魔法神話 レイ&アフーム ~もしもリリなの世界にハジケた奴らと邪神が絡んできたら~   作:ショーン=フレッチャー

51 / 74
 前回のあらすじ
 人間関係って、複雑ですねえ。


第2話 届かないメッセージ

「集めてはいけないってどういうことだ?」

 

 クロノはレイに問いかける。

 

「……いまIMSは来たるべき大事件に向けててんやわんや何や。そのハートストーンとやらとこの大事件に関わるあるアイテムが非常に酷似しとるんや。ええか、それを絶対に地球に近づけるんやないで。もし、それが本物なら、えらいことになる」

「えらいことって、お前がそんなに恐れるなんて珍しいな」

「恐れるも何も! 相手は神や。そのハートストーンとやらは神の心臓の可能性が高いんや」

「神って、ああ、地球の魔法は神の力でもあったな」

「左様。その神々の中で、恐るべき眠れる神が一時的に目覚めるタイミングがもうすぐやってくるんや。その対策準備で今IMSは大忙しなんや。もしも、ハートストーンが地球に持ち込まれたらと思うと、ああ、最悪や」

 

 クロノは頭を抱えるレイを見ても、今一つ実感がわかなかった。

 クロノにとって、いや、管理世界の住人にとって神とは存在しないものであり、魔法は技術なのだ。

 レイの様な、地球の様な神秘を基盤とした魔法体系とは根本的に異なるのである。

 

「その、神が目覚めると具体的にどうなるんだ?」

「……地球上のあらゆる生命の精神が狂う。そんな特殊な精神波が放たれる。精神が弱いものは一発で影響を受け、精神が錯乱して、あらぬ事件を起こす可能性がある」

「それは……」

「それが世界規模で起こるんや。一体何人が犠牲になるんやろなあ。ああ、恐ろしゅうて堪らんわ」

 

 レイは白目を剥き、舌を高速で出し入れしながらガタガタと震える。

 

「お前大丈夫か?」

「大丈夫に見えるか? 頼むからこれ以上俺の精神を破壊するような真似はやめてくれんか? ハートストーンは集めてもええから、地球には絶対に近づけん様に! これだけは確約してくれんか! 頼んます!」

「わ、わかった」

 

 クロノはレイのあまりの豹変ぶりに若干引いていた。

 レイが何をそんなに恐れているのかさっぱりわからなかったが、地球との関係を考えると、拒否は出来ないという結論に至った。

 

「艦長には話を通しておく。とにかくハートストーンを地球に近づけさせなければいいんだな」

「それでお願いします。こっちは地球文明存亡の危機なもんで」

「大袈裟じゃないのか」

「大袈裟なもんか! 前回の100年前の覚醒時には短時間とはいえ、それなりの被害が出たんや。今回の覚醒時間は相当長いことが予想される。そうなった場合、どれだけの影響が出て、被害が出ることか。最早地獄でしかないわ」

「そ、そうか、頑張ってくれ」

 

 クロノはそうとしか言えなかった。

 

 

 

 

 

「珍しいわね、レイくんがそこまで取り乱すなんて」

 

 リンディはクロノから報告を聞き、そう漏らした。

 

「ええ、本当に。予定通り派遣はするようですが、絶対にハートストーンを地球に近づけないようにと約束されてしまいました」

「そのあたりは問題ないわ、地球が関わることはないようですし、それに、地球上に乗り込む理由もないですしね」

 

 リンディはお茶を一口すする。

 

「あのう、相手は管理外世界なんですよね。なんでそこまで気を使わないといけないんですか?」

 

 ヴィクトリアが疑問の声を上げる。

 

「相手は将来管理局に入局してくれるであろう金の卵を管理しているんです。それに、彼はキング・オブ・ハジケリストでもあります。第6地上本部とは深い繋がりを持っています。更に一筋縄ではいかない敏腕外交官でもある。彼の機嫌を損ねるということは金の卵を割るということでもあるんです」

「それに、彼は優秀な科学者でもあります。既に魔法技術について深い理解を得ているでしょう。仮に敵に回った場合、相当な対策をされてしまうことは必至です。彼にはそれが出来るコネや組織力があります」

 

 クロノとリンディはレイを評し、ヴィクトリアに説明する。

 

「要するに相手はとんでもない能力と立場を持っているってことですね。うわあ、敵に回したくない」

「でしょう? だから要求を呑むのよ。別に要求を拒めば即戦争という訳ではないわ。でも彼との関係をこじらせるのは本意ではないのよ」

「わかりました」

 

