物間こころの生存戦略 作:こころたん
前の話、少し修正しました。
感想にありましたが、雄英に飛び級して入学したわけではありません。オープンキャンパスとはいいませんが、職場体験や、そんな感じの扱いなので基本的に席は前の学校のままです。なので課題の提出などがあります。
入国などに関してはパスポートの再発行を頼んだことにしました。人道的なことから、漂流しても一定期間は外国でも大丈夫なようですね。
誤字修正させていただきました。明日の更新は微妙です。
ヒーロー公安委員会に行ってから数日後、雄英高校にはまだ行っていないけれど、カウンセリングや精密検査とか受けて、中学校に事情を説明してカリキュラムや必要なプリント、課題などを貰った。
雄英高校に通うけど、入学ではなくあくまでも体験学習の一環。そのため、課題の提出などをしないといけない。面倒だけど義務教育だから仕方ない。
今まで毎日お母さんがずっと一緒だったけれど、今日はお仕事が入ったみたいで、出先で別れることになった。なにか離れたくないみたいだったけれど、どうしたのかな?
「ちゃんと帰れる?」
「帰れるよー」
「本当に? 心配なんだけど……」
「心配……?」
「そう、心配なの」
心配……心配……ああ、心配。不安なんだね。不安って……まあいいや。
「大丈夫、大丈夫。うん、いけるいける」
「そう? 何かあればヒーローを呼ぶのよ?」
「ヒーローはこころだよ? それに行く場所もヒーロー事務所なんだけど」
「ああ、そうだったわね。でも、危ないことはせずに人を助けて逃げることを優先するのよ? 危ないことは他の人に任せたらいいからねえ」
「よくわからないけど、わかった」
「気をつけてね」
「うん。またねー」
お母さんは電車に乗ってお仕事に向かったので、私は……エンジョイする。お小遣いもあるし、まずは美味しい物を色々と食べないとね。
「おじさーん、アイスちょーだい」
「あいよ」
トリプルのアイスを食べながら携帯端末で事務所への最短距離を移動する。裏路地を通っていると、目の前から小さな女の子が飛び出してきてぶつかってしまう。彼女から漂ってくる感情は恐怖、絶望、怯え、苦痛などなど負の感情が伝わってくる。
「大丈夫? これ、食べるー?」
手足に包帯を巻いた角のある可愛い女の子にアイスを口につけてあげる。食べ出すので、そのまま彼女のことを考える。この子はどこかで見覚えがあるけど覚えていない。一般人に間違いはない。けど、両手両足に包帯を巻いていて、虐待の可能性が大きい。こんな可愛い子を虐めるなんて許せないよねー。
緊急事態だから"個性"を発動させ、彼女の私への信頼、好感度、愛情を最大値にして事情を聴く。
「お姉ちゃんに教えて」
「う、うん……」
教えてもらったことは彼女がされていたこと。これはあれだね。実験体にされてる。彼女を抱えて急いで逃げる。同時に携帯端末で連絡を取ろうとしたら、近付いてくる気配がある。ここで周りを巻き込んで"個性"を発動させれば助けられるけれど、暴れられたらその後の被害が大きくなる。制圧してしまえればいいけれど、まだヒーロー事務所に行って契約を結んでいない。それに精神を壊して吐かせることはできるけれど、それはヒーロー公安委員会の許可がいる。その間に逃げられる可能性もある。本当に限定免許って面倒。
「助けてほしい?」
「……たすけて……」
「わかった。じゃあ、今からお姉ちゃんがあなたに魔法をかけてあげる。それとあなたの大事な物、少し借りるからね」
「お願い、します……」
「これでもヒーローだから、助けるよー!」
決めた。今回は別の方法で頑張ってみよう。オール・フォー・ワンの力を最大限に発揮すればいけるはず。まずは私は手に入れた"個性"で霧を出し、私達の姿を見えなくする。そこから色々と"個性"を発動させていく。
怖い怖い。凄く怖い。助けて助けて。目の前にいる薄紫色がかって見えるピンク色のロングヘアに、同じ色の瞳と睫毛に助けを求める。でも、彼女は無表情でこちらを見詰めて、ふらふらと立ち上がって去っていく。だから、私も必死についていく。後ろから怖い人達がきてる。裏路地をでると、誰かにぶつかった。そこには緑色の髪の毛の人。
「ごめんね、痛かった?」
「あ……」
怖い、怖い、どうしたらいいの。お姉ちゃんは無表情のまま、そのまま走っていった。
「立てない? 大丈夫?」
「帰るぞ、エリ。っと、うちの娘がすいません。遊び盛りで怪我が多いんですよ。困ったものです」
「またフードが取れてるぞ」
もう一人増えて色々と話している。私はただ怯えているだけ。
「自分が何者かになる、なれると本気で思ってる」
私は慌てて彼のもとに移動する。
「待って、なんで……」
私はそのまま抱き上げられて連れていかれる。
「壊理、わがままはもうよせよ。お前は計画の核なんだから。頼むからもう、俺の手を汚させないでくれ」
腕の包帯が外されていく。それから身体を抉り取られて泣き叫ぶ。でも、許してなんてくれない。泣き叫び、助けを求める。
サー・ナイトアイ
今日来るはずのアメリカ帰りのヒーローが来ない。私の時間を徹底的に無駄にしてくれる。子供らしいが、これでよく務まるものだ。
「サー、緊急連絡です。見回りでミリオン達が対象と事故りました」
