泣き虫なサイヤ人   作:丸猫

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原作、というか映画の彼らがちょっと出てます。


無力な戦い

ラディッツは、幼くとも立派な戦士だ。同い年ほどの子どもと共に、ナッパという大人が隊長を務めている隊に在籍している。

そんな中でも、ラディッツは平均よりも戦闘力を有した、将来の有望だと判断された子どもだった。

その日は、ラディッツの隊は当分休暇ということで、せっせと訓練に励んでいた。

ラディッツも、同期の存在と共に今日も今日とて訓練に勤しんでいた。

ラディッツは、目の前の存在と打ち合いを始める。

慣れたもので、突きと蹴りを交互に繰り返す。

ただ、お互いの実力が拮抗しているのか、なかなか決め手に欠けていた。そこで、相手方の少年が、突きと蹴りを止めて、少しだけラディッツから距離を取った。

それによってバランスを崩したラディッツは、前かがみによろけてしまう。そこに少年は、横から蹴りを入れた。

「ぎゃ!」

蹴られた方向にラディッツはごろごろと転がっていく。

訓練場には、丁度遠征の時期と重なっているのかラディッツとその少年しかいない。

転がったラディッツは、うううううと呻きながら立ち上がり、自分を転がした少年を見た。

 

「・・・・・ターレス、お前、また強くなった?」

 

転がされたのが嘘だったように、ラディッツは立ち上がった。ターレス、と名を呼ばれた少年は、ひどく不満そうに顔をしかめた。

その顔に、ラディッツは薄く微笑んだ。

ターレスは、彼女の父によく似ていた。その浅黒さを抜けば、本当に瓜二つでラディッツは己の弟のことも思い出した。

おそらくは、遠縁にあたるのだろう。

サイヤ人は、さすがに近親で子をなすことは避けようとするが、それでもある程度遠くなれば意識の外に置いてしまう。

元より、種族自体が少ないのだ。それ相応に、血の濃さは想像に容易いだろう。

 

「お前にそう言われると、嫌味に聞こえるぜ。エリート候補様?」

 

ターレスの厭味ったらしい言葉に、ラディッツは不思議そうに言った。

 

「でも、あくまで候補じゃないか。大人になる前に死んだら、候補のままだ。」

 

候補のまま死ぬよりも、大人になるまで生き延びる下級戦士の方が数倍ましだ。

 

ラディッツの言葉に、ターレスはまた顔をしかめた。

ラディッツは、時折変に辛辣なことを言う。少し、反応に困る類のものだ。

 

(・・・・・まあ、下級戦士になることが決まった俺と、エリートになることが決まっているこいつがこうやって訓練を一緒にしてることが不思議か。)

 

ターレスは、そんなことを思いながら、目の前で砂埃を払う同期に目を向けた。

ターレスがラディッツと初めて会ったのは、彼が今いる下級戦士の使う訓練場でのことだった。

遠征の時期によって混み合いも、はたまたがらがらにもなるそこで、それは一人で黙々と訓練をしていた。

ラディッツは知らないだろうが、ターレスはラディッツを一方的にだが知っていた。

何といっても、その両親は、少なくとも父親は下級戦士の間では有名過ぎた。

下級戦士といえども、幾度も戦いを乗り越え、そのためか皆に一目を置かれているバーダックは有名だった。

そうして、その子にして、高い戦闘力を見出され、サイヤ人らしからず穏やかな性質のラディッツは良くも悪くも同じように有名だった。

 

「・・・・お前、上級戦士のほうにはいかないのか?」

「うーん。あそこに行っても、下級戦士の子だからってうるさいんだよ。別に、あそこでもいいんだけど急に攻撃されたりするから、それはそれで訓練にはなるんだけど。いちいちそういうのもめんどくさいから。」

 

母さんのこととか、言われるし。

 

ぼやくような声でそう言った。

そうだ。こういうところが、ラディッツが変わり者と言われる要因なのだ。

サイヤ人は情が薄い。

けれど、ラディッツの母親は、甘い性格でなにくれと子供を気遣っている。ラディッツもまた、母親のことを気遣っている。

そう言うところが、エリート候補たちには気が障るのだろう。

 

「お前、母親との距離を置かないのか?」

「なんでさ。他人に言われたからって、自分のやりたいことを曲げるなんてやなこった!それよりも、煩い奴らが黙る様に強くなることを私は選ぶよ。というか、君こそ私とつるんでいいのか?」

