魔法神話 レイ&アフーム ~もしもリリなの世界にハジケた奴らと邪神が絡んできたら~   作:ショーン=フレッチャー

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 前回のあらすじ
 事態が動いてるぞコノヤロー!


第4話 既に封印された石

「ふうん、じゃあ、レイとアフームはしばらく学校を休んでいるんだ」

 

 ユーノは発掘作業をしながら返事をする。

 

「そうなの、何でも今修羅場らしくて、世界中の魔術師が大忙しみたいなの」

 

 すずかと話をしながらも、ユーノの手が止まることはない。

 

「学校は随分静かになったよ、あの2人がいないだけで」

 

 アリシアがそう言うと、ユーノは額の汗を拭く。

 

「話を聞く限りじゃあ、地球の危機らしいからね」

「そうなんか! 何で何も言うてくれんのやアイツらは」

 

 あすかが憤然と言う。

 

「余計な心配させたくないからじゃない? それに対応しているのがIMSだから、皆とは直接関係を持たないからじゃない?」

「そう言えばIMSの依頼は受けたことがないかも」

 

 アリシアが思い出すように言う。

 

「となると、皆の力が必要な案件じゃないわけだ。魔術が使えないと対応できないんじゃない?」

「そうなのかなあ。レイくんはあんまり私達に頼らないから、どうなっているのかわからないよ」

「レイってプライド高そうだしね、私達に頼った事なんて1度もないかも」

「あいつ、出来んことがほとんど無いからなあ」

 

 ユーノの採掘は続く。

 

「その、レイくんって子は何者なの? 話を聞く限りでは、なんかとんでもない子みたいなんだけど」

「「「文字通りとんでもない奴です」」」

 

 ヴィクトリアの質問にすずか、アリシア、あすかが異口同音に答える。

 

「身体能力抜群、生命力は異常、物理学博士号持ち」

「1400年続く旧家の末裔で跡取り息子」

「そんでもって地球における管理局との外交の責任者や」

「「「それでキング・オブ・ハジケリスト」」」

「……規格外ってことは分かったわ」

 

 ヴィクトリアは溜息をつく。

 そうしている間にもユーノは採掘を続ける。

 

「む!」

 

 ユーノは何やら手ごたえを感じる。

 丁寧に掘り進めていくと、その姿が明らかになっていく。

 

「間違いない、ハートストーンだ」

 

 ユーノがハートストーンを持ち上げる。

 全員がそれを覗き込む。

 

「ん?」

 

 ユーノは違和感を感じた。

 

「これ、もうすでに封印されてる……」

「「「「「え?」」」」」

「なんでだろ、封印したまま放置って」

 

 ユーノの疑問の意味を正確に理解できる者はこの中にはいなかった。

 

 

 

 

 

「さて、今回皆さんをお呼びしたのは他でもありまへん。異変解決経験のある皆さんに頼みたいことがあるからです」

「それはいいのですが、何故あなたは水着で全身にワカメを巻き付けているのですか」

 

 妖夢のツッコミを意に介さず、レイは博麗神社に集めた面々を眺める。

 博麗霊夢、霧雨魔理沙、十六夜咲夜、魂魄妖夢、東風谷早苗、鈴仙・優曇華院・イナバ、射命丸文が集められている。

 

「それは、九頭竜異変の事か?」

「魔理沙さん、あなたは気にならないのですか、彼の格好を」

「妖夢さん、幻想郷では常識に囚われてはいけないのですよ」

「早苗さん、これは常識とかそういう問題ではないと思います。彼の正気を疑います。鈴仙さん何とかなりませんか」

「どう波長を操ったら正気になるのかさっぱりわからないわ」

 

 鈴仙ですら匙を投げるほどレイの格好は異常だった。

 

「話を進めてくれる? それほど暇じゃないのよ」

「あら珍しい、貧乏巫女が忙しいなんて、どういう風の吹き回しかしら」

 

 咲夜が霊夢を皮肉る。

 

「そうだぜ、時間は有限だ。さっさと進めようぜ」

「ええ、私も新聞づくりがあるものですから急いでもらわないと困ります」

 

 魔理沙と文が進行を促す。

 

「それでは進めさせていただきます。今回の九頭竜異変、首謀者は外の世界にいるため、直接解決する事は出来ません。出来ることは異変が終わるまで耐えるだけです」

「ええ、それはあんたの手紙で知ってるわ」

 

 霊夢がぶっきらぼうに言う。

 

「我々は異変の規模を縮小させるため、世界各地で結界を張ってきましたが、どうも最悪の事態を想定すると折角張った結界が無駄になる可能性があるのです」

「まさか、そんなことがあるわけないじゃないですか」

 

 早苗が乾いた笑い声を上げる。

 他に笑うものはいない。

 

