IS(インフィニット・ストラトス)~騎士の物語   作:武御雷参型

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いつになったら、福音事件編が終わるのか、悩ましい所です。


第五十二話

龍聖は逸る気持ちを抑えてようとしていた。だが、そう簡単に気持ちを抑える事は出来なかった。

 

「クソッ、一夏が堕とされただって………もっと早くに俺が目覚めていたら」

 

≪マスター、仕方がないよ。だって、マスターは重度の危篤状態にあったんだよ。それを早くに復活するなんて無茶だよ≫

 

≪そうです。それを言うのであれば、僕ももっと早くにマスターに話をすればよかったんですから≫

 

龍聖の呟きにコア人格であるエルとアディの二人に慰められる。

 

「だけど………」

 

「隊長」

 

その時、副隊長である黒柳節子が龍聖を呼んだ。

 

「貴方は今まで頑張って来たんです。少しだけでも休むことをして下さい」

 

「だけど‼」

 

「隊長‼」

 

「ッ⁉」

 

今までにない声に龍聖は口を閉ざす。

 

「確かに、貴方がする後悔は仕方が無いと言う言葉では収まり切れません………ですが、やらない後悔よりも、やって後悔する方が良いんじゃないですか?」

 

「………そうだな………」

 

節子の言葉に龍聖も冷静になった。

 

「先を急ぐぞ‼」

 

「ハッ‼」

 

二人はドンドン速度を上げるのであった。

 

 

 

 

「邪魔者は………排除する………」

 

「………その機体は………‼」

 

セシリアたちの前に現れたのはMであった。

Mは亡国機業がイギリスから奪取したブルー・ティアーズの二号機である“サイレント・ゼフィルス”に身を包みセシリアたちの前に現れたのである。

 

「遅かったじゃないか、銅牙(ドウガ)隊隊長のケルヒルト・ヒエタカンナスさんよ」

 

「あら、これでも急いで来たつもりよ~」

 

歪なISに乗り込んでいるのは亡国機業のもう一つの実行部隊。“銅牙(ドウガ)隊”の隊長であるケルヒルト・ヒエタカンナスである。しかし、実行部隊と言っても奪取を目的とした実行部隊なのである。そして、この部隊こそが黒崎重工を襲撃した犯人でもあった。

 

「それで、奪取を目的とした部隊さんが、なんでここに来たんですかね~」

 

「決まってるじゃない。福音の奪取よ」

 

「まぁ、アンタらが来たと言う事はそう言う事なんだろうけどね」

 

黒顎隊(ブラック・ナイツ)の隊長であるプレシオス・カーナベントは肩を上げる。

 

「私達は福音を回収するから、そっちは任せたわよ」

 

「良いだろう。きっちりと仕事をこなしてやるよ‼」

 

二人はそう言うと、各々の任された任務の方へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、一夏はと言うといつの間にか砂浜で立っていた。

 

「ここは…………俺は確か………」

 

一夏はなぜ自分がここに立っているのかを思い出していた。

 

「そうだ‼ 俺は福音との戦闘の途中で横やりが入って…………そうか、俺は死んだのか………」

 

一夏は自分が死んでしまったと勘違いをしていた。

その時であった。自分ではな男性の声が一夏の後ろからしたのである。

 

「いや、君は死んでいない」

 

「誰だ‼」

 

一夏は振り向くと、そこにはどこかの学生が着る様な制服に身を包んだ一人の男性の姿があった。

 

「貴方は…………」

 

「俺か? そうだな………ある騎士団の二番隊長…とでも言っておこうかな」

 

「は、はぁ~」

 

一夏はこの男性の言っている事が理解できなかった。だが、一夏は一つの事だけは理解していた。この男性は自分の味方であると言う事である。

 

「それで、俺が死んでいないって言っていましたけど………今の俺はどういう状態なんですか?」

 

「そうだね。今の君の状態は仮死状態と言っておこうか」

 

「かし⁉」

 

まさか自分が仮死状態に陥っているとは思いもしなかったので驚きも隠せなかったのである。

 

