IS(インフィニット・ストラトス)~騎士の物語   作:武御雷参型

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今日はやけに筆が乗るぞ‼(と言いつつ、時間的に書けない)


第十一話

その頃、一夏はというとクラスで箒と話をしていた。

 

「一夏、やっていけそうか?」

 

「ああ、問題ないぜ。龍聖や睦月さんに教えてもらったからな」

 

原作では、最初に渡される参考書を、古い電話帳と間違えて(そんな事有り得るのか?)捨ててしまっているが、ここでは、IS委員会に保護されてからみっちりと勉強を叩き込まれていることもあって、授業に付いていけているのであった。

 

「あの二人に加え、天照隊の人たちが教えてくれたからな……問題は無いだろうが………足元を掬われるなよ?」

 

「ああ‼」

 

一夏はガッツポーズをして返事をする。

 

「ちょっと、宜しくて?」

 

「どちら様で?」

 

一夏と箒の会話に割り込んできたのは、縦ロールに金髪を整えた一人の女子生徒であった。

 

「まぁ‼ なんですの、そのお返事は‼ わたくしに話し掛けられるだけででも光栄なのですから、それ相応のお返事と言うものがありますでしょう⁉」

 

「「………(面倒くさいのが現れた)」」

 

如何にも現代に蔓延る女尊男卑に染まった女子生徒であったので、一夏と箒は同じ考えをしていた。

 

「聞いていますの⁉」

 

「聞いてる、聞いてる………それで、君は?」

 

一夏は目の前にいる女子生徒の名前を知らなかったのである。それもその筈。一夏は考え事をしていた所為で他の生徒の自己紹介を聞いていなかったからである。

 

「一夏、こいつはセシリア・オルコットだ。まさか、貴様………自己紹介の時、聞いていなかったな?」

 

「い、いや‼ ………はい」

 

箒に責められ、一夏は否定したが結局は肯定した。

 

「わたくしのことを知らない⁉ 由緒正しきオルコット家の当主であり、イギリスの代表候補生であるわたくしを‼」

 

セシリアという女子生徒は癇癪を起した。

 

「それと、あなたはわたくしの事をこいつ呼ばわりしましたわね‼」

 

箒にも癇癪の飛び火が回る。

 

「どう呼べば良いかと思ってな……気に障ったのなら謝ろう」

 

「フン、わたくしも高貴な貴族の出身。あなたのお名前は存じておりますわ。篠ノ之箒さん」

 

「それは、姉繋がりでか?」

 

箒の顔は鬼にも迫る勢いであった。

 

「箒、箒。顔‼ 顔‼ 怖くなってるぞ」

 

一夏は箒を落ち着かせようとする。

 

「フン」

 

箒は鼻息を吐くと、その場を後にした。

 

「なんなんですの、あの方は‼」

 

セシリアは箒の態度が気に食わないのか、怒っている様子であった。

 

「まぁ、箒も悪気があってやった事では無いんだがな………どうしてもアイツの姉の事になると、ああいう風に激変するんだ。箒の代わりに謝るわ。すまない」

 

一夏は箒の態度に呆れながら、セシリアに謝罪をする。

 

「………良いですわ。それで――――」

 

セシリアが続きを言おうとした瞬間、予鈴が鳴った為、中断せざるを得なかった。

 

「っ‼ また後で来ますから、逃げないように‼ よろしくって‼」

 

セシリアは一夏の返事を待たず、席へと戻った。

 

「なんなんだ、アイツは……」

 

一夏はセシリアの態度に胸糞悪い思いをするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の時間、教壇には真耶ではなく千冬が立っていた。

 

「それでは、地学の授業を始める……前に一つ、決めないといけない事がある」

 

そういうと千冬は、教壇に設置されたパネルを操作すると、電子黒板に“クラス代表者”という文字がデカデカと映し出される。

 

