氷皇の「さばき」   作:†アルティメット⭐設定厨†

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戦うのが好きだ。

きっかけは、小学校のころだ。
髪がどうの目がどうのと虐められた。それにキレるなりして喧嘩になって……その後、なんか色々と喧嘩を売られるようになった。そのころは自分から売ることはしなかったが、勝てば勝つほど生意気だなんだのと売られ続けた。

少しして、そろそろ喧嘩を買うのに慣れて来たころ。
『名が売れれば絡む連中も消えるから』という理由で、悔過した相手からストリートファイトなるものに誘われた。

ストリートファイト。その名の通りファイト、喧嘩とは異なる真剣勝負。
相手はそこいらのチンピラではなく、裏世界の強者。何度攻撃を受けても倒れないタフな男、幼い見た目に反して蹴りが強い女の子、到底反応できないほどの速さで迫って来るお爺ちゃんに、果ては酒飲みながら魔法戦を仕掛けて来るオバさん。
始めは、負けに負けた。そして、負けて、次に勝つためにどうすればいいのか考えて特訓して。勝ったときは、ボロボロの体で何か特別な物を感じた。

『好きなんだな、戦うのが』

ボロボロの状態で笑っていると、誰もがそう言った。

そのあたりから、もう喧嘩は売られなくなった。
遠くの敵を魔法で撃ち落とし、武器の攻撃を杖で防ぎ、相手の拳を止め投げ飛ばして魔法で撃ち落とす……遠近中全ての攻撃を捌ききる。捌き捌いて、敵に無慈悲な裁きを与える。『さばきの氷皇』と、そう呼ぶ人間も現れ始めた。

そして、現在。
そんなストリートファイトの皇女、『シエル・ファナフロスト』は。











































「うう。シエルさん……」

「ヴィ、ヴィヴィオ……」

「……本当に、ダメですか……?」

お隣さんの、年下の女の子の視線を捌けずにいたのだった。


プロローグ
氷皇の終わり


「因果な物よね、アーノルド。

でも、いつかこんな日が……あんたに引導を渡す日が来るのは、解ってたわ」

 

「ああ、俺もだ……安心しろ、すぐ楽にしてやる」

 

「「「「……」」」」

 

────とある場所にある、廃工場。

そんないかにもな場所で、『アタシ』は同じく金髪や耳ピアスなどのいかにもとな連中計5人と対峙していた。

 

「そう……まぁ、アンタ等5人そろった所でアタシに勝てる未来なんて見えないけど」

 

なお、アタシ含むその他5人は武装……アタシは杖を、他にもブーメランや果てにはミニガンや怪しい香りしかしない巨大な鉄の塊。いわゆるデバイスを装備、さらにバリアジャケットと呼ばれる、特殊な防御服を着ている。

 

「だとよ、イワン。

シエルも好きな事言ってくれる……アイツなんぞが、俺に勝てるわけねぇのによ?」

 

「黙りなさい、勝負始る前に凍らせるわよ? 

第一、それはこっちのセリフよ。アンタごときじゃ、アタシに傷1つ付けられないわよ」

 

「いい度胸だ、ぶっ殺してやる」

 

「ハッ、消えなさい……いや────」

 

理由は簡単、今ここで戦うから。

 

「────凍りなさい?」

 

「さぁて、というわけでやってきましたバトルターイム! 

