魔法神話 レイ&アフーム ~もしもリリなの世界にハジケた奴らと邪神が絡んできたら~   作:ショーン=フレッチャー

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 前回のあらすじ
 金剛=ダイヤモンド家はやっぱりお金持ち。


第6話 天才VS天才

「セントラルユーノ会議はっじまっるよー」

「「「「「「わあい!」」」」」」

「今回の議題はレイが犯人だとしてどうやって情報を手に入れているかだよ」

「「「「「「……」」」」」」

「みんなどうしたのかな? 意見は出ないのかな?」

「アースラから何も出なかったのに、どうやって情報を得るの?」

「占いの達人だから、占いで情報を得ていたりして」

「そんなわけないない」

「でも現に情報は抜けているみたいなんだよね」

「どっかに穴があるはずなんだ、情報の穴が」

「それは一体……」

「レイが手を加えそうな場所、かあ」

「そもそもレイは外交官なんだよね、やたらと現場の情報を欲しがっていたけど」

「……まさかとは思うけどさ、デバイスに仕込んでいる可能性は?」

「「「「「「デバイス!?」」」」」」

「うん、レイはデバイスマイスターの資格持ちだし、皆のデバイスを調整しているのもレイだし、手を加えるのは難しくないと思うんだけど」

「……可能性は高いね」

「だとしたらレイはスパイだってこと!?」

「外交官がスパイ一味の一人ってのはフィクションではよくあるけど、まさか外交官本人がスパイ行為とは……」

「だとしたら、レイは相当危ない橋を渡っていることになるよ」

「そんな危険な道をレイが歩くかなあ」

「……でも辻褄は合うんだ」

「うん、なんで封印されたのが数時間前なのか、それは僕たちの作戦会議を聞いてから動いていたから。だから直前にならないと動けない」

「3個目以降ずっと封印されているから、ほぼ間違いなく全員のデバイスに仕込んである可能性があるよ」

「それだけじゃない、クロノのデバイスにも仕込んである可能性がある」

「有り得るね、アースラの情報をそのまま手に入れられるんだ。それだけじゃない、海の現場がどうなっているか情報が手に入るんだ。仕込んでいても不自然じゃない」

「これはクロノに報告しなければ」

「出来れば当たってほしくはないけど」

「当たっていたら恐ろしいことになるしね」

「それでも、言わないと。真実は明らかにしないと」

 

 クロノがブリッジに現れると、そこには白目を剥き、空中浮遊しながら座禅を組むユーノがいた。

 

「な、何やってんだ?」

「さっきからずっとこうなんです」

 

 オペレータの一人が答える。

 すると、ユーノの目がスロットマシンのように回転し、いつもの目になる。

 ユーノはゆっくりと床に降りると、立ち上がり体を伸ばした。

 

「う~ん、あ、クロノちょうど良かった」

「どうした?」

「レイがどうやって情報を得ているのか、分ったかもしれないんだ」

「本当か! それで、その方法は!」

「一つ確認するけど、クロノはレイにデバイスを調整してもらったことはある?」

「ん? いや、いつも本局のスタッフにやってもらっているが。いや、一度だけレイに見てもらったことがあったな」

「……もしかしたらなんだけどさ、デバイスに何か仕込まれている可能性があるんだ」

「そんなまさか、奇妙なパーツがあればすぐに分かるはずだ。本局のマイスターが見逃すはずがない」

「でも相手はレイだよ」

「……一応確認してもらおう」

「それと、なのは達のデバイスも一緒に確認してもらう事は出来ないかな。もしかしたら仕込まれている可能性がある」

「わかった、すぐに全員を呼び出そう。……もしも見つかったら」

「大変なことになるのは確実だよ。レイはスパイ行為をしていたことになる」

「想像するだに恐ろしいことになるな。信じたくはないが」

「僕だってそうさ、でも、恐ろしいことに辻褄が合うんだ」

「レイがそんな信用を損なうような真似をするとは思えんが」

「普通ならね。でもレイは普通じゃない」

「ああ、よく知っているさ」

 

 ユーノとクロノは黙り込む。

 

「艦長に報告してくる」

「僕も行くよ」

 

そう言ってクロノとユーノはブリッジから出ていく。

その背中は妙に煤けていた。

 

 

 

 

 

「それでは第2回九頭竜異変対策会議を始めたいと思います」

「それはいいのですが、何故あなたは着ぐるみを着ているのですか、ていうかその着ぐるみは何ですか」

「餃子です」

「……もう何も言いません」

 

 妖夢はツッコミを放棄した。

 

「真面目な奴は大変だな」

「こいつの行動なんていちいち考える方が面倒よ。こいつはこういう奴と割り切る方が楽だわ」

「霊夢はん、そんなこと言わんといて下さい。ツッコまれんと僕は寂しくて死んでしまうんです」

「どんな生態よそれ」

 

