IS(インフィニット・ストラトス)~騎士の物語 作:武御雷参型
女権団と睦月たちとの間に割り込む形で舞い降りる、国際IS委員会所属、対IS部隊“天照”。元々は、秘匿部隊であったが、一夏がISを操縦する事が出来ると分かった日本支部は、急遽、天照隊を正式にIS委員会日本支部所属へと変えたのである。
「我々は国際IS委員会日本支部所属、対IS部隊天照隊だ。通告する。今すぐ、武器を捨てて投降しろ。これは一度だけの通告だ」
龍聖は規則に則り、警告を発する。だが、団員は聞き入れないのか、武器を捨てる様子を見せなかった。
「はぁ……各自、武器展開」
龍聖の指示があった瞬間、雷鳥はビームライフルを展開させ、雲雀はビームガトリング砲を展開する。そして、斑鳩はドラグーン六基と執月之手、ルプスを展開した。
「撃て」
この短い合図で、女権団が所有する打鉄、ラファール、イーグルは武器を破壊され、シールドエネルギーは枯渇し、機体を維持することが出来ないまま、操縦者を地面へ落した。
「最終通告だ」
「ヒッ⁉」
龍聖はゆっくりと女権団の元へ寄りながら、武器を構えた。自分が撃たれると思った団員達は短い悲鳴を上げる。
「両手を上げろ」
こうして、一瞬で終わった一夏誘拐未遂事件であった。
睦月たちはその後、何事もなく日本支部へと到着した。天照隊は睦月たちが日本支部へ入るのを確認した後、カタパルトデッキへと戻っていたのである。
「いやぁ、一夏君。災難だったね」
「………」
一夏は睦月の事が信じられなくなっていた。先ほどの睦月の行為で一夏の好感度はダダ下がりであった。
「一夏君………もしかしてさっきの事で怒ってる?」
「ッ⁉ 当り前じゃないですか‼ 俺を売ろうとしたり、助けようとしたり………あなたの事を信頼しようとしていたのに………あなたは何がしたいんですか‼」
一夏は怒りを露わにして睦月に詰め寄った。
「まぁ、確かにさっきの事は謝ろう。すまなかった。相手の意を突くにはあれしかないと思ってね………すまなかった」
睦月はそういうと、一夏に頭を下げたのである。
一夏は、睦月に頭を下げられ気が動転してしまう。
「い、いや‼ 俺も……言い過ぎたかに思います。俺の方こそ、すみません。助けてもらったのに、怒りをぶつけてしまって……すみませんでした‼」
日本支部の入り口で少年と男性が頭を下げあっている姿は、シュールであった。
「はいはい、そこまでにしてください。時間が迫っているんですから」
すると、エレベーターから一夏と同い年ぐらいの青年が現れ、二人をなだめ始めた。
「あなたは?」
「そういえば、自己紹介がまだだったな。俺の名は黒崎龍聖。この日本支部の対IS部隊の部隊長をしている」
「なら、さっきの‼」
「ああ、俺だ。そして、君より先にISを操縦する事が出来る初の男性操縦者だ」
龍聖はそういうと手を一夏に差し出した。
「あっはい‼ こちらこそ、よろしくお願いします‼」
一夏はそういうと、龍聖の手を握るのであった。
「さて、君の専用機についてなんだが………その前に君に会わせたい人がいる」
一夏は龍聖が自分に合わせたい人の事が解らず、顔を傾げていた。
「まぁ、ついて来てくれ」
龍聖はそういうと一夏を伴い、箒の待つ場所へと向かっていった。
「さて、ここで君に合わせたい人がいる」
「ここにですか?」
一夏は龍聖に連れられ、とある会議室の前へと来ていた。
「君の幼馴染である、篠ノ之箒さんだ」
龍聖はそういうと、会議室の扉を開けた。そこには、大きな部屋の中に一人だけ座っている箒の姿があった。
「ほう……き……?」
「い、一夏‼」
一夏はまさか、昔離れ離れになった幼馴染と再会できると思っておらず、また、一夏の覚えている篠ノ之箒はまだ幼さを持った少女のままで止まっていた。
だが、一夏の前に現れた箒は大和撫子を提言した様な女性になっていた為、驚きを隠せずにいたのである。