「あなたの6年毎の死の運命と照らし合わせると、そうなる可能性が高いのかしら?」

 

 咲夜がレイに尋ねる。

 

「それだけやないです、管理局がCの心臓を集めておる。それを横から掻っ攫うものがいてもおかしくないでしょう?」

「相手は宇宙に居るんでしょう? どうやって掻っ攫う気ですか」

「そうですよ、それにあまり現実的ではないと思います。被害妄想が過ぎるのでは?」

 

 妖夢と鈴仙がレイの意見を一蹴する。

 

「……これは独自ルートで手に入れたとある預言なんですがね、

集めてはならぬ脈動する石が九つ全て集まるとき異郷の海底より空腹の神が蘇る

それを食い止めるは解放者にして皇帝なる者女神と共に新たな神話を紡ぐ

空腹の神と解放者にして皇帝なる者一度死して再び蘇る

そして世界の中心で互いに殺し合うであろう」

 

 博麗神社を沈黙が覆う。

 

「お前はこの散文の1行目を重視しているな? 海底より空腹の神が蘇る、ってところ」

「そうです。それに加えて、3行目の空腹の神が一度死して再び蘇るという文面、これは明らかに奴の復活を示唆しています」

「あやや、それが真実だとしたらとんでもない話ですねえ」

 

 文がのんべんだらりと言う。

 

「このように最悪の事態が起きる可能性が高まっているんです。それを回避するためにもあなた達の力を借りたいのです」

「それだけじゃないでしょう、あなたは死を恐れている。自分に降りかかる死を」

 

 咲夜がレイに指摘する。

 

「この預言にある解放者ってのはお前の事だろう? この予言が成就するってことは、お前は一度死ぬことが確定するわけだ。そして3行目が成就しなかった場合、お前は永遠に彼岸の住人となるわけだ。違うか?」

 

 魔理沙がレイに尋ねる。

 

「……ええ、そうです。僕はこの予言が中途半端に成就することを恐れています。それならばいっそ、預言を成就させないようにしてしまえばええ。奴の完全復活も俺の死も全て起きないようにして見せる。そのために貴方達の力を借りたいのです。NOとは言わせまへんよ。幻想郷の存亡がかかっているのですから」

「そんな大げさな」

 

 早苗がレイの発言を笑い飛ばそうとする。

 しかし、早苗と共に笑うものはいなかった。

 

「あんた、手紙に書いていたわよね、九頭竜異変の影響で人間が妖怪化する可能性があるって。それだけじゃないわ、妖怪が異常行動を起こして人間を殺す可能性もあるって。奴が完全復活したらそうなるんでしょう?」

 

 霊夢が真剣な目でレイを見つめる。

 

「それは、幻想郷の秩序が崩壊することになるじゃないですか!」

「そうだぜ、だから笑えないんだ」

 

 ここにきてようやく事態を飲み込めた早苗に真剣な顔をする魔理沙。

 

「奴の復活は幻想の崩壊につながると師匠が言っていました。それは世界が終わるも同然だと」

「幽々子様も同じことを言っていました。だからレイさんには協力する様にと」

「お嬢様もパチュリー様も同じことを言ってたわ。この一件は幻想郷だけの問題ではない。世界全体の問題だと」

「だから神奈子様も諏訪子様も私をここに送ったのですか。あなたに協力させるために」

 

 全員がレイを見る。

 

「あやや、これは困りました、新聞のネタになるかと思ったら、こんなのネタに出来るわけないじゃないですか。天魔様直々の指令だと思ったら世界規模の大事件に巻き込まれるとは。これも美人記者故の宿命でしょうか」

「それを言うたらこの件を望む望まんと関わらんといかん俺の立場はどうなるんです。俺、この異変の中心人物何ですえ」

「密着取材させてくれるなら、協力しますよ」

「取材させたるから、手貸してくれんか。それで世界が救えるなら、俺の命が助かるんなら安いものですわ」

「ええ、宜しいですとも。商談成立ですね」

 

 レイと文が握手を交わす。

 

「私も、協力しますよ。良き修業になるかもしれませんし。それに、幽々子様に言われてますしね」

「私も協力するわ。師匠に言われているし」

「私も! もちろん協力しますよ! 異変解決は巫女の仕事ですから!」

「私もお嬢様に異変解決に向かうよう命令を受けました。本件の解決の一助となりましょう」

「私も参加だ。今回の異変の元凶を直接殴れない分すっきりしたかったんだ。体動かせるならいくらでも協力するぜ」

 

 妖夢、鈴仙、早苗、咲夜、魔理沙が協力を表明する。

 霊夢だけが渋い顔をする。

 