「ふん、その言葉、そのまま返してやるよ。他人のことを気にするような玉じゃねえ。」

「それもそうか。」

 

納得したのか、ラディッツはうんうんと頷く。

それを見て、ターレスは目を細めた。

ターレスは、口に出す気はないが、ラディッツという存在を気に入っている。

最初は、エリートになるからと調子に乗っているのだろうと高をくくっていたが、蓋を開ければそれは甘かった。

喧嘩を吹っ掛けたターレスを、ラディッツは軽々といなしてしまった。そうして、あろうことか、戦闘への助言をしてきたのだ。

ターレスからすれば、屈辱であったが、それよりも先に驚きがやって来た。

 

こいつは、何を考えている?

 

エリート候補が、喧嘩をしかけた下級戦士の子どもである自分にそこまでのことをする?

揶揄われているのかと一瞬考えたが、それにしてはラディッツの助言は的確といえた。

思わず、何故助言などするのか問えば、どうどうと言ってのけたのだ。

 

「だって、お前には強くなってほしいんだ。君が強くなれば、私と一緒に組み手でもしてくれそうだし。それに、強い身内が増えるのはいいことだろう?」

「・・・組み手って。」

「君が強くなれば、私が強くなる。私が強くなれば、君だって強くなる。これで、ウィンウィンだ。」

 

えっへんと胸を張る目の前の存在に、ターレスは呆れる様な感覚で見た。

何なのだろうか、これは。

本当に、心から、その時のターレスは思ったものだ。

甘い、あまりにも甘い考えだ。それでも、ターレスがラディッツとつるむのを止めないのは、ひとえにその存在が彼にとって利をもたらすためだ。

事実、ターレスはラディッツと戦うことで実力自体は上がっている。

そうして、ターレスは、何だかんだでラディッツの向上心とも言えるそれを好ましく思っていた。

より強く、周りに何を言われても押し通せるほどに強く、と鍛練を欠かさないその価値観や、父が下級戦士の為かターレスと対等であろうという姿勢を好ましく思っていた。

 

「・・・・・ターレス、どうかした?」

「・・・・・いや、別に。」

 

少しの間考え事に耽っていたターレスは、ラディッツの声でそれから帰って来た。

 

「なら、続きでもやらない?」

 

にやっと笑って、構えを取ったラディッツにターレスは同じように微笑みかけて。同じように構えを取った。

 

 

 

 

 

 

「それでな、この頃、ものすごくいいことが多いんだ。」

 

ラディッツは機嫌が良さそうに、赤子に向けて話しかける。丁度、彼女がいるのは弟と、そうして泣き虫な赤ん坊の眠るベッドの間だ。

ラディッツは、弟を覗き込みながら、好き勝手に一人事を言う。弟のカカロットは、ラディッツの長い髪の一房にじゃれ付いている。

サイヤ人の赤ん坊は図太く、滅多に泣くことはないのでラディッツが一人で話していてもどれもがぐーすか寝入っている。

 

「うう・・・・」

 

そこで、ラディッツは丁度、己が背を向けているカカロットの隣りのベッドからそんな声がするのを聞いた。

それに、ラディッツは、またかと後ろを振り向いた。

そこには、以前にカカロットの愚図りに泣いていた赤ん坊がいた。

 

「お前も泣虫だなあ。」

 

ラディッツはそう言って、いつものようにその腹をとんとんと叩いてやる。そうすると、赤ん坊はラディッツの顔に視線を向けて来る。

大きな、黒い瞳がじっとラディッツの目を見つめる。

 

「ん、泣き止んだな。」

 

ラディッツはそう言ってまた弟の方に顔を向けようとすると、また赤ん坊が微かな声で愚図り始める。

 

「もー。」

 

ラディッツはそう言ってまた赤ん坊のほうに振り向いた。そうして、腹をとんとんと叩いてやる。けれど、赤ん坊はじっとラディッツを見て、小さく愚図ったままだ。

 

「・・・・・またなのか?」

 

ラディッツが思わずそう言うと、赤ん坊は待ってましたとばかりに、うーと言った。

それに、ラディッツはものすごく、微妙な顔をする。

言わずとも、顔にえーやるのか、なんて書いてあるぐらいに微妙な顔だ。

けれど、ラディッツが嫌そうな顔をしている間に、赤ん坊は目に涙を溜め始める。

 

