IS(インフィニット・ストラトス)~騎士の物語 作:武御雷参型
小原財閥へ行ってから数日が経ち、IS学園では学年別タッグトーナメントが開催されようとしていた。
今年のトーナメントでのオッズは、セシリアと鈴の英国中国のバランスの良いタッグとラウラとシャルロットの独仏タッグが均等に並んでいた。しかし、それよりも高いオッズになっているのは、一夏と箒のタッグである。
片や世界最強の称号を持つ姉。そして世界をひっくり返した稀代の大天災の姉を持つ二人は、どの国家も期待の目で見ていたのである。では、龍聖は如何なのかというと…………最下位である。しかし、これにはちゃんとした理由が存在する。それは何か。
このトーナメントはタッグを組むことで出場権を有する事になるのだが………龍聖はなぜかタッグを組まず、一人だけの参加を余儀なくされていた。
「よく考えてみりゃ、これって無理ゲーじゃね………」
龍聖は一人だけ更衣室で項垂れていた。こうなってしまったのは、トーナメント戦が開催される前日にまで遡る。
龍聖は自室で明日の準備をしていた。すると、携帯が着信を知らせる呼び出し音が鳴り、龍聖は誰からの電話かと思い、画面を見るとそこに書かれていたのは、睦月の名が表示されていた。
龍聖は物凄く嫌な予感を抱きながら、通話に出た。
「はい、黒崎です」
『やぁ、黒崎君。明日の事なんだけどね………君一人で出場して貰う事になったから』
「は?」
睦月からの言葉に龍聖は訳が分からなくなる。トーナメント戦はタッグで組むことが前提で開始されるのにも関わらず、睦月は龍聖一人で出場する様にと伝えてきたのである。
『いや、よく考えてみてよ。君の斑鳩、ISコアの人格が出てるでしょ?』
「え、ええ。まぁ、そうですけど………それとどう関係が?」
『要するにだ。君と誰か組んだ場合、それはタッグとは言わないのだよ』
「………」
睦月が言いたいのは、ISコアの人格も一人として見るから、君一人で二人として換算する事が出来るから、君一人で出てね。と言う事である。
「………そう言う事なら……なら、遠慮なくやっても良いんですよね?」
『構わないよ。有事の際以外はリミッターが掛けられているし、そうそう簡単に問題なんて生じないと思うしね。まぁ、そうなっても僕か織斑氏が解除するしね』
斑鳩は国際IS委員会IS技術研究所と黒崎重工合同で開発されたスポーツ競技用のISであるが、実情は軍用機として開発されている為、特殊なリミッターが施されており、解除には睦月か千冬のどちらかの承認が必要なのである。
「まぁ、そう言う事ならば致し方が無いですね。わかりました」
龍聖は睦月に返事をしてしまった。
『よし、君は最後の試合で活躍してもらうからね』
「は?」
睦月は龍聖の返事を聞くと、龍聖の試合は最後と言い出したのである。
「どういうことですか⁉」
『………最後の勝ち残ったタッグと戦ってもらうよ。そう、君はシード枠としての出場となるから、よろしくね』
そう言って一方的に睦月は電話を切るのであった。
そして、時を戻し、龍聖は最初の試合がどのペアと組み合うのかモニターを見ていた。
「ほう……これはこれで面白そうな組み合わせだ」
モニターに表示されたのは―――――――
「まさか一夏が先に戦うなんてな………」
龍聖の顔は笑っているのであった。
とある島から一隻の潜水艦が出航し始めていた。
「……艦長、進路クリアー。いつでも出航可能です」
「そう……では参りましょう。女性だけの世界の為に………出航用意‼」
伊号潜水艦。旧大日本帝国海軍が総力を挙げて建造した潜水艦であり、理論的には、地球を1周半航行可能という長大な航続距離を誇る潜水艦である。だが、それは旧世代艦である。この伊-400はまた別の潜水艦と言える。なぜならば、機関が核融合炉を搭載しており、水上機の代わりに無人機を搭載しているからである。
これにより、半永久的に航行する事が可能となっている。また、潜水艦は一度、空気の補充をしなければならないが、この伊-400は艦内に大型空気循環器が装備されていることにより、浮上しなくとも空気の循環がされ永久的に潜水し続ける事が可能となっているのである。
