物間こころの生存戦略   作:こころたん

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たぶん、これで少しはわかりやすくなったと思います。


第8話

 

 

 気が付いたら空に光る星々に照らされた世界に一人だけで立っていた。周りを見渡せばなにもない。考えてみてもどうしてここにいるのかわからない。そもそも私が誰なのかもわからない。

 不思議に思いながら、足を進めようとする。するとパキッという音と共に足の裏になにかを感じた。

 しゃがみ込んで踏んだ物を手に取って確認してみる。それは手に持つと次第に弱く光りだしてくる。

 

「……お面……?」

 

 拾ったのはお面の欠片だった。それがいっぱい地面に転がっている。よくわからない。でも、大切な気はする。そう思いながら掲げて首を傾げたり、齧ったり、舐めたりしてみる。特に変化はない。色々と試していると、こちらに駆け寄ってくる気配を感じて振り返る。やって来たのは腰近くまである白い髪の毛で赤い瞳。頭の右側に茶色味掛かった角がある仮面をつけている小さな女の子。彼女の服装は色味のないボタン留めのワンピースで、手足にはびっしりと包帯が巻かれている。彼女にはどこか見覚えがある。でも、それが誰かはわからない。

 

「……お姉ちゃん……大丈夫……?」

「……誰……?」

「……覚えて、ないの……? えりだよ? お姉ちゃんが助けてくれた女の子の"個性"……」

「……うん……覚えてない……」

「……記憶も、壊れた……? 再構築、されたから……?」

 

 よくわからないけど、大人しく待っている。お姉ちゃんと言われたから、姉妹なのかもしれないし。暇なので他の欠片も拾ってみて、重ね合わせてみる。ピッタリと合わさったけれどなにも起こらない。

 

「……? それ、なに……?」

「……これ、落ちてた……仮面……?」

「仮面……変な形」

 

 確かに凹凸がいっぱいあって、普通の仮面じゃない気がする。というか、仮面だと認識できるのはおかしな感じだと思う。水晶とかそんな感じなのに。

 

「これ、戻してみよう」

「ん。でもなにも起きない」

「数が足りない? 違う、力が弱い……戻してみる」

 

 えりちゃんが力を発揮すると、目の前が真っ白になっていく。

 

 

 

 

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 小さな黄色い園児の服を着たピンク色の髪の毛の女の子が楽しそうに他の同じ年くらいの子供と遊んでいる。なんだか楽しそうに見える? 楽しそうってなんだろ?

 映像を見ていると、大人の人が迎えにきて金髪の男の子と一緒にお外へとでていく。男の子は大人の人と手を繋いで歩き、女の子は背負われている。そんな状態で進んでいると前からやってきた白い車が横から飛び出してきた車にぶつかって三人のところに飛んでくる。

 三人は無事だったけれど、ぶつかってきた車からでてきた人は腕が筒のような物になっていて、そこから礫を放ってくる。三人が必死に隠れていると、その人達は白い車の中の人を殺して、積んであった銀色のケースを持って別の車に乗ってどこかへと走っていった。

 白い車から血塗れの人がでてきて、三人の前で倒れる。それはピンク色の子供に覆いかぶさり、彼女の顔や身体が真っ赤に染まっていく。

 

 

 

 

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 気が付いたら元に戻っていた。手に持っていた仮面は手の中にある。これはまだ欠片だとわかるし、さっきのが私の記憶だとも理解できた。

 

「大丈夫?」

「うん、大丈夫」

 

 私に抱き着いてこちらを心配そうに見上げてくる壊理ちゃん。とっても可愛いくてつい頭を撫でてしまう。すると安心したのか、微笑んでくれる。

 

「よかった……どうだった……?」

「これ、記憶がみれた」

「なら、集めよ……?」

「ん」

 

 とりあえず、集めてみる。ただ、結晶体みたいな奴以外にも仮面の欠片がある。こっちは普通の仮面だった。今はまず結晶体のほうを集めることにする。記憶がないのは嫌から。

 暗い中、壊理ちゃんと一緒に仮面の欠片を拾い集めて合わせてみる。今度の仮面は明るい感じだった。

 

 

 

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 家族と一緒にテーブルの上にある豪華な料理とケーキを囲んで先程の小さな女の子が蝋燭の火を吹き消していく。それから渡されるプレゼントの一つにあるぬいぐるみに頬っぺたを擦りつけていく姿がある。

 そのあと、兄と母とお風呂に入り、家族四人で一緒のベッドで眠る。女の子の手には熊のぬいぐるみが握られていた。

 

 

 

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 結晶体の仮面が大きくなった。これは私の記憶で間違いない。私の成長の記憶だと思う。じゃあ、別の仮面はなんだろう?