本日は、我々ストリートチーム『クリムゾン・オーガ』が紅一点『シエル・ファナフロスト』さんの引退式! ここまで全戦全勝、まさにまばゆいばかりの活躍を繰り広げて来た彼女。本日はそんな彼女に、最後の最後で全員でボコってダークな敗北を味合わせて見送ろうというところです……なお、そんな今日という日だろうが現在、何時管理局員が来たとしても可笑しくありません。いつも通り当然の如く無許可、町のど真ん中の廃工場を占拠、なおかつ堂々と結界を使用してでの戦闘です!! っていうか、結界の方は恐らく管理局の魔力探知に引っ掛かっちゃってます!!」

 

アタシの名前は、シエル・ファナフロスト……もうすぐ高校に入る、15歳。

得意科目は体育、ついでに物理・数学。特技は……強いて言うなら、家庭科全般だろうか。両親が家から離れがちで、その影響から料理から掃除まで女子力というものには自信がある。

趣味は読書。漫画でも小説でも、バトルものや本格推理サスペンスでもホラーでも……本は偉大、本は暇をつぶすのに最適だと自負している。最近は少女漫画にも手を出し始めていて……偶に、お花畑前回な事を1人で妄想しちゃったり。

 

と、これだけ言えば普通の女の子なアタシ。

けど、アタシにはちょーっとだけアレ(・・)な所があって———

 

「実況兼、選手は毎度おなじみこの私! 

中学放送部部長、『名前に反して口達者な』イワン・サイレンスでお送り……する場所は特にありませんが、精いっぱい盛り上げさせていただきます!!」

 

「どっからでもかかって来なさい! 

吹っ飛ばして、氷漬けにしてあげるから!!」

 

「はっ、ふざけんなこのクソ女! 

他所に消える前にこの場で消してやるらぁああああああああ!!」

 

────戦闘行為が大好きな、戦闘狂だったりする。

 

今日も今日とて、同じ不良仲間と魔法戦。

 

魔法戦を、無許可で適当な廃工場とかを借りて(別に許可とってもいんだけど、誰かが『無許可でやるからカッコいい』とか言ったことで基本的に許可はもらっていない)……ただ自分の体を気にかけて、ちょっとやばくなったら降参。多少体力を温存し、時空管理局(わんちゃん)が来ても直ぐ逃げれるようにして。

管理局に隠れてやりつつ、ばれたら逃げる。そんなアウトローな感覚を愉しむ……今思うと、バカかと思うゲームだ。

 

「それでは、勝負開始だぁああああああああああ!!」

 

「食らえ、インフィニティ・バレット!!」

 

「そんなもの。猿だって食らいやしないっての。アイシクル・シールド!!」

 

同じ趣味を持つ人間との、ちょっとイケナイ遊び。そしておそらく、このメンバーでやる最後の遊び。

 

「シエル、最後の勝負位はぶっ飛ばしてやらぁああああ! 

デンジャラススロー!!」

 

無限の名前とは裏腹に1000発程度の(それでも凄いけど)、ミニガンから発射される超小型の魔力弾。魔法で氷シールドを張り防ぐアタシに対し、隣の男がブーメランを力任せに振り回し投げる。

 

……今日、アタシは引っ越す。

 

ある日、両親の転勤が決まった。

両親とも同じ職場で、2人揃って転勤が決まった。なにより面倒だったし、アタシは残りたかったんだけど……因果応報というかなんというか、さすがに無法で魔法を使うような不良娘を1人で置いていくということは許してくれなかった。

 

アタシも、一緒にこの地から離れることになった。

 

「くっ……!!」

 

アタシのシールドは、飛んできたブーメランを防ぐ……が、それでちょうど壊れる。

 

「おらぁ! 

寂しくないように、全員から1発は貰ってから行けよー! エアライド・スタンプ!!」

「ま、一応逃げ(ひっこし)に支障がない程度にしてやるから安心しな! 