「あ、わ、わかったよ!」

 

ラディッツはそう言いながら、そっと自分の尻尾を出した。赤ん坊は自分に差し出された尻尾に嬉しそうに手を伸ばし、きゃっきゃと笑う。

そうして、その尻尾に抱き付いた。ぐりぐりと自分の尻尾にじゃれ付かれるたびに、ラディッツはざわざわというか、ぞわぞわというか、体の力が抜けるよう感覚がする。

といっても、まだ赤ん坊のせいか、力が弱いのが幸いだろうか。

 

「あー、もう。やな癖つけたなあ。」

 

ぼやくようにラディッツはそう言って、赤ん坊のベッドに寄りかかる様にその様を見ていた。

何故か、この赤ん坊はラディッツの尻尾をやけに気に入る様になってしまった。尻尾であやさなければいいのだろうが、そうすると赤ん坊はずっと愚図り始める。

放っておいてもいいのだが、それはさすがに何かと忍びない。

この頃、弟の元に通うついでにあやしたり、構ったりしていた存在だ。甘い性格のラディッツはとっくに赤ん坊に情が湧いていた。そんな存在がずっと泣き続けるのは忍びない。

それに加えて、一度、そのまま泣かせていた時など、ベッドから手を伸ばして尻尾を自ら掴まれたのだ。おまけに、口にくわえてられてずっとしゃぶられ続けるという悲惨な目にもあった。

 

(・・・・あの時は、しばらく立てなかった。)

 

遠い所を見るような目で、ラディッツは宙を見る。それ以来、赤ん坊から要求があった時は出来るだけ尻尾を貸すことにしていた。

ラディッツは尻尾をおもちゃのようにしてじゃれ付く赤ん坊を見つめた。そうして、以前に何かの本で読んだが、サイヤ人と同タイプ、ヒューマノイド型の種族は赤ん坊のころは母親の乳房から母乳を吸って成長するらしい。

サイヤ人は、赤ん坊の間は育児用のポットの中で過ごすため、あまりラディッツには馴染みのない事実であったが。

その事を考えると、赤ん坊のころに何かに吸い付くというのは本能的に安心できるのかもしれない。

 

(・・・まあ、これも修行だと思えばいいか。サイヤ人は、尻尾が弱点だから。克服だと思えば。)

 

そう思えば、この乳児室通いもそこまで悪いことではないだろう。父親には、少し言われているが。

 

(・・・・・まあ、もうすぐカカロットも家に帰って来るし。ここに通うのも、もう少しで終わりかあ。)

 

そこまで考えて、ふと、少女は目の前で自分の尻尾にじゃれ付く赤ん坊に気が向いた。

 

「そうか、そうなると、お前にも会えなくなるのか。」

「う?」

 

赤ん坊はラディッツの言葉に反応して、彼女の方を見た。ラディッツはそれにくすりと笑って、頑張って尻尾に力を入れて赤ん坊の頬を撫でてやる。

それに、赤ん坊はきゃっきゃっと笑う。

 

「・・・・お前の名前、後で誰かに教えてもらおうか。なんたって、私があやしてやったんだ。十分に、弟分みたいなもんだし。うん、大きくなったら私がカカロットと一緒に鍛えてやろうか。たぶん、ここの担当の技術者か誰かに聞けば。」

「・・・・おい、どれだ?」

 

そこで、ラディッツは乳児室の出入り口に数人の大人が集まってきているのに気づいた。大人たちは、きょろきょろと乳児室を見回している。

ラディッツはそれを珍しいなあを眺める。

基本的に、サイヤ人はそこまで我が子に興味はない。というか、男は特にその傾向が強いだろう。

 

(・・・・遠征に出てる最中に生まれたのか?でも、子どもを見に来たにしても、大所帯が過ぎるな。あれかな、戦闘力の高い子どもが生まれて、仲間に自慢とかか?)

