IS(インフィニット・ストラトス)~騎士の物語 作:武御雷参型
一夏と鈴の悪友の一人である五反田弾の家族が経営する食堂、五反田食堂に到着するや否や、弾の母親である香織によって抱き着かれた鈴はされるがままになっていたのである。
する地、調理場から一人の初老の男性が現れる。その手にはお玉を持っている様子から、調理をしていた最中だったのであろう。
「香織‼ 何をしとるんじゃ‼ って、一坊に鈴か‼」
「親父さん、お久しぶりです」
「お久しぶりです」
一夏と鈴は調理場から出てきた男性に頭を下げる。この男性は、五反田食堂の大将である五反田厳である。
「なんだ、見ない内に大きくなって……鈴はそのままか」
「ちょっと、親父さん⁉ どこを見て言っているんですか‼」
厳は鈴の一部を見て、まだ育っていない事になぜか安心感を覚えていたのである。すると、厳の後ろの方からどす黒いオーラを放つ人物がいた。
「お義父さん? 少し、お話しましょうか?」
「い、いやな……か、香織さん? もしかして、お話って………」
「はい、私の知り合いがやっている道場で教えてもらった言語ですよ?」
そう言うや否や、香織は厳の首根っこを掴んで奥の方へと進んでいく。厳よりも小柄な香織に、どこからそんな力が出るのか、少し作者としても知りたいところだが、後が怖いので何も考えないでおこう。
「あっ、三人共。適当な席に座ってて頂戴。少ししたら戻ってくるから」
「「「あっはい」」」
香織は普段の大人しい笑顔で一夏達に言うと、厳を引きずって奥の方へと消えていった。そして、数分も経たない内に、厳の悲痛な叫び声が上がるのであった。
「それで、三人は何にするのかしら?」
何事も無かった様に戻ってきた香織は、一夏たちに尋ねる。
「えっと、俺はいつもので」
「わ、私もいつものをお願いします」
「い、一夏。ど、どれがおススメなんだ?」
一夏と鈴はいつも通っている店だったので、いつものと言えば、同じものが出るのだが、初めて来た箒からすれば、何を頼んだら良いのか判らなかったのである。
「そういえば、箒が初めて来たんだった。ここのおススメは、生姜炒めだぞ」
「で、では生姜炒めで……」
箒は一夏に勧められた生姜炒めを注文する。
「お義父さん、中華炒め定食が一つ、カボチャ炒め定食が一つ、生姜炒め定食が一つ」
「はいよー」
香織に肉体言語で悲鳴を上げていた厳であるが、いつも食らっている所為なのか、すぐに体力を取り戻して厨房に立っていた。因みに、厳が女性に対して失礼な態度や言動をした場合は、すぐに香織が出てきて、厳に肉体言語をするという定番の流れがあるのだが、常連からすれば「いつもの事か」と受け入れられており、初見の人は固まってしまうという風景が度々、起きるのだとか………
すると、引き戸が開けられ、懐かしい声が入ってきた。
「じいちゃん、買い物行って来たぞ」
「たっだいまー‼」
「あら、お帰り弾、蘭」
入って来たのは、この五反田食堂の次期二代目大将の弾。そして、看板娘の一人、蘭である。
「おっ、一夏に鈴じゃないか‼ 久しぶりだな‼」
「あっ、一夏さん‼ それと鈴さん」
「蘭、私をついでみたいに言わないでくれる⁉」
弾は一夏と鈴が来ていたことに驚きながらも歓迎し、蘭に至っては一夏だけを歓迎していたのである。
「それで、そこにいる大和撫子みたいな女性は………?」
「弾と蘭は初めてだったな。こちら「一夏、私自身で自己紹介する」なら、どうぞ」
一夏は箒の事を二人に紹介しようとしたが、箒がそれを止め自分で名乗ろうとした。
「初めまして。私は篠ノ之箒。一夏の幼馴染であり、婚約者の一人だ」
「「………はい?」」
「あらあら」
「…………」
箒の言葉に弾と蘭は信じられない様な表情をし、香織は嬉しそうな表情をしていた。厳は何も聞いていない素振りをしている。