「さて、君に一つ、聞きたい事がある」

 

一夏の驚く表情を無視して、男性は真剣な表情になると、一夏に問いを投げた。

 

「君は力で何を成したい?」

 

「…………」

 

一夏は男性から投げられた質問に対して、すぐに返答が出来なかった。一夏の中であったのは“姉である千冬を助けたい”この一心で過ごして来た。だが、蓋を開けてみればどうか? 千冬の助けになる処か、助けられている事ばかりでしかなかったのである。

 

「……その質問に対して答えられるだけの言葉は持っていません………」

 

一夏の返答に男性は呆れた表情をするのではなく、逆に関心している様子であった。

 

「それはなぜかな?」

 

「………俺は確かに弱い存在です。龍聖やセシリア、ラウラたちの様な“確かな意思”を持っていません。今までだってそうです。場の流れに沿って来ただけですから」

 

「……では、君はこのままでいる気かね?」

 

そんな訳ないじゃないですか‼

 

男性の言葉に一夏は声を荒げ、肩で息をしていた。

 

「俺は確かに弱い……だけど、このままじゃいけないって思っているんです‼」

 

「では、君は何を成したいと思っている?」

 

男性の言葉に一夏の頭の中に一つの事が閃いた。

 

「……護りたい……」

 

「………」

 

「………護りたいです‼ 自分に関りを持った人全てを‼

 

「それが、途轍もない程の試練が待っている……としてもかい?」

 

「ええ‼ 貴方は先ほど、俺に対して“力で何を成したい?”と聞きましたよね?」

 

一夏の言葉に男性は頷いて答えた。

 

「俺は、この力で龍聖達の助けになって、色々な人の助けになりたい‼ これが俺の答えです」

 

「……………」

 

一夏の言葉に男性は表情を一切変えずに、聞いていたが我慢が出来なかったのであろう。吹き出してしまったのである。

 

「な、なにが可笑しいんですか‼」

 

「いや、すまない……君の事を笑ったのではない………昔、君の様な男を知っている。その男と君が重なって見えたんだ………良いだろう。私としても合格だと言いたいが………」

 

男性がそう言うと、男性の隣に騎士甲冑に身を包む女性と、麦わら帽子を被った一人の少女が突然、現れた。

 

「貴方の答え、確かに聞きました。では、私から一つ………力を欲しますか?」

 

騎士甲冑に身を包む女性の言葉に一夏は頷いて答える。

 

「なぜ?」

 

「仲間を助けたい。さっきも言ったように、仲間を……色々な人の助けになりたい」

 

「もし、それが苦難であっても……ですか?」

 

「ああ。道理の無い暴力は唯の暴力だ。俺はそれに屈したりなんかしない‼」

 

一夏の返答に騎士甲冑に身を包む女性の表情が、若干だが緩んだ様に一夏には見えた。

 

「なら、行かなくちゃね」

 

「え?」

 

「ほら」

 

麦わら帽子を被った少女の手を握った瞬間、一夏の周りは明るくなった。

 

「私も手伝おう。一夏」

 

一夏は意識が遠のく瞬間、先程の男性の声が一夏の耳に入って来たのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラオラ‼ お前たちの力は隊長がいないと、何もできないのかよ‼」

 

「クッ‼」

 

黒顎隊(ブラック・ナイツ)の攻撃に天照隊は押される一方であった。

 

「チッ‼ しぶといんだよ‼ さっさと堕ちちまいな‼」

 

ティラントーから放たれた攻撃に、三番機である東條朱里は諸に喰らい、堕ちてしまう。

 

「朱里‼ 野郎‼」

 

四番機である天龍麻子は、朱里を堕とした黒顎隊(ブラック・ナイツ)に対して睨み付けるだけしか出来ないからである。数では勝っている天照隊。また、熟練度に関しても天照隊が頭一つ、否、二つも三つも上の筈だが、蓋を開けてみれば如何だろう。押されているのである。

 

「世界トップである天照隊も形無しだな‼」

 