尚、僚艦は存在しない。それは、資金の問題である。その為、伊-400は一隻のみが建造されたのである。
「各員に通達。これより伊号特別潜水艦400番は出航準備に取り掛かる。繰り返す、これより伊号特別潜水艦400番は出航準備に取り掛かる。総員、速やかに避難されたし」
伊-400の艦橋は従来の潜水艦の艦橋ではなく、どちらかと言えば、イージス艦などのCICに近い形となっていた。
「注水、始め」
「注水始めます」
艦長の言葉で伊-400が収容されているドックに海水が流れ込み始めた。そして瞬く間に伊-400は海水の中へと沈んでいく。
「注水率100%‼ 艦長‼」
「伊-400、出航‼」
艦長の言葉でドックの扉が開き、伊-400は静かに島を出ていくのであった。
『女権団の栄光があらんことを切に願う』
島の管制室から伊号潜水艦の艦橋にメッセージが流れるのであった。
女権団がIS学園へと来ていることは誰も知らず、学年別タッグトーナメント戦が開催されていた。
「まさか、こうも早く戦うことが出来るなんてな」
「ああ、そうだな」
一夏とラウラはお互いに笑いながら話をしていた。
「今日はよろしくね、篠ノ之さん」
「ああ、それから…私の事は箒と呼んでくれ。あまり苗字で呼ばれることが少ないんでな」
「うん、箒‼」
「行くぞ、シャルロット‼」
箒とシャルロットもやる気が満ち溢れていた。
『試合、開始‼』
ブザーと共に、一夏とラウラが飛び出した。一夏は雪片弐型。ラウラはレーザーブレードを構えお互いの間合いを取りながら、お互いの攻撃を捌いていた。
一方の箒とシャルロットは、箒の防戦一方であった。怒涛の如く舞振る銃弾に箒は逃げるしかなかった。箒の専用機として与えられている紅姫は、一応ながら重火器は搭載されているが、箒はあまり使用した事が無かった。それはなぜか? 箒自身、重火器の扱いに慣れていないからである。だが、訓練をしても慣れないものは慣れないものである。
その為か、箒はどこのタイミングでシャルロットに接近できるか思考するが、どう考えても接近する事が出来る確率が低く、ダメージを覚悟で接近するか、一夏が先にラウラを倒して合流するまで持ちこたえるかのどちらかの一つしかなかった。
「クッ、まだまだ私は……負けられないのだ‼」
しかし、箒はその選択肢とは別の選択肢を選ぶ。それは、敢えて一夏とラウラの戦いに乱入し、ラウラとシャルロットでフレンドリーファイアーを狙う事であった。
「まさか、そう言う手に出るなんてね………でも、僕とラウラのコンビネーションは負けないよ‼ ラウラ‼」
「ああ‼」
シャルロットとラウラは短い会話で、次にどう動くのかを決めていた。そして、ラウラは一気に一夏から離れると入れ替わる様にシャルロットが一夏の相手となり、ラウラが箒の相手をすることとになった。
これにより、箒の思惑は大きく外れてしまう結果となってしまい、結果として箒と一夏のペアは初戦敗退するのであった。
「やっぱ、ラウラとシャルロットのコンビは相手にしたくねぇー」
モニター越しから一夏たちの戦いを見ていた龍聖は、ラウラとシャルロットのコンビと相手をしたくない気持ちであった。
≪でも、結果的には相手にしないといけなくなるけどね≫
「それは言わなくていい約束だから………ま、でも……やりようは多くあるがな」
龍聖の頭の中で既に、二人と戦う際の作戦が練られているのであった。
「さて、誰が相手なのかな?」
龍聖は大きな拍手に包まれる一夏たちを見つめ、そう呟くのであった。
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IS学園でユニットを組んでほしいか
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やってほしい‼
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やる必要なし