物間こころの生存戦略 作:こころたん
諸君、転生という言葉を知っているだろか? もしくは憑依という言葉は? 私は知っていたが、それが我が身に起こるとは思っていなかった。ましてや僕のヒーローアカデミアの世界だなんて考えてもみなかった。こんな死亡フラグ満載な世界でどうしろっていうんだろうか?
「今日はお祝いよ、こころ。"個性"がでたのだし。寧人も一緒に祝いましょうね」
「うん」
そう、この世界で私は物間寧人の妹として転生した。金髪碧眼でタレ目ののさわやかなルックスを持つ少年の妹だ。物間寧人の"個性"は体に触れた者の個性をコピーし、五分間使い放題になる。同時に二つとかは使うことが出来ない。
タイミングよく使い分ければ様々な攻撃に対応可能であり、かなり強力な個性である反面、誰も人がいない環境であった場合無個性状態になってしまう可能性もある。
そんな彼の妹、物間こころとして転生した私の"個性"は感情を操ること。容姿は夜目では薄紫色がかって見えるピンク色のロングヘアに、同じ色の瞳と睫毛。感情を操る上にこの容姿、もうわかる人はわかるだろう。私は秦こころの容姿と力を持って転生した。
この能力を使えば雄英高校は無理だけど、他の高校でヒーローにもなれるし、凶悪な
さて、これからどうするか……このまま雄英高校に行ったとして、
オール・フォー・ワン……寧人……いいな、こうなればやるだけやってみようか。リスクとリターン。それを考えると一度命をかけるだけ。ハイリスクハイリターンな賭け。これに勝てば人生は怖くない。そのためにやることは色々あれど、まずは"個性"を強化してお兄ちゃんを言いなりにする。
お兄ちゃんにもちゃんと報酬は渡す。だから、いいよね? こころのために命をかけてね。
「なんだ? 寒気が……」
「お兄ちゃん、お願いがあるの」
「なんだ?」
「動物を飼いたいから、お父さんとお母さん、説得するの手伝って」
「いいぞ。誕生日プレゼントにそれがいいといったらいけるだろう」
「ありがとう」
お母さん達は私のお願い通りにペットを飼ってくれた。可愛らしいワンコを買ったので、その子を使って実験する。私の"個性"として認識されているのは魅了。四歳になった時、幼稚園で周りを魅了して全員を従わせ、崇めさせた。後々、いろんな人が来て同じ症状になってヒーローの人がきて捕まったけれど、"個性"の暴走として処理してもらえたのでよかった。
なのでワンコを魅了ということにして感情を操り、私への好意をかなりあげた。すると吠えて唸っていたのがすりよって甘えてくる。撫でてあげてもふもふしていたら、"個性"が切れて離れていく。また"個性"を使って可愛がってを繰り返していく。
"個性"を使い続けると気持ち悪くなって吐きそうになるけど、我慢して使い続ける。すると気を失って寝てしまう。ベッドに連れ込んでやっていたので、ただお昼寝しているようにみえる。"個性"は使い続けるほど強化されていくので、徹底的に鍛える。
幼稚園の時は玩具の取り合いで喧嘩している子達を感情を操作し、友愛の感情をあげて仲良くさせる。相手が好きになるはずが、出力調整をミスして愛し合うレベルになってしまったけれど、まあいい。園児同士でキスしても問題ないし、罰だと思えばいい。こころは知りません。
ちなみに幼稚園ではこころのことに干渉しないように無関心という感情を全員に植え付け、その間に"個性"を使い続けながら筋トレやランニングを行う。幼稚園で一人だけのぼっちになるけれど、小学校でも変わらずにこんな感じでいく予定だ。こころという存在を残さないためと、修業の邪魔されないためだ。
六歳になった。小学校に入学した私、こころは青のチェック柄の上着に長いバルーンスカート。上着には胸元に桃色のリボン、前面に赤の星、黄の丸、緑の三角、紫のバツのボタンが付いている物を着ている。
スカートを囲む顔のような模様は穴になっており、よく見ると足が覗ける。また靴には左右で違う色のリボンが付いている。
東方の原作通りの恰好だけど、仮面はまだない。さて、小学校だけれど、正直やることもない。お兄ちゃんより年下なので原作キャラもおらず、精神年齢の違いから子供すぎる。また、TS転生したせいで男は嫌いで女の子は好き。ただ、色々と煩わしいので君臨もしないし、東方のこいしちゃんのように感情を操って無意識を操るような感じで無関心にさせる。これによって授業を抜け出しても問題ない。出席だけ確認したら、後は好き勝手なことをやる。全授業を無視してひたすら運動場で走りまくったり、プールで泳ぎまくったりして、体力がなくなってきたら飼育小屋で感情を操って支配下におき、整列させて芸をさせたりする。
