※俄か知識が馬鹿やって書いてしまいました。寛容な方以外は読まないことを推奨します。後は自己責任でお願いします。
再度、お願いです。
知識曖昧が勢いで投稿したものです。
寛容な心で見てください。
皆様の日常の小さな楽しみになれば、幸いです。
世界はとても残酷なことをよく知っている。
願い事が叶うなんて、夢物語。
どれほど努力しても願いの通りに未来が開くことなんてなくて。
でも諦めきれなくて、どうしても信じられなかったから。
認めたくなくて、逃げ出して、その先に何があるかなんて当時の自分は考えていなかったのだろう。
ああ、これは夢だ。
そう感じてしまう。
あの頃の無垢な自分がそこにいる。
テレビに映る『理想』を追い求めて、いつか自分も彼らのようになれると根拠もなく信じていた頃の夢。
未来に絶対なんてないのに。
叶う夢なんてないのに。
世界はいつだって残酷で冷たくて、そしてどうしょうもなく理不尽なものだから。
『ええ、本当にね』
冷たい声に、慌てたように振り返る。
誰かいる、闇の底にありながらも、神々しいまでの輝きを放つ存在。
金色。それなのに、闇そのものといった存在。
『私を呼び出したのは、お前か?』
あの時と同じ声が、再び脳裏を揺さぶる。
自分が犯した過ち。拭いきれない過去。絶対に引き返せない分水嶺を越えてしまった結果。
自分で自分の憧れを、夢を、理想を破り捨てたあの瞬間を思い出す。
季節は巡るものらしい。幼い頃は、毎日が新鮮でとても鮮やかだったのに、今では何処か色あせて見える。
「よう、デク」
「ん、かっちゃん」
背後からの声に振り返ると、幼馴染が不機嫌そうな顔で立っていた。
「おまえ、進路どうするんだ?」
鋭く睨むような視線には、『逃げるなよ』と意味が浮かんでいた。
慌てて、顔を反らす。拳を握って、自分の感情を押し込めて、どうにか普通に口を開くことができた。
「うん、普通に高校を受けるよ」
「てめぇ。雄英を受けないのかよ?」
明らかに不機嫌度が増した彼に、顔を合わせずに反らしたまま、そうだと答えておいた。
「てめぇ! なに逃げてんだよ!」
彼が胸倉を掴んでくる。ちょっと苦しいけど、それだけだ。
「無個性が受けられるわけないだろ」
「・・・誰が無個性だよ。てめぇにはあるだろうが! あんだけ強力な!」
「違う!!」
フッと彼の手の力が抜ける。
少しだけ浮いていた体が地面に戻り、慌てるように距離を開ける。
「あんなの『個性』じゃない」
吐き捨てるように告げると、彼の表情が歪む。
お互いに傷になっている過去のこと。
緑谷出久が『無個性』だと判明した時に犯した罪。
逃げだした自分を追い掛けてきた、爆豪勝己と共にヴィランに襲われた時に言ってしまった言葉。
図書館で偶然に見つけた、とても古い本に書いてあった『魔法の呪文』。
怖かったから、助かりたかったから、誰か助けてと唱えたそれがまさか本物だったなんて、誰が信じられるだろうか。
結果、二人は助かった。
『山一つ分』を犠牲にして。
今もそこには草も木も生えず、更地が広がっているのみで動物さえ近寄らないらしい。
「デク。それでも、それでもあれはおまえの『個性』だ! てめぇだけの力なんだよ!」
「違う!! 絶対に違う! あんなのは僕じゃない!!」
視界が歪む、必死に説得す彼の声だけが聞こえて、彼の顔は見えない。
でもきっと自分と同じで、泣いているのだろう。
「あんなのは、ヒーローじゃない」
「力なんて所詮はそいつ次第だろうが。なんでだよ、なんで逃げるんだよ。逃げんなよ! 『おまえ自身から逃げんな』よ!!」
「かっちゃん・・・・ごめん!」
「デク!!」
耐えられないと背を向けて、走り出す。
「俺は待ってるからな! 雄英の試験会場で待っているからな!!」
言葉は背中に突き刺さる。
「俺はまだおまえの『親友』のつもりなんだから! 待っているからな!!」
必死に呼びかける彼の声を振り切って、足を止めずに走りだして、そのまま街を後にした。
誰にも会わないように走り続けて、逃げるように人気のない場所へと突き進んで、振り払うように逃げ出した。
