ちょっとリアルで色々あったりTRPG始めたりパワプロ買ったりしました
「「「魔導交流戦?」」」
『以下の者は、本日の放課後校長室まで来ること
シエル・ファナフロスト
ヴォルク・アームストロング
サクヤ・シェベル 』
前回、こんなかんじに入学早々熱烈なラブコール。入学からジャスト1週間、校長室に呼び出しを食らったアタシ達。向かった先で言われたのはお叱りの言葉でも当然お褒めの言葉でもなく『魔導交流戦』という聞きなれない単語だった。
「はい……と、その前に。ヘンリー君」
「あ、はい。
初めましてだね、シエル・ファナフロスト君。それにヴォルク・アームストロング君、サクヤ・シェベル君。僕は3年のヘンリー・ナモーチェ。一応、この学校の生徒会のトップ……生徒会長、ということになる。宜しく」
「あ、どうも。シエル・ファナフロストです」
「サクヤ・シェベルだ」
「ヴォルク・アームストロングです。よろしく頼みます、先輩」
生徒会長、部屋にいた……なんとも『ザ・普通』な男子生徒。
軽く自己紹介だけさせて、学園長は続ける。
「はい、では今はそれくらいで……早速本題に入らせてもらいます。
まず現在、時空管理局の地上部隊では優秀な魔導師獲得が急務となっていいます。そういった経緯で、地上に縁のある学校では学問に問題があっても、魔法が優秀である人間を迎えるための多少特殊な入学試験を設けている……と、まぁこれは説明する必要もないとは思いますが」
「まぁ、それで入ったわけですしね」
「ですね。
しかし、いくら優秀な生徒を集めても何の意味もない。重要なのは、その生徒をどう教育するか……このミッド第3高校は、試験だけでなくカリキュラムも特殊な行事をいくつか導入しています。その1つが『魔導交流戦』。
他校の生徒を招いて、こちらの代表と魔導師としての模擬戦を行う。今の時代、学園の成績上位者は魔導師のトップクラスと同義。他校の生徒を呼び、お互いのトップクラスの実技を生で見ることで見聞を広めよう……というのが、この行事の建前です」
「建前、ですか」
「はい。
本命は、このカリキュラムの成果の提出……いかに実力のある生徒を育成、収集できたかの提示。最初から強かろうが関係ないのです、結果が提示できれば」
「……察するに、生徒会長さんは」
「ええ、代表です……結果を出せていない、ね」
「……」
と、若干棘のある言い方をする学園長。
曰く、毎年近くにある高校……『私立ミッド西高校』というところと7対7の模擬戦を行っているが、1度も勝てていない事。更に、加えて相手のチームに付属の中学生が混じっておりその中学生にも勝てない事。挙句の果てには7敗でパーフェクトゲームを決められてしまった事。
そして今年……5年目も敗北するようであれば、補助の予算を打ち切られてしまうという事だった。
「いや、絶体絶命じゃないですか」
「そうなんですよ。
しかも、どうも管理局はこれを期に向こうに予算を振ろうと考えているようでして。向こうも当然それを知っています……なので、今年は全力でこちらを潰しに来ます。さきほど言った、中学生達も高校生に進級し実力を上げ参加してきますしね」
『頼みの綱も無い状態で、困りましたよ』、と笑う学園長。
若干歪んだ生徒会長の顔は気にせず、ニコニコ顔でこう続けた。
「そんな時、グラリック君から君の話を聞きました……いやぁ、まさに地獄で蜘蛛の糸といった気持でしたよ。他の教師からは反対されましたが、君はその逆境を跳ね除け入学してくれました。
今度は、そちらの2人共々この学校の逆境を跳ね除けて欲しいのです」
「……何か、報酬みたいなものはありますか?
