魔法神話 レイ&アフーム ~もしもリリなの世界にハジケた奴らと邪神が絡んできたら~   作:ショーン=フレッチャー

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 前回のあらすじ
 キング・クリムゾンとファイブスター物語、それと便座カバー。


第2話 計測

「さっぱりわからん」

 

 シグナムが呟く。

 

「シグナム、何が分からないの?」

 

 シャマルがシグナムに問いかける。

 

「金剛=ダイヤモンドの強さだ。奴の強さが今ひとつわからんのだ」

「そうなの? あの子もはやてちゃんと肩を並べて戦えるほどの強さがあると思うけど」

「それは間違いないだろう。リインフォースが放ったスターライトブレイカーを凌いだだけでも評価は出来る。問題は攻撃面だ」

「どういうことだよ」

 

 ヴィータが話に入ってくる。

 

「奴の本気の攻撃というものはどれだけの威力があるのか、それが解らんのだ」

「つまり、防御は分かるが攻撃の強さが分かんねえ、ってことか?」

「ああ、防御面でのしぶとさは本気の闇の書を相手にしても生身で凌げるほどだ。恐ろしい防御力と回避力だ。私も攻撃を当てられるかわからん。いや、当てたとしてもそれで仕留められるとは思えない」

「シグナムがそんなこと言うなんて珍しいな」

「何かわかりやすい指標でもあればいいのだが」

「ほんなら、明日俺が聞いてこようか?」

 

 あすかが話に入ってくる。

 

「俺とレイは同じクラスやし、何か記録を残してあるかもしれん。明日それとなく聞いてみてみるわ」

 

 

 

 

 

「考えてみれば、そんなものは取ったことが無いかもしれん」

 

 翌日、早速あすかはレイに質問した。

 しかしその回答はにべもないものだった。

 

「公的な記録としてはPT事件のときの模擬戦があるが、ただゴボウでしばきあっただけやし」

「ゴボウでしばきあいって何や」

「となると、公的に俺の能力を測ったことがないから、わからんな」

「そうか……」

 

 あすかは目に見えて落ち込む。

 折角目の前の強者の一端に触れることが出来そうというのに、それが叶わなかったのである。

 

「だったらさ、測ってもらったら?」

 

 アリシアが話に入ってくる。

 

「レイとアフームの強さを管理局的に測ってもらうの。なんか、リンディさんが言ってたけど、管理局ではレイの事舐めてかかっている連中が多いらしいよ」

「ほほう、それはいいことを聞きましたな」

 

 レイが悪い顔をする。

 

「レ、レイ?」

「つまり向こうさんは俺を取るに足らんガキと思うとるんやな。そうかそうか、そんなら舐めた口聞けん様にしてやりましょ」

「うわあ、相当悪い顔してる。レイ、これ外交と関係あったりする系?」

「モチのロンや。それに舐められっぱなしは、性に合わん。何が何でも、向こうさんをぎゃふんと言わしたる」

 

 あすかは後悔し始めていた。

 もしかしたら自分はとんでもないことを言ってしまったのではないのだろうか。

 これが地球と管理局との外交にどう影響を及ぼすのか、あすかには想像もつかなかった。

 

 

 

 

 

「準備はいいかしら?」

「いつでもええですよ」

「こちらは準備万端じゃ」

 

 管理局本局で用意された試験場ではレイとアフームが開始を今か今かと待っている。

 リンディがマイクを取りながら計器モニターを眺めている。

 モニタールームではなのは達だけではなく、管理局の高官たちも来ていた。

 今回の試験が外交に与える影響というものがどれだけのものか、あすかは肌で感じ取っていた。

 

「これの結果次第で、外交関係が変わるんかな」

 

 あすかが呟く。

 

「少なくとも、レイ個人に向けられる感情は変わるんじゃないかしら。これだけの実績と強さがある。それは大きなカードになりうるわ」

 

 アリサが答える。

 

「それに、強さだけじゃなくて頭の良さも伝わるかもね。そうしたら、管理局としてはレイくんを無碍にできなくなるかも」

「そうしたら、どうなるの?」

 

 なのはが疑問を呈する。

 

「地球と管理局の関係が良くなるのか、悪くなるのかは外交関係者次第だけど、管理局が地球を舐めなくなるのは確実ね」

「そろそろ始めます。よろしいですか」

「「いいですとも」」

 

 レイとアフームが返事をする。

 

「今回計測するのは、地上機動力、空中機動力、攻撃力の3つ、それに加え、実際に模擬戦を行ってもらいます。よろしいですね」

「「いいですとも」」

「それでは地上機動力の測定を行います。よろしいですね」

「「いいですとも」」

「……森田一義アワーじゃないんだから」

「「あはははははは」」

 

