IS(インフィニット・ストラトス)~騎士の物語 作:武御雷参型
龍聖がピットへ戻ると、そこには千冬の姿があり、その顔は神妙な顔つきであった。
「……織斑先生。どうかされたのですか?」
「黒崎、お前は何を隠している」
「それは……どういうことですか?」
龍聖は千冬の言葉の意味を理解しつつ、惚けた様子で千冬に尋ねた。
「惚けるな‼ 貴様にBT兵器の適性が無い事は知っている………だが、貴様はあの膨大な数の誘導兵器を操りつつ、自分までも動く。それは並大抵の努力ではない………さぁ、黒崎。貴様は何を隠しているのか、きっちりと話をしてもらうぞ」
「俺がそう簡単に口を割ると思いますか?」
龍聖と千冬はその場で、睨み合いの攻防が始まる。だが、先に折れたのは龍聖であった。
「………はぁ~、判りました。ですが、言ったとしてもあなたは信じないと思いますよ」
「それでもだ。貴様の持つ力は異様さを放っている…………このままでは貴様を敵として見る他ない」
「それは、国際IS委員会を敵に回すことになっても……ですか?」
「ああ」
千冬の目には、覚悟と意思が込められていた。
「では、一夏の試合後に話をします。それでいいですね?」
「………良いだろう」
千冬はそう言うと、管制室へと戻っていった。
「(ヒナ……お前の事を話さなくてはいけなくなってしまったが………問題ないか?)」
〈私は、問題ないけど………マスターは大丈夫なの?〉
龍聖としては、本当はヒナの事を隠しておきたかった。もし、ISコアの人格が出現していることを知った学園が、斑鳩を研究の対象として没収される危険性を危惧していたのである。
「(本当は嫌だが………学園を敵に回す必要はない………それに睦月さんもそれを望んでいないだろうしな………ホント、面倒な事になったわ………)」
龍聖はセシリアとの戦闘をもう少し手加減をして、隠せばよかったと思っていたのであった。
「束、頼みがある」
管制室へ戻っていた千冬だったが、携帯を取り出し束の所へと電話を掛けていた。
『ちーちゃん。そのお願いっていうのは、黒崎龍聖君の事だね?』
「ッ⁉ ああ、そうだ。お前の方で何か、見つけているのではないのか?」
『うーん。ちーちゃん………今からそっちに向かうね』
束は徐にIS学園へ行くことを千冬に告げる。
「待て‼ 貴様が来る必要はないだろう‼」
千冬としては、これ以上、IS学園に問題を起こさせたくないという思いがあり、束が学園へ来ることを止めようとする。だが、束の意思は固かった。
『ちーちゃん………今回の件は私が直接、行かないといけない事なんだ………だからね』
「………(それほどまでに黒崎は要注意人物……と言う事なのか)」
千冬は束がここまで言った事が無かったので、龍聖は束にとって危険人物であると勘違いしていたのである。
「良いだろう……だが、問題は起こすなよ」
『解ってるよちーちゃん………なら、今から向かうね‼』
束はそう言うと一方的に通話を切る。
「黒崎………もし、一夏の身に何かしてみろ………貴様の命はないものと思え」
千冬は盛大に勘違いをするのであった。
だが、この勘違いに気付いた時、千冬はどうなるのか………それは、次回の楽しみである。
既にアリーナでは一夏とセシリアの試合が始まろうとしていた。
「わたくしはもう、慢心などせず、あなたを倒させていただきます‼」
「そうか………なら、俺も最初っから本気を出さないとな‼」
一夏とセシリアの気合の籠った掛け声の後、二人は同時に動きだした。
まず初めに先制を決めたのはセシリアであった。
「まずはこれで小手調べですわ‼」
セシリアはスターライトの引き金を引き、一夏を撃ち抜こうとする。だが、一夏も伊達に訓練をしていたわけではなかった。
「こんな攻撃、龍聖の訓練に比べたら温い‼」
一夏は迫るレーザーがどこに当たるのかを瞬時に理解すると、自由自在に白式を操り回避運動を取る。
「あなたもあの人もまだISを触って間もないのに………ですが、私は二度も負けることはありませんわ‼」
セシリアはブルーティアーズを展開させ、一夏へと送り込む。
「ここで、ビット兵器かよ………だがな、そんな攻撃はもう知ってるんだよ‼ そこだ‼」
「なッ⁉」
一夏はセシリアのブルーティアーズがどこから撃ってくるのか、判る様子でアサルトライフルを手に持つと、後方で自分を撃とうとするブルーティアーズを破壊する。
まさか、ブルーティアーズが破壊されるとは思ってもみなかった、セシリアは驚きを隠せなかったのである。
「お、おやりになりますわね………ですが、ここでおしまいですわ‼」
セシリアは残されたブルーティアーズを戻すと、スターライトの攻撃に加え、ブルーティアーズの攻撃を加えるという、龍聖と同じ攻撃をする。だが、龍聖とは違い、ブルーティアーズから放たれる攻撃は連射性を生かされたものとなっており、一夏はダメージ量を蓄積していく。
「クゥゥッ‼ このままじゃ………雪片を使うのも良いけど……遠距離型に対して近距離戦は自滅の一歩……他に手立てはないのか‼ ん? これは………もしかしたらこれでいけるかも‼」