 ヴィクトリアは事態を理解する。

 

「でもそれにしては、要求の理由が神って、科学者らしくないような気がするんですが」

「それは僕も彼らしくないと思いました。しかし、過去の事例があるようで、どうも根拠のない話ではないようなのです。それに今の彼はIMSの指示に従って動いているみたいなんです。巨大組織が与太話で動くとは到底思えません」

「私も同感です。彼は聡明な子です。彼が何を恐れているのか私達には想像もつきませんが、彼を安心させることで優秀な嘱託魔導士を派遣してくれるのであれば、無理のない範囲で要求を呑むくらいは出来ます」

 

 リンディは再びお茶を飲む。

 

「予定通り、嘱託魔導士が派遣されますので、後はユーノ君が文献を集めてくるのを待つだけですね」

「ええ、彼曰く、情報が散逸しているから纏めるのに時間がかかると言っていたが、どれくらいかかるんでしょうね」

「無限書庫の管制人格がついていますから、そうかからないとは思うのですが」

「だといいですね」

 

 ヴィクトリアも出されたお茶に口をつける。

 どうやら彼女の口に緑茶は合わなかったようだ。

 

 

 

 

 

 数日後、ユーノとソフィアが資料を纏めてアースラへと乗り込んできた。

 

「確認できたハートストーンの数は残り8つ。大体の位置は特定出来ました」

「これで全部なのか?」

「恐らくね」

 

 渡された資料を手にクロノはユーノに質問する。

 

「文献にあるハートストーンの数はここにある8つ。それと僕が見つけたものを含めて9個。現在所在が確認できるのは以上です」

「ご苦労様。それにしても、結構な数があるのね」

「ええ、調べてみて驚きました。意外と数があるんです」

「今まで見つからなかったことに驚きだな」

「全くだよ」

 

 リンディとクロノはその数の多さに舌を巻く。

 

「マーシュ二等空尉、かなり長期間の任務になりそうですが、よろしいですか?」

「はい、上司からの指令は受けていますので、大丈夫です」

 

 ヴィクトリアは問題ないと答える。

 

「それでは、ハートストーン回収任務を開始します。クロノ、レイくんにスケジュールの確認を」

「わかりました」

 

 そう言うとクロノは席を立つ。

 

「それにしても、レイは一体何を恐れているんだろう。これのどこが恐ろしいのか」

 

 ユーノは資料に映っているハートストーンを眺めてそう呟いた。

 

 

 

 

 

 2つ目のハートストーンの発掘を開始するということで、レイはアリサ、すずか、あすかを派遣した。

 レイの意図としては、この仕事内容如何でなのはの派遣を決めるつもりである。

 

「仕事内容は、ユーノ君の護衛、発掘作業の手伝いになります。業務中はユーノ君の指示に従ってください」

「「「はい」」」

 

 リンディの言葉にアリサ、すずか、あすかは返事をする。

 

「それじゃあよろしくね。作業中は無防備になりがちだから」

 

 ユーノの言葉に頷く3人。

そしてヴィクトリア、ソフィア含む6人は遺跡へと転移する。

遺跡は天日に晒され、赤茶けた土壁が乱立していた。

 

「この遺跡にあるんか」

 

 あすかが呟く。

 

「この遺跡のどこかに、だけどね。ある程度候補は絞られているから、一つずつ回っていこう」

「わかったわ、それにしても何だか頼りがいがあるわよ、今のユーノ」

 

 アリサがユーノを褒める。

 

「うん、なんだかインディ・ジョーンズ教授みたい」

 

 それに続くすずか。

 

「映画の主人公だよね、見たことあるよ」

 

 ユーノは満更でもない様子で、地図を見ながら目的のポイントを目指す。

 やがて目的のポイントにたどり着く。

 

「ここが第一ポイント。今から発掘するから一人手伝ってくれる?」

「んじゃあ俺がやるわ」

 

 あすかが名乗りを上げる。

 アリサとすずかは周辺警戒だ。

 ユーノがレーダーを頼りにロストロギアの波動をチェックしていく。

 

「この真下だ」

 

 ユーノが場所を特定したので、二人で発掘していく。

 瓦礫をどかし、土を掘っていく。

 

「結構体力使うな、コレ。疲れるわ」

 

 想像以上の肉体労働にあすかは音を上げる。

 

「まだまだこんなもんじゃないよ。まだあと2か所残っているからね。今日中に全部回るよ」

「うへえ」

 

 そういうユーノの顔は涼しげである。

 

「ほんと、インディ・ジョーンズだね」

「本業が出来て生き生きしてるわね」

 