 抑揚のない声で笑うレイとアフーム。

 その様子に管理局の高官たちは眉をひそめる。

 その中に第6地上本部長モーリーン・クロフォードがいた。

 

(さあ、見せてもらうよ。そのハジケ力)

 

 モーリーンは密かに期待していた。

 彼らのハジケ力がどれだけのものかを生でよく知ることが出来るのだ。

 2人の計測が行われていると聞いていの一番に見学を申し出たのがモーリーンだ。

 

「それでは、始め!」

 

 リンディの掛け声と共に数多の魔力弾がレイとアフームに襲いかかる。

 レイとアフームの顔に焦りはない。

 いつも通り避けていくだけである。

 最小限のステップで弾幕を躱していく。

 おおっ、とどこからか歓声が上がる。

 

「相変わらずすごいよね、レイとアフームの回避力は」

 

 フェイトが思わず口に出す。

 

「そうね、あの子たちの回避力は次元世界でも屈指のものじゃないかしら」

 

 プレシアがフェイトに答える。

 

「なんでも、弾幕ごっこという競技で鍛えたそうで、弾幕の回避には一家言あるそうです」

 

 リニスが話に入ってくる。

 そうしている間にも、レイとアフームは魔力弾を回避しながら前進していく。

 前後左右に細かく動きながら確実に前進する様は最早芸術地言っても過言ではなかった。

 

(何だい、ただ回避が上手いだけじゃないか、全くハジケていない)

 

 モーリーンはがっかりした。

 目の前の2人が何かをやらかしてくれるのではないかと期待していたのだが、結果はこの有様である。

 仕方なくモニターを眺め続けていると、それは突然起こった。

 

「It’s show time!」

 

 レイが突然叫んだのである。

 その瞬間、モニターが変化し、音楽が流れ始めた。

 軽快なユーロビートに上下左右の矢印が流れてくるモニター。

 背景は極彩色で彩られ、その中でレイとアフームがステップを踏んでいる。

 ステップを踏むたび、流れてくる矢印が点滅する。

 

「「「「「「これダンレボだ!」」」」」」

 

思わずなのは達がツッコむ。

管理局の高官たちもざわざわし始める。

 

(まさかモニターを変化させちまうとは、予想外だよ)

 

モーリーンは密かに喝采を送った。

 

「わあ、これは予想外です。変化するのがモニターの方だなんて」

 

 ニオが感嘆の声を上げる。

 やがて試験が終了すると同時に、音楽が終わる。

 

 被弾率 0%

 ステップ成功率 100%

 得点 47

 

「「「「「「少なっ! そして微妙な数!」」」」」」

「やったー47点やー!」

「最高記録更新じゃー!」

「「「「「「これで喜ぶの!?」」」」」」

 

 この状況に顔を引きつらせるリンディ、しかし、すぐに平静を取り戻す。

 

「……10分間の休憩の後、空中機動力の測定に入ります。よろしいですね」

「「いいですとも」」

「「「「「「もういいから!」」」」」」

 

 

 

 

「それでは空中機動力の測定に入ります。よろしいですね」

「「はい」」

((((((あっ、普通に返事した))))))

 

 そういうとレイとアフームは帽子からプロペラを生やし、空中に浮き始める。

 

「それでは、始め!」

 

 リンディの掛け声と同時に、再び魔力弾がレイとアフームに襲い掛かる。

 しかし、その躱し様は、余裕すら見受けられる。

 隙あらばグレイズを狙うほどだ。

 

「相変わらず余裕ありまくりやな」

 

 はやてが呟く。

 

「私のブラッディダガーを簡単に避け切る程です。あの程度の弾幕では話にならないかと」

 

 リインフォースが答える。

 

「普通の管理局員なら、被弾していてもおかしくない、誘導弾すら避け切るのは至難の業だと言えよう」

 

 ザフィーラが感心する。

 

「じゃあ、2人が普段やっている弾幕ごっこってどれくらいなん?」

「私が実際に喰らった弾幕は、ようやっと人1人分の隙間を避け切るようなそんな密度の弾幕を無数に撃つものでした」

「えっ、それヤバない?」

 

 リインフォースの発言に驚愕するはやて。

 

「ええ、私は避け切ることが出来ませんした」

「うち対抗できるやろか、ていうか、クロスレンジもロングレンジも行けるレイくんとアフームちゃんって、ヤバい?」

「はやての言う通りヤバいよ」

 

 ヴィータが話に入ってくる。

 

「映像見たけどさ、アイツらどの距離でも隙がねーもん。あいつらの攻略法は絶対に自分の得意な距離を保ち続けること。それ以外に攻略できる方法が見当たらねーよ」

「うちの場合、距離詰められたらおしまいやしな。ていうか、あの2人を近づけさせないようにする自身があらへん」

「俺の場合もそうやな、アウトレンジから一方的に撃ち込まれたら詰む。あいつらはそれが出来る」

 

