IS(インフィニット・ストラトス)~騎士の物語   作:武御雷参型

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今回はいつもより長く書きました。区切る所を見失った所為で、続けて書いてしまった。公開もしていなければ、反省もしていない‼


第三十七話

時は、龍聖がラウラとシャルロットペアと戦っている所まで遡る。

 

IS学園の領海のギリギリの所に伊‐400の姿があった。

 

「艦長、IS学園の領海ギリギリまで来ました」

 

「そう………無人機と例の機体を出しなさい」

 

「ハッ‼」

 

伊号潜水艦の艦内は慌ただしくなった。ISが射出される格納庫では、一機の無人機が射出機に固定されると同時に、もう一機の機体が射出機に固定された。

 

「格納庫内にいる乗員に通達。これより注入を開始する。繰り返す、これより注入を開始する。各自、避難せよ」

 

格納庫を管理するオペレーターがアナウンスをすると、格納庫内にいた乗員たちが避難所へと入って行く。そして、格納庫内に誰もいない事を確認した後、海水が格納庫内に注入され始めた。

 

「格納庫内、間も無く注入を完了します」

 

伊号潜水艦の艦橋では、格納庫内の状況を見ていたオペレーターが状況を説明していた。

 

「格納庫内の海水が満水になったら、すぐに機体を射出し、我々は合流ポイントまで撤退する」

 

艦長の言葉に艦橋にいる全員が緊張で気を引き締めていた。

 

「格納庫内、注入完了‼」

 

「………出撃開始‼ 機体を射出後、急速潜航‼」

 

伊号潜水艦から二機の機体が射出されると同時に、潜水艦は急速潜航しその場から立ち去ったのである。このことは領海ギリギリであった為、IS学園は潜水艦の存在を知る由も無かったのであった。

 

 

 

二機の機体はまっすぐ、IS学園へと向かっていった。

 

「…………」

 

その中で一機は有人機で、一人の少女が搭乗していた。その姿は千冬を小さくした顔立ちで、まだ幼さを隠しきれていない少女であった。

 

『M、聞こえてるわね?』

 

「はい、マスター」

 

Mと呼ばれた少女に一つの通信が届く。相手は、自分の上司の一人である。

 

『これから、貴女は無人機と共にIS学園へ襲撃して貰うわ………だけど、あなたは作戦に参加しなくていいわ』

 

「それは………私が無力……と言う意味ですか?」

 

『それは違うわ。貴女がこの作戦に出ているのは、無人機の経過観察の為よ………その他の事はしなくていいわ』

 

「………作戦内容、了解」

 

『無事に帰って来れることを願うわ』

 

その言葉が終わると、通信も切れる。

 

「………私は………なんの為に…………生きているんだ………」

 

Mと呼ばれた少女は、自分の存在理由を探すのだが、何かのスイッチが入ったかのように、表情が切り替わったのである。

 

「任務遂行の為、余計な事は考えない」

 

Mの表情は機械の様に表情を一切見せない顔をしているのであった。

そして、一人と一機はIS学園の上空へと到着する。

 

「…………これより作戦を開始する………撃ち方用意」

 

Mの指示に従い、無人機は右腕に装着された砲の銃口をアリーナに向ける。

 

「………………撃て」

 

Mの短い指示と同時に、無人機の右腕の装着された砲が火を噴き、アリーナを貫通する。

 

「……これより第二フェーズへ移行する」

 

そう言うとMは上空へと逃げ、無人機はアリーナへと降下していった。

 

「…………(こんなの、嫌。誰か……誰か、助けて‼)」

 

Mの心の内側から見ている本物のMは誰かに助けを求めるが、その声は誰にも届かずに終わるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラウラの専用機である“シュヴァルツェア・レーゲン”はその形を変え、千冬の専用機である“暮桜”へと変わった。だが、その姿は歪で全体が黒く染まっており、人の顔すらしていなかったのである。

 

「チッ‼ 緊急通信‼ 緊急通信‼ 織斑先生、聞こえますか‼」

 

『聞こえている……まさかとは思うが………』

 

「そのまさかですよ。ですが、判らない事が一つ。なぜ、VTシステムが外部から操作する事が出来るのかと言う事です」

 

『そのことは後だ………緊急事態に付き、黒崎龍聖に対してIS学園、防衛隊長である織斑千冬が依頼する。ボーデヴィッヒを助けてくれ』

 

「………その依頼、承知しました‼」

 

龍聖はそう言うとシャルロットへ声を掛ける。

 

「シャルロット、これから俺は動けなくなる………すまないが、援護を頼む‼」

 

「………なんで君が織斑先生から依頼されるのか、気になる所だけど………それは後にして‼ 判ったよ‼ これより国際IS委員会フランス支部所属、対IS部隊“オリヴィエ隊”シャルロット・デュノア、作戦を開始します‼」

 

シャルロットはそう言うと、大型のシールドを二枚、展開する。それと同時にニセモノの暮桜も動き出したのである。

ニセモノの暮桜は雪片に似せた刀を使い、シャルロットを切り捨てようとしたが、大型シールドによって防がれてしまう。

この大型シールドは、デュノア社が独自に開発した装備で、イギリスのレーザー攻撃すら貫通することが出来ない物であり、一夏の雪片弐型でも傷をつける事は出来ても、切る事は出来ない仕様になっているトンデモシールドなのである。

だが、ニセモノの暮桜は千冬の現役時代の動きを模している所為か、段々とシールドが傷がつけられてしまっていた。

 

「龍聖‼ もうこれ以上はシールドが持たない‼」

 