 

「えりちゃん、これ何……?」

「これはえりと同じ、"個性"の人だよ」

「"個性"の人?」

「私達は"個性"に残る持ち主の記憶や感情でできた残留思念って奴なの!」

 

 指を立てて胸を張りながら説明してくれる壊理ちゃんは背伸びしている感じで可愛い。

 

「そっか、ありがとう。後回しでいいかな?」

「いいと思うよ」

 

 拾い集めていくと、中にはなんだか嫌な予感がする結晶体の仮面の欠片があった。それも拾ってみる。

 

 

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 今度は車を襲った奴が目撃者を消しにきて一緒にいた友達やその両親が目の前でキメラ(ライオンに蛇の尻尾、グリフォンの下半身の姿に変身した奴)に食べられた。次に狙われ、口に入れられて噛まれる瞬間にお兄ちゃんが身を挺して私を助けようとしてくれた。でも、相手に腕を振るわれて吹き飛んでいって全身から血を出していた。

 泣きわめきながら、お兄ちゃんの下へと向かおうとすると爪で捕まれて上に放られる。そして、口を大きく開けて私を食べようとしている。口の中は血だらけで友達の一部が歯に挟まっている。口の中に落ちていき、牙が迫ってくる。その時、筋骨隆々な人がきて吹き飛ばして助けてくれた。それから、お兄ちゃんが無事だと知ってほっとしたのか気絶した。

 その後は気絶して病院に連れていかれ、なにもかも忘れていた。同時に前とは違うような人格になっている感じがした。

 

 

 

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「顔が真っ青だけど、大丈夫?」

「うん、大丈夫、大丈夫……」

 

 不思議と身体が震えてくる。何故かわからないけれど無性に寒い。思わず身体を抱きしめると、その上から壊理ちゃんが抱き着いてきた。

 

「これであったかい……?」

「うん」

「よかった。それと怖がらなくても大丈夫だよ……ここにはえりも、他の人もいっぱいいるから」

「……うん……」

 

 壊理ちゃんに抱きしめられてから少しして、お礼をいうとにぱぁと笑ってくれた。小さな女の子に抱きしめられると、何故か顔が真っ赤になる。これ、なんの感情だろうか? わからない。とりあえず、一緒に次の仮面を集めて記憶を見る。それにしてもなんだか、ほぼ球形の結晶体になってきた。

 

 

 

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 一人の女の子が"個性"に覚醒し、最初とは別の幼稚園で崇められていた。前のことは覚えていないみたいだけど、なにかを感じているのか、別の記憶を思いだしたのか、言動が変わり、"個性"をひたすらなりふり構わず鍛えるようになった。お兄ちゃんもそれに触発されたのか、一緒に頑張って鍛えだした。

 

 そして時は経ち、暴れ狂う(ヴィラン)とそれを止めるヒーローの激しい戦いが終わった瞬間、(ヴィラン)の方の"個性"をこのために鍛え続けていたお兄ちゃんがコピーして奪い、それを妹に与えた。

 

 妹はアメリカに渡り、"個性"を集めていった。

 

 

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 無数の仮面を集めて記憶の断片を見ていくと、わかったのは私は感情を操る"個性"と"個性"を集め、与える"個性"を手に入れたこと。そして、沢山の"個性"、仮面を集めたこと。

 

「これで完成?」

「多分……?」

 

 目の前には球体の結晶体がある。でも、これで完成とは思えない。なんだか、仮面の一部なような気がする。

 

「でも、他に結晶体の欠片はない……」

「なら、仮面を直したらいいと思うよ」

「それもそうか」

 

 ここにある仮面はそれぞれ持ち主だった存在の記憶もあるみたいだし、頑張って直していこう。壊れたままだったら可哀想だし。可哀想ってなんだっけ?

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 壊理ちゃんと一緒に仮面を直すと、私だけが別の場所に飛ばされた。

 

「おや、君は迷子なのかな?」

 

 記憶を見るはずが、スーツ姿の男性から声をかけられた。この仮面はやっぱり私の物じゃないみたい。多分、この人が仮面、"個性"の残留思念なのかな?

