IS(インフィニット・ストラトス)~騎士の物語 作:武御雷参型
このまま、出来る所まで書いていこうと思います‼
そういえば、ラブライブ!とインフィニット・ストラトスのクロスなんて誰もしないよな………
第十話
春―――それは別れと出会いの季節。
それは、IS学園も同じことであった。
1年1組のクラスには、女子生徒しかいない教室に二人の男子生徒が座っていた。一夏と龍聖である。
一夏は脂汗を流し、龍聖は澄ました顔で席に座っていた。
「はーい、全員揃っていますね‼」
すると、教室の扉が開かれ、一人の女性が入ってくる。
「このクラスの副担任を務めます。山田真耶です。皆さん、よろしくお願いします」
山田先生はそういうと、お辞儀をしたが誰も返事をすることは無かった。
「(ダメよ、真耶。ここで挫けちゃったら、先生として見られなくなっちゃうわ‼)そ、それでは…自己紹介をしてもらいます。出席番号順でお願いします」
真耶は自己紹介するように促した。
「出席番号、21番。篠ノ之箒だ。名前から判る様に、篠ノ之束は私の姉だが、連絡をしていない為、姉の最近の情報を知らない。なので、私に姉さんの事を聞かれても教えられないので、聞かないでほしい。一年間、よろしく頼む」
箒はそういうとお辞儀をした。クラス中は、箒の姉の事でヒソヒソ話を始めるが、箒は何食わぬ顔で席へと座った。
「はい、篠ノ之さん。ありがとうございました………次は………織斑君………織斑君? 聞こえてますかぁー?」
真耶の前に座る一夏だが、何かを考えている様子で、真耶の言葉が耳に入っていない様子であった。
「一夏」
「うおっ⁉ な、なんだ龍聖」
見兼ねた龍聖が一夏の気を戻させると、一夏は驚いて龍聖の方を見る。
「今は自己紹介の時間で、お前の順番になったぞ」
「うえっ⁉」
一夏は正面を見ると、そこには涙目になっている真耶の姿があった。
「お、織斑君……自己紹介してくれるかな?」
「あっ、はい‼」
一夏は返事をすると、その場で立ち上がり、クラス中を見渡す。どの顔を見ても、何かを期待している様な顔をしており、一夏は何をしゃべっていいのか解らなくなってしまう。
「はぁ~、一夏。自分の好きな事とかを言えばいいんだよ」
「な、なるほど‼ 織斑一夏です。好きなことは家事全般です‼ 一年間、よろしくお願いします‼」
一夏の無難な自己紹介に拍手が起きることは無かった。
「え?」
一夏は疑問に思い、クラスを見渡すとそこには“まだ、話すことがあるでしょ?”と言う様な顔をしている生徒が多くいた。
「えっと………以上です‼」
一夏の終わりを告げる言葉に、クラス中のほとんどがずっこけた。
「あれ?」
一夏は何かを間違えたのかと心配になったが、次の瞬間、一夏の脳天に何か固いものが振り落とされた。
「いでぇ⁉ この痛みは……まさか‼」
一夏は何かを感じ取ったのか、その場を振り向くとそこには実の姉である織斑千冬の姿があった。
「ゲッ⁉ クラン大尉⁉」
「誰がゼントラーディ人だ‼」
そういうと千冬はもう一度、一夏の脳天に出席簿を振り落とした。
「人の頭をポンポン叩くなよ‼」
「貴様が変なことを言わなければ、落とさなくても良いものを………おっと、すまないな。山田先生」
一夏に辛辣な言葉を掛ける千冬であったが、真耶にクラスの事を任せていたことを思い出し、優しげな声で謝った。
「さて、諸君。私がこのクラスの担任を務める、織斑千冬だ。君たちを一年で使い物になる操縦者に育てるのが私たち、教員の仕事だ。判らないことは判らないままにせず、我々、教員に尋ねてこい。生徒の事を無下にする教員はこの学校にはいない。安心して、聞いてこい‼ いいな‼」