アタシ達は試験を『実力で』突破しました。特に恩義もありませんし、無償で受けるのは少し……」
「実力、ですか……ふふふ、そうですね。
大丈夫です、最初から報酬は用意してあります。無事勝利する事が出来た時には、任意の単位を3点。それでどうでしょう?」
「……負けても、参加賞くらい出ませんか?」
「……なるほど。
いいでしょう、参加さえして頂ければ1点差し上げます。これで構いませんか、『氷皇陛下』殿?」
こっちがごねても顔1使えない学園長。
皮肉交じりに茶化しつつ、いつも通りの笑顔をアタシ達に向けた。
「……」
さて、どうするか。
正直面倒なんだけど……でも……。
「……その相手って、強いんですか?」
「そうですね、きっと氷皇様を満足させると思いますよ?」
「そうですか」
強い相手がいる、強い相手と戦える……なら、アタシの選択は。
「お引き受けします、学園長。
……いいわよね、アンタ等?」
「もちろんだ、一人イかせはせんさ」
「ああ、魔法実技の補填も欲しかったところだしな」
「決まりですね、ではよろしくお願いします」
こうして、アタシはこの学園の代表として戦うことになった。
なったのだ。
……なったのだ。
「ってことになったのよ、今日」
「それは大変ですねぇ……でも、強い人と戦えるんですよね? 楽しそうです」
「まぁ、アタシも楽しみではあるんだけどね」
そんな話を、歩きながらヴィヴィオとする。
現在放課後……今日はいつも通りヴィヴィオ・コロナちゃん・ノーヴェさんと混じってストラクアーツ練習の見学をする。
「ふふっ、シエルさんらしいですね……あ、コロナにノーヴェ」
「っと、アタシたちが最後みたいね。お待たせしました、ノーヴェさん」
「ようシエル、それにヴィヴィオ────」
ただ、いつもとは少し違うところがあって────
「────で、お前らがヴォルクとサクヤか」
「おう」「ああ」
────なんと、ヴォルクとサクヤがいる。
理由は単純で、あの後ヴォルから『ウチで特訓しようぜ!』とお誘いがあったのだがヴィヴィオとの予定が入っていたアタシはそれをパス。その後、『彼氏でもいるのか』『もうどれくらいヤったんだ』『好きなプ〇イはなんだ』とうるさいサクヤに、事情を説明すると……ついてきた。
『お前がそこまで言う少女……それは、中々魅力的だな』
ということらしい。
ヴォルクは、自分だけ帰るのもアレだからとついてきた。
「サクヤ・シェベルだ……宜しく頼む」
「ヴォルク・アームストロングだ、宜しくな」
「すみません、いきなり2人も追加しちゃって」
「ん、構わねぇよ……っていうか、お前らこそいいのか?
なんか、学校代表として戦うとかなんとか……訓練とかしなくていのかよ?」
「まぁ、一週間じゃどうもならないでしょうし。
というか、別に負けても問題ないですし」
まぁ、負ける気は毛頭ないけど。
「まぁ、それならいいが……と、そうだ。
今飲み物買いに行っていないが、こっちも追加で1人居るんだ」
「あ、そうなんですか……どんな子なんです?」
「そうだな。
ヴィヴィオのクラスメイトなんだが、ルーフェンってところの格闘道場出身らしい」
「ルーフェン武術、ですか」
確か、小さい力を大きい力に匹敵させたり力を受け流したりする技術……だっけ。
ストリートファイトで1人見かけた……がついぞ攻略できず、最終的には毎回魔法でゴリ押しして倒していたのを覚えている。
「ほう、ルーフェンか」
と、どこか懐かし気なサクヤ。
「何、アンタ出身地だったりするの?」
「いや、私はバリバリのミッド人だ。
ただ、昔……2年くらい前か、廻咲流を作る時に世話になったことがあってな」
「……え、ルーフェン武術って剣も教えてるの?」
「まぁ、一応な」
知らなかった、たまたまアイツが拳法家だっただけか。
「まぁ、私が習ったのは拳術なのだが」
「どういうことよ」
「いやぁ、話せば長くなるのだがな……」
それはそれとして、剣術のために拳法学ぶってどういう事よ。
今更だけど、試験中に問答無用で殺気放ったり脳内R18だったり……サクヤ・シェベル、かなりヤバい人なのではないのだろうか────
「わっ、全員揃ってる!