 

「……わからない……」

「そうか。それは困ったね。ふむ、疲れているようだし休憩してはどうだね? 僕とお茶をしようじゃないか」

「お茶?」

「ああ、そうだ。駄目かな?」

「いい」

「それはよかった」

 

 すぐにテーブルと紅茶が用意され、コップを渡される。それをちびちびと飲みだすと、周りの景色が変わってリアルな映像が映し出される。まるでその映像の中に入ってその人達と一緒に体験するみたいな感じ。このストーリーは"個性"を持つ兄と"個性"を持たない弟のお話。

 

「これは僕の記憶だ。解説してあげるから一緒に見ようか。その方が君も使いこなせるようになるだろう。僕としてもどうせなら使って欲しいからね。だからこそ、現状は受け入れられない。君が本来持つ"個性"ばかり使っているしね」

「ん」

 

 不老になり、裏社会の魔王となった兄とその兄を止めるために力をストックする"個性"と譲渡する"個性"を合わせた弟の後継者達の戦い。

 

「君は僕の後継者ではなく、(オール・フォー・ワン)になれる。一緒に魔王を目指さないかい? 君の"個性"があれば、なんだってできるんだ」

「自分では目指さない?」

「それを君が言うのかい? オリジナルから僕を奪っておいて?」

「そうなの? そうなのか」

 

 確かにこの人のオリジナルから"個性"を奪った。なるほど、確かにこの人の言う通り、私がなるべきなのかもしれない。

 

「そうだよ。まあ、捕まっちゃったわけだし、別にいいんだけどね。それにすでに僕は君だ。僕達は一つになったのだから」

「怒ってない?」

「怒る? ありえないね。君は長年、僕を奪う計画を立てて見事に実行した。僕が全く動けない時を狙い、この時以外は成功しないと断言できるほどベストなタイミングで奪っていった。これはとても素晴らしいことだ。僕とオールマイトを出し抜いて自ら僕の後継となったんだから」

「違う。それは私じゃない」

「いいや、君さ。記憶を失くし、感情を失くそうともね。むしろ、魔王には感情がない方がいいかもしれないね。僕はそれで失敗したのだから」

「ん、わかった」

「そうだ。良い子だ。と、言っても君の好きにするといい。僕はここから見ているだけだ。今は他の"個性"を直し、彼等の記憶を旅してくるといい。それが僕達を使いこなすためには最低限、必要なことだからね」

 

 

 

 

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 元の場所に戻った。手にはしっかりと修復された禍々しい仮面が握られている。じーと見詰めていると、ぽふっという音がしそうな感じで壊理ちゃんが抱き着いてきた。

 

「大丈夫、でした?」

「うん、お茶をもらった」

「いい人だった……?」

「わかんない。ただ、仮面を直して"個性"に残った記憶を旅してくるといいって教えてもらったよ。手伝ってくれる?」

「ん。もちろんだよ」

 

 壊理ちゃんと一緒に散らばっている仮面の欠片を拾い集めようとしたら、手に持つ仮面が邪魔だと思った。すると仮面が勝手に浮かび上がって周りを漂いだした。よくみるとさっきの結晶体も浮いている。これで両手は空いたのでいっぱいある欠片から二人で一生懸命に合わせて正解を探していく。数えてみたら全部で三千百九十三個も欠片があるのでとても、とてもつらい。

 

 

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 次に完成したのは仮面は狐の仮面。その人は千変万化の"個性"を持つ女性で、稀代の詐欺師だった。狐の獣人に化けたその人の(ヴィラン)名は玉藻。その名の通り、千の姿を持つかのように自由自在に化けられ、能力もそれに準じる。"個性"こそないけれど、身体能力などはそれと同じ。物にすら化けられるのでとてもすごい"個性"。

 

「いらっしゃいませ、お嬢さま♡ わらわ自らが歓迎してあげるわ♡」

 

 チャイナドレスのようなレオタードみたいなぴっちりとした白い服を着て羽衣みたいなのを持った、絶世の美女と呼ばれるにふさわしい人が迎え入れてくれた。彼女の尻尾は九本もある狐、白面金毛九尾を擬人化した綺麗なお姉さんが待っていた。

 

「ささ、お話ししましょう? 大丈夫、少しだけ身体を借りるだけですわ♡ 大丈夫、なにも問題ありませんの。ホ―――ッホホホホホホホ♡」

「帰る」

「待って、待ってくださいまし!」

 