「こ、婚約者って………まて、一夏。今、婚約者の一人って言ったよな………」
弾は一夏に問質す様に肩に手を置く。
「お、おう。だ、弾、顔が近いんだが…………」
「あと誰なんだ………」
弾は一夏に凄みを効かせて、誰がいるのか問質すと、鈴が手を挙げた。
「私よ」
「…………冗談は良子さんだけにしrグボラッ⁉」
弾は鈴が冗談を言っているものと勘違いし、さらっと流そうとしたが、鈴が中国拳法を使って弾を黙らせた。
「冗談ではないわ‼ 本当に私が一夏の婚約者の一人よ‼」
鈴は倒れた弾に向かって踏みつけながら事実であることを伝える。これが所謂、死体蹴りである。
「そ、そんな………私、決めました‼」
すると、蘭は何かを決意したようである。
「私、来年はIS学園に入学します‼」
蘭は来年の志望校にIS学園を入学することを決めたのである。
「ちょ、お前⁉」
「お兄は黙ってて‼」
蘭は弾を黙らせると、一枚の用紙を取り出した。それはIS操縦者簡易適性試験の結果用紙である。
「A判定………蘭、これはどこで受けたんだ?」
「えっと、学校の休みに偶々、歩いていたら適性試験を受けれるって所で………」
「………ちょっと、ごめん」
一夏は蘭の言葉を聞くと、携帯を取り出し、どこかへと電話をかけ始める。
「あっ、睦月さん。お久しぶりです。はい、実は……友人の妹が簡易の適性試験を受けていたらしく……はい、結果がA判定だったんですけど………やっぱりでしたか……解りました。伝えておきます。はい、失礼します」
一夏は睦月に連絡を取っていたのである。
「あ、あのう……どちらに電話を?」
「ん? ああ、弾達は知らなかったな。俺と箒は今、国際IS委員会日本支部でお世話になってたんだけど、そこで少し気になったから支部局長に確認をしてみたんだ。それで、蘭。少し聞きたいんだけど良いか?」
「は、はい‼」
一夏の見た事の無い真剣な眼差しに蘭は、驚きを隠せなかった。弾も同じく友人の違う一面を見て、驚きを隠せずにいた。
「その結果を、誰かに伝えたか?」
「え?」
一夏の言葉に信じられないような表情をする蘭であった。
「どうなんだ?」
気付けば、鈴も箒も真剣な眼差しをして蘭を見ていた。
「い、いえ……誰にも言っていないです………それがどうかしたんですか?」
蘭は一夏たちが何かを心配している様子で、困惑をしていた。
「どうもこうもないわよ‼ 蘭、気をつけなさい。もしかしたら、どこかの国家がアンタを狙って来る危険性があるわよ」
「え? え⁉ ど、どういう事なんですか⁉」
「そ、そうだぜ、一夏に鈴。蘭が狙われるなんて………」
蘭も弾も急な事で困惑をしていて、信じられない様子であった。
「A判定っていうのはね、国家代表候補生でも数が少ないのよ。だから、誘拐してまでもA判定の子を狙って来る危険性があるってことよ‼ それで、あんたが受けた会場は、何処がスポンサーになっているのか判る?」
「えっと………何も書いていません………」
「「「ッ⁉」」」
蘭が持っている用紙にはスポンサーの明記がされていなかったのである。因みにだが、必ず簡易適性試験を受けた後に出される結果用紙には、スポンサーの明記をしなければならないのである。また、相手側も同じく、次期代表候補生や企業代表候補生にする為には、必ず情報を登録しておく必要があった。では、スポンサーが明記されていないという事は、どこかの国家、もしくは組織が勝手に行い、後に誘拐する準備をする為でもあるのである。
「チッ、厄介なことになったわね………一夏、龍聖に連絡ってできる?」
「出来るぞ。ちょっと、待ってろ」
鈴は龍聖に連絡をして、対応策をどうするか決めなければならないと思い、一夏に尋ねると既に携帯を手にしていた。
『……なんだ、一夏か。どうかしたのか?』
