魔法神話 レイ&アフーム ~もしもリリなの世界にハジケた奴らと邪神が絡んできたら~ 作:ショーン=フレッチャー
バブル崩壊! 氷河期到来!
プレシアは、ニオが運転する車内でここに至るまでの経緯を思い返していた。
このブリリアント行きは元々、レイとアフームのキング・オブ・ハジケリスト挑戦と外交訪問が目的だった。
しかし、第6地上本部長モーリーン・クロフォードがレイに友達を呼んでバカンスを過ごしてもいい、と声をかけたため、こうしてなのは達もブリリアントに来ることが出来たのである。
プレシアは彼女たちの引率としてついてきているのだ。
元々道理の分からぬ子たちではない、それ故、引率は楽なのだが、場所が問題なのである。
レイのおかげで健康を取り戻したプレシアであったが、この旅で別の健康問題を抱えることになるのではないかと、心配になるのであった。
「見えてきました、あれが第6地上本部です」
ニオがそういうと、目の前に巨大なビル群が現れる。
「あれが……」
レイが呟く。
「到着したら、金剛=ダイヤモンドさんは本部長以下幹部の皆さんと面会していただきます。他の皆さんは別室で待機していただきます」
この旅の目的は、地球と第6次元文化圏との外交が第一である。
レイは丹田に力を籠める。
「レイ、今から力を籠めてどうする。リラックスじゃ、リラックス」
「ああ、せやな」
プレシアは一応安心した。
レイが年相応に緊張しているのを見たからだ。
(そういえば、レイくんって筆頭外交官なのよね)
プレシアは年不相応な彼の役目に、彼の気苦労を慮った。
当のレイの顔はヒョウタンツギみたいになっていた。
(……どういう感情なのかしら)
第6地上本部大会議室では、幹部が勢揃いしていた。
その中心にはモーリーンがいる。
ドアがノックされる。
ニオと共にレイが入室する
「金剛=ダイヤモンド様が到着なされました」
「久しぶりだねえ。調子はどうだい」
モーリーンは何の気なしにレイに声をかける。
「ええもう、調子が良すぎて怖いくらいですわ」
レイが微笑む。
「本日はお時間を作っていただき誠に有難く存じ上げます。こちらが
レイが手元の書類をモーリーンに送る。
モーリーンが中身を改める。
緊迫した空気が室内を覆う。
やがて、モーリーンが顔を上げる。
「見事だね、その手腕。こちらの要求もそちらの要求も無理なく叶えようとした結果だろう? そうさね、こういうのをあたしたちは求めていたのさ。いいとも、これで調印しよう。進めてくれよ」
「はい、有難うございます」
レイは頭を下げる。
「あまり御客人を待たせるもんじゃないからね、やることはさっさと終わらせるよ。さて、次はお前さんのキング・オブ・ハジケリスト挑戦についての話だったね」
レイの態度が引き締まる。
レイだけではない、幹部全員がそれを待っていたかのように目の色を変える。
「まずはその実力をこいつらの前で見せてくれないか? そうさね、テーマは『墓参り』だ」
「わかりました」
そう言うと、レイは静かに目を閉じる。
真夏の昼の墓場というものは人がいないものである。
その中に人影が一つ、レイだ。
レイがある墓の前に立ち止まる。
レイが墓に手を合わせる。
そして手提げカバンからうどんとめんつゆを取り出す。
レイはうどんを墓にぶちまけると、更にめんつゆを上からかけていく。
『うどんそなえて 母よ 私もいただきまする 種田山頭火』
レイは散らばったうどんを必死の形相で口に入れていく。
遠くでセミの声がしていた。
「「「「「「ぐはっ!!!」」」」」」
モーリーンを含む幹部全員が吐血する。
「大したハジケ力だ……」
「これは合格だな……」
幹部たちは早々にレイの実力を認め始めていた。
「どうだい、挑戦を認めてもいいじゃないかと思うんだけどねえ」
モーリーンが幹部たちに問いかける。
「「「「「「異議なし!」」」」」」
「ということだ、お前さんの出自は全員知ってる。その上でだ、お前さんにキング・オブ・ハジケリスト挑戦を認めようじゃないか」
「有難うございます。光栄です」
「なあに、あたしたちはただ優秀な
モーリーンはにっと笑みを浮かべる。
レイも微笑みで返すのだった。
「それでは皆さん、こちらがヘキサグラム宮殿になります」
案内人に連れられ案内されたのは、ニュートラル王朝の宮殿、ヘキサグラム宮殿である。
レイ達はここに観光に来ていた。
そして、同時にここでユーノと合流することになっていた。
ユーノは現在ヘキサグラム宮殿で仕事をしているのだ。
「みんな!」
「「「「「「ユーノ(君)!」」」」」」
一向に気付いたユーノが駆け寄ってくる。
「お仕事はいいの?」
なのはの質問にユーノは答える。
「ああ、もう僕の出番は終わりかな。後は現場の皆さんにお任せってところかな。僕もレイの手伝いが出来そうだよ」
「ここで一体何の仕事をしていたの?」
フェイトがユーノに質問する。
「宮殿の隠し通路の発掘さ。文献を漁っていたら、隠し通路らしきものを見つけたんでね」
「「「「「「隠し通路」」」」」」
「うん、何に使われていたのか、何の目的があったのか、これだけで十分論文が掛けそうだよ」
「着々と成果を上げているのね」
プレシアがユーノを羨む。
彼女もまた学者なれば、論文の重要性は十分理解している。
「ええ、今のところはこの発見だけでも論文を書いてしまおうと思います。そのためにもバカンスに参加させてもらおうかな」
「大歓迎やで、ここんところ働き詰めやったんやろ? 一息入れるんも大事やで」
全員がレイの言葉に頷く。
