IS(インフィニット・ストラトス)~騎士の物語 作:武御雷参型
龍聖は消えようとしていた少女に名前を尋ねた。
「ま、待ってくれ‼ 君の名を教えてくれ‼」
「そうでした。これはこれは、うっかりしていましたね。僕の名は――――――」
少女はそう言って消えた。
「ハッ⁉」
龍聖はそこで目を覚ました。
「ここ……は………ん?」
龍聖は右手に温もりを感じ、そこに目をやると、真姫が右手を握りしめて目を閉じているのが見えた。
「真姫………」
「ん……りゅう……せい……?」
龍聖の声に気付いたのか薄らと真姫は目を開けた。そこには自分を見つめる龍聖の姿があったのである。
「龍聖‼」
「うおっ⁉」
「………心配させて………この馬鹿‼」
「……すまない」
真姫は龍聖の胸に飛び込み、涙を流した。
「死んじゃったかと思った………いつかこうなる日は来るって頭の中で解ってても………どこか心の中でそんな日は来ないって………でも‼」
「……大丈夫だ。俺は絶対に生きて帰る。そして、真姫の元に戻って来るから」
「うん………ねぇ、龍聖」
「なんだ?」
「…………」
真姫は静かに目を閉じた。そこで龍聖も気付いた。真姫が何を待っていたのかを。
龍聖は苦笑いをすると、ゆっくりと顔を真姫に近づけさせた。
そして、二人は静かにキスをするのであった。
少し時を巻き戻し、一夏たちは専用機持ちが集まる部屋で待機していた。
「…………」
その場は誰も口を開けようとはせず、ただ黙って過ごしていた。
「…………見つけた」
「ホント⁉」
否、二人だけは違った。シャルロットとラウラである。ラウラは軍の使用している衛星を使い、福音の位置を調べていたのである。シャルロットはフランス支部の力を使おうとしたが、これからしようとしている事に対して止められてしまう可能性があったので、結局はラウラの情報を待つだけとなっていた。
「ああ、結構遠い所で止まっているな………ん? 他にも部隊がいる様だが………」
ラウラは情報をもう一度詳しく調べると、驚くことが判明した。
「この機体は………天照隊が使っている機体と似ているな………だが、装甲や武装は違うが………」
「うちらが教えようか」
「だ、誰だ‼」
『ッ‼』
一夏たちが待機している部屋に一人の女性、否、天照隊の副隊長である黒柳節子を除くメンバーが集まっていたのである。
「あ、貴女達は天照隊の………良いんですか?」
「大丈夫や。流石にうちらだけで対処しろと言われても、無理な話やからな」
そう言うと、天照隊のメンバーは敬礼をし始めた。
「そう言えば自己紹介がまだやったね。天照隊所属コールネーム天照03、東條
「同じく天照隊所属コールネーム天照04、
「同隊所属コールネーム天照05、島田
「同隊所属コールネーム天照06、島田
「同隊所属コールネーム天照07、島田
天照隊のメンバーは敬礼して自己紹介をする。
「ほな、本題に入ろうか」
朱里の表情は先ほどまでとは打って変わり、真剣な表情に切り替わる。
「今、うちらが得た情報やったら、福音と未確認部隊の所在はここや」
朱里はそう言うとタブレットを取り出し、一夏たちに見せる。
「これから話す事は、天照隊のメンバーにだけしか明かされてへん。そこはよう、覚えといて」
朱里の言葉に一夏たちは頷いた。
「なら、作戦を話すで」
朱里達天照メンバーと一夏たちの作戦会議が始まった。
第二次攻撃部隊の編成が終わり、海岸には天照隊のメンバーと一夏たちの姿があった。当初は一夏たちの出撃に対し、千冬は渋っていたが一夏たちの熱意に負け、仕方がなく第二次攻撃部隊のメンバーとして組み込んだのである。
「これより、第二攻撃部隊、出撃する。尚、本作戦において指揮権は天照隊03である天龍麻子が執る。各自の奮闘を健闘する」
『了解‼』
麻子の言葉に一夏たちも返事をする。
「出撃‼」
麻子の言葉と同時に一夏たちも出撃していくのであった。
「…………」
「織斑先生………」
彼らの背中を見守る千冬は強く拳を作り、掌から血が垂れていた。
「(………私は無力だ……教師として本来は私たちが出撃しなけらばならないのに、それを一生徒達に任せるとは…………)」
「ちーちゃん………」
千冬の姿に真耶と束は居た堪れなかった。