龍聖が電話に出たが、後ろの方で女性たちの声が聞こえていたので、龍聖はデートに行っているものだと一夏は勘違いをしていた。
「龍聖、俺のダチの妹が簡易適性試験を受けたらしいのだが、スポンサーが明記されていないところだったんだ」
『………詳しく聞かせろ。あと、その子にも聞きたいことがある。スピーカーにしてくれ』
「あいよ」
龍聖は蘭から詳しく話を聞きたいと言い、スピーカーにするように一夏に頼むと、一夏は返事をしてスマホを机の上に置いた。
『さて、初めまして。俺は国際IS委員会日本支部所属、対IS用部隊天照隊隊長の黒崎龍聖だ』
「は、初めまして‼ 五反田蘭です‼」
いきなりの大物に一夏、箒、鈴以外の全員が驚いていた。
『詳しく聞きたいのだが、スポンサー名が明記されていない会場で簡易適性試験を受けた。ここまでは良いかな?』
「は、はい。その通りです」
龍聖は確認するかのように、蘭に尋ねると、蘭は頷きながら返事をする。
『………まずいな………もしかしたら、既に君の周りには君を誘拐する為の工作員が配備されている危険性がある…………仕方がないか。少し切るぞ。すぐにかけなおす』
龍聖はそう言うと一方的に通話を切った。
「お、おい。一夏………マジもんなのか?」
「ああ、俺たちが証人になるぜ」
弾はまさかこれ以上にもない大物と友人になっている事に驚きを隠せずにいたのである。
数分してから、龍聖から折り返し電話が鳴る。
『すまない、切ってしまって。さて、五反田蘭さん』
「は、はい⁉」
『そう緊張することはない……と言っても無理もないか。君は今後、護衛を就けさせてもらう。因みにだが、拒否権は無いよ。そうでもしないと、君は誘拐されてしまう危険性があるから。もう少ししたら、一人の女性が来ると思うから、その女性がこれから君の護衛になる人だ。あと、ついでに言っておくと、君は普通の高校に通う事が出来ず、強制的にIS学園に入学してもらう事となる。その代わりと言っては何だが、君には専用機が与えられる。まぁ、今すぐっていう話ではないから安心して』
「は、はぁ~……えっ⁉ 専用機ですか⁉」
まさかの専用機が与えられると聞き、蘭は嬉しくなった。
だが、龍聖の言葉は続く。
『専用機が与えられると言う事は、それだけの力が必要となってくる。その為、冬休みからは専用機を扱えれるだけの技量を身に着けてもらう必要がある。これの意味が解るよね?』
「もしかして……今年の冬からですか?」
『その通り。冬休みの殆どをISに費やす必要がある。だけど、安心して。何も休みが無いと言う訳ではない。必ず、休みは入れるし、メンタルケアも行うから』
龍聖の言葉を受け、蘭はショックを受けていた。冬休みは殆どをISに費やすのだから仕方がないだろう。
『それから、一夏』
「俺⁉」
いきなり名指しされた一夏は驚いていた。
『お前も冬休みの殆どをISの訓練で日本支部に来てもらうから』
「箒はどうなんだよ‼」
「一夏‼ 余計な事を言うな‼」
一夏は自分一人ではなく、箒までも巻き添えにしようとしていた。
『確かに、箒も訓練に………え? マジで言ってるんですか………解りました。予定変更だ。二人は来週の月曜日に日本支部に来てもらう。その時に蘭さんも連れて来てくれ。不安だったら家族の一人だけ連れてきてもいいよ』
龍聖は蘭一人では心細いと思い、家族の一人を連れてくることを許可した。
「龍聖、勝手に決めていいのか?」
『問題ねぇよ。それから、迎えは俺が行くから。じゃ、楽しめよ』
龍聖はそう言って電話を切るのであった。
「蘭、大変な事になったな………」
一夏は蘭がこれから待ち受ける試練に耐えられるか心配になるのであった。
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