すみませーん、遅くなりましたー!」
────と、おそらくノーヴェさんが言っていた人物だろう。
やっぱりというかなんというか、少女の声。そういえば女子ばっかだけどヴォルク肩身狭くないのかしらねーと若干思いつつ振りむ……こうとすると、気づく。
「サクヤ?」
「……」
なんか、サクヤが固まっている。
しかも、いつものクールさは吹き飛んだ引きつったような苦笑いのような……中々に面白い顔で。
「り、り、り……」
「り?」
機械のように、ギギギ……とゆっくり振り向くサクヤ。
デバイスで録画しときゃ良かったと若干残念に思いつつ振り向くと、そこには紫色の髪の女の子がいて。
「リオ嬢……!?」
「さ、サクヤさん……!?」
その女の子は、サクヤと知り合いらしかった。
「リオ・ウェズリーです、よろしくお願いします!」
「あ、シエル・ファナフロストよ」
「ヴォルク・アームストロングだ」
体育ホールに移動、改めてペコリとお辞儀をするリオちゃん。
ちなみに、リオちゃんの目も裏を知らない綺麗ないい子だ……ヴィヴィオは、一応今は普通の交流を持てているらしい(ちなみに、ノーヴェさんとサクヤは知ってる側。ヴォルクは闇を知らない一般人さんだ)。
「で、アンタはこんないい子とどこで知り合ったのよ」
「まぁ、それはさっきの話につながるんだが……。
私が、ルーフェン武術を習っていたことはさっき話しただろう? 彼女は、私が通っていた道場の家の娘なんだ」
「はい、そうなんです!
えへへ、お久しぶりですー!」
「こ、こらリオ嬢。
同性とはいえ、女子がむやみやたらに抱き着くものではないぞ……?」
そう言ってサクヤに抱き着くリオちゃん。
そして、なんとそのリオちゃんにサクヤが押されている……『まったく、女が無作為に抱き着くとは。その「先」を求められても文句は言えんぞ?』とか普段なら言いそうなのに、なんとも新鮮な気分だ。
「えへへ。だって、寂しかったんですよー?
サクヤさん、『勁』をちょーっと習ったら手紙だけ置いて帰っちゃうんだから……あ、そうだった。さっきじーちゃんにサクヤさんにあったってメールしたら、 数 秒 で 『長期休みにでもつれて帰って「来い」』って」
「む、それは済まなかったと今では思っている……あのころの私は剣意外に対する礼儀というものを知らず……ってリオ嬢、今なんと?」
「あ、じーちゃんが『つれて帰って来い』って」
「……本当か?」
「うん」
「「……」」
「マジか」
「マジです」
「「……」」
「うわぁあああああああ! 何をしてくれるんだお嬢ぉおおおおおおおおお!
老師が『来なさい』って! あの人の命令形とか初めて聞くぞ!? 確実に怒ってる奴じゃないかぁああああ!!!?」
で、そんなサクヤのキャラ崩壊は止まらない。
普段からは想像できない口調、声色で問答を繰り返した後、脆弱。
そして、変な顔で叫び出した……サクヤがこんなになるって、何者なのよ、リオのお爺さん。
「さ、サクヤさんって変わった方ですね……」
「あはは……」
ちなみに、ヴィヴィオとコロナちゃんはそんなサクヤを見て若干苦笑い。
そうなのよ、変った人……っていうか変な人なのよ。しかも、普段は別のベクトルで変どころか教育に良くない感じなヤバい人なのよ(よくよく考えると、なんでこの場に連れて来たんだアタシ)。
「……」
(っていうか、そろそろ止めるか)
「あああああああああああああ!!!
「サクヤ、あんま叫ばない。周りの利用者に迷惑よ」
個人的には見ててとても面白いしもっと見ていたい……が、線が痛くなってきた、そろそろ止めることにする
「あ、そうでした。すみません」
「む、すまない。しかしだな……」
「しかしもデモもストもないの……」
で、せっかくだし……若干実益兼ねて、こうさせてもらう。
「それより、せっかくだしアンタ等で組手して見せなさいよ。
ルーフェン武術も見てみたいし……いいですよね、ノーヴェさん?」
「お、そうだな。
ちょうど2人共今日初めてだし……剣の為に学んだサクヤの腕前とやらでも見せてもらうとするか」
「いや、私はそれよりだな……」
「やったー!
