IS(インフィニット・ストラトス)~騎士の物語 作:武御雷参型
束が出て行った生徒指導室に残されたのは、千冬と龍聖の二人となった。
「あのう、織斑先生………篠ノ之博士って極度の人間嫌いではなかったのですか?」
「あ、ああ……だが、お前の事を渾名で呼ぶほどだ……それだけあいつにとってお前はお気に入りに登録されたと言う事であろう」
千冬はまさか、極度の人間嫌いで有名な束が、龍聖の事を渾名で呼ぶとは思いもしずに驚きを隠せなかったのである。
「まぁ、それはさておき……黒崎の強さの意味が漸く理解した………すまなかったな。疑ってしまって」
「いえ、自分としてもISコアの人格が出現したと言っても誰も信じてもらえないと思っていたので……こちらこそ、勘違いをさせる様なことをしてしまい、申し訳ありません」
二人は互いに謝罪し合う。
「さて、黒崎。聞きたいことがある」
「なんでしょうか?」
「一夏の事なんだが………」
千冬の表情は教師の顔ではなく、一人の弟の事を案ずる姉の表情になっていたのである。
「あいつは……問題はないのか?」
「問題は無いですね。天照隊の面々にも多く訓練して貰っていますし、技術面では候補生と同等の技術を持っていると言っても過言ではありません………ですが………」
龍聖は言い難そうに言葉を濁す。
「何か、アイツがやらかしたのか⁉」
龍聖の意味深な濁し方に千冬は不安が駆け巡った。
「篠ノ之関係で………」
「………まさかとは思うが………一夏が…アイツが箒と付き合う事になったとか言わないよな?」
「…………」
「…………ウソダズンドコドーン」
もはや、千冬はキャラ崩壊する。まさか、唐念朴で有名な一夏が、誰かと付き合う事になる。これは千冬にとっては一大事であった。
「そうか……とうとう、アイツは誰かと付き合う事になったのか………ところでお前にはいないのか?」
「いますよ。それにお互いの両親も知っていますし、既に婚約も済ませています」
「………」
千冬はもはや、何も言わなくなってしまうのであった。
その日の夕方。龍聖は自室へ戻ると、携帯を取り出し真姫へ連絡を入れる。
『どうかしたの、龍聖』
ワンコールしないうちに真姫が出る。
「いや、なんとなく真姫の声が聞きたくなってな………」
『イミワカンナイ』
そう言いつつも、真姫は嬉しそうな声をしている。
「それで……スクールアイドルの件はどうなったんだ?」
『ヴェェ⁉ う、うん………私、作曲することにしたの』
「ほう? それはどういった心境の変化だ?」
アイドルなどに興味がない真姫が、スクールアイドルの曲を作曲することになった心境の変化に驚く。
『上級生からの誘いがしつこくって………でも、読んでって言われて………作詞を読んだら勝手に頭の中で曲が出来ちゃったのよ‼ 悪い⁉』
「いや、なんでキレるのさ………でも、真姫」
『何よ』
龍聖の呼ぶ声に真姫は恥ずかしさを隠す為、ぶっきらぼうに答える。龍聖はそれが解っており、苦笑いをする。
「それってさ………新しい発見じゃないのか?」
『どういう事よ…それ』
真姫は龍聖の言っている言葉の意味が理解できなかった。
「いや、だってさ。真姫にとってはアイドルの歌とか曲って、薄っぺらいとか軽いって前に言ってたじゃん。でも、歌詞を読んで………それだけその上級生が本気に取り組んでいると言う事が解ったから、作曲が出来たんじゃないのか?」
『………そうかも……』
龍聖の言葉に真姫は、理解した。自分が読んだ作詞の中身が、どれだけ上級生にとって本気でアイドルを目指しているのかを。
「だから、勝手に作曲が出来たんじゃないかな?」
『……そうね。ありがとう。相談に乗ってもらって』
「良いよ。俺は真姫の婚約者だし、お互い、めんどくさいキャラしてるしな」
『めんどくさいってどういう事よ‼』
龍聖の余計な言葉に真姫は怒る。
「ごめんごめん……でも、真姫。楽しみが一つ、増えたんじゃないのか?」
『そうね……龍聖の言う通りだわ。作曲という新しい楽しみが出来たかも………』
「なら、大丈夫そうだな」
龍聖は真姫の声に、しっかりとした決意のようなものが含まれていることに安堵する。
「それで、真姫はスクールアイドルはしないのか?」
『ヴェェぇ⁉ す、するわけないじゃない‼ 私は作曲するだけでいいのよ‼』
「そうかな……俺は真姫がスクールアイドルをしても、問題ないと思うけどな………」
『………龍聖は私がスクールアイドルをしても………おかしいって思わないの?』
真姫は自分に自信がない様に言う。
「何を言っているんだ? 真姫はかわいいからこそ、上級生にスカウトみたいなことをされたんだろう? なら、問題ないだろ? もしかして………きっかけが作れないから踏み止まっている感じか?」
『…………うん』
真姫としては、スクールアイドルに対して興味がないという思いは、少しばかりだが薄まっている様子であった。
だが、上級生からのスカウトに対して断りを入れてしまっている事で、今更、スクールアイドルになりたいと言い難いのであった。
「まぁ、何かのきっかけがあれば………スクールアイドルになれるんじゃないか?」
龍聖は何げなくそう言っているが………少ししたら真姫がスクールアイドルに入ったと知るとは、この時の龍聖は知る由もなかった。
『………もう少し、考えてみるわ』
「そうしろ。もし、真姫がスクールアイドルになったら、俺はグッズを買いまくる‼」
『な、なに宣言しちゃってるのよ、もう‼』
真姫は龍聖に怒るが、本気で怒っておらず、恥ずかしさを隠す為に怒っている風に装うのであった。