箒は一夏の存在に気付くと、一夏に駆け寄り抱きしめた。
「一夏……会いたかった………」
「俺だって………六年ぶりだけど………綺麗になったな」
「なっ⁉」
一夏の言葉に箒は嬉しさの余り、顔を赤くさせた。
「ウオッホン‼」
「「うわぁぁぁ⁉」」
龍聖の業とらしい咳に、一夏と箒は驚きの余り、叫び声をあげてしまう。
「そろそろ、移動したいのだが………後で時間を作るから俺について来てくれ」
龍聖はそういうと二人を連れてとある場所へと向かう。
二人が連れて来させられたのは、日本支部内にあるIS研究所であった。この研究所には様々な研究が為されており、斑鳩もこの研究所で誕生した場所でもあった。
「さて、二人に来てもらったのは訳がある。織斑君、睦月委員長が言っていた言葉を覚えているか?」
一夏は睦月に言われて事を思い出していた。
「もしして、俺に専用機が与えられる……という話ですか?」
龍聖は一夏が覚えていたことに安堵する。
「忘れていなくて良かったよ。さて、織斑君もそうだが、篠ノ之箒さんも同じように専用機が与えられる」
「わ、私にもですか⁉」
箒もまさか自分に専用機が与えられるとは、思ってもみなかった事で驚きを隠せない様子であった。
「君たち二人は、色々な所から狙われる危険性を持っている。現に一夏君は先ほど、女権団に襲撃されたろ? あれがこれからもあると考えていた方がいい」
龍聖の言葉に、一夏は己の身を守る手段がないことに、今更になって気付いたのである。
「さて、暗い話はここまでだ。君たちの相棒になる機体を紹介しよう」
龍聖はそういうと、タッチパネルを操作する。すると、奥から二機のISが一夏と箒の前へ現れる。
「まず初めに、織斑君の機体から………IISC-X01 白式。君のお姉さんである織斑千冬さんが愛用していた愛刀、雪片の発展型武器。雪片弐型が装備されている。また、近接だけでは心細いので、白式には少しばかりの銃器が搭載されている」
一夏は龍聖の説明を聞きながら、白式へと近づいて行った。
「織斑君、気持ちは解るが………篠ノ之箒さんの機体の説明をさせてくれ」
「ハッ⁉ すみません。白式に見惚れていました」
一夏は龍聖の言葉で現実へと戻った。
「さて、説明の続きだ。篠ノ之箒さんの専用機、IISC-X02 紅姫だ」
箒の目の前にある紅姫は、一見すると打鉄に近いものがあるが、所々、ラファール・リヴァイブの装甲を施されており、アンロックユニットには刀に模した突起物がつけられたスラスターが装備されていた。
「この紅姫の最大の特徴は、篠ノ之箒さんが剣道をしており、また、篠ノ之流剣術も身に着けていることもあり、近接型にさせてもらった。この機体には、試製無線式誘導兵器が採用されているが、空間認識能力を持たない人でも扱えるように、AIを組み込んでいる。だから、篠ノ之箒さんが扱う分には問題ないと考えている」
龍聖の説明を聞き、箒はゆっくりと紅姫の元へと寄っていく。
「これが……私の相棒になる機体………」
箒は自分に与えられた機体を見て自ずと気分が高揚するのを感じ取った。
「さて、今はまだ君たちの情報を入れていない………だから、さっそくその機体に乗ってもらう」
「「え?」」
龍聖の言葉に一夏と箒は、驚いた様子で龍聖の方を見た。
「大丈夫だ、最初は慣れるための、言わば、試運転といった所だ。ぶっつけ本番にはなるが、楽にして臨んでほしい」
一夏と箒は互いに顔を見合わせる。そして、一つ頷くと機体に乗り込んだ。
「さて、君たちにはこのアリーナの外周を歩いて来てほしい。時間はたっぷりある。ゆっくりとで良いでから、確実に自分のものにしてほしい」
「「はい‼」」
龍聖が臨時の教官となり、一夏と箒の二人を教えることとなった。
「さて、では外周を歩くぞ。先ほども言ったように、ゆっくりとで良いから、焦らずに行うように」
龍聖はそういうと、自分の専用機である斑鳩を展開した。
「何があっても良い様に、俺が後方から見守っている。さぁ、行くぞ」