一夏は何かを思いついたのか、アサルトライフルを量子変換させ、代わりに雪片弐型を手に持った。
「この遠距離型機であるブルーティアーズに近距離で攻めるとは………気が触れましたの?」
セシリアはそう言うが攻撃に手を緩めることは無かった。
「だから、これから見せるんだよ‼」
一夏はそう言うと、空いている手に何かを持つと、それをセシリアの方へと投げつけたのである。
「ッ⁉ グレネード‼」
セシリアは一夏が投げたのがグレネードだと勘違いし、ブルーティアーズを使い撃ち抜いた。だが、撃ち抜いた瞬間、大きな爆発が起き一夏とセシリアの間に爆炎が起き一時的にセシリアは一夏の事を見失ってしまう。
「しまった‼」
「これでおしまいだ‼ オルコット‼」
「クッ‼」
一夏は爆炎のお陰でセシリアの上空へと舞い上がり、そのままセシリアに切りかかったのである。
だが、一夏は雪片弐型をセシリアに中てることはしなかった。
「な、なぜその攻撃を止めたのですか‼」
「………この雪片弐型の力は強大だ………もし当て処が悪ければお前を傷つけてしまう……俺は誰も傷つけたくないんだ………」
「甘いですわね………ですが………」
セシリアは一夏の瞳に、龍聖とは違う意思が込められている事に気付く。
「わたくしの負けですわ………」
セシリアはこのままの状態では、一夏に撃つ前に自身が斬られる未来しか見えていなかった為、降参を宣言するのであった。
「オルコット………」
一夏は自分が勝てたことに喜びを感じつつ、まだまだであることを痛感する。
「あなたの意志を汲んでの降参です………わたくしには後悔の二文字は存在しませんわ」
そう言うセシリアの顔は、以前の顔つきとは違い乙女の顔になっていた。まぁ、一夏はそれに気づいていないが…………。
その後、一夏がピットへ戻ると箒が一夏の帰りを待っていた。
「一夏‼」
一夏がピットへ着陸し、白式を量子変換したのを確認するとすぐに駆け寄る。
「箒………勝ったのに……なんでかなぁ、勝った気がしないんだ」
「それは………」
箒も先ほどの戦闘は見ていた為、一夏の気持ちは痛いほど解ってしまう。
「一夏、勝ったんだ………今はそれだけで良いんじゃないのか?」
「だけど……」
一夏はまだ何かを言おうとする。だが、その前に箒は一夏に抱き着く。
「箒⁉」
いきなり抱き着かれた一夏は驚きの余り、固まってしまう。
「一夏………よく頑張ったな」
箒は一夏の頭を優しくなで始める。
「箒………今は喜んでいていいのかな?」
「ああ、ああ‼ お前は代表候補生に勝ったんだ………今は喜びをかみしめろ」
「………そうだな‼ ありがとう箒」
一夏はそう言うと箒をゆっくりであるが、箒の事を力いっぱい抱きしめ返す。
「い、一夏⁉」
まさか一夏が大胆にも自分の事を抱きしめ返したことに、箒は驚きを隠せなかった。
「俺………箒と一緒に訓練が出来てよかった‼ だから………これからもよろしくな」
一夏の屈託のない笑顔にやられた箒は、そのまま意識を手放すのであった。
こんな終わり方で良いのだろうか…………と作者は思うのでした(笑)
一夏の試合が終わり、龍聖は千冬に連れられ生徒指導室へと来ていた。
「さて、話をしてもらうぞ………と、言いたいが………出てこい、束」
千冬は天井を見上げ、束の名前を呼ぶと、天井の一部が開けられ、そこには束の顔が覗かれる。
そして、束は笑顔になり、千冬の横へと降り立った。
「篠ノ之………束……博士………」
龍聖はいきなり現れた束に驚きを隠せなかった。
「さて、こいつを交えて貴様の力の正体を話してもらうぞ」
千冬が束を呼んだのは、龍聖が嘘を言わせないようする為であった。
「その前にちーちゃん……私から良いかな?」
「珍しいな……良いだろう」
束は先に自分が来た目的を優先する。
「久々だね、コアNo095」
〈博士、私の名前はヒナです。今後はそう呼んでください〉
束の言葉に誰でもない声が響き渡る。
「誰だ‼ まさか……黒崎、貴様の機体のコアは………」
「はい、自分の機体のコアに人格が出現しています。ですから、遠隔兵器についてはヒナに任せているんです」
ここで、漸く千冬は龍聖の強さを認識するのであった。
「それにヒナだったっけ? 黒崎龍聖君との相性もばっちりだし………これなら、君の強さが解るよ」
束はそう言うと苦笑いをする。これまで、ISコアの人格が出現したという事例は一度も報告されていない。それは単にIS自体を相棒として見ている操縦者がいなかったという理由であった。
「フフ、なら私からは何も問題ないね………これからもISの事をよろしくね」
束はそう言うと生徒指導室を後にしようとした。だが、何かを忘れたのか千冬と龍聖の方を振り向く。
「あっ、そうだ。忘れてた………亡国企業と女権団、男権復興団に気を付けた方がいいよ。ちーちゃん、りゅう君」
そう言って束は今度こそ、生徒指導室を後にするのであった。
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やってほしい‼
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