スパイク・ストライク!!」

「私もお忘れなく! スター・ブラスト・フィスト!!」

 

即座に、アタシに連続で攻撃が叩き込まれる。

 

何の意味があるのか、わざわざスケボーに乗って行う踏みつけ。

唐突なガチ攻撃、男のロマンパイルバンカー。

無駄に凝りに凝って、星のエフェクトがウザったいほどに付いたパンチ。

 

「きゃぁあああああああああああ!!」

 

それが、一斉にアタシに直撃した。

 

かれこれ、もう3年。

何度も戦い続け洗練された、まさに三位一体の攻撃がアタシに直撃する。

 

「かはっ……!」

 

当然アタシは吹っ飛ばされ、近くにあった壁……を貫き、全員が渾身の力を込めて張った固い固ーい結界に叩きつけられた。

 

ああもう、引っ越し直前にリンチにあって壁に固い壁に叩きつけられるとか……。

 

「本っ当に最低(さいこう)ね、アンタ等……いいわよ、こうなったら全員凍らせて、ブッ叩いて粉々にしてやるわ!!」

 

「ハッ、望むところだ! 

お前がどこまで泣かずに立ってられるか、人体実験といこうじゃねえかぁ!」

 

「シエルさんを倒して、今日こそナンバー2にならせていただきましょう~!!」

 

「「「うぉおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」

 

「食らいなさい、アイシクル・ブラスト!!」

 

アタシは、目の前に立ちふさがるバカ共に氷の砲撃を叩きつけた……。

 

この日、結界の存在に気づいた時空管理局が到着するまでの約10分間。アタシたちは廃工場内で暴れ、そして逃げるときにそのまま分かれた。

 

こうして、シエル・ファナフロストの歪な中学3年間。戦いに明け暮れた、バカみたいな3年間はこうして終わりを告げた。

 

……そして。

 

「……おい、シエル。

起きろ、ミッドチルダに……家に、もうすぐで着くぞ」

 

「シエルちゃん、起きて? 

せっかくのお家だもん……最初は3人で、一緒に見ましょう?」

 

「んん……?」

 

場所、ミッドチルダ。

魔法世界の……いや、全ての次元世界。文字通り、全世界の中心に存在する魔導師の街。

 

「ほらシエル。あそこが、お前の新しい家だ」

 

「お隣さんも、魔導師なのよ? しかも———」

 

「へぇ……」

(眠……なんでわざわざ起こすかなぁ……)

 

そこで、シエル・ファナフロストの新たな3年間が────

 

「────その子は、あの『エース・オブ・エース』なの!」

 

「……へぇ」

────新たな、最低(さいこう)の3年間が始まった。

 

 

 

 

 

 

~??? ~

それは、私がもうすぐ初等部の4年生になろうとしていた日の事でした。

 

「────オー! ヴィヴィオー!」

 

「……はーい! どうしたのー?」

 

私の名前は,高町ヴィヴィオ。ここ,ミッドチルダに住むごく普通の小学3年生。あと少しで4年生,ママみたいな魔導師……魔法の力で日色々な人を助けられるような立派な人になるため。今日も学校に行って、魔法の勉強をして、楽しい毎日を送っています。

 

「今日引っ越してきたお隣さんがご挨拶しに来たから,ヴィヴィオも玄関まで顔見せてー?」

 

「あ,はーい!」

 

そして今日は、とても素敵な出会いがありました。

 

「よう,高町空尉!」

 

「ファナフロスト陸佐!」

 

私が玄関まで行くと,もうママが先にお隣さんと合っていて……お隣さんも,どうやらママと同じ魔導師みたいです。

 

「久しぶりだな、空尉。

最後にあったのは……本局でやった、ウチの部隊と教導隊選抜メンバーでの交流戦以来か」

 

「ですね、その節はどうも」

 

「いや、こっちこそ助かった。

久しぶりにまともな模擬戦ができて,ウチのメンバーもやる気になってくれてな……またあんなお祭り企画があればいいんだがなぁ」

 

「確かに,実戦訓練でも相手が同じ隊のメンバーばかりだと相手の手の内が解ってしまいますしね」

 

「全くだ。

……っと,そっちのは例の娘さんか?」

 

「はい。娘のヴィヴィオです」

 

「そうか。……譲ちゃん,俺はグラリック・ファナフロスト……陸のほうで魔導師やってる。んで、こっちが家内のロア」

 