「このクラス代表者の説明を簡潔に行うと、再来週に行われるクラス対抗試合に出場する者の選出だ。また、このクラスの顔にもなる。謂わば、学級委員長と言うものだ。自薦他薦は問わない。誰かやってみないか?」

 

千冬の言葉の後、一人の生徒が声を上げた。

 

「織斑君が良いでーす‼」

 

「あっ、私が言おうとしたのに‼」

 

「もう一人の黒崎君で‼」

 

「男子が二人もいるんだもん。どっちかがなっても問題ないよね‼」

 

一夏と龍聖の名前が上がり始めた。

 

「ま、待ってくれ‼ 俺はそんなになりたくないぞ‼」

 

一夏が徐に席を立ち上がり、拒否しようと声を上げた瞬間、千冬からの制裁が下される。

 

「推薦されたものは、甘んじて受けろ……と言いたいが、黒崎に関してはクラス代表になることが出来ん」

 

千冬は龍聖が国際IS委員会日本支部所属、対IS部隊に所属していることが言えない為、何を理由づけにして龍聖を免れさせようかと考えた。

 

「なんで、黒崎君はクラス代表になれないんですか?」

 

一人の生徒が千冬に質問をする。

 

「織斑先生、良いですか?」

 

すると、千冬の助け舟として龍聖が挙手をする。

 

「なんだ、黒崎」

 

千冬は当人に任せようと、黒崎に発言を許した。

 

「まず初めに、俺を推薦してくれた事に感謝する。だが、申し訳ないのだが、俺は黒崎重工に呼ばれることがある為、クラス代表になれないんだ。だから、ここは国家代表候補生であるセシリア・オルコットさんを推薦する」

 

龍聖は皆が納得する様に説明したつもりだったが、却って火に油を注ぐ事となった。

 

「それだったら、オルコットさんも出来ないんじゃないの? ほら、国家代表候補生でしょ?」

 

「俺の場合は、この学園を卒業後、黒崎重工の次期社長になることが決まっており、会議とかで行かなくては行けない事があるんだ。だから、俺はクラス代表になれないんだ」

 

龍聖の説明に一人の生徒が疑問を投げつける。

 

「なんで、黒崎君が次期社長なの? 同じ名前だけじゃないの?」

 

生徒の質問に他の生徒達も頷いていた。

 

「そういえば、言っていなかったな。俺は黒崎重工の社長である黒崎大虎の一人息子なんだ。だから、次期社長になることが決まってるんだ」

 

【えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ⁉】

 

まさかの本当に黒崎重工の御曹司であるとは思ってもみなかったため、生徒たちは驚きの声を上げた。

 

「なら、もし私が黒崎君と結婚したら………はわわわわ」

 

一人の生徒が龍聖と結婚した後の事を考え、呆けていた。

 

「納得がいきませんわ‼」

 

すると、静かだったセシリアが急に机を叩きながら立ち上がり、非難をし始める。

 

「その様な選出は認められません‼ 実力的に言えば、わたくしの方が上‼ いきなり現れた男に物珍しさから選出するなんて、認められませんわ‼」

 

セシリアの演説にクラス中がシンと静まり返る。

 

「このイギリス国家代表候補生であるわたくし、セシリア・オルコットを選出したのは良い配慮でしたわ‼ ですが、わたくしとしてもプライドがあります‼ 故に、わたくしセシリア・オルコットは、黒崎龍聖に対し決闘を申し上げます‼」

 

セシリアの言葉に一夏と箒は、手を顔に当てた。また、千冬に至っては焦りからか、汗を掻いていた。

 

「………ほう? オルコットは委員会の記者会見を見ていないと、思ったのだが?」

 

「当り前です‼ 国際IS委員会の各支部長は女性がなるもの‼ 男性が支部長をしている記者会見なんて見ていませんわ‼」

 

セシリアの返事に一夏と箒は汗を大量に掻いていた。

 