私、サクヤさんが居ない間にもちゃーんと強くなったんですよ!」
「ん、そうか。
それは楽しみだ……ではなくてな……」
「リオ、頑張ってね!」「サクヤさんも頑張ってください!」
「……サクヤ」
「……ヴォルクか、なんだ」
「……自業自得だ、諦めて怒られに行け」
「……」
「……」
「「……」」
「……」
「まぁ、それもそうか……」
結局、この日はサクヤとリオちゃんの組手だけして解散となった。
ついでに、サクヤは普通に格闘技が上手かった。
また、後で聞いた話によれば。サクヤは廻咲流のために剣術だけでなく、あらゆる武器術や格闘術などの歩法や構え、基本技を学んで旅をした時期があったという(また、そのせいで中学くらいから学校の成績が酷かったらしい)……いや、何がどういうことなのよ。
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筋肉とは、肉体とは。
熱い情熱と冷静な知識、無理しすぎない自制心とそれを言い訳にしない心。
一見相反する、これら2つの組み合わせを日々積み重ねて少しづつ培っていく物。
俺、ヴォルク・アームストロングはそう思案する。
「……」
(ゴールがいつもより3分早い……別に目標じゃねぇが、多少はこうやってモチベーション上げてかねぇとな)
今日のメニューは軽いストレッチとランニング。
結果は上々。ベンチに座り呼吸を整えつつ……若干、頬が緩む。中々有意義な時間だった、明日以降のトレーニングもやりがいがありそうだ……。
「……」
(さて、そろそろ課題と家の手伝いしねぇとな)
自作のドリンクを飲み終え……さて、帰るかとベンチから立った。
……そんな時だった。
「……お初にお目にかかります。
ヴォルク・アームストロングさんというのは貴方で間違いないでしょうか?」
「……あ?」
突然、聞いたことない声に呼び止められた。
「誰だテメェ、ご丁寧に仮面までつけやがって。
まさか、このミスターヴォルカニック様と試合しようってか?」
「はい」
「即答かよ……」
(ストリートファイトってやつか、今時珍しいな)
凛とした口調で答えるソイツ。
バイザーを付けた、エメラルド色の長い髪の……女、か(別に差別するつもりはねぇが)……。
まあいいか、適当にあしらって帰るとするか────
「そうか……ただ、俺はプロレス屋だからな。
結構『触る』、こっちは職業柄気にしねぇが……ヤるんなら、そっちも合わせてもらうぜ? 嫌だったりやってる途中でダメそうなら、この試合はお流れだ」
「問題ありません。
この身で格闘技をやるうえで、その辺りは覚悟しています……それに────」
「ハッ、見上げた根性だ────」
「────あなたの攻撃を、受けるつもりはないので」
「────言うじゃねぇか、ぉお?」
────前言撤回だ、とりあえずぶっ飛ばす。
「では、参ります」
そう言って、構えを取るバイザー女。
俺もバイザー女へ向けて……ってああ、面倒だな!
「ハッ、いっちょまえの構えじゃねぇか……っと、そうだ仮面女」
「……何でしょう」
「名無しじゃ話になんねぇ、リングインしたけりゃ名前を聞かせろ」
「……と、そうでしたね。
申し訳ありません、私は────」
ソイツは、構えから全く体をブレさせずこう宣言した。
「────ハイディ・E・S・イングヴァルト。
覇王を名乗らせていただいています」
「ハッ、大層な名前なことで……んじゃとっとと始めようぜ、デバイス出しな」
「……不要です、お好きにどうぞ」
「おうおう、何処までも言ってくれるじゃねぇか。
……っと、そいやこっちも名乗り上げてなかったな。俺はヴォルク・アームストロング、またの名を────『Set up』────」
俺はデバイスを起動する。
「『絶対不損』のミスターヴォルカニック様だぁ!
行くぜ、覇王様よぉ!!!」
「……参ります」
そして、試合が始まった。