学校の中に蟻を見つけたら、憎悪の感情を与えて互いに殺し合わせる。色々な感情を操って実験していく。蟻で終われば次は蝉など虫で、その次は動物で。対象が大きくなり、意識がはっきりとしているほど操作するのは難しくなる。それでも四歳の時から限界いっぱいまで操作しているので持続時間はどんどん伸びていっている。
「あ、こころちゃんいた!」
今日は飼育小屋から兎達を外に出して芸をさせ、それを携帯で録画している。この携帯は高額な高性能機で、買ってもらった。家ではお手伝いをよくする良い子だし、5年分のお小遣いとお年玉をいらないといってお願いした。
「何か用?」
「相変わらず無表情だね! 先生が探してたよ? また抜け出したって!」
「飼育係だから」
どうやら、"個性"が切れたようなので、ストップウォッチを確認する。昨日より5分ほど伸びている。
「兎さん、すごいね。これ、なに?」
「組体操」
「撮ってるの?」
「後でネットにあげる」
「楽しみにしてるよ」
「うん」
休憩が終わったので、一緒に教室に戻って出席を取ったらまた感情を操ってから運動を再開する。そんな風に生活していたら……怒られた。先生が両親に電話して、授業を抜け出していることを知らせたのだ。
「こころ、どういうつもり」
「授業、無駄。運動してた方が有意義」
「無駄って……」
「まあまあ。こころ、勉強というのは……」
「待ってて」
「え?」
両親を無視して、部屋から答案用紙を持ってくる。それを両親に渡してあげる。
「見ての通り、歴史以外の全教科満点。だから、歴史は出ているし、テストは全部受けてる。小テストがあるかどうか、ちゃんと確認もしてる」
「これは……」
「でも、友達ができないわよ」
「? 別にいらない」
小首をかしげて告げると、お母さん達はすごく驚いたようでどんなに大切かを説いてくる。
「時間の無駄。合理的に鍛えないと強くなれない」
「いや、それは……って、もしかしてずっと"個性"の訓練をしてるのかい?」
「そう。抜け出すのにも使ってる。練習する時は自分にも使ってる」
自分の感情を操って怒り状態にし、集中力を高めてひたすら訓練。辛い訓練でも徹底的に鍛えられる。
「自分に? まさか……」
「こころ、自分に使うのは絶対にやめなさい」
「なんで?」
「わかってないのかもしれないが、ここしばらく……こころが笑ったところを見たことがない」
「笑ってるよ?」
「表情が変わっていない」
「……嘘……」
「本当だ。鏡をみてみなさい。小さい頃はちゃんと笑っていた」
慌てて鏡をみると、無表情な人形のような綺麗なこころの姿がみえる。感情を操作し、喜びを最大にする。でも、心の中で喜んでいても、顔には一切でない。まさに東方の原作通り、感情が表にでない。頬っぺたを触ってもなにもおきない。柔らかいけど動かない。
やってしまった!
すぐに感情を操作して冷静になる。もうこれは諦めるしかない。ある意味では秦こころに近づけたと思えるのだからよしとしよう。鏡に不安そうな両親が映ったので、振り返って告げる。
「大丈夫。問題ない。何かを得るためには何かを捨てなければいけない。感情の出し方なんてどうとでもなる」
「いやいや、大丈夫じゃないから!」
「お医者さんにいきましょう。これは強制だからね」
「む~」
「無表情で頬っぺたを膨らませてもわからないわよ」
「じゃあ、条件がある」
「条件?」
「習い事がしたい」
「習い事ね。なにかしら?」
「能楽と薙刀、覚えたい。ヒーロー目指す予定だから」
「いいでしょう」
「じゃあ、病院だ」
さて、病院で検査を受けたけれど解決方法はとくにない。リハビリをするしかないということだけれど、頑張ってやってみよう。このままいけば感情すらわからなくなるかもしれない。それとお兄ちゃんも感情を操作して一緒に特訓させる。狙っていることをするには戦闘能力が必須だから。
9歳になり、能楽もしっかりと覚えて踊れるようになった。他にも体力や筋肉がついてきたので、どんどん頑張る。後、狐の仮面とか買ってもらった。これで感情がわからないと言われることが軽減できる。両親もすでにわからず、身振り手振りで教えている。お兄ちゃんなんてもう諦めて聞いてくるようになった。高圧的だけど。
薙刀は自分の身長なみのをなんとか持てるようになったぐらい。成果はあまりないけど、計画がうまくいけばなんとかなる。あと、合気道もならいだした。身体が小さいこころには便利だから。