 縋り付かられたので、仕方なく一緒に映像を見ていく。するとこの人も古くから生きていて、時の権力者の妻となり、利用して色々とやったみたい。特に策謀とかが好きて、五桁に及ぶ人が犠牲になっている。間接的にはもっと犠牲者がいる。中国にいたらしいけれど、見付かって敗北してアメリカに逃げてきたみたい。そこで同じようにしようと思ったら、あちらか連絡がきていてヒーローや政府の人達と皆で騙して捕らえられた。本人はタルタロスみたいなところに入れられても逃げおおせる自信があったみたいで、余裕綽々で残っていた。でも、前の私が入ってきて"個性"で感情を操って大好きにさせ、色々と余罪を吐かせた上に"個性"を奪われて今はもうどうしようもなくなった。"個性"がなくなり、姿を維持できなくなったのか、そのままおばあちゃんになったらしい。つまり、この人はさっきのお兄さんと同類だった。あっちの方が悪だったけど。

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「あんな風になっちゃ駄目だよ?」

 

 あったことを伝えていくと、壊理ちゃんも仕切りに頷いてくれた。

 

「お姉ちゃんもだよ?」

「う~私も?」

「うん。だって、お姉ちゃんはえりのヒーローだもん」

「そっか、そうだよね……」

 

 抱き着いてきて頬擦りしてくる壊理ちゃんの頭を撫でながら可愛がっていく。その後、二人でお話ししながら直していく。

 

 

 

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 次の仮面はまた違った。こちらは正義の味方(ヒーロー)を目指していた人だった。その人の"個性"は放射性分裂光(ガンマ・レイ)を持っていて、正義のために、より多くの人を助けるために少ない人を犠牲にし、沢山の人を殺してきたみたい。

 英雄と詠われていたけれど、次第にそれは理解されないようになっていき、投獄された。

 

「私は彼に憧れ、大を生かすために小を殺し続けた。その結果、3812人をこの手で斬って捨て、さらに大量の人を"個性"で薙ぎ払った。私の"個性"を使うなら気をつけろ。被害は尋常ではないぞ」

「ん」

「そして、なによりあの二人、狐とオール・フォー・ワンは絶対に信用するな。奴等は君を魔王に仕立て上げるつもりだろう。だが、そうなれば孤立し、一人になる。君の大事な兄は君から離れ、奴の弟のようになるだろう。それは不幸なことであり、どちらも幸せになれない。それとも、君は兄のことは嫌いか?」

「……わからない……でも、一緒にいたいとは思う……」

「感情はまだ戻らないか。だが、その気持ちは大切な物だ」

「わかった。大事にする」

「それと油断と慢心は駄目だ。常に鍛錬を続け、限界を超え続けるんだ。諦めそうになったら、まだだ! と唱え、できると信じ、何が何でも達成してみせると心に決めて挑めばいい。特に君の"個性"とならば相性は抜群だ」

「やってみる」

「ああ、それでいい」

 

 軍服を着て刀を振るい続けた彼はあの人と同じく、身体はぼろぼろで監獄の奥深くに収容されている。心は壊してある。聞くことは聞いたから、ただ安らかに眠るようにしてあるみたい。

 

 

 

 

 

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 さっきの軍服のお兄さんについても壊理ちゃんに話す。

 

「行き過ぎた正義はだめ……?」

「そういうことなのかな……?」

 

 二人そろって地面にぺたんと座りながら不思議そうに小首をかしげる。同じ身長なので、可愛らしい顔もみれる。いや、少し私の方が上になった? 誤差だけど。

 

 

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 次の仮面は火の海だった。その人は瞬間再生の"個性"を持つ人。白い髪の少女で家族を政治家やその政治家と繋がっていたヒーローに奪われ復讐に命を賭けた。そして復讐相手の一族郎党を皆殺しにしようとした結果、街一つを燃やし尽くして逮捕された不死身の人。

 

「おい、お前、私と遊べ。ここは退屈だ」

「ん、遊ぶ」

「久々に楽しませてもらおう」

 

 遊びは炎のボールを蹴り合って焼き尽くされたら終わり。互いに瞬間再生の"個性"を使っているので大丈夫。

 

「いいか、炎は友達だ。だが、操るのを失敗したら私みたいに大惨事だ。くれぐれも気をつけろよ。もっとも、私はもうぶっ殺してやったから気にしていないがな」

「ん、了解」

 