 鈴仙がレイにツッコむ。

 

「それで、何か進展はあったんですか?」

 

 早苗がレイに会議の進行を促す。

 

「その件で皆さんにご報告が、僕が進めていた心臓封印計画が失敗しました」

「何があったの? 正直貴方の事だから最後までばれるとは思わなかったのだけど」

 

 咲夜がレイに質問する。

 

「管理局に僕の隠密行動がばれました。これ以降管理局の最新情報を得ることが出来なくなります」

「あやや、それは残念です。これ以降情報が得られないとなると苦しいですね」

「ええ、先手を打って行動が出来なくなりました。これではこちらにある心臓を取りに来るのかどうかが分からない」

「向こうの出方を待つしかないのか」

「ええ、魔理沙はんの言う通りです。それで皆さんにはいつでも動けるよう準備してもらいたいのです」

「いつでも、ってかなり無茶を言いますね」

 

 早苗が苦言を呈する。

 

「そうね、私もお嬢様のお世話があるしそう簡単には時間を作る事は出来ないわ」

「それはギャグで言ってんのか?」

「……刺すわよ」

「やめてくれよ、ちょっとしたジョークじゃないか」

「魔理沙はん僕のお株を奪うんはやめてつかあさい」

「そんなことを言っている場合は無いでしょう。私もですが、今すぐ時間を作れというのは無理です。暇人である霊夢さんと魔理沙さんはともかく我々は日々の業務があります。今日だって時間を作ってここに来ているのです。それを考慮してもらえませんか」

「「誰が暇人だ!」」

 

 妖夢の言葉にレイは少し考えこむと、顔を上げ口を開く。

 

「そうですね、少々無理を言ったようです。こちらとしても何とか最新情報を得られるよう策を講じます」

「お願いするわ。情報の無い敵とは戦いたくないもの。特に弾幕ごっこのやり方を知らない連中とは」

「そうですねえ、完全に未知の敵と戦うというのは下手をすれば殺し合いになりかねません。出来ればそうはなりたくないものですねえ」

「そう言うと思って、向こうの主力と思われる人員のプロフィールを持ってきました」

 

 そう言うと、レイは全員に資料を渡す。

 

「……成程、こいつら全員飛べるのよね?」

「ええ、全員飛べます」

 

 霊夢の質問にレイは即答する。

 

「二刀流ですか……、彼と手合わせしてもいいですか?」

「妖夢はんならそう言うと思いました。そんなわけでここで誰が誰と戦うか決めてしまいましょ」

「大丈夫なの? そんなこと出来るの?」

 

 鈴仙が心配するが、レイは涼しい顔をしている。

 

「それくらい簡単です。まあご心配なく、誰と戦うか分かっていたら、対策も取りやすいでしょう?」

「そうですね、とりわけ私達は魔導士というのと初めて戦う訳ですから」

「私達が一方的に情報を得ている非常に有利な状況だけどね」

 

 緊張する早苗に対し、鈴仙は自分たちが有利であることで余裕があるようである。

 

「私としてはこの最速の姉妹が気になりますねえ。どちらかとは戦いたいものです」

「私も文と同意見だ。幻想郷最速としては譲れないな」

「幻想郷最速は私ですよ? 魔理沙さん」

「では、文はんと魔理沙はんはこの二人のどちらか、と。他に希望は?」

「私は特には無いわ、誰が相手でも勝つもの」

「私も、希望は無いわ。正直私の能力に対抗できそうな奴っていなさそうだし」

 

 咲夜と鈴仙は特に希望を出さなかった。

 

「私も特には無いですねえ、あんまりアレなのは御免ですけど、そう言う人はいなさそうですし」

「私も適当でいいわ、正直誰が相手でも勝てる気がするわ」

「それは博麗の巫女の勘ですか?」

「勘じゃないわ。情報を見ても大したことなさそうなんだもの。厄介な能力があるわけでもなし、己の力を最大限高めた手合いであるわけでもなし、負ける理由が見当たらないわね」

 

 早苗と霊夢も希望は出さなかった。

 

「では4人は勝手にくじで決めますんで。恨みっこなしですよ」

 

 そういうと、レイは帽子からルーレットを出して、回転させていく。

 

「どれが誰だか、どれが誰だか、ホイッ!」

「便利な帽子ですね」

 

 早苗が言うとルーレットが突如として爆発する。

 

「「「「「「ええっ!?」」」」」」

「はい、決定したんで、後で確認してくださいね」

「決定したんですか!? それ!?」

 

 ツッコむ早苗にレイは紙に何やら書くと霊夢、咲夜、鈴仙、早苗に手渡していく。

 

「それで鈴仙はん、八意先生に頼んでいた例の薬は?」

「そうそう、それを預かってきたわ」

 

 鈴仙が風呂敷から薬壺を取り出す。

 