一夏と箒は、白式と紅姫を動かそうとする。だが、二人の機体は一向に前へと進もうとしなかった。
「あれ? 動かないぞ⁉」
「なぜだ……動け、紅姫‼」
二人は躍起になってISを動かそうとする。だが、白式と紅姫は全く動く素振りを見せなかったのである。
「二人とも、力を入れすぎだ……最初はそうだな………ISを自分の体の延長線上と思って、動かしてみろ」
龍聖は二人を見兼ねて、アドバイスを出した。
「ISを自分の体の延長線上………」
「自分の体だと思えば………」
二人は龍聖のアドバイスを的確に吸収する。龍聖のアドバイス通り、自分の体の延長線上だと思いながら、足を一歩動かす感覚でISに指示を出す。
すると、先ほどまで動かなかった白式と紅姫はスムーズに動く様になったのである。
「これなら問題なさそうだな………」
龍聖は二人の進行速度が速いことを目にして、次のステップへと進んでもいいであろうと考えていた。
一夏と箒が国際IS委員会日本支部に来てから、数か月が経った。
既に一夏と箒の腕前は、天照隊の協力もあり、実力は国家代表候補生に近いものとなっていたのである。
「さて、二人とも」
龍聖は二人を労う為、二人を天照隊の隊舎に招き入れた。
「ここまでよく頑張った。最初の頃は危なっかしかったけど………今ではうちの部隊にほしい戦力になってきていると、俺は感じている。さて、今日はそんな二人を労う為に来てもらった」
一夏たちの座る席の前には様々な料理が置かれていた。
「今日は訓練は無しで、ゆっくりと休んでくれ。それから、これについては、天照隊との交流も兼ねている。話をするタイミングが無かったからな。明日からはIS学園に入学する為に必要なことを教え行くつもりでいる。とまぁ、長話もここまでにして………飯を食え‼」
龍聖の掛け声で、天照隊の隊員と一夏たちは料理を取っていくのであった。
「黒崎隊長。お客様です」
すると、部隊室の扉が開くと、日本支部の事務をしている女性が、龍聖に客が来たことを伝えに来る。
「客って………今日は誰かと会う約束をしていたか?」
龍聖は手帳を開くが、今日の予定表には誰とも会う約束をしていないことを確認した。
「西木野真姫様が来られています」
「真姫が?」
突然の真姫の訪問に龍聖は顔を傾げた。
「たいちょー、行ってきなよ」
「そうデース。愛しのgirl friendに会ってくるデース‼」
「………この部屋をピンク色に染めないで」
「折角来てくれたんだ……会って来いよ」
隊員たちは、真姫と龍聖が付き合っていることを知っているので、龍聖を揶揄い半分に真姫に会うように提言した。
「はぁ、ならお言葉に甘えて行ってくるわ」
龍聖は溜息を一つ零して、真姫に会うために部屋を後にした。
「あのう、真姫って人は誰なんですか?」
一夏は龍聖が部屋を後にしたのを見て、隊員たちに真姫の事を尋ねた。
隊員たちはニヤニヤとしながら、一夏と箒に真姫の事を教える。
「一夏、西木野病院は知っているな?」
「ええ、東京で大きな病院の事ですよね? それがどうかしたんですか?」
「真姫ってのは、その病院の理事長の娘でな。たいちょーの彼女なんだよ」
「「えっ⁉」」
一夏と箒はまさか龍聖に彼女がいるとは思いもしなかったので、驚きを隠せなかったのである。
「………婚約済み」
「「…………」」
一夏と箒はもう何があっても驚かないつもりでいたが、既に龍聖は婚約者を手に入れ、将来を約束されたことを知ると、もうどうでもよくなってしまう一夏と箒であった。
次回から、原作に入っていきます………多分
IS学園でユニットを組んでほしいか
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やってほしい‼
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やる必要なし