ちなみにだが、作者の部屋は真姫ちゃんが多く占めいているのである。(どうでもいい話)
「そろそろ、飯に行かないといけないから………切るな」
『うん……本当にありがとうね』
「おう‼」
龍聖はそう返事をすると、電話を切り携帯を懐へと仕舞うのであった。
「真姫がスクールアイドルになったら………ヤベェ、違和感が仕事を放棄するわ、絶対」
龍聖はそう言って食堂へと向かうのであった。
翌日、クラス代表が告げられた。
「このクラスの代表は、織斑一夏君に決まりました‼ 一繋がりで良いですね‼」
真耶の言葉にクラス中が沸きだす。
「ま、待ってください、先生‼ 確かに俺が勝ちましたけど、なんだか納得いきません‼」
「勝者は黙って、クラス委員長になれ」
千冬はそう言うと一夏の頭に、宝刀“出席簿”を振り落とし、鈍い音をクラスに響き渡らせる。
「グゥゥッ⁉ 何度も何度も人の頭を簡単に殴るなよ‼ それでもあんたは教師か‼」
「………織斑、もう一発…喰らうか?」
「はい、黙ります‼」
千冬は別の出席簿を見せる。だが、ただの出席簿ではない。IS装甲に使われている金属を使った、千冬専用の出席簿である。お値段は何と‼ 車一台分の値段がするのである。
「では、このクラスの代表は織斑一夏。異論はないな‼」
【はーい】
千冬の言葉に誰も不満を持つ様子はなかったのであった。
「………織斑先生、宜しいでしょうか?」
すると、セシリアが挙手をする。
「なんだ、オルコット……手短に済ませろよ」
「はい、ありがとうございます………まず初めに、黒崎龍聖さん。先日は申し訳ありませんでした」
セシリアは龍聖に向かって頭を下げる。
「いや、こちらこそ……短気になって怒ってしまった……こちらこそ、申し訳ない」
龍聖もその場から立ち上がり、セシリアに頭を下げた。
「それで…不躾ながらお願いがあります………」
「お願い?」
龍聖はセシリアからお願いをされる様な覚えが無い為、何が来るのか身構える。
「わたくしに………BT兵器の運用方法の指導をしてほしいのです‼」
「あっ、ごめん。ムリ」
「なぜですの⁉」
龍聖は即答で拒否し、セシリアはツッコミを入れた。
「いや、俺も多忙でさ……オルコットを指導できるような力持ってないし………」
龍聖はなんとかこの場を切り抜けようとする。だが、伏兵がいたことに気付かなかった。
「そう言いつつ、何気に俺と箒の訓練をしていた件について」
「うんうん」
「一夏ぁぁぁぁぁ⁉」
まさかの身内による裏切りに遭う龍聖であった。そして、もう一人。このクラスで最強の伏兵がいた。
「黒崎……次期社長になる者………上に立てないようでは、社長も務まらんぞ」
「織斑せんせぇぇぇぇぇ⁉」
まさかの千冬による援護射撃により、龍聖は逃げ道を失う。
「………判りましたよ‼ やればいいんでしょ、やれば‼」
龍聖は諦めて、セシリアの訓練に付き合う事になるのであった。
IS学園の校門の前に一人の少女が立っていた。
「ふぅーん、ここがIS学園ね………」
少女の手には、ボストンバック一つを持っていた。
「受付ってどこでやってるのかしら?」
少女はポケットを探ると、クシャクシャになった地図の様なものを出す。
「簡単に書いているけど………」
少女はそう言って、IS学園を見渡すが、どこにもそれらしいものが無かった。
「だから、どこにあるのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ‼」
少女の虚しい叫びが、IS学園に響き渡るのであった。
「…、だから………だろ‼ 俺にはまだ無理だって‼」
すると、少女の思い人である一夏の声が聞こえ、少女は声のする方へと向かった。
「だが、そう言うが……龍聖に訓練をしてもらって、強くなっている気がしているんだけど……」
「だったら、問題なかろう? それに天照隊に訓練して貰っているんだ‼ 自信を持て、一夏‼」
一夏と箒の姿を少女は、壁越しから見ていた。
「(何よ、アイツ‼ デレデレしちゃって‼)」
少女は掴む壁を壊した。え、この子……コンクリートの壁を破壊しちゃったよ⁉ 力強すぎ‼
少女はそのまま、その場を離れると、自力で受付を見つけ出した。
「それでは、手続きが完了しました。IS学園へようこそ、
受付で手続きを終えた鈴であったが、不機嫌を表に出しており、受付をしている女性は顔を傾げた。
「どうかされましたか、鳳鈴音さん?」
「……聞きたいんですけど……織斑一夏ってどのクラスですか?」
「噂の子? 一組よ。鳳さんは二組ですから隣のクラスですね」
鈴に聞かれた受付をする女性は、すぐさま、一夏の事を説明した。
「二組の代表って決まっていますか?」
「決まっているわよ? それがどうしたのかしら? ………ヒッ⁉」
受付をする女性は鈴を見ると、そこには龍を従えた鈴の姿があった。
「クラス代表を代わってもらおうかなって………」
鈴の額には、血管が浮かび上がっていたのであった。
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アンケートについては、ラウラのVT事件までとします。
IS学園でユニットを組んでほしいか
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やってほしい‼
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やる必要なし