物間こころの生存戦略   作:こころたん

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短い。次が本番。オーバーホール難しい


第7話

 

 

 

 

オーバーホール / 治崎廻(ちさき かい)

 

 

 思ったよりもかなり早かったが、英雄症候群のヒーロー共がやってきたようだ。だが、こういう時のために対策もしてある。鉄砲玉として八祭衆を用意した。奴等が時間を稼いでいる間に壊理もろとも全て運び出して隠し通す。

 

「壊理、移動するぞ」

 

壊理の部屋に入ると、壊理はベッドの上で表情が抜け落ち、虚ろな瞳をしていた。オーバーホールにミスったのか? だが、今は考えている暇はない。

 

「来い」

 

腕を掴んで抱き上げ、補佐であるクロノに渡す。二人で歩きながら途中で(ヴィラン)連合の連中にも指示を出し、ヒーロー共の足止めをさせる。その間に必要なデータは持ちだし、それ以外は全て処分する。

 

 

 

 このまま逃げられるかと思ったが、邪魔が現れた。そいつはこの間、出会ったヒーローの見習いだ。振り返って話を聞きながら、天井を確認する。

 

「少し話を聞かせてもらってもいいですか?」

「あの時の学生か。やはり来たか……しかし、すぐに来れる道ではないはずだが?」

「近道したんで……その子を保護させてもらいます」

「あの時は見捨てたのに事情がわかったらヒーロー面か、学生さん。壊理は保護されることなんて望んでいない。この子にとってお前はヒーローじゃないんだよ」

「だから来た」

「伝わらないならいい。死ね」

 

八祭衆の二人。酒木と根本に任せればいい。俺達は先に行く。歩いている最中に根本が吐かせた奴の"個性"は透過。それでここまできた理由がわかった。

迫ってくる感覚に振り向くが、すでにおらず横に一瞬で現れていた。

 

「治崎!」

 

身体を仰け反らせることで攻撃を回避する。しかし、同時に壊理ごと蹴られてクロノが吹き飛ばされる。壊理だけは透過させたようだ。

 

「……ぁぅぁ……」

「お前、この子になにをした」

「……」

「答えないか。まあいい。どちらにしろ、この子はもう決して悲しませない。俺がこの子のヒーローになるから!」

「汚いな……戻ってこい壊理。どうせお前は人を壊すように生まれてきた」

 

汚い血を拭いながら、壊理を見る。壊理は相変わらず無表情で俺とアイツを交互に見ているだけだ。何かがおかしい。

 

「お前の行動一つ一つが人を殺す。呪われた存在だ」

「自分の子になんでそんな事が言えるんだ!」

「俺に子などいない」

 

壊理の反応は変わっていない。恐怖を感じているようだが、迷っている。まあ、いい。地面に素手で触れて分解し、無数の杭として修復する。壊理ごと攻撃したが、アイツは胴体を投下させて杭を防ぎ、壊理を持ち上げてダメージを防いだ。どうやら、"個性"だけじゃないようだ。どちらにせよ、今の修復で逃げ道は塞いだ。周りに厚い壁を作ったからな。

 

「この子ごと……」

「どうせ治せばいい。この状況下では壊理が怪我したら、治せるのは俺だけだ。抱えたままじゃ透過で逃げられない。俺と戦うか?」

「その"個性"もコイツを撃ち込まれりゃ、消えちまいやす」

「壊理を狙え」

「了解」

 

クロノが拳銃で"個性"を壊す銃弾を放つ。奴はマントを身体に撒きつけるように回転してずらした。そのまま壊理を置いてクロノを殴り飛ばした。地面を透過しているから、壊しても意味はない。ここは壊理を攻撃する。

 

「確かに治崎、お前は強い。だけど、俺の方が強い!!」

 

背後から壊理を攻撃する前に殴られる。だが、まだ手はある。懐から弾丸の入ったケースを根本に投げる。

 

「撃てっ!」

 

壊理に向かって連続して撃たれた二発の弾丸は奴が割り込んで自ら一発を喰らった。残った先に放たれた一発はそのまま壊理に命中した。だが、これは壊理にとっては問題ない。そもそもが壊理の細胞であり、"個性"なのだから。そのはずだ。

 

「なんだ、なにが起きている!」

 

壊理の身体が変化していく。

 

「っ!?」

 

クロノの身体が投げられ、受け止めてオーバーホールする。すると瞬時に接近してきた奴に殴られる。腕でガードしたが、少し吹き飛ばされる。

 

「相手をよく見て動きを予測するんだ! 何もこれまでの全ては無駄になったわけじゃない! 俺は依然、ルミリオンだっ!」

 

手で触れようと迫るが、蹴り飛ばされる。バク転の要領で地面を串刺しにする。変化する壊理を攻撃すれば、ヒーローは守る。奴もそうだ。脇腹を杭で貫かれた。

 

「ヒーローになりたかったか、壊理を助けたかったか、ルミリオン」

「いいや、違うね。俺が助けたのはこころちゃんだ!」

「なに? 壊理……」

 

壊理の姿をみると、髪の毛の色がピンク色のロングヘアに、同じ色の瞳と睫毛へと変化していく。

 

「どういうことだぁああああああああああああぁぁぁぁっ!?」

「勘違いしているようだから言ってやる。俺達が助けに来たのは壊理ちゃんじゃない! 自らを身代わりにして壊理ちゃんを救い出したヒーローの仲間を助けにきたんだ! 最初から壊理ちゃんはすでに保護されている! つまり、お前の計画はすでに潰えているんだよ!」

 

信じられない言葉に思いだす。そして思いだした。霧のせいで一瞬、壊理とぶつかって話していた壊理とあの餓鬼を見失った。あの時に入れ替わったのか。そして、すでに壊理は俺が手を出せないようなところに保護したと。なんだ、つまり俺の計画はあの餓鬼に粉々にぶっ壊されたと……

 

「ふざけるなぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」

 

湧き上がる怒りに叫び声をあげると、横の壁をぶっ壊されて出て来た奴に殴り飛ばされる。

 

「ナイトアイ、確保を!!」

「後ろにいます! でも、攻撃を受けて"個性"が……」

「凄いぞ……凄いぞルミリオン……」

 

地面に手をつけ、"個性"を発動させる。だが、発動しない。

 

「いい加減にしろよ、お前らっ!!」

「ルミリオンがここまで追い詰めた。デク、このままたたみかけるぞ!!」

「起きろクロノォッ!!」

「っ!? デクっ!」

 

 クロノが"個性"を発動させ、大人のヒーローを串刺しにする。これで"個性"が使えるようになった。分解し、再構築して串刺しにしてやる。だが、これだけじゃ足りない。根本を自らに取り込むようにオーバーホールし、融合させる。俺と共に行こう。こいつらを皆殺しにしてやる!

 

 

 

 

 

 

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