「幻想の薬。1粒呑めば丸1日外界でも幻想郷と同じように能力や弾幕が使えるようになる薬よ」

「Good! さすが八意先生! ええ仕事しますな」

「なあ、外界に幻想郷を再現するんだろ? 必要なのか、この薬?」

 

 魔理沙が疑問を呈する。

 

「万が一の保険です。作った幻想郷が完璧という訳ではないので」

「あんたらしいわね。十重二十重に保険をかける所。今回の戦いも起こらない可能性だってるんでしょ。私だったらそこまで動く気にならないわね」

「性分なもんで。安心できる生活を送るためならいくらでも骨を折ります」

 

 霊夢の皮肉をレイはさらりと流す。

 

「とにかく、僕はこれから管理局の情報を手に入れるための方法を考えます。それから、心臓の在処に話をつけたりもしなければいけないので、会議の次回開催は未定です」

「次回が最後になるかしら?」

 

 咲夜の問いにレイは頷く。

 

「ええ、会議というより決起集会になりそうですが」

「出来ることなら面倒なことにならないといいわね」

「……それが一番です」

 

 レイはそう言うと、遠い目をして、溜息を一つつくのであった。

 

 

 

 

 

 陰鬱な表情をしながら、クロノがブリーフィングルームに入ってくる。

 ブリーフィングルームにはなのは達が集合している。

 急に呼び出され、デバイスをチェックすると言われたときは面を喰らったが、クロノの尋常ではない様子にただならぬものを感じていた。

 

「クロノ、結果は?」

 

 ユーノが問いかける。

 クロノはかぶりを振ると、重々しく口を開き、ポケットからあるものを取り出す。

 

「……見つかったよ。盗聴用マイクと盗撮用カメラが」

 

 どよめきが起きる。

 

「どういうこと!? 何でそんなものが見つかるのよ!」

 

 アリサが猛然とクロノに詰め寄る。

 

「クロノ、これはもう言わざるを得ません。皆さんに説明を」

 

 リンディがクロノに説明を促す。

 

「……はい、皆に突然デバイスをチェックさせてくれと頼んだのは、ある疑惑が起きたからなんだ」

「それは一体なんなん?」

 

 はやてが問いかける。

 

「アースラの情報がどこかへ流れている疑惑があるんだ。というのも、ここ最近ハートストーンが何者かに封印されていることが起きている。それも、発掘の数時間前にだ。これはおかしいと密かに調査を進めていたんだが、アースラ内部には何の痕跡もなかった」

「それで、他に何かを仕込めそうなものを探していたところ、デバイスに行きついたんだ」

 

 ユーノが説明を引き継ぐ。

 

「それで、アースラ全乗員とみんなのデバイスをチェックしたところ、僕と、君達のデバイスに盗聴盗撮用の装置が見つかったという訳なんだ」

「一体誰がそんなことを……」

 

 フェイトが不安そうな声を上げる。

 

「犯人が誰かについては現在調査中だ。だが、犯人はある程度絞られる」

「正直想像したくもなかったけどね」

 

 ユーノが自嘲じみた顔をする。

 

「犯人は管理局の情報が欲しくて、尚且つみんなのデバイスに手を加えることが出来る人間。そんなの、1人しかいないじゃないか」

 

 全員に稲妻が走る。

 

「……レイくん」

 

 なのはが呟く。

 それと同時にどよめきが勢いを増す。

 

「まさか! そんなことがあるわけない!」

「レイがそんなことをしたという証拠でもあるんか!」

「そんな、何かの間違いだよね!?」

「静かに!」

 

 クロノの一喝で場は静まる。

 

「まだ結果は出ていないが、現在最有力の容疑者であることは確実だ。正直僕も信じたくはない。だが、状況があまりにも整い過ぎてい……」

 

 その瞬間、クロノが持っていた盗聴盗撮装置が爆発する。

 

「「「わっ!」」」

「「「「「「きゃっ!」」」」」」

 

 場が水を打ったように静まり返る。

 

「……証拠が、証拠が消えた」

「クロノ君! 艦長! 大変! たった今盗聴盗撮装置が全部爆発したの!」

「こっちもだ、こっちも爆発した」

「どうしよう、証拠が無くなっちゃたよ! 誰が犯人か分からなくなっちゃった」

 

 エイミィの慌てる声がブリーフィングルームに響く。

 

「証拠隠滅を図った……、なんてこと」

「くそっ!」

 

 クロノの慟哭と机を叩く音がする。

 誰もが何とも言えない気分になっていた。




 いやあ、事態が静かですが進行しているのが解りますね。
 それに伴い、レイくんに新たな疑惑が。
 と同時に疑惑の真相は闇の中へと葬られてしまいましたね。
 少なくとも僕が今まで読んできた二次創作の中でこの手の犯罪をした主人公はいないと思います。
 皆さんはこの先どうなるのか予想できますか?
 感想、お返事待ってます。

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