「お、織斑先生‼」
「騒がしいぞ‼」
すると作戦本部に一人の教師が入って来た、この教師は救護教師であり、龍聖の看護をしていたが、先程、龍聖が目を覚ましたことを伝えに来たのであるが、どうも様子が違っていた。
「く、黒崎君が‼ 黒崎君が‼」
「ッ‼ 黒崎がどうかしたのか‼」
「目を覚ました………しかし………」
「なんだ、どうしたんだ‼」
「黒崎君が出撃の許可を取ってきました」
「何⁉」
この言葉に千冬を含め束たちも驚いていた。先ほどまで寝ていた、しかも、重症であった龍聖が目を覚ましたのは良いことなのだが、機体も無いままで出撃の許可を取って来たのである。
「ダメだ‼ 安静にさせろ‼」
「で、ですが……黒崎君‼」
「なに………黒崎………」
救護教師を押しのけ、作戦本部に入って来たのは龍聖本人であった。
「織斑先生、出撃の許可を」
「ならん‼ 貴様は先ほどまで重症だった患者だ‼ 体に何かあってはもともこうも無いんだぞ‼ それを解っているのか‼」
「ええ、解っていますよ」
「もし、出撃できたにしても機体は如何するのだ‼」
「…………」
千冬の言葉に龍聖は無言で首元からネックレスを取り出した。
「ち、ちーちゃん‼ 龍君が持ってるの………ISだよ…………しかも………」
束の次の言葉に千冬たちは驚きを隠せなかった。
「ISコアが……いや、コアの人格が二人になってる………どう言う事⁉」
「な、なんだと⁉」
本来、コアに宿る人格は一人だけと束が設定ていたのである。だが、龍聖の持つコアには人格が二人もいた。これは前代未聞の話なのである。
「りゅ、龍君‼ どう言う事なのか説明してくれる⁉」
「黒崎、まさかとは思うが……コアを二つも持っていた…と言う事は無いだろうな?」
「………解りました。お話します………ですが、その前に睦月さんも交えて話をしたいんです。同じ事を二回も言いたくないので…………」
龍聖の言葉に千冬は少し考えたが、龍聖の言っている事は間違いではない為、睦月を呼び出したのである。
「それで、黒崎隊長……いや、龍聖君。君の斑鳩に入っていたコアの人格が増えた事について話してくれるんだね?」
「ええ、まず初めに篠ノ之博士。俺の斑鳩はコアが分裂してしまいましたよね?」
「そうだね、龍君の斑鳩に入っていたコアは攻撃を受けた際、分裂しちゃったけど………え? 待って……でもその可能性としてはあり得ない話なのかも………」
束は何かに気付いた様子だが、千冬と睦月はよく理解出来ていない様子であった。
「束‼ お前ひとりだけ理解したかも知れないが、私達にも説明してくれ‼」
「う、うん……ちーちゃんと睦月さんはコアに人格が宿ったとしてもひとつだけと言う事は知っているよね?」
束の問いかけに二人は頷いた。
「じゃぁ、今回、龍君の斑鳩のコアが分裂した事によって起きる症状って?」
「…………そう言う事か‼」
「まさか………」
束の説明によって理解した。コアが分裂した事により、人格が二つに分かれた事を。
「黒崎、説明してくれるんだろうな?」
「ええ、勿論です………まず初めにコア人格が二つに分かれた事についてなのですが………斑鳩に搭載されていたコアは、自分が撃墜されると同時にコアが割れてしまいました。そこまでは知っているとは思いますが」
龍聖の言葉に千冬達は頷いた。
「話を続けます。その結果、コアが分裂した事により、人格も二つに変わりました………アディ、エル」
≪お久しぶりです、お母様に千冬様、そして睦月様。コア№95、個体名称“ヒナ”………いえ、私の名前はマスターである龍聖様から頂いた新たな名。アディとお呼びください≫
≪お初にお目にかかります。僕の名はエル。コア№95の分裂体から新たに生まれた人格です。お母様……と呼んでも良いのか解りませんが、貴女なら僕の事も知っていると思いますが……?≫
「何? 束、どう言う事だ?」
「………実はね、龍君の持つコアの内部を調べようとした事があるんだけど………私の力を持ってしても、調べることが出来なかった………ううん、違う。私のコンタクトを悉く拒否されたんだよ………まさか、それをしたと言うのが……」
≪ええ、僕です≫
束の言葉にエルは肯定して答える。