千冬の演説に返ってきたのは、返事ではなく黄色い悲鳴であった。
「きゃぁぁぁぁぁ⁉ 千冬様よ‼」
「ずっと、ファンでした‼」
「私を抱いてください‼」
【お前は黙っていろ‼】
一人だけおかしな生徒がいたが、千冬は気にせず頭を抱えた。
「私が持つクラスは変人しかいないのか………」
呆れる様子の千冬であったが、それは逆効果であった。黄色い悲鳴は止まることを知らなかった。
「きゃぁぁぁぁ‼ お姉さま‼ もっと罵って‼」
「でも時には優しくして~」
「そしてつけあがらない様に躾をして~」
「そして、私を抱いて‼」
【まだ言うか⁉】
本当にこのクラスは変人しかいない様であった。
「はぁ、煩いぞ‼ 静かにせんか‼」
【はい‼ お姉さま‼】
千冬の鶴の一声。クラスは忽ち静かになる。
「さて、もう一人の男子生徒がいるからな……時間が惜しい。挨拶しろ」
千冬はそういうと龍聖の方を見た。
「黒崎龍聖です。黒崎重工の企業代表と国際IS委員会日本支部代表として来ています。好きなものは………特にないです。一年間、よろしくお願いします」
龍聖は簡潔ながら自己紹介をする。表上では龍聖は黒崎重工の企業代表としているのである。ただし、有事の際には、国際IS委員会日本支部所属、天照隊隊長として動くことが許可されているのである。
「まだ聞き足りない様子だが……先ほども言ったように時間が惜しい。これにてホームルームを終わる。黒崎、後で私と話がある」
「判りました」
千冬はそういうと真耶を連れて教室を後にした。それと同時に、チャイムが鳴り各々は一夏と龍聖の元へと駆け寄ろうとした。
「すまないが、俺は織斑先生に呼ばれているんでな……また休みの時間にでも話をしよう」
そういって龍聖は逃げ出した。
「あっ、オイ‼ 龍聖、ずるいぞ‼」
「俺は織斑先生に呼ばれているんだ。一夏……グッドラック‼」
教室の扉から顔を覗かせた龍聖はサムズアップをして、今度こそ教室を後にするのであった。
「すまないな、黒崎」
「いえ、大丈夫です」
龍聖は千冬と話をする為、生徒指導室へと来ていた。
「ところで、話というのは?」
「学園長から話は聞いている……有事の際は対IS用武装隊隊長として動くんだな?」
「ええ、そんな事が無い事を願っていますが、絶対という言葉は存在しませんから………指揮系統はどういう風になるのですか?」
龍聖は有事の際に指揮がどうなるかについては、睦月から学園で聞く様にと言われていたのである。
「一応、私が緊急時に指揮権を委ねられているが、有事の際は独自の判断で動いてもらって構わない。ただし、事後報告は必ずすることだな」
千冬は龍聖に独自権限を与えたのである。それは実質、国際IS学園では生徒会長と同等の権限が与えられたと同じ事であった。
「判りました。では、有事の際は自分の独自判断で行動を行います」
龍聖はそう言うと、生徒指導室を出ようとしたが、千冬が待ったを掛けたのである。
「黒崎、待ってくれ」
「なんでしょうか?」
龍聖が振り向くと、そこには頭を下げている千冬の姿があった。
「一夏を……弟を助けてくれて感謝する」
「………俺は何もしていませんよ。行動を起こしたのは山本睦月支部局長です。俺は単に手助けをしただけです」
「それでもだ。一夏を二度も失う事になりそうだったんだ………感謝する」
龍聖は頬を一掻きして、違う方向を見た。それは、龍聖にとっての照れ隠しの一つであった。
「ま、まぁ……受けとっておきます」
そう言って龍聖は生徒指導室を後にしたのであった。
龍聖が去った生徒指導室に千冬の他に、もう一人の生徒が静かに千冬の背後に現れる。
