黄泉路への案内人~覇王と共に~   作:楽一

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大変お待たせしました。何か月ぶり彼の更新です。


第九話

 

第九話

 

 

雛「もうすぐ涼州ですね」

 

 今現在我ら一行は涼州と雍州と涼州に境目近くにいた。

 

 え? 益州や交州はどうだったかって? 交州は都からも地図上からも端っこ。情報もあまり中央のほうには上がってこなかったため実際目にした収穫は大きかった。

格差もあったがその差はあまりひどくはなかった。平平凡凡。そして黄巾等の被害も少なかった。そのためか平和であった。

 

 一方の益州。こちらも劉焉殿の善政によってこちらも栄えているとはいいがたいが民に不安はあまり感じなかった。感じるとすれば民の中でも声が上がっていたが劉璋殿のことだ。こればかりはどうしようもない。

益州に関して驚いたといえば本来ならば荊州の将であるはずの黄忠が荊州の将ではなく益州の将としていたことだ。なんでも劉表の政策に嫌気がさして劉焉のもとに身を寄せたということだ。

 

葵「そうだな」

 

 そして今に至る。涼州の刺史は確か董卓だったな。史実通りの人物なのかと思い雛里に聞いてみたところ。

 

雛『とんでもない! 董卓様はとても善政を振るってますよ! それに董卓様のもとには文武共にすぐれた方がいらっしゃいましゅ!』

 

 と意気込んで話していたことを思い出した。そして最後にかむことも忘れずに。

 

 と、まぁ彼女が示したように史実とこちらの董卓では天と地、雲泥の差ができるほど違うようだ。

 

葵(まぁ今更なところがあるんだがな)

 

 この世界と史実の違い。有名な君主であり、将であり軍師のほとんどが女性であること。紙の流通がすでに一般化されていること。歴史の食い違いが発生していること。あげればきりがない。

 

星那「お父様、そろそろ涼州です。城壁も見えてきましたね」

 

 そういって目の前には涼州で初めての都市であった。

 

 城門をくぐり大通りをしばらく歩いてみる。

 

翼「ふむ。建業ほどかもしくはそれ以上の活気だな」

 

 大通りの活気は市の活気でもある。つまり物流が盛んにおこなわれている証拠である。

 

葵「これほどとはな。洛陽でもこれほどではあるまい」

 

雛「すごいでしゅ・・・・・市でも食材はもちろん、装飾品や、服、さらには本まで・・・」

 

星那「多種多様。しかし警邏はどうなるのでしょうか?」

 

 そうおもって話しながら歩いていたら。

 

 

――どんっ

 

 

???「あうっ」

 

葵「おっと。大丈夫か?」

 

 私にぶつかった女性? いや、女の子だった。年齢はおそらく今ここにいる子たちと同い年ぐらいだろう。少し紫がかった髪に、同じ瞳の色。来ている服はこの通りのだれもが着ているような服だが、雰囲気、オーラ? というものが何か違うと物語っていた。おっとりとしているようだが、その芯は強いものを持っている。

 

葵「すまない。ぼーっとしていたようだ」

 

???「いえ、こちらこそ申し訳ありません」

 

 手を貸し立ち上がると、服についた土を払いのける。

 

葵「けがなどはありませんか?」

 

???「お気遣いありがとうございます。ですが大丈夫です」

 

 そういっていると、

 

???「いたのです! 月殿!!!」

 

 そういって走ってきたのは子供。元気いっぱいの子供。そして言葉づかいからすると従者か?

 

月(?)「ねねちゃん」

 

ねね(?)「心配しましたぞ。ってこいつらはだれですぞ?」

 

 そして経緯を話した。まぁそうするとどこの誰ぞ! けがをさせたのか!? とねね殿が警戒心マックスで話してきた。そのあと、もう一人遅れてきた。持っている物からして武人であることは確かだが、一見しただけで強いとわかる。表情からはおっとり、というかゆっくりしている感じだ。だが、月と呼ばれたことは違うおっとりである。

 

 まぁこの子もねねと名乗る子から情報を聞いて警戒心を強めた。そのため自己紹介というわけではないが、身分を明かすことにした。

 

葵「申し訳ないことをした。我名は夏候覇仲権。陳留の刺史曹嵩の家臣夏候忠の子です」

 

星那「我名は司馬仲達。この方、夏候覇さまの臣です」

 

翼「徐庶。右に同じく」

 

雛「あわわ、ほ、鳳士元でしゅ! み、みなさんにお、おおおにゃじでしゅ!」

 

 そういうと、ここでは何なのでとこの子の自宅に御呼ばれする形となったものの、そこで見たのは。

 

葵「こ、ここってたしか・・・・・」

 

翼「刺史が住む館ですね」

 

 つまりそこから導き出せる答えというのは、

 

董「臣が非礼を。わたしが性は董、名は卓、字は仲穎といいます」

 

陳「ねねは性は陳、名は宮、字は公台なのです」

 

呂「恋は性は呂、名は布、字は奉先」

 

 案の定というべきか。董卓や陳宮がいるということはその方天画戟を持っている者。それすなわち飛将軍と名高き呂奉先か。

 

そして中からは眼鏡をかけた女性がまた一人。董卓殿が経緯を話すと、

 

賈「そう。私は性は賈、名は詡、字は文和。ねねが失礼をしたわ」

 

 そういって中に上がり茶を馳走された。

 

 そして茶の席で賈詡が、

 

賈「で、曹家の家臣の子、そして黄泉路の案内人とうたわれた夏候覇がどうして涼州に?」

 

葵「なに、旅にです。見聞を広め、今後の執政に役立てる。これではだめですか?」

 