 実際、火事で街一つを焼き尽くした彼女は死刑になるはずが、殺せないので投獄された。イレイザーヘッドを呼ぼうかどうかということまで検討されたが、ヒーローに殺害させるのはどうなのだということで、そのまま投獄されている。また、彼女の口から語られた理由が理由であり、そういう扱いになった。カウンセリングを施し、"個性"が消えたのなら名前や顔など戸籍も含めて変更し、監視下であるが、普通の生活を送れるようにする予定らしい。

 

「こんなこともできるぞ」

 

 炎で動物を作ってくれる。リクエストすればいろんな物を作ってくれた。芸までやってくれた彼女はいい人。

 

「あと、狐は胡散臭いから信じるな。それとあの青年は……自分達のことを投影してお前達で試すつもりだ。だから、言う事は半分聞いて、他は流しておけ。あくまでも、お前がどうなりたいかによる。それを忘れるな。常に考え続けろ」

「考える」

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 それからも自分の記憶と"個性"の人の記憶をみて、仮面を集めていく。中には襲ってくる人もいたので、必死に逃げたり、応戦したりして仮面を手に入れていった。でも、ほとんどの人が好意的だったりする。皆、監獄の中は退屈していたみたいで、使え、もしくは身体を寄越せと言ってくる。そういう人はやっぱりいる。

 

「ふぅ~やっと、集まってきた」

 

 無表情でガッツポーズするぐらい、周りにはいっぱいの仮面が浮いている。私が集めた大切な仮面達。その仮面を使って一つの仮面を作り上げる。その中心に丸い結晶体をはめ込むと完成した。最後の人は決まっている。

 仮面が光輝き、仮面からでた光が人の形をして頭に仮面が装着される。

 

「我こそは物間こころ。よくわからないけれど感情を司る者。私だけは知っている。実はこの中にドッペルゲンガーのオカルト持ちがいる事を」

「それはもう終わった。ドッペルゲンガーは千変万化の人」

「お姉ちゃんが二人……」

 

 今度は現実(?)なので壊理ちゃんもいる。

 

「自分が二人……こういう時はどういう表情をすればいいのかはわからない……」

「私達の感情は制御が狂い、壊れている。だから、治さないといけない」

「どうすればいい……?」

「決まっている。私と最強の称号を賭けて戦え! 違った。どちらが本物の物間こころか、証明するために戦え! 融合すれば自ずと治るであろう!」

 

 目の前のこころは虚空から光の薙刀を生み出した。私も同じように放射性分裂光(ガンマ・レイ)を薙刀の形にして構える。すぐに駆け抜けて薙刀を振るう。でも、あっさりと避けられてカウンターで身体を吹き飛ばされた。瞬間再生の"個性"で火を纏いながら復活する。すぐに突撃するけれど、転ばされて刺される。

 

「ふぎゃっ!?」

「ふふふ、なっていない。そんなのでは私に勝てないぞ!」

「お姉ちゃん達、頑張って!」

 

 壊理ちゃんはどちらも応援してくれるみたい。どちらも私だし、しかたないね。

 

「むぅ……こうなったら、こう」

 

 仮面を掴んで彼を憑依させ、お願いする。すると私の服装が軍服に変わっていく。

 

「"個性"は"個性"に任せるのが一番」

「卑怯なっ!」

「我は気付いた。この戦い、絶対に勝たなけばいけないと」

「気付くの遅いぞ!」

「というわけで、お願い」

「了解した」

 

 仮面から声がして、私の身体が勝手に動く。遥か前から振るわれる薙刀は極光の光線を放ち、全てを焼き払う。その光は防ぐことができず、透過して肉体にダメージを与える。でも、残っていた仮面から復活してくる。私にはこんなことはできない。精々が薙刀で斬るくらい。

 

「肉体的ダメージなど、我には無意味、無駄、無価値なのだ」

 

 相手の薙刀を薙刀で受け止め、全力で戦う。瞬きする前に五回も攻撃し、弾かれる。同時に相手が扇子を振るって炎を放ってくる。

 

「まだだ!」

 

 炎ごと光線で消し飛ばし、復活する前に仕掛ける。でも、その前に小さな姿で飛び上がり、瞬時に大きくなってこちらに九本の尻尾で攻撃してくる。

 

「ふははは、お前では絶対に私に勝てない。物間こころではな」

「……なら、最終手段。えりちゃん、お願い」

「……ん……」

「卑怯な!」

 