あの時、どうして自分はあんな言葉を口にしてしまったのか。
闇よりもなお昏きもの
夜よりもなお深きもの
混沌の海よ たゆたいしもの 金色なりし闇の王
我ここに汝に願う 我ここに汝に違う
我が前に立ち塞がりし すべての愚かなるものに
我と汝が力もて等しく滅びを与えんことを
当時、五歳だった自分があんな長い文章をどうして覚えていられたのか、どうして最後まで言えたのかはわからない。
でも、発動した力は絶大だった。
山一つとヴィランを消し飛ばし、自分は『魔王』に会った。
金色の瞳と金色の髪を持つ女性は、驚いたように微笑みながら、小さく口を動かしていた。
彼女が何を言ったか解らない。でも、あの頃から自分の中には金色の魔王の力が宿っている。
普通の生活なら問題ない。でも、感情が高ぶったりすれば力が漏れ出す。
僅か小指一つの力が、山を消し飛ばす。蹴りを放てば地面がクレーターになる。
こんな力でどうやって、ヒーローが出来るというのか。
「生きてるか?」
「え、あ」
唐突に視界一杯に入ってきたのは、オレンジ髪の青年だった。
「おじさん、誰?」
「おじさんって、これでも二十六なんだけどな。生きてるなら、さっさと帰った方がいい。ここは物騒だからな」
「そうだね」
地面に寝ていた体を起こして、制服についた泥を払う。
「ねえ、おじさんがもし身に余る力を得たら、どうする?」
思わず自分の口から出た言葉に、驚いたのは自分自身。
こんな通りすがりの人に、何を聞いているのだろう。
「そうだな。俺なら、人を助けるかな」
「え? そんなの無理じゃない。暴力みたいな力なんだよ? 人助けなんて」
相手のおじさんは、自分の言葉に軽く微笑んで否定してきた。
「力なんてものは、所詮は力でしかない。大切なのは、君に『それを扱う勇気があるかどうか』だ」
自分の胸を親指で差しながら、彼は真っ直ぐに見てきた。
不思議な眼差しだ。見ているだけで、何か心の底から湧きあがってくる。
「出来なかったら? それで誰かを傷つけたら」
「君は誰かを傷つけたいのか?」
「違う。僕はヒーローになりたい」
はっきりと口にしたのは、何時以来か。
ヒーローになりたい。昔に見ていたテレビの中の彼らのように、誰かを救えるヒーローになりたい。
「なら、なればいい。君にはその資質があるさ」
「どうして?」
「俺の知っている奴らと同じだからさ。まあ、カンだけどな」
青年は笑っていた。けれど、瞳は決して笑っていなかった。
「無理だと諦めて止めるよりは、1パーセントでも可能性があると信じてやったほうが、ダメだった時に自分が納得できる。これは、俺が昔に言われたことだ」
「そうなんだ」
「ああ。けどな、君には別の言葉を贈ろう。『確率なんてものは目安だ。後は勇気で補えばいい』。勇気を持って進め、少年。振り返らず、絶望が前にあっても勇気さえ持てば道は開ける」
「本当に? そんなに簡単に行くわけないよ」
「大丈夫だ!! 俺が保証してやる!」
グッと親指を突き出す青年に、何故か心の中のモヤモヤが晴れていく気がした。
「おじさんの言葉に、騙されてみるよ」
「おう! 大丈夫だって、君の中の『彼女』は決して悪い『魔王』じゃないからな」
「知っているの?」
質問に対して、彼は答えることなく手を振った。
「あ、待って! 名前!!」
「俺か? 俺はガイ・シシオウだ」
彼は名乗った後、去って行った。
不思議な青年だった。根拠なんてないのに、その言葉は胸に何か熱いものを灯してくる。
「勇気を持って進め」
言葉を繰り返し、足を進める。
やってみよう。もしダメならば、諦めればいいだけだ。それに、やらないで諦めるよりは百倍はいい。
そして、出久は雄英の門を叩く。
試験会場で待っていた幼馴染と拳を突き合わせて、ヒーローとしての一歩を踏み出した。
これが後に『新緑の魔王』と呼ばれるヒーローと、彼を前に進めた『勇者王』との、誰にも知られない出会いだった。
という夢を見ましたので、文章にしてみました。
ヒロアカファンの皆様、まことに申し訳ありません。
皆さまの日常の小さな幸せの一つになれば、と思います。