「………織斑先生。代表にはなりませんが………代表を決める為、ISを用いて戦う事を進言します」

 

「ま、待て‼ 黒崎の気持ちは解るが、堪えてくれ‼」

 

千冬は龍聖の機体の性能を知っている為、龍聖が戦う事を止めようとした。だが、火のついたモンスターエンジンは止まる事を知らない。

 

「堪える? 織斑先生は面白い事を言う………これ以上、何を堪えろと言うのですか⁉

 

龍聖の言葉には怒りが籠っており、千冬はもうどうにでもなれという、諦めの気持ちが徐々に大きくなっていく。

 

「………判った。黒崎、織斑、オルコットの三人によるトーナメント方式で、クラス代表を決める。尚、黒崎が勝ったとしても、代表になるのは次に勝ち数が多い者とする。以上だ‼」

 

千冬の言葉に誰も異議を唱える者はいなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の終わりのホームルームにて、千冬は一夏と箒、龍聖の三人に教室へ残る様に言う。

 

「今日はこれにて授業は終わるが、明日も授業がある。皆、部屋に戻り次第、復習をするように。それから、織斑、篠ノ之、黒崎の三人は教室に残れ。以上だ。解散‼」

 

他の生徒たちは、千冬の解散の指示があった後、各自の部屋へ戻っていった。そして、一夏と箒、龍聖の三人が教室へと残された。

 

「さて、三人に残ってもらったのは、部屋の事についてだ」

 

「でも、千冬姉――イデッ‼」

 

一夏はいつも通り、千冬の事を姉呼びした瞬間、千冬からの鉄槌が下される。

 

「ここでは、織斑先生だ‼」

 

「俺と龍聖は委員会から直接向かう事になっていなかったか?」

 

「一夏………お前………」

 

「え? え?」

 

龍聖と箒は一夏を呆れた目で見ており、一夏はなんで自分が呆れられているのか解っていない様子であった。

 

「……一夏、まさかお前……睦月さんからの説明を聞いていないと、戯言を言うのではないな?」

 

「え⁉ えーと………すみません」

 

箒の言葉に一夏は惚け様としたが、諦めて謝る。

 

「一夏、よく聞け。俺たちは当初委員会から直接、学校に向かう事になっていたが、移動中の安全性を考え、急遽、学園の寮で生活する事になったんだ。まさか、お前、荷物を纏めていなかったな?」

 

「……はい」

 

「この戯けぇぇぇぇぇぇぇ‼」

 

龍聖の言葉に肯定すると、箒による制裁が行われた。

 

「それで、織斑先生。俺達の部屋はどうなるんですか?」

 

「あ、ああ(放って置いて良いのか?)」

 

千冬は箒によって制裁されている一夏を見ていたが、龍聖の言葉で顔を龍聖の方へ向ける。

 

「お前たちの部屋についてだが、黒崎は委員会から個室にする様に指示があった為、黒崎は個室となる。織斑と篠ノ之についてだが、個室に空きが無い為、お前たちには同室になってもらう」

 

「待ってください、ちふyじゃなくて、織斑先生‼」

 

箒はつい、昔の呼び方に戻りかけたが、千冬が出席簿を見せると、すぐに学校での呼び方に戻す。

 

「私たちは既に高校生です‼ 男女が一緒の部屋になるなんて……あり得ません‼」

 

「そうは言うが………箒、一夏の事が好きなのだろう? 今の内に唾を付けておけ

 

千冬は箒の耳元で囁くと、箒の顔は真っ赤になる。

 

「さて、これが部屋のカギだ。無くすなよ」

 

一夏と箒の部屋は、原作同様1025室。龍聖はその隣である1026室であった。

 

「では、下校時間だ。帰れ」

 

千冬はそういうと、教室を後にするのであった。




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次回の更新は、明日を予定しています‼

IS学園でユニットを組んでほしいか

  • やってほしい‼
  • やる必要なし

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