「織斑先生……彼が………」
「ああ、国際IS委員会日本支部所属、対IS部隊“天照隊”の隊長の黒崎龍聖だ」
すると、生徒が手にした扇子を開くと、そこには達筆で“油断大敵”と書かれていた。
「IS委員会を敵に回したくなければ、彼にちょっかいを出すなよ。楯無」
「それは約束できないですね………ですが、家としても委員会とのパイプは欲しいので、接触はさせて頂きます」
楯無と呼ばれた生徒はそういうと、静かにその場を後にするのであった。
「厄介な奴に目を付けられたな………黒崎」
千冬はそう呟くと、生徒指導室を後にするのであった。
生徒指導室を後にした龍聖であったが、懐に仕舞っていた携帯が震えていることに気付く。
「誰からだ? 真姫か……俺だ。どうかしたのか、真姫」
着信の相手は龍聖の婚約者である西木野真姫からであった。
『どうかしたじゃないわよ。あなたの事が心配で電話したのよ?』
真姫はいつも通り、ツンとした声をしているが、龍聖は真姫の声の中に心配している事が解った。
「まぁ、確かに心配するよな……女子高の中に放り込まれたらな………でも、俺は真姫以外に愛する者なんていないぞ」
『ば、バカじゃないの‼ 誰もそんな心配してないわよ‼』
真姫は照れ隠しなのか、声を荒げた。
龍聖はそんな真姫に苦笑いをする。
「そうだ、そっちは問題ないのか?」
真姫が音ノ木坂に入学していることは既に知っている龍聖は、真姫の事を心配する。
『こっちは何も問題は………なくはないわね』
真姫は意味ありげに龍聖に教える。自分が通う音ノ木坂が来年度を持って廃校することを。
「マジかよ……と言う事は、真姫が進級しても後輩が入ってこないと言う事か」
龍聖はまさか、由緒正しい音ノ木坂が廃校の危機に迫っているとは思いもしなかったのである。
「だがよ、音ノ木坂と言えば伝統ある高校だろ? そんな高校が廃校って………何があったんだ?」
『ほら、前に話したでしょ。UTXに入ろうか迷ってるって……』
「そういえば、そんな話をしてたな………UTXって言えば最近新しくできた高校じゃないか……あっそういう事か」
龍聖は音ノ木坂高校の廃校の原因が理解することが出来た。
『そういう事よ………私たちの代で音ノ木坂が廃校って………嫌になるわ………これだったら、最初っからUTXに入学すればよかった』
真姫はうんざりした風に言う。
「ま、入学したものは仕方がない。音ノ木坂で良い思い出を残せよ」
『解ってるわよ………それで、いつ会えるの?』
真姫と龍聖はお互い、忙しかった所為で中々、会う機会が無かったのである。
「いつと言われてもな………ゴールデンウィークぐらいしかないかも」
『………長いわね』
真姫は悲しそうな声をする。お互いが会いたいと思っていても、中々会えないのは悲しい事なのである。
「まぁ、休みの日には出れるし………会う事は可能かもな」
『そう………その時は連絡してきて頂戴。私も予定を開けておくから』
「判った。おっと、そろそろ授業の時間だ。また休み時間になったら連絡するから」
『勉強、頑張りなさいよ』
「大丈夫だ。委員会でたくさん、勉強してきたからな。じゃぁ、切るぞ」
龍聖はそう言って電話を切ろうとした。だが、真姫が待ったを掛ける。
『待って‼』
「なんだ、手短にな」
龍聖は真姫が自分に何か言い忘れていたことがあったのか疑問に思っていると、真姫からトンデモナイ言葉が飛び出した。
『愛してる』
それを言った瞬間、電話が切られた。
「………アイツ、いきなり言うなよ」
龍聖の顔は真っ赤だった。
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