 すずかとアリサが呟きながら周辺を警戒する。

 しかし、周辺に生き物の気配はない。

 やがて、目的のものにぶつかる。

 ユーノが丁寧にそれを掘り出していく。

 残念ながらそれはハートストーンではなかった。

 

「残念」

「とりあえず次に行こうか」

「その前に休憩させてくれんか。疲れたわ」

「あすか、このくらいで音を上げてもらっては困るよ。まだ2か所残っているんだよ」

「そう言われてもな……」

「そうか、君はレディに肉体労働させるような鬼畜ゴミクズ野郎なんだね」

「そこまで言われる必要あるんか!? 俺!?」

「そんなあすかには僕特性のドリンクで疲労回復してもらおう。市販の栄養ドリンクにもずく酢、青汁、もぎ(ピー)てぅをたくさん入れた疲労回復に効果ばっちりのね!」

「ちょっと待て! 何入れたお前!? もぎ(ピー)てぅって何や!?」

「つべこべ言わずに飲めや! オラ!」

 

 ユーノはあすかの口に無理矢理ドリンクを流し込んでいく。

 抵抗できず、飲んでしまったあすかの体が発光していく。

 

「「「何!? 何が起こるの!?」」」

「うわああああああ!?」

 

 発光が収まると、あすかの体はまるでデビルマンの様になっていた。

 

「「「きゃああああああ!」」」

「何!? 何が起こってるの!? 俺の体!?」

「さて、次のチェックポイントに向かうとしますか」

「ねえユーノ? 俺は一体どうなっているのかな?」

「進化したのさ」

 

 かっこつけて言うユーノ。

 

「こんな進化したくないわ!」

「でも疲労はとれたでしょ」

「取れたけどさあ! 力も湧いてきてるけどさあ!」

「さあ、次のポイントへレッツゴー!」

「待て! 俺の体をどうにかしろ!」

 

 あすかの体は3か所目でハートストーンが発掘されると同時に元に戻りました。

 

 

 

 

 

 真っ暗な空間に突如としてスポットライトが焚かれる。

 照らされているのはレイだ。

 周りは暗くてよく見えないが、すり鉢状の会議場になっているようである。

 レイはすり鉢の底、議場の中央にいるようである。

 

「管理局が、Cの心臓を発見、回収するようだな」

「はい、決して地球に近づけさせないよう確約させました」

「頼むぞ、もし仮に本物だった場合、それを連中がかぎつけた場合、恐ろしいことになる」

「解っています。不安材料は悉く排除していきます」

 

 中年男性の質問にレイはすらすらと答えていく。

 続いて女性の声がする。

 

「この件で管理局と対立する可能性はありますか?」

「……管理局がCの心臓を全て集めようとしなければ、対立することはないでしょう」

「その可能性は?」

「……限りなく低いと言わざるを得ません。もし、Cの心臓があることが分かれば確実に彼らは回収に移るでしょう」

「交渉でどうにかできませんか?」

「出来る限りのことは致します。ですがあまり期待しないでいただきたい」

 

 レイは苦々しく回答する。

 別の男性の声がする

 

「管理局との交渉は貴殿に一任している。我々は来るべきCの復活に向けて対策をしている最中だ。努々気を抜かん様に」

「解っております」

「……ところで、貴殿が保護しているAZについてだが、彼女と彼女の母親達の協力は得られそうか?」

「問題なく、昨年より交渉を続け、色よい返事を貰っています」

「彼女たちの現在の状態は?」

「未だ本来の実力の2割しか戻っていません。急いでも当日までに戻るとすれば3割が限度かと」

「それでどれだけのことが出来る」

「都市一つの破壊であれば十分かと」

「それでCは殺せるか?」

「……分かりません」

「そうか、彼女たちは現在幻想郷だったな」

「ええ、そちらで力を取り戻すまで生活してもらっています」

「当日の件は賢者たちと話はついているな?」

「勿論です」

「それならば良し。当日の段取りについては貴殿に一任しよう」

「畏まりました」

 

 レイが頭を下げる。

 それと同時にスポットライトが消される。

 闇と静寂が空間を支配した。




 どうやらレイくんは暗躍を始めたようです。
 具体的に何をするのかは追々。
 彼の思惑とは裏腹に事態は進行していきます。
 それから、もぎ(ピー)てぅは美容と健康にいいので皆さんぜひとも摂取してください。
 私も毎日飲んでいます。
 おかげで第3章が完結しました。
 ……それでも体調を崩すんですけどね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。