「一応,私も管理局の鑑識科に所属してるの。よろしくね,ヴィヴィオちゃん」

 

「あ,はい。高町ヴィヴィオ,小学3年生……もうすぐ4年生です。よろしくお願いします!」

 

「おう,よろしく。んで────」

 

ニッ,と気さくな感じで笑うグラリックさん。

私が話し終えると、視線を後ろに移し────

 

「────シエル。お前いつまでそこに居る気だ? もっとこっち来いって」

 

────その人を,私たちの前に連れ出した。

 

「俺らの娘だ。今度から、こっちの高校に通う」

 

「ども,シエル・ファナフロストでーす……って、なーるほど、これは中々……」

 

明るい……というか、どこか軽い感じの女性。

始めは笑いながらシャツとジーンズのみの格好で,手をジーンズのポケットに入れてこっちを見つめて……それから突然、キッとどこか悪い目つきに変わる。そして赤い目が,まるで血に飢えた獣のように私の姿を捉えた。

睨まれた……というか,目をつけられた? おしとやかさとは到底離れた、獲物を見るような視線を感じる。

 

正直、少し怖い。でも────

 

「ハハッ,悪いな。

コイツ俺の気の強いトコだけ似やがってな,軽いだけで可愛げがさっぱりねぇ。見た目は大分ロアに似てはいるんだが……寧ろ、おかげでがどうもな」

 

「ほっときなさい、凍らせるわよ?」

 

グラリックさんに茶化され、そっぽを向くシエルさん。

それに合わせて白い長い髪が、ふわっとなびいた。

 

「……」

(綺麗……)

 

────ただ思う,綺麗。綺麗で,かっこいい。

 

鋭い赤い眼。

白……灰色でも銀色でもない,背中を包み込むように伸びている真っ白なロングヘア。肌も白くてきめ細やかで体付きは細くすらっとしていて。そのルックスが、態度の悪い動作も、『クール』さに変換されている。

 

「た,高町ヴィヴィオです! これから隣同士,よろしくお願いします!」

 

「……ん、よろしく」

 

私が笑顔を見せると、シエルさんはぎこちないながらも笑ってくれた。

 

「はい!」

 

……明日から,楽しくなりそうです!




キャラ紹介

シエル・ファナフロスト (15)
魔法陣の色:白
変換適正:凍結

両親の仕事の都合で、ミッドチルダに引っ越してきた少女。父親は時空管理局陸佐で、母親は管理局本部の鑑識官。

俗に言うアルビノ体質で,身体的特徴は
・するどく,血のような赤い眼
・白髪の,背中がすっぽり覆われるほどのロングヘアー
・きめ細やかなで,真っ白な肌
・(胸まで)細い体つき
・貧☆乳
・ヒップも期待できず
・かなりまな板だよこれ!
ヴィヴィオさん曰く、『美少女』。

一人称は『アタシ』。幼少時,コントロールしきれていなかった多大な魔力と適正の影響で肌が冷たくなっており,そのせいでイジメにあったりや喧嘩を売られたりした影響で荒れている。その為基本的に性格は悪く、沸点は低め。
友人と呼べる人間が居た経験が少なかった影響で、趣味は読書。ジャンルはラノベから本格推理モノ、ホラーまで特に問わずサブカルにも強い。

幼いころから魔力をコントロールしてきたこと、そしてその原因の魔力の多さからそれなりに難易度の高い魔法を使う事が出来る。更に両親仕込みである管理局式の杖戦闘術及び体術ができ、多大な魔力と併用し戦う。

なお喧嘩は昔は嫌いだったが、今はそうでもない。
不良ながら、たばこは体に悪いのでNG。酒は1度家で飲んだ時に両親から『人様の前では飲むな』と言われてから飲んでいない。当然、薬はやらない。


口癖は『凍りなさい』『最低(さいこう)』。
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