「それじゃあ、お言葉に甘えて」
ユーノも加わり、ヘキサグラム宮殿観光を続ける。
「この宮殿はニュートラル王家の居城だけでなく、神殿としても使われていたんだ」
ユーノが宮殿についての蘊蓄を語る。
「この建築様式は世界でも珍しい、第6次元文化圏だけの様式でね、蜘蛛の巣状の廊下に中央には360度回転する玉座と正六角形状に宮殿が構成されているんだ」
「それはまた珍しいどころか、独特やな」
ユーノの蘊蓄に話を合わせるはレイばかりで、他の面々はただただ驚くばかりであった。
壁に架けられた絵画や彫刻、独特な意匠に見とれていた。
「こうしてみると、本当に不思議な空間。昔の宮殿ってどんな感じだったのかな」
アリシアが太古の宮殿に思いを馳せる。
「それはきっと大賑わいだったと思うよ。ニュートラル王家は他の王家に比べて鷹揚だったと聞くし、代々高名な
「
「そうじゃな、ここは生活の場だけでなく、祈りの場でもある。その観点から見ても、本当に素晴らしいと思うぞ」
すっかりただの観光客と化したレイとアフーム、その様子にみんなはこう思うのだった。
((((((いつもこうならいいのに))))))
「でも、こうしてみると、ハジケの中心地ってわりにハジケた作品が少ないような気がするなあ」
はやてが勘づく。
「ああ、そっち系の作品は隣の美術館に収容されてるよ。後で見に行こうか」
((((((あるんだ……))))))
なのは達は察した。
絶対ツッコミ疲れするだろうってことを。
ニュートラル・ハジケ美術館。
ここは、王宮に所蔵されていた美術品を中心に展示してある、第6次元文化圏最大の美術館である。
なのは達はここに足を運んでいた。
「これがかの有名な『シャイニングキノコ狩り』だよ」
「「「「「「無駄に神々しい……」」」」」」
王族がキノコ狩りをする様子を画いた名作なのだが、如何せん無駄に精密な筆致でキノコ狩りをかいているものだからシュールな印象を受ける。
(『不快になるダルマ』……?)
なのはが見つけたのは『不快になるダルマ』という作品である。
「祈願」
(想像以上に不快なの……)
無駄にダンディーなダルマになのはは微妙な気持ちになる。
「ん? 犬?」
ヴィータが見つけたのは『犬?』という作品である。
「注意書きがあるな、何々、こちらは犬だと思われますがこちらでは判断が尽きません。お客様の目で判断してください、だって?」
ヴィータはその作品を見る。
「どう見ても木じゃねえか……」
それは木製の犬っぽい何かだった。
「ちゃんと四つ足と耳があるのが腹立つ」
「ベニヤです」
「喋った!?」
フェイトが眺めているのは『部屋片づけなさい』という彫刻だった。
掃除機を持つ母親と、ひっくり返る息子という構図の彫刻だ。
「もっといいモチーフはなかったのかな……」
フェイトは無駄に肉感のある彫刻に困惑していた。
「ほう、『剣術指南』か」
シグナムが見つけた絵は剣術の様子を画いた絵である。
しかしその絵の剣術は尻に剣を挟むという異様なものだった。
「何故尻に挟む……」
アリシアが見つけた彫刻は『DOGEZA』というタイトルである。
その彫刻は均整の取れた男が全裸で土下座をしているというものであった。
「うわあ、無駄に美しい。妙にかっこいいのが腹立つ」
すずかが眺めているのは『雪の女王』という絵だ。
しかし描かれているのは雪中でカーニバル衣装に身を包む女の絵だ。
「タイトルと内容が一致してない……」
アリサが見つけたのは白と黒のコントラストのみで描かれたモダンアートのような作品だった。
「こんな真面目な作品もあるのね。ん、この作品は1分ごとにライトアップします、ですって。印象でも変わるのかしら」
やがてライトアップする。
すると、黒だと思っていたのは忍者だった。
「うわあ、台無し……」
シャマルが見ている絵は『麻酔』という絵である。
しかし、内容は寝ている患者に機銃掃射しているものであった。
「何で、患者に機銃掃射してるのかしら……」
はやてが見つけた彫刻は『腹ちねり』というものである。
腹をちねる男とちねられている男の彫刻だ。
「何のためにこれを作ったん……」
ザフィーラが見ているのは『ボグリングの獣』という絵である。
過去にボグリング地方を荒らしまわった獣の絵だという。
「なぜこんなにファンシーに描いたのだ……」
その絵は子供向けかと思うほどファンシーだった。
あすかが見つけたのは『剣聖』という彫刻だ。
「何故下半身が出ているんや……?」
何故か、その像は豪奢な上半身とは逆に下半身は一切何も身に着けていなかった。
「これは、『母子像』ねえ」
プレシアが見ている絵は『母子像』という絵である。
「いや、何人いるわけ!?」
何故か子供を抱える母親がたくさん描かれている。
非常に細かいため、後ろの方に至ってはほとんど何も見えない。
「『夜天の騎士たち』……か」
リインフォースが見つけた絵はヴォルケンリッターを描いたものである。
「一人多くないか……?」
1人余計な、仮面にローブ姿の人物が描かれている。
「『姉弟』ですか」
エストが見ているのは2人の人物の彫刻である。
「何故ジョジョ立ち何でしょう……。擬音も彫ってあるし」
その彫刻はなぜかジョジョ立ちだった。
「……ほう」
レイとアフームは巨大な絵の前で立ちすくんでいる。
やがて、みんなが先に進んだのを気付いたのか、慌てて追いかける。
その絵のタイトルは『新神の誕生』というタイトルだった。
あー書くことが無い。
あー執筆意欲が無い。
気怠さを感じる、そんな日々です。