「ハ…ハハハ………まさか、コア自体が私を拒む事があれば、消すつもりだったけど…………これはこれでいいもんだね………世界も捨てたもんじゃないね」
束は笑っていた。千冬でさえも束の笑う姿が、久しく思えるほど、束は楽し気に笑っていたのである。
「そうか……そうか………龍君」
「………なんでしょうか、篠ノ之博士」
「私の事は束って呼んで………君の事がもっと知りたくなった。ううん、違う。ストレートに言おう。私の旦那様になって」
≪≪「「「は?」」」≫≫
束の言葉に千冬や睦月も含め、龍聖、アディ、エルも驚いていた。
「……篠ノn「束って呼んで?」篠n「束って」しn「呼ばないと、どうなるか解ってるね? OHANASHIしようか?」………束さん」
「うん‼」
束の中にどうやら本局の白い悪魔がログインした様子である。
「そのお話についてですが………お引き受けする事が出来ません」
「……どう言う意味かな?」
「言葉通りの意味です。私には既に結婚を前提にお付き合いをさせて頂いている女性がいます。その女性を無視して、貴女と結婚する事は出来ません」
「…………」
龍聖の言葉に束は暫し考え始める。
「………もしの話だよ? もし、その彼女との話で認められた場合は?」
「…………その時は、私も認めます。真姫がそれを許すのであればの話ですが」
「そう………解った」
束はすぐに承諾した。その表情に曇った様子は無かった。
「お、織斑先生‼」
「今度はなんだ‼」
会議室に駆け足で一人の教師が入って来た。
「た、大変です‼ 現在、織斑君達が福音を撃墜しようとした瞬間………」
「なんだ‼ どうかしたのか‼」
教師は言葉を止めた。業を煮やした千冬は言葉を強くし、続きを言う様に催促した。
「……新たな勢力によって………織斑君のシグナルを………ロストしました………」
「なんだとッ⁉」
「クッ‼ ………織斑先生‼ 出撃の許可を‼」
「だが…………」
千冬はまだ龍聖の体の事を心配していた。その時、エルの言葉が会議室に響き渡る。
≪織斑先生、マスターである龍聖ともう一人の人格であるアディーと一緒であれば、この困難、乗り越えて見せることが出来ます≫
「………それは、コア自身としての言葉なのか?」
≪はい≫
千冬の言葉にエルは強く返事をする。
「…………良いだろう。出撃の許可を出す」
千冬の言葉を聞き、龍聖は歓喜した。だが、千冬の言葉はそこで終わらなかった。
「ただし、絶対に織斑達と天照隊のメンバー全員で一緒に帰還する事。これが絶対条件だ」
「≪≪了解‼≫≫」
千冬の言葉に龍聖とエル、アディの三人は返事をしたのであった。
龍聖は海岸に来ていた。その隣には副隊長である黒柳節子の姿もあった。
「では、隊長。行きましょう」
「ああ。絶対に勝つぞ」
二人はそう言うと機体を展開しようとした。その時、後方から一人の少女が走って来る。
「龍聖‼」
「ッ⁉ 真姫…………」
龍聖達の元へと来たのは、真姫であった。
「隊長、まだ少しだけなら時間は会えります………」
「……ああ、少しだけ時間をくれ」
龍聖はそう言うと真姫の元へと歩み寄った。
「龍聖………」
「真姫、絶対に戻って来るから」
「………うん」
二人はそう言うと暫し、顔を見合わせ同時に顔を近づけキスをした。時間にして、数秒の事であったが二人にとっては数時間の様に感じていた。
「行って来る」
「ええ、行ってらっしゃい」
真姫の返事を聞いて龍聖は一つ頷くと、節子の元へと向かう。
「行くぞ‼」
「はい‼」
二人はそう言うと機体を展開させた。
節子は正式に採用された第三世代型量産機カルディトーレを身に纏い、龍聖は進化した機体を展開させる。
その姿は、機体そのものは斑鳩のままだが、
「行くぞ、二人とも‼」
≪≪はい‼≫≫
龍聖の新たな剣“マガツ・イカルガ”が姿を現したのである。
誤字脱字、感想、指摘、質問とうありましたらどしどし送って下さい‼
次回予告
一夏たちは福音と未確認部隊の殲滅に出撃をしていった。だが、先で待っていたのは―――
次回、インフィニット・ストラトス~騎士の物語
第五十一話
「白き騎士の誕生」
具現せよ、白式!!
気付いたんだけど………この次回予告って必要?(今更
IS学園でユニットを組んでほしいか
-
やってほしい‼
-
やる必要なし