「クッ‼」

 

ティラントーから放たれる攻撃に対して、天照隊のカルディトーレは回避運動を執るだけであった。なぜ回避運動だけしかとらないのかと言うと、一夏たちの存在が原因である。

元々、一夏たちIS学園組と天照隊の戦闘は離れて行われていた。だが、黒顎隊(ブラック・ナイツ)は徐々に戦闘場を一夏たちがいる所へと誘導していた。その結果、三つ巴が発生し、今現在、第四の介入が入ったことにより、戦況は天照隊並びにIS学園組が押され気味になってしまっていたのである。それに加え、一夏が撃墜された事も要因として挙げられるのである。

 

「クソッ‼ このままだとIS学園組が危ない‼ 仕方がない……三番機撃墜により、四番機である俺が指揮を執る‼」

 

朱里が撃墜された事もあり、指揮権は三番機である麻子に委ねられたのである。

 

「六番機、七番機はIS学園組の援護に入れ‼」

 

「だけど、それじゃ貴女達が‼」

 

「俺達の事は良い‼ だが、まだ若いアイツらを死なす訳にはいかない‼」

 

『…………』

 

麻子の言葉に他の面々は口を閉ざしてしまう。

 

「早く行け‼」

 

「死ぬんじゃないわよ」

 

麻子の言葉で六番機である恵美はそう言うと、IS学園組の援護へと向かった。

 

「あら、良いのか? お前たちで私達を止められるとでも思っているのか?」

 

「フッ、愚問だな………刺し違えてもお前たちを堕とす‼」

 

麻子と瑠美は黒顎隊(ブラック・ナイツ)に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セシリアたちは追い込まれていた。福音の攻撃に加え、新たな介入者達による攻撃に翻弄されていたからである。

 

「オラオラ‼ そんな動きだったら、死んじゃうんだよ‼」

 

「クッ‼」

 

歪なISによる攻撃にセシリアたちは成す術もなく押される一方であった。

 

「なんて野蛮な攻撃ですの⁉」

 

「ごちゃごちゃ言ってないでさっさと堕ちな‼」

 

「きゃぁぁぁぁぁ‼」

 

セシリアは猛烈な攻撃により、リタイアしてしまう。

 

「セシリア‼ よくも……おのれぇぇぇぇぇ‼」

 

「ラウラ‼」

 

セシリアが撃墜された事に激怒したラウラは、敵機に接近しようとした。だが、それは叶わなかった。なぜならば、福音の攻撃が迫っていたからである。

 

「ラウラァァァァァァァァ‼」

 

福音の攻撃を諸に受けてしまったラウラもリタイアしてしまう。残されたのは箒と鈴、シャルロットの三人だけであった。

すると、福音を始め、銅牙(ドウガ)隊からの攻撃が止んだ。

 

「……今なら見逃してやる。堕ちた仲間を助けてさっさと戻りな……子供が来る場所じゃないんだよ」

 

「クッ……だが、このまま逃げて帰れる訳が無い‼」

 

「そうよ‼ 一夏の為……龍聖の為にも‼」

 

「僕たちはお前たちを許さない‼」

 

箒や鈴、シャルロットの目には憎しみの炎ではなく、敵を打ちたいと言う純粋な炎が宿っていた。

 

「………警告はしたよ……それでも来るんだったら、容赦はしねぇぇ‼」

 

銅牙(ドウガ)隊と福音が動こうとした瞬間であった。一夏が堕ちた所から眩い光が溢れ出したのである。

 

「俺の仲間はやらせねぇ‼」

 

「「「一夏‼」」」

 

新たな機体を身に纏った一夏が現れた瞬間であった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、どしどし送って下さい‼



次回予告

一夏が堕とされた。だが、一夏の剣は新たな剣として復活する。

次回、インフィニット・ストラトス~騎士の物語
第五十三話

「福音事件、完結」

その手に何を掴むのか‼ 白式‼


次回もよろしくお願いします。

IS学園でユニットを組んでほしいか

  • やってほしい‼
  • やる必要なし
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