 嘘偽りはない。見聞を広めるといっておけば大体はなるほどと納得してもらえる。実質今後陳留を取り仕切るのは私ではなく曹家の者、つまり華琳か月琳である。可能性では華琳か。

 

董「そうでしたか。ところで旅ということは今夜のお宿もお決まりですか?」

 

 何ともふにゃりとした表情でそう聞いてくる董卓。周りの者たちを見ても警戒をする者あれどそこまで気にしていないといったところだ。

 

葵「いえ、これから決めようかと思ったところです」

 

 宿に行く前に董卓に出会ったからな。

 

董「ではどうですか? 我が家に泊まるというのは?」

 

 え? いや、それは、

 

星那「確かに願ったりかなったりですが」

 

翼「うむ。こちらに利はあれどそちらには何も」

 

雛「お金も限られてますし・・・・」

 

 実際孫家で稼がせてもらった路銀を持っても余裕はあるが、贅沢を許されるほどではない。節約できるのであればしたいのが本音だ。

 

董「はい。もちろんただでとは言いません。わたしはあなたたちの旅の話を聞きたいのです。こういう身ですからなかなか外に出ることも許されないものですから」

 

 そういってちらりと賈詡のほうを見る。なるほど。そういうことか。

 

葵「それでしたらお言葉に甘えさせていただきましょう」

 

 

SIDE月

 

 

 突然の出会いというのはよくあることです。

 

 わたしにとっては彼、夏候覇さんとの出会いでしょうか。

 

 詠ちゃんに内緒で市に出ると周りの人の多さに驚きました。なんでもあとで詠ちゃんに聞いてみたら今日は一段と多かったそうです。

 

 そこであまりの活気に右を見て左を見てと前を見ていなかったのが悪かったんでしょう。前の人にぶつかって、その反動で転んでしまいました。

でも、その人は親切に手を差し伸べてくれただけでなく、ちゃんと気遣いもしてくれました。

 

 そのあとねねちゃんが来てちょっとややこしくなったけど、その人は笑って見逃してくれた。

 

 なんでも旅をしているらしくて、洛陽を出立後、荊州を通り江東から交路州を通り益州、そして涼州ときたみたいだ。

 

月「そうでしたか。ところで旅ということは今夜のお宿もお決まりですか?」

 

 ふとした思いから聞いてみた。もし決まっていなければぜひ我が家に泊まっていただきたい。

 

覇「いえ、これから決めようかと思ったところです」

 

月「ではどうですか? 我が家に泊まるというのは?」

 

 その言葉を聞いておつれの方々も喜んでいただいたみたいだ。

 

月「それではお部屋をご案内しますね」

 

覇「え? えぇ、って、董卓殿自らまさかするというわけではありませんよね?」

 

 あれ? おかしなことを言ったかな?

 

詠「はぁ・・・・・月? 普通はこういうこと使用人にやらせるべきことなの。だから刺史である月がするということに夏候覇は驚いているってわけ」

 

 そうなのかな? 

 

詠「そうなの。それに月は仕事が残ってるでしょ。このことは霞は・・・・確か彩(さや)と賊討伐だっけ。恋、ねねなにかこの後予定は言ってたかしら?」

 

音「確かねねと恋殿はこれからここから周囲警戒が入ってたと思いますぞ」

 

覇「そこまで近くに賊が迫っているのか?」

 

月「いえ、先程申した霞、張遼という者の真名で、あと彩は華雄の真名です。その二人が現在賊討伐を行っていると詠ちゃん、賈詡が話してましたよね」

 

覇「あぁ」

 

詠「要は二重の構えを取ってるわけ。取りこぼした残党がこっちに来ないように。じゃないと民にまで被害出るし」

 

 すると、夏候覇さんは納得という顔をしてました。

 

詠「とうなると残りは・・・・・吹雪か」

 

 吹雪ちゃん。性は徐、名は晃、字は公明。

 

詠「誰か、吹雪を、徐晃を呼んできて!」

 

 それからしばらく経つと、長い水色の髪を後ろで一本に縛り、きりっとした鋭い金色の瞳をした女性、吹雪ちゃんだ。

 

 

SIDEOut

 

 

葵「この方が徐晃殿?」

 

 目の前にいた女性は髪と瞳の色をのぞけばシグナムによく似ていた。

 

吹「月様。こちらの方々は?」

 

葵「申し遅れました。我名は夏候覇。そして後ろに控えている者たちはこちらから鳳統、司馬懿、徐庶と申します」

 

 私が発した言葉に彼女は驚いた表情をしていた。

 

吹「なんと! あの黄泉路への案内人でしたか!」

 

董「詠ちゃんも言ってたけどそんなに有名なのですか?」

 

吹「はい。今まではたしか曹嵩殿の配下の中で随一と言われれば誰もが夏候忠殿が誰もの口から発せられてたでしょう。ですが彼が出てきてからは、曹家随一は彼というようになりました。夏候忠殿も確か彼のものの前では我名は霧散してしまうのも納得と言わしめるほどです」

 

 母がそんなことを。まぁ何とも。

 

吹「そんな方がなぜこちらに?」

 

 そんなこともあり、もう一度彼女たちに経緯を話し、理解をしていただいた。

 

吹「なるほど。詠、霞と彩は今どこらへんに?」

 

詠「え? 確か知らせによると賊討伐はほぼ終わったって聞いてたし。だからそろそろ恋たちにもいかせようとしたのだけど?」

 

吹「なるほど、となるとほぼ半刻もないか」

 

 ? 何の話だ?

 

吹「うむ。では部屋の案内の前にしばらく我らに付き合ってくれないか?」

 

葵「? 何かはわかりかねますが、わかりました」

 

 そのあとの悲劇をこの時の私は知る由もなかった。そう、あんなことになるなんて・・・・。

 

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