「わかった。すぐに行く。お前は小娘を待っておけ」
「わかりました。でも、事故の可能性がありますが、探さなくてよろしいのでしょうか?」
「構わん。聞いていた通りの存在なら、問題は無い。だが、一応連絡はしてみるか」
ヒーロー公安委員会と警察に連絡を取り、両者がつけている監視に確認させる。一人三十分から一時間交代で10人、貼り付けてある。その外側にバックアップとして20人。そこからドローンや監視カメラなどを使って監視を行っている。抜けられるはずはない。
『対象が霧か煙かをだしたので一次見失いましたが、現在は捕捉しています』
「サポートアイテムの可能性か個性かはわからないか」
『はい。ただ、その直前に一人の少女を抱きしめていました。それからすぐにその場を去っているので、奪われた可能性があります』
「わかった。現在位置を教えてくれるか?」
『そちらにインターンシップに来ている雄英高校の二人をつけているようです』
「……もしも、だが……迷っている可能性はあるかね?」
『無表情でわかりませんが、挙動はかなり不審ですね。あと、プリントをよく見ていますが、それを確認したところ、そちらの事務所のアクセスについて書かれていました』
「連絡しろっ!!」
『あははは』
「失礼。取り乱した。ありがとう。これから問題児も含めて迎えにいく。監視をよろしく頼む」
『こちらこそ、お願いします』
すぐに移動し、バブルガールとミリオン達の下へと移動し、詳しい情報を聞いていく。
「すみません! 事故りました! まさかあんな転校生と四つ角でばったりみたいな感じになるとは……」
「いや、これは私の失態。事前にお前たちを“見て”いれば防げた」
「とりあえず無事で良かったよ。下手に動いて怪しまれたら危なかったかも……」
話を聞いていると、知崎に娘がいるとのことを聞いた。とても怯えていたそうだ。
「バブルガール、こっちは任せる。私はもう一人の問題児の方へ行く」
「わかりました」
問題児はすぐ近くにいた。彼女は私の顔をみるなり、こちらに近付いてくる。薄紫色がかって見えるピンク色のロングヘアに、同じ色の瞳と睫毛で服装は青のチェック柄の上着に長いバルーンスカート。上着には胸元に桃色のリボン、前面に赤の星、黄の丸、緑の三角、紫のバツのボタンという特徴的な恰好をしている。ただ、聞いていた話と違って報告通りおどおどしている。
「なにを……」
そう思って聞こうとすると、彼女はプリントを私の方に合わせ、顔と写真を確認していく。
「しているんだ!」
「ひっ!?」
ビクッとしてから彼女はそのまま走っていった。意味が分からない。いや、待て。これはもしかして……そういうことなのだろうか? もしそうだとしたら、未来を確認する前に逃げられたのは厄介だ。それに予想通りなら無暗に追うのは悪手だ。
「こちら、サー・ナイトアイ。念の為、確認したいことができた」
『はいはい、こちら監視担当。どうしましたか?』
「見ていたのだろう。物間こころの家族……いや、資料によれば雄英に仮免許を持った兄がいたな。その者に出動要請を頼む。彼女を保護するように頼む。くれぐれも穏便にな」
『了解しました』
これでいい。これでどちらに転んでも問題はないだろう。
物間寧人
僕は呼び出され、車で送ってもらった。するとそこにはこころが震えながらダンボールを頭から被り、周りを伺っていた。
「迎えにきたよ」
「っ!?」
ダンボールがビクッと動いたので、そのまま近付いて抱きしめる。
「もう大丈夫だよ。なんせ、この僕が守ってあげるからね!」
「……ほん、とう……?」
「ああ、任せるといい」
ダンボールを取ると、涙目でこちらを見上げてくるこころ。なんだろう、こういうのもいいね!
とりあえず、そのまま抱きしめて昔にやったように頭を撫でてあげる。
「さて、帰ろうか」
「う、うん……でも、あの……」
「ああ、大丈夫だよ、何も心配いらないから」
「ん……」
とりあえず、雄英の寮に向かおう。それとお母さんにも連絡を入れて着替えを用意してもらおう。
車に乗ると、こころは腕に抱き着いてくるので、そのままにさせる。
雄英に入り、寮にこころを連れていく。すぐに取り囲まれたけど、嫌な予感しかしないよねー。
「おいおい、誘拐してきたのかよ!」
「可愛い幼女ですぞ」
「物間、アンタ……」
「待とうか。拳藤はわかってるだろ」
「妹さんだよね?」
「そうだ。といっても、紹介は後だ。数日、僕の部屋で預かるから」
「ちょ、それは……」
「そうですぞ!」
「家族だから大丈夫。それにちょーと事情があるんだ。そうだね……じゃあ、拳藤、君さえよければ監視として僕の部屋に一緒に泊まってもいいよ? もちろん、塩崎さんでも小大さんいいけどね」
「ちょ!?」
「ん、構わない」
「確かに監視は必要でしょうからね」
「男子はなしか」
「当然だろう。僕の大切な守るべき妹なんだからね」
「わかった」
「まあ、今から少し事情を聴かないといけないから、一時間……三〇分くらいは二人っきりにさせてもらうよ。その間、予備の布団とか着替えを頼んでいいかい?」
「いいわよ」
「ん」
話はついたので、僕の部屋に一緒に入る。おっかなびっくりついてくる彼女をベッドに座らせて、僕は椅子に座る。
「それじゃあ、話をしようか。今度はどんな計画か――」