 取り出したるは壊理ちゃんの"個性"の仮面。失う前の私が借りている"個性"。つまり、巻き戻せばいい。

 

「……?……」

「えりちゃん?」

 

 壊理ちゃんは一点を見詰めていた。そこには映像が現れていた。

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「……ぁぅぁ……」

「お前、この子になにをした」

「……」

「答えないか。まあいい。どちらにしろ、この子はもう決して悲しませない。俺がこの子のヒーローになるから!」

「汚いな……戻ってこい壊理。どうせお前は人を壊すように生まれてきた。お前の行動一つ一つが人を殺す。呪われた存在だ」

「自分の子になんでそんな事が言えるんだ!」

「俺に子などいない」

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 外の映像みたい。変化した私が捕まっていて、連れていかれそうになっている。そんな中、私を一度は見捨てたヒーローが助けにきてくれた。彼は私ごと殺そうとしてくる相手と戦い、奪い返してくれる。私のために必死になる彼の姿はとてもカッコイイ。それはまるでお兄ちゃんみたいでヒーローに間違いない。

 

「頑張れ」

「頑張れー?」

「……あ……」

 

 私と私と壊理ちゃんの三人で観戦していると、放たれた弾丸の二発の内、一つが間に合わずに私に命中し、もう一発は彼にあたった。それはどうやら"個性"を巻き戻して壊す"個性"で……周りの仮面が割れた

 

「あっ、あああああああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!?」

 

 集めに集めた仮面が粉々になってぐちゃぐちゃになった。どんなものか把握はできないけれど、とってもいっぱいある。多分、五桁は超えている。

 

「こふっ」

 

 目の前の私も血を吐いて倒れ、ひび割れていく。

 

「くそぅ……絶対に気付かれ、なければ勝てたのに……後は、まかせ……」

 

 ぱたんと倒れて身体が消え、残されたのはパキンッと砕かれた仮面の破片だけ。なんだか水滴が頬っぺたを伝っていく。

 

「お姉ちゃん……大丈夫。なおるよ……?」

「えりちゃん……?」

 

 壊理ちゃんは無事だった。元々壊理ちゃんの"個性"だから無事だったのかもしれない。そうじゃなければ私はもう終わっていた。言われた通り、慢心と油断は絶対に駄目だと思う。

 

「一緒になおそ?」

「う、うん……」

 

 水滴を流しながら、壊理ちゃんと二人で一つ一つ直していく。大量にあるそれらは何が何がわからない。でも、一つ一つ整理していくと新しい仮面ができる。壊れた仮面同士がくっつけた場所から融合していった。むしろ、前のは絶対にできない。だって1582324もあるもの。

 

「まぜまぜ、まぜまぜ」

「合成、あった」

「……くっつけるー」

 

 合わないのはどうしてもあるので、他のと合わせて仮面を作っていく。壊理ちゃんが無事で本当によかった。

 最終的に完成したのは直径約10センチメートル(4インチ)程のほぼ球形の結晶体で、不揃いな大きさの切子面を数多く備えている。色はほぼ漆黒で、ところどころ赤い線が入っている。多面体の仮面といっぱいの仮面。この多面体の仮面が物間こころの物。色々と混ざったけれどきっと大丈夫。

 

「……噛んでも舐めても、咥えてもなにもおきない。どうしよう?」

「……仮面だから、かぶるとか……?」

「なるほど」

 

 もしかしたら、気付かれなければ絶対に勝てないというのは、仮面を攻撃するか、被らないといけなかったのかもしれない。仮面は残ってたし。

 

「おっ、おおおお。なんだか力が湧いてくるー」

「よかったね」

「うんーでも、使い方がわからないー」

 

 直し終わったけれど、感情がわからないのでそれがどう働くとかがわからない。なので外にいる奴を見ることにする。するとなんだか身体の奥底からふつふつと何かが湧き上がってくる。それは仮面達も一緒みたいで、全会一致でこれからやることが決まった。たとえ相手がなぜか知らないが叫んでいても関係ない。やられたらやり返す。瞬間再生の"個性"と放射性分裂光(ガンマ・レイ)を合わせたゲヘナの炎で焼き尽くしてやれ。ってみんなが言ってた。

 

 

 

 

 




壞理ちゃんは大天使

こころちゃん
記憶はなんとかもどってきているけれど、封印した記憶もみた。感情はほぼなくなり、理解できなくなっている。

壊れて合成され、再構築されたのでペルソナをしゅうと……げふげふ
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