IS(インフィニット・ストラトス)~騎士の物語 作:武御雷参型
格納庫を後にした龍聖達は、天照隊の応接室にいた。応接室には龍聖を向かいにして蘭と弾が座っており、一夏、箒、鈴は二人の後ろで立っていた。
「さて、今後の話をしましょうか」
応接室のソファーに座る龍聖の後ろに一人の女性の姿があった。天照隊の副隊長である黒柳節子である。
「副隊長、例のものを」
「判りました」
龍聖は節子にあるものを持ってこさせると、節子は蘭の前に置いた。
「これは…?」
蘭の前に置かれたのは、部隊章を示すバッチであった。
「このバッチはこの国際IS委員会日本支部を始め、世界各国の支部へと入る事の出来る言わば、入館許可証の様なものだ。また、このバッチは何処の支部に所属しているのかと、どの部隊に入隊しているのかもわかるものになっている。今回は特例として天照隊のバッチを支給しています」
龍聖は説明するが、蘭の耳には入っておらず、蘭はバッジに目を向けていた。
「おい、蘭‼」
「ッ⁉ な、なに、お兄」
隣で座っている弾が蘭の肩を揺さぶって、漸く顔を弾の方へと向けた。
「今、龍聖が説明しているっていうのに、お前は何を見ていたんだ」
弾は呆れた様子で、手を頭に置いていた。
「えっと、このバッジに埋め込まれているのって宝石ですか?」
「よくわかりましたね。このバッジに埋め込まれているのは各部隊のカラーを模した宝石が埋め込まれています。天照隊は蒼を部隊色としているので、サファイアになっています」
龍聖の説明に、一夏たちは支給されているバッジを確認すると、二人ともサファイアが埋め込まれている事に気付いたのである。
「それから、可能性としてあるかもしれない話をさせてもらうと、失くした場合は一旦、こちらで建て替えを行い給料からご自身でこちらに払ってもらう事になります。これは一夏、箒二名にも適用されるから、忘れない様に」
「「あ、はい」」
一夏と箒はまさか、自分たちにも給料が支払われているとは知らなかったのである。因みに、一夏の口座を持っているのは千冬で、箒の場合は束が保管している。
「さて、今後の蘭さんの待遇についてお話をしなければなりません」
龍聖はそう言うと、節子に目配せをすると、節子はある用紙を蘭の前に提示する。
「これが蘭さんの契約書となります。目を通してください。判らない事があれば幾らでも質問して頂いて構いませんので」
龍聖がそう言うと、蘭は提示された契約書を手に取り目を通し始める。弾も横から内容の確認をしていた。
「…すみません。確認したい事があるのですが…?」
「どうぞ」
「では、この“有事の際は特別な理由を除き、参加しなければならない”と記載されていますが、具体的にはどの様な理由であれば免除されるのですか?」
弾からの質問に龍聖は、頷きながら答える。
「確かに特別な理由だけでは意味が解らないですよね。ではお答えします。まず、冠婚葬祭は免除されます。次にテストなど学業で必要な場合も免除されます。そして、専用機を整備に出した際、手元にない場合も免除されます。他にはありますか?」
龍聖の答えに弾と蘭は納得する。そして、目を通し直した。
それから一時間後、弾と蘭は全ての項目に納得して用紙を置いた。
「さて、聞きたい事はありますか?」
「いえ、特にありません」
「自分もありません」
龍聖からの質問に、蘭と弾は問題ないと答える。
「では、こちらの所に署名を」
龍聖がペンを渡すと、蘭は自分の名前を記入した。
「はい、これで大体の事は終わりました。お疲れ様です」
龍聖は自分が記入しなければならない所に、自身の名前を記入して節子に手渡した。
「では、良い時間ですので昼食としましょう。その後は機体の完熟訓練に入ります」
「い、いきなり操縦するんですか?」
龍聖の言葉に蘭は驚く。まさか、貰った瞬間に訓練するとは思ってもみなかったのである。
「訓練ではありますが、いきなり実機を使っての訓練を行おうなど、考えておりません。まずはシュミレーターを使っての訓練となります。その後、ISの操作に慣れた頃合いを見て実機の訓練に入ります」
「あ、なるほど」
「さて、この部屋で食べるのもアレですし、食堂へと行きましょうか。副隊長、他のメンバーに連絡を」
「判りました」
龍聖から指示を受けた節子は、部屋を退室して行った。
「あの、他のメンバーとは?」
「天照隊の面々ですよ。蘭さんの訓練を見てくれるのは、天照隊の手の空いている隊員が行います。昼食を取りながら、自己紹介などして親睦を図ってもらおうと思いましてね」
龍聖がそう言うと、懐に仕舞っていた携帯が鳴り始めた。
「おっと、失礼。真姫か……少し電話してきますので、先に行ってください。一夏、頼んだぞ」
「おう」
龍聖は一夏に蘭たちの事を託すと、そそくさと部屋を後にした。
「なぁ、一夏。龍聖は誰からの電話なんだ?」
「婚約者からだろうな」
「こ、婚約者⁉ えっ、龍聖って婚約者がいたのか‼」
「ああ、いるぞ」
「写真はあるのか?」
「そんなもん持っているわけねぇだろ。ほら、食堂に行くぞ」
一夏はそう言うと部屋を後にし、鈴や箒もついて行った。取り残された蘭と弾は、ただ茫然としていた。
「はは、婚約者もいて部隊長もしていて………神様って残酷だよな………」
「一夏さんは既に篠ノ之さんと鈴さんと婚約しているし…………」
「「はぁ~」」
「何してるんだ、二人とも。場所判んないだろ? 早く行くぞ」
一夏が扉を開けて二人を催促した。二人はトボトボと一夏の後をついてくのであった。
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