「………終わった‼ 離れろ、シャルロット‼」

 

「うん‼」

 

龍聖は漸く本来の力が発揮出来る様になったのである。軍用機として開発された斑鳩であるが、IS学園に入学する際にリミッターが施され、千冬か睦月のどちらかの許可が出ない事には、本来の力を発揮する事が不可能になっていた。

だが、今回はシュヴァルツェア・レーゲンがVTシステムに侵された事により、千冬は緊急事態と称して龍聖に本来の力を発揮することが出来る様に許可を出したのである。

 

「目を覚ませ、ラウラ‼」

 

「……………」

 

だが、ニセモノの暮桜に囚われているラウラに、龍聖の声は届かなかった。

 

「チッ‼ 動きが早すぎる‼」

 

龍聖もまるで現役時代の千冬と試合をしている気分で戦っていた。

 

『黒崎、聞こえるか‼』

 

「聞こえてます‼」

 

すると、千冬から連絡が来たのである。

 

『今、そちらに織斑を行かせた‼』

 

「なんですって⁉ なんで一夏を送り込むんですか‼ 二次被害を出す気ですか‼」

 

龍聖の言葉は正論である。一夏は国際IS委員会日本支部に保護され、専用機を与えられると同時に対IS部隊“天照隊”の隊員達による訓練を受けているが、こういう緊急事態における作戦には参加する事を想定して訓練をさせていなかったのである。

その為、龍聖は一夏が被弾する可能性を感じていたのである。

 

『そのことについては、私も解っている………だが、奴の機体には』

 

「………そう言う事ですか」

 

龍聖は千冬がなぜ一夏を送り込んだのか、理解した。

 

「解りました‼ 一夏はどのくらいで来れますか」

 

『間も無くエネルギーの補給が終了する。それと同時に送り込む‼』

 

「解りました‼ 聞こえたな、シャルロット‼」

 

「うん………でも、大丈夫なの?」

 

シャルロットが心配するのは当たり前である。国家代表候補生としても、軍人としても訓練されていない一夏を参加させても良いのかと思っていたのである。

 

「大丈夫だ………一夏が来るまでの間は、俺達で何とかするぞ‼」

 

「うん‼」

 

シャルロットと龍聖はニセモノの暮桜に身を構えるが、それと同時に今まで静かだった無人機までもが動き出したのである。

無人機はゆっくりとニセモノの暮桜の横へ並ぶと、右腕に装着された砲の銃口を二人へと向けたのである。

 

「「ッ⁉」」

 

二人はすぐにその場を離れると同時に、砲が火を噴き、二人がいた所に着弾した。着弾地には大きなクレーターが出来ており、少し赤くなっていた。

 

「まさか、ビーム兵器かよ‼」

 

「愚痴っている暇はないよ‼ 次‼」

 

二人は無人機とニセモノの暮桜を相手にしないといけなくなってしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、来賓席では天照隊の隊員が扉を抉じ開けようと必死に作業をしていたが、IS学園の気密シャッターは対IS用に作られている事もあり、傷一つ付いていなかったのである。

 

「まだか‼」

 

「IS学園の装甲はバケモノか‼」

 

「ぼやいている暇はないぞ‼」

 

隊員達は必死になって扉を抉じ開けようとするが、どうもこうも行かない様子であった。

 

「…………仕方がないか」

 

睦月は何かを決心したのか、懐に仕舞っている携帯を取り出し、ある場所へと連絡をした。

 

「………久しぶりだね、束博士………君もこの状況は知っていると思うが………ああ、その通りだ。君の力を借りたい」

 

睦月が連絡をしたのは、篠ノ之束であった。睦月と束の接点については後々に話すとして、睦月は束の協力を要請したのである。

 

「君が望む事は、私も同じだ………ああ、だから力を貸してほしい」

 

『…………解ったよ。いっ君の為、箒ちゃんの為、ちーちゃんの為に私も力を貸すよ』

 

束は睦月に力を貸すことを承諾したのである。

 

「天照隊は攻撃を中止、すぐに扉から離れよ‼」

 

『ハッ‼』

 

睦月の指示で天照隊はすぐに扉から離れると、気密シャッターが勢い良く上がり、本来の扉が出てきたのである。

 

「………ありがとう、束博士」

 

『私たちの夢は誰にも邪魔をされちゃいけないから』

 

そう言うと束は通話を切るのであった。

睦月は携帯を懐へと仕舞うと、天照隊に指示を出し、μ'sを連れてとある場所へと向かい始めた。

 

「天照隊はこれよりアリーナに突入し、黒崎隊長の援護を‼ μ'sの皆さんは私と共に来てもらいます」

 

『ハッ‼』

 

睦月の指示で天照隊はアリーナに突入するべく、ピットへと向かうのであった。

 

「なぜ、私たちも動く必要があるのですか?」

 

「君たちは私の来賓だ………特に真姫さんに何かあってしまっては、真姫さんのご両親にも黒崎君にも申し訳が立たないからね。それに、君たちの身に何か起きてしまっては南理事長に顔を合わせられないからね」

 

睦月はそう言って来賓室を後にし、μ'sのメンバーも一度、顔を見合わせてから一つ頷くと睦月と共に来賓室を後にするのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、どしどし送って下さい‼
あと、要望などがあれば、個人メッセージにてお願いします。




次回のネタバレ。(まぁ、こういう展開上、大体の人は解ると思う)

龍聖、バレる。

以上‼

IS学園でユニットを組んでほしいか

  • やってほしい‼
  • やる必要なし

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