「私は幻想郷から出られないのだけど?」

「今回特別に、外界に幻想郷を再現することに成功しまして、紫はんのスキマと隠岐奈はんの後戸の合わせ技で幻想郷と地続きの空間を作ることに成功したんです」

「それなら」

「ええ、幻想郷の総力を挙げて作戦を立てることが出来るわけです。何が何でも、預言を成就させるわけにはいかん。どんな手を使ってでも」

 

 レイの口角が不気味に吊り上がった。

 

 

 

 

 

「解析結果が出ました」

 

 エイミィの声がアースラのブリーフィングルームに響く。

 

「施された封印は直前に施されたものであること、術式によるものではないことが判明しました」

「術式によるものではないってどういうこと?」

 

 ヴィクトリアが尋ねる。

 

「恐らく希少技能(レアスキル)だと思われますが、誰が施したのか判明していません」

「ごく最近って言ってたが、大体どれくらいなんだ」

 

 クロノの質問の後、若干の沈黙が訪れる。

 

「……驚かないで聞いて、封印が施されたのは、発掘される3時間前。本当に直前に施されているの」

 

 その言葉に一同驚愕する。

 

「3時間前!? マジで!?」

「ちょっと待て! 意味が分からない。3時間前に封印が施された? 掘り返した後も無いのに? どういうことだ?」

 

 ユーノとクロノがうろたえる。

 

「分かんないよ! でも解析結果ではそうなってんだもん! 艦長! 信じてくれますよね! 事実なんですよ!」

 

 エイミィが泣きそうな声で言う。

 

「え、ええ信じます。嘘をつく理由がありませんからね。それよりも問題は、誰がどのようにして、何の目的で封印を施したかです」

 

 リンディの言葉に全員頭を抱え込む。

 この時ユーノは並列思考(マルチタスク)を駆使して、セントラルユーノ会議を開いていた。

 

「今日の議題はウェットティッシュと乾パンの違いについて! MVPにはこのポンカンをプレゼント!」

「同じものじゃないかな」

「そうだよ(便乗)」

 

 そこへ破壊神ユーノが現れ、虐殺の限りを尽くし始める。

 

「ヤッピー♡」

「ぎゃああああああ!!!」

「何だアイツ!」

「ここは拙者に任せるでござる」

「あなたは武士THEユーノさん!」

 

 しかし、武士THEユーノは破壊神ユーノの火炎放射で焼き尽くされてしまう。

 

「おろろ、こんなことなら声優イベントのチケットを予約するんじゃなかったでござる……」

「武士THEユーノさん! そんなこと言ってる場合じゃないですって!」

「企画変更! あいつを倒した奴にポンカンをプレゼント!」

「どうしよう」

「いやだなあ」

 

 そんな中、司会ユーノを殴りつける猛者ユーノがあらわれる。

 

「オラーーー!」

「そうか! 司会から直接奪えばいいんだ!」

「頭いいなアイツ」

 

 ユーノの脳内はカオスなことになっていた。

 

「う~ん、う~ん」

「大丈夫か?」

 

 唸るユーノにクロノが話しかける。

 

「う~ん、武士THEユーノさん……」

「何を言ってるんだお前は」

「ユーノ君は放っておきましょう」

 

 リンディは冷たく言い放つ。

 とはいえ、誰もこの問題を解決できなかった。

 

「犯人も、動機も、方法も不明。一体どうなっているんだ」

「預言をそのまま信じるなら、解放者にして皇帝なるものがやったんだろうけど」

「一体そいつは何者なんだ?」

「さあ?」

 

 クロノとユーノはすっかり思考の袋小路にはまり込んでいた。

 

「埒が明かないわね、犯人に繋がる痕跡があればいいのだけど」

「それが、何一つとして残っていないんです。犯人は何の痕跡も残さずに封印だけをしたんです」

 

 ヴィクトリアの呟きにエイミィが答える。

 

「犯人の目的はハートストーンに封印を施すことだとしたら、動機の辻褄は合います」

「「「「確かに」」」」

 

 リンディの推理に全員が頷く。

 

「問題は方法と、どこから情報を手に入れたかなんですけどね」

「そこなんです、そこが最大の問題なんです」

 

 クロノが指摘した通り、犯人がどうやって情報を得、封印を施したのかがわからなければ犯人を特定する事は出来ない。

 それがわかる情報は何一つ見つけられていなかった。

 この問題を解決するにはもっと情報が必要だった。

 しかしその情報がどこからもたらされるのか、それは誰にも分らなかった。




 物語の謎が深まる中、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 ハートストーンはどのようにして封印されたのか?
 レイは幻想郷と組んで何をしようとしているのか?
 果たして封印した犯人は誰なのか?
 謎が謎を呼ぶ展開となってきました。
 是非ともセントラル脳内会議を駆使して展開を予想してみてください。
 感想、お返事待ってまーす。
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