」」」」」
八神家の面々は揃って困惑する。
現在、はやては度重なる超展開についていけず、本能が理性を打ち負かしてしまったのだ。
「はやて、気をしっかり!」
「はやてちゃん!」
「主はやて!」
「はやて!」
「姉君!」
「はっ、うちは一体何を」
はやてが正気に立ち返る。
すると巨大な鳥は天高く飛び去って行った。
「えっ、ちょっ、どこ行くん!?」
そして鳥は空中で大爆発を起こすのであった。
「「「「「「自爆したーーー!!!」」」」」」
「そう言えば卵は!?」
はやての言葉に気付いた皆が卵の方を見ると。
「「温泉卵♪ 温泉卵♪」」
レイとアフームが卵を茹でている。
「「「「「「何してんの!?」」」」」」
すると卵に罅が入る。
「熱ーーー!!!」
中からリインフォースが殻を突き破って出てくる
「「「「「「リインフォース出てきたーーー!!!」」」」」」
「はあ、はあ、熱い!」
「気分はどうや? プログラムに不備はあるか?」
「それは……、無い、完全に消えている」
「……大成功や」
歓声が上がる。
はやてが涙を流しながらリインフォースに抱き着く。
「……これでええ」
レイが満足そうに。静かに呟く。
闇の書をめぐる戦いはここに終わりを迎えたのであった。
「そういえば、あのプログラム? は一体何だったんだ?」
クロノがレイに質問する。
「ああ、あれは融合機の機能を取り換えるプログラムや」
「あんな大掛かりな事をしといてそれだけなのか!?」
「何を言うか、厳正なるシミュレーションの結果導きだした答えや。プログラム改鋳によって変質した融合機機能を正常なものと取り換え、変質した機能を安全に破棄する。そこまでやって初めて安心できるもんや」
「じゃあ、最後の自爆は」
「変質した融合機機能を破壊したんや」
「……君には参るよ」
「そらどうも」
その日の夜、クリスマス商戦を乗り切った翠屋でささやかなパーティが行われていた。
高町家、月村家、バニングス家、金剛=ダイヤモンド家に加え、今年はテスタロッサ家、ハラオウン家、八神家も参加している。
「いい国を作りとう御座りまする~」
「「「「「ヘイ! 1192 1192 鎌倉幕府! 1192 作ろう鎌倉幕府!」」」」」
((((((夜なのにこのテンション……))))))
レイ、アフーム、ユーノ、アリア、アウラの5人がハードロック調の何やらよくわからない歌を歌っている。
本人たちは余興のつもりかもしれないが。
「なあ、レイくんたちっていつもこうなん?」
「残念なことに、いつもこうよ」
「うわあ、大変やなあ」
はやてとアリサが天を仰ぐ。
やがて曲が終わる。
「えー、闇の書事件解決を祝っての記念ソング『ばくふ』。いかがでしたでしょうか」
「「「「「「これ事件解決を祝ってたの!?」」」」」」
「続いてはクリスマスにふさわしい曲を。キング・クリムゾンで『Discipline』」
「「「「「「クリスマスと全然関係ない!」」」」」」
「みんな、キング・クリムゾン聞こうぜ! ちくわと一緒に!」
「クリスマスと言ったらちくわじゃ」
「「ちくわー、ちくわー」」
((((((どうしようこのカオス))))))
レイ達はちくわをもってはしゃいでいる。
その有様についていけないなのは達。
そんな中、レイがはやてに近づいていく。
「楽しんどるか?」
「おかげさまで」
「俺らのテンションが邪魔しとるんやないかと思って心配したけど、その様では大丈夫そうやな」
「わかっとるんやったら、やめたら?」
「それが出来んのが我々
「え? 何?」
レイの発言に誰もが興味津々になる。
「さあ! 今回紹介するのはこちら! 電動エアロバイク!」
「「「「「「ジャパネット!?」」」」」」
「このエアロバイク、漕がなくても勝手に動いてくれる優れもの。弱った足でも大丈夫!」
「これは助かるわ」
「試しに乗ってみ?」
レイに促され、はやてはシグナムの助けを借りてバイクに乗る。
「おお、これはええな。これで足のリハビリになりそうや」
「これからの時期、寒くなっていくから、上着も用意したで」
そういってレイが用意したのは特攻服である。
「「「「「「何で!?」」」」」」
「気合を入れるためのハチマキも用意したぞ」
そういってアフームが用意したのは天下布武と書かれたハチマキである。
「「「「「「何そのセンス!?」」」」」」
「後このエアロバイク、音楽鳴んねん。ポチッとな」
レイがボタンを押すと、嶋大輔の『男の勲章』が流れ出す。
「「「「「「明らかに意図的だろこれ!」」」」」」
「そして旗を指して……、完成!」
見事にレディースと化したはやてが誕生したのだった。
「姐御! サトミの敵を取って下せえ!」
「誰が姐御や! サトミって誰!?」
「ナイスツッコミじゃ、これなら世界を狙えるぞ」
「世界で誰と戦うん!?」
その様子にヴィータが噴き出す。
それをシグナムがたしなめる。
「ヴィータ失礼だぞ」
「すまねえ、でもよ、こうやって笑い合える日が来るって、思ってたか?」
「いや、正直ここまでたくさんの人に囲まれることすら予想できなかった」
「だろ? 感謝しないとな」
「ああ、彼らには感謝しかないな」
レイとアフームのボケにツッコむはやて。
その身を案じるリインフォースとあすか。
誰もが、闇の書事件が平穏無事に解決したのだと思った。
夜は更けていく。
もうすぐ新しい年がやってこようとしていた。
第1部完!
いやあ、長かった。
ここまで続けられたのも読者の皆さんのおかげです。
本当にありがとうございます。
次回より第2部が始まります。
第2部は10歳から12歳までの期間の出来事を書いていきます。
乞うご期待!