 あすかもレイとアフームを強敵として認識していた。

 いや、彼らのことをよく知る立場の者たちはいずれもレイとアフームを強敵として認識しているだろう。

 そうこうしているうちに、レイとアフームは飛行機に変形していた。

 

「「「「「「飛行機になってる!?」」」」」」

 

 カクカクと右へ左へ上へ下へ直線移動しながら弾幕を避けまくる2人。

 

「「「「「「有り得ない機動してる!?」」」」」」

(ほう、変形もこなすとは、なかなかのハジケ具合じゃないか)

 

 モーリーンはこの結果に満足していた。

 短時間にツッコミを何度も生ませる2人のハジケ力に感嘆していた。

 やがて試験が終わる。

 2機の飛行機は静かに着陸すると、その姿を元の姿に戻す。

 

「それでは、10分後に攻撃力測定に入ります。よろしいですね」

「「イエスマム」」

 

 

 

 

 

「それでは、攻撃力の測定に入ります。よろしいですね」

「「いつでも、どうぞ」」

 

 レイとアフームの目の前には直径1メートル、高さ3メートルのコンクリート円柱がそれぞれでんと置かれている。

 

「目の前のコンクリート柱に最大威力の攻撃をぶつけてください」

「「了解」」

 

 レイとアフームはそれぞれ用意されたコンクリート柱の前に立つ。

 

「妾からでええかの?」

「どうぞ」

 

 先に披露するのはアフームだ。

 

「最大威力、最大威力、のう」

 

 アフームは少し思案すると、閃いたように指を立てる。

 

「炎の精、雷の精、氷の精、風の精、水の精、土の精。我が声に応え、猛り狂え」

 

 アフームが精霊の名前を唱えるたび、マゼンタ、イエロー、シアン、グリーン、ブルー、レッドのエネルギー体がアフームの周囲に現れ、回転を始める。

 やがて、エネルギー体は一つに纏まり、虹色と銀色ともつかぬ不思議な光を放つエネルギー体と化す。

 

「六元精符『エクストリームアフームちゃんスペシャル』!」

「「「「「「技名!?」」」」」」

 

 エネルギー体がアフームの手によって打ち出される。

 エネルギー体はコンクリート柱を飲み込み、跡形もなく消滅させる。

 それだけではない、後ろの床も数十メートルにわたってえぐられている。

 誰もが絶句した。

 その威力は魔導士ランクSランクオーバーと言っても過言ではなかったからだ。

 

(技名もハジケているが、威力もハジケていやがる)

 

 モーリーンは密かに喝采を送った。

 

「やはり古代ブリリアント術式だ。何故2人が古代の術式を」

 

 ユーノが呟く。

 

「私にはわかりかねます。予測はいくらでも立てられますが」

 

 ソフィアがユーノの疑問に答える。

 

「問題はどうやって純粋な術式を保ち続けられてきたかなんだよ。いくら伝統を大事にするとは言っても、何らかの変化があって然るべきなんだ」

「それは、本人に確かめるべきでは?」

「多分知らないと思う。レイの両親に聞いてみたいところだけど」

 

画面の中ではレイが涼しい顔をしている。

 

「さて、どないしましょ。同じ事は出来るが、それでは芸がない。ふむ、少し意匠を凝らしてみますか」

 

 そういうと、レイは呪文を唱え始める。

 

「炎の精、雷の精、氷の精、風の精、水の精、土の精。我が声と血に応え、猛り狂え」

 

 アフームのときと同じようにエネルギー体がレイの周囲に現れ、回転を始める。

 レイは六尺ほどの長さにした六角如意金剛棒を掲げ、エネルギーの渦を纏わせる。

 

「六元精符『エレメンタルチェーンソー男の13日の金曜日』!」

 

 レイが棒を振り回す。

 エネルギー体を纏った棒がコンクリート柱に接触する度、豆腐の様にコンクリート柱は切り裂かれていく。

 レイが、ひとしきり棒を振り終えたころには、コンクリート柱はその面影を無くしていた。

 再び誰もが絶句する。

 

(あの子はさっきと同じことが出来るといったね。全く末恐ろしいよ)

 

 モーリーンは冷や汗をかいた。

 

「……攻撃力測定を終わります。30分後に模擬戦を行います」

 

 リンディはかろうじて声を出す。

 この状況を生み出した元凶2人は、早速くつろぐのだった。




 第3部が少しづつ形になり始めている今日この頃、如何お過ごしですか?
 実はまだ第2部は書き終わっていません。
 結構な分量になるのは間違いなく、同様に、情報量も相当濃いと思われます。
 実は最近執筆意欲が失われつつあります。
 皆さんの応援が私の力になるので、感想や評価をお願いします。
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