魔法神話 レイ&アフーム ~もしもリリなの世界にハジケた奴らと邪神が絡んできたら~   作:ショーン=フレッチャー

6 / 74
 前回のあらすじ
 史郎公認でジュエルシードを集めることが出来るようになったなのは。
 尊い犠牲を出しながらも無事にジュエルシードを封印したのだった。
「いや、誰も犠牲になってないの!」


第3話 世はまさにでんぢゃらす

 サッカーというスポーツは今や老若男女問わず話題となる紳士的なスポーツである。

プレイするも観戦するもいいスポーツだ。

 隣にフーリガン、しかもトビウオの着ぐるみを着ているフーリガンがいなければの話だが。

 

「殺せ殺せ! 10番を殺せ!」

「そこじゃ、逝け! 潰してしまえ!」

「「殺れ殺れ~!」」

 

レイとアフーム、レイの6つ下の妹であるアウラとアリアがトビウオの格好をしながら過激なヤジを飛ばしている。

その様子をなのは、アリサ、すずかは遠巻きに引いている。

 

「フッ……、来たか」

「ユーノ君は誰なの?」

 

 ユーノはサッカー漫画に出てくる謎のオヤジっぽい行動をとっていた。

 今日は高町史郎率いる翠屋JFCの練習試合。

観戦席はカオスである。

 

 

 

 

 

 試合は翠屋JFCが2-1で勝利した。

現在は翠屋で祝勝会である。

その場にはなのはたちもいる。

レイは史郎の手伝いをしている。

レイにとっては世話になっている礼のつもりである。

 

「レイくん、すまないね、カッパとの交渉を引き受けてもらって」

「いえいえ、こちらこそいつもお世話になっとりますから。この時期はカッパは出産ときゅうり栽培の準備で過敏になるんです。話し合いで済んで上々ですわ」

「そ、そうか……。ていうか、トビウオになる必要は?」

「カッパといえばトビウオ、鶴に松と同じくらい風流な組み合わせですわ」

「そうなんだ……」

 

 史郎は考えることをやめた。

 

 

 

 

 

 なのはたちのテーブルにはいつものメンバーがそろっている。

話題は魔法とユーノの変貌についてだ。

当のユーノは人間態で呑気にパスタを食している。

会話の口火を切ったのはアフームだ。

 

「それにしても意外じゃったな、アリサが炎熱変換、すずかが氷結変換持ち、ユーノが虚空戦士(ハジケリスト)になるとは」

「となると、デバイスの用意はどうなるんや? ユーノ」

「そうだね、チューニングに時間がかかるし、ソフトウェアも専用の物を用意しなければいけないから、時間も費用も掛かるね。それに、そもそも僕が無事に帰れるかどうか……」

「だ、大丈夫だって、管理局? に連絡はいれたんでしょ?」

「そうよ、すずかの言う通りよ、私たちのデバイスは後回しにしていいわ。デバイスが無くても簡単な術式なら使えるんでしょ? なら届くまでなしでやってやるわよ。そこまで気を使わなくていいわ」

「……すずか、アリサ、ありがとう。元気と鼻毛が出てきたよ」

 

 そういうユーノの鼻から50センチ程の鼻毛が飛び出してきた。

 

「「「何で!?」」」

「何の! 俺も!」

 

 そういうとレイはまつげを伸ばした。

 

「「「どゆこと!?」」」

 

 

 

 

 

 ふと、なのはの魔力が有り得ないものを捕らえた。

翠屋JFCのキーパーからジュエルシードらしき気配を感じたのである。

 レイとアフームもまた感じ取っていた。

この和風カルボナーラの隠し味は昆布だしであることを。

 なのはは迷った。このことを伝えるべきかどうかを。

 レイとアフームも迷った。隠し味の正体をばらすべきかどうかを。

 そしてなのはは迷った末、黙っていることにした。

 レイとアフームは迷った末、黙っていることにした。

他に誰も気づいていないようだったからだ。ジュエルシードも昆布だしのことも。

 

 

 

 

 

数時間後、町は阿鼻叫喚の渦と化していた。

巨大な樹が突如として現れ、根が街を覆いだす。

ジュエルシードの仕業と判断したユーノ、なのはは異変の中心である大樹へと飛んでいた。

レイとアフームは妹を送り届けていたため不在であるが、先程念話で直に来ると連絡があった。

なのはは違和感を話しておくべきだった後悔していた。

きっと暴走しているのはさっきのジュエルシードだろう。

なのはは焦って速度を上げる。

ユーノは慌ててついていく。

 

「急がないと……!」

 

 なのはが急ぐあまり視野が狭まっていた。そのせいで目の前から迫る大樹の枝に気が付かなかった。

枝がなのはに襲い掛かる。

 

「きゃあああああああ!!!」

「「火符『マグマミキサー村田のドラムソロ』!」」

 

 炎が枝を焼き尽くす

 

「「マグマミキサー、マグマミキサー!」」

「レイくん! アフームちゃん!」

「マグマミキサー?(大丈夫か?)」

「マグマミキサー!(妾たちが来たからには安心して封印するがよい!)」

「普通にしゃべって!」

「……マグマミキサー(でも、ここからジュエルシードまでは樹皮に覆われて届きそうもないよ)」

「ユーノくんも!?」

「なら樹皮をはがせばええ」

「普通に話せるの!?」

 

 なのはの怒涛のツッコミを意に介さず、素早く策を組み立てるレイ。

 

「問題は再生速度を上回る火力やけど……」

「それは妾が用意しよう」

 

 アフームが手を上げる。

 

「行くぞ! 童話『マッチ売りのプリティアフームちゃん』!」

「マッチで!? 無理でしょ! てか自己主張強いよ!」

「はーはっはっは! 燃えてしまえ! 何もかも!」

「そんな話じゃないでしょ!?」

 

 アフームが放った火が大樹の樹皮を焼いていく。

 その速度は確実に再生速度を上回っていた。

 

「今や! なのは封印を!」

「……わかったの! リリカルマジカル……ジュエルシード封印!」

 

 桃色の極大な閃光がジュエルシードに向かって打ち込まれる。

 

「なんつーバカ魔力……」

「これ妾達いらなかったのではないか?」

「奇遇やな、俺も同じ事を思っとった」

 

 

 

 

 

 全てが終わった後、なのはは後悔を告白した。

 

「本当は、翠屋にいた時ジュエルシードに気付いていたの、でもみんな気付いていなかった

から気のせいだろうって、ほっといたの、話していればこんなことにはならなかったのに」

「それはどうやろか、もし話したとしても、その場で何が出来たかはわからん。それでも話してくれれば対策もとれたかもしれん。結局は結果や。封印は出来た。人的被害もゼロ、俺たちはこの失敗から学ぶことが出来た。それが全てや」

「うん、それはいいんだけど、何でバレリーナの格好をしてるの?」

 

 夕陽を背にバカ3人が舞う。それを冷めた目でなのはは眺めるのであった。




 日に日に増えていくUA数を眺めることが僕の楽しみとなっています。
 As編までは書き溜が出来ていますので、どうぞお付き合いください。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。