「お兄ちゃん、五分程度じゃ駄目。最低でも三十分維持できるようにして」
「いや、無理だって」
「もっと怒りの感情をあげてあげる」
「ちょっ!?」
「解除するには私の"個性"をコピーし、30分耐えること。それまで使い続ける」
「ひぃいいいぃぃぃっ!」
5分じゃ計画に使えない。それは困る。
「私は他にも色々とやるから頑張って」
ネットで動画を公開している。動物の動画やこころが狐の面をつけて踊っている姿とかを流している。結構人気。扇子を使って踊ったり、現代の音楽に合わせて歌いながらやってる。
14歳。物間こころ、中学三年生。お兄ちゃんは雄英高校のヒーロー科に入学した。私はちびっ子で、身長146cmくらいしかない。これは長年幼いころから鍛え続けてたせいだから仕方がない。今年は計画遂行の年なので、これからのこころの人生が全てかかっている。
すでに雄英体育祭も終わり、お兄ちゃんは林間合宿へと向かって
「ここで何をするんだ?」
「ふふ、お兄ちゃんはこころのために頑張って欲しい。お礼はするから」
「いいけど、なにするつもりなんだ?」
「ここでしばらく探索だよ。こっそりと廃工場を探すの」
しばらく廃工場の場所を探し、発見したので近くで監視を続ける。ただ、一人じゃ大変なので動物を使って監視する。しばらく近場のホテルなどで変装道具を用意して待機する。
フードつきローブとマスク、サングラス。これでいい。
鳥が飛んできた。監視させていた子なので、これでいい。それに爆発が起き出した。どうやら神野の悪夢が始まったみたい。
「お兄ちゃん、行くよ」
「は? 馬鹿だろ、お前!」
「大丈夫。大丈夫。なにも問題ない」
「こころ、どういうつもり……」
お兄ちゃんに"個性"を使い、冷静沈着にさせ、同時に魅了も使う。これで私に従ってくれる。
「さあ、いこう。これからの未来のために」
二人で周りの認識を崩してからホテルを出て、楽しい馬鹿みたいな戦いを見る。この世界の頂上決戦のような物。こんなのがいる世界に私が生き残るにはアレが必要だ。
「終わるまで暇だから、救助活動でもしましょう。言い訳にもなりますし」
「……わかった……」
救助活動しながら、ベストのタイミングまで待つ。怪我人を含めて、一般市民の感情を操作して冷静に避難させる。恐怖など感じさせない。効率的に合理的に避難と救助を行う。感情を操れるということはその存在の居場所が感情のエネルギーとして感じられるのでわかる。お兄ちゃんと一緒に救助していく。
こちらに何か言ってくる警察官は魅了し、手伝ってもらう。同時に警察の人を魅了し、死角の場所に誘導する。そこで変装してからまた出会い、怠惰の感情を増幅させる。そこで服を借りてお兄ちゃんに着せてそのまま移動する。私は怠惰な人を隠し、しばらく待つ。
オールマイトがかなり不利だ。私も手伝ってあげよう。周りの人達の感情を束ねてオールマイトにあげる。これが力になるか、わからない。それでも彼は右腕を壊し、左腕で殴り、また右腕。これでオール・フォー・ワンは倒れた。さて、最終フェーズだ。お兄ちゃんは警察の服を着てオール・フォー・ワンに近付いて触れる。そして、警察の人達と収容装置に入れていく。
すぐにお兄ちゃんが戻ってきてくれた。
「首尾は?」
「できた。すぐに渡す。もう時間がない」
「お願い」
お兄ちゃんに抱き着き、こころは中に入ってくる力に歓喜した。試しにお兄ちゃんからコピーを奪い、返す。それから、私の"個性"、感情を操る"個性"をお兄ちゃんに渡し、すぐに回収する。これで計画は完了。私がやったのはお兄ちゃんの"個性"、コピーでオール・フォー・ワンを手に入れ、それでオール・フォー・ワンの"個性"、オール・フォー・ワンを回収。そして、回収したオール・フォー・ワンをこころに与えた。コピーしたものは消えたけれど、私の中にオール・フォー・ワンは確かにある。
「やった、やった、手に入れた。この世界で最強の力を……あははははは」
「こころ?」
「ああ、お兄ちゃん。ご苦労様。服を変えて眠っているこの人と交代しましょう」
「わかった」
それから、お兄ちゃんの魅了を解除して私も着替えて救助活動を手伝っていく。といっても、ろくに手伝わせてもらえないので家族が死んだかもしれないから、確認させて欲しいとお願いし、死体を一つ一つ確認していく。その時、まだ残っている"個性"を回収していく。死んだばかりの死体なら、回収はしっかりとできた。
その回収した中から増強系の"個性"をお兄ちゃんに与えた。