 

そう思っていると、大人たちは何故かどんどんラディッツの方に向かってくる。だが、ラディッツは自分には関係ないだろうと高をくくって赤ん坊に視線を向けた。

けれど、すぐにそれは自分に向けられる視線で邪魔された。

 

「・・・・おい、パラガスに娘がいたか?」

「いや、そんな記憶はない。」

 

ラディッツは自分を見る大人二人に訝し気に視線を向けた。

 

「・・・・まあ、いい。命令だから。」

 

そういうと、前にいた男がラディッツの見ていた赤ん坊の尻尾を握って持ち上げた。赤ん坊は驚いたのか、それともその反動でラディッツの尻尾を離してしまったためか、火が付いたように泣き始めた。

 

「おい!止めろよ、赤ん坊の抱き上げ方も知らないのか!?」

「・・・・黙ってろ、餓鬼!」

「お前には関係ないことだ。」

 

そう言って、去っていく大人に、ラディッツは眉間に皺を寄せた。そうして、ラディッツは今まで遠征を繰り返し、他の星を侵略し続けた経験から来る勘によって悟った。

この二人は、赤ん坊に害をなす気だ。

ラディッツは、赤ん坊の尻尾を握った男の膝に飛びかかった。体格差があるとはいえ、足から崩された男は倒れ込む、そうしてその拍子に捕まれていた尻尾が手から離れた。

ラディッツは倒れ込む男を足場に飛び上り、赤ん坊をキャッチした。

そうして、弟に危害を加えられることを避けるために、赤ん坊が寝かされていない部分にまで逃げる。

 

「っ、待ちやがれ!」

「この餓鬼!どうなるか、承知してんのか!?」

「どうなるもくそもあるか!いくら何でも、身内の赤ん坊を殺そうとしてる奴らに信用もくそもあると思ってるのか!?」

 

ラディッツはちらりと、出入り口に視線を向けると、そこには案の定誰かが立っている。

 

(・・・・・逃げるために、引き付ける必要があるな。でも、他の赤ん坊たちを傷つけないために、部屋の中で逃げられる部分は限られてるし。)

 

「バカが!俺たちは上の命令でやってんだぞ!?」

「そっちこそ馬鹿か!赤ん坊を殺すことは厳禁だって、サイヤ人なら知ってるはずだ!」

 

ラディッツの言葉に、大人たちは苦い顔をする。それに、ラディッツは目の前の存在に不信感を強めた。

惑星ベジータでは、基本的に赤ん坊を殺すことは禁じられている。

それも当然な話で、戦闘種族であるサイヤ人は、死亡率が当然高い。おまけに、遠征に出ている人間が多いため赤ん坊が生まれる確率も低い。もちろん、技術者などが残っているが、戦闘民でない人間の子どもは親の資質を引き継いで戦闘力が低いことが多い。

それでも、子どもの内に鍛えていれば下級戦士程度の力を持つものも出て来る。そのため、ベジータ王は子どもについては出来るだけ育てる様に、殺さぬようにという法を作ったのだ。

 

(・・・・やっぱり、こいつら怪しい。サイヤ人の赤ん坊って、高く売れるって、どっかで聞いた気がする。もしかして、それ目当て?)

 

眉間に皺を寄せて、警戒を強めたラディッツに大人たちは目くばせをする。そうして、周りの異様な事態を察したのか、ラディッツに抱かれた赤ん坊がううと愚図り始める。

ラディッツは、手を揺らして赤ん坊をあやす。

 

「・・・・大丈夫だからな。私が、守ってやるから。」

「くそ、おい!取り押さえるぞ!」

「騒ぎはおこすなよ!」

 

そう言って、二人が飛びかかって来るが、さすがにラディッツと誘拐魔二人は体格差がありすぎた。ラディッツのちょこまかとした動きを追い切れずにいた。

大人たちは、さすがに乳児たちに危害を加える可能性を考えてエネルギー波を使うことはなかった。

そうしてラディッツは、大人たちが自分に飛びかかってくる瞬間にタイミングを合わせて、高く飛んだ。そうして、上を取ると同時に一人の頭を思いっきり踏んづけて出入り口の方に飛んだ。よくよく見れば、出入り口を守っていたらしい仲間の男がこちらに向かってきていた。

 

(・・・・あいつを振り切ったら逃げられる!)

 

そうすれば、他の大人の所に知らせに行ける。

ラディッツは小回りのよさを生かして、騒ぎで倒れてしまったが乱雑に置かれた赤ん坊のベッドの間をすり抜けて、男を振り切ろうとする。

けれど、その前に、ラディッツの背中に重い衝撃が加えられる。

 

「あ゛・・・!?」

 

その拍子にするりと、ラディッツは赤ん坊を離してしまう。赤ん坊はごろごろとその場に転がった。ラディッツは、赤ん坊の元に走ろうとするがその前に誰かに尻尾を握られた。

急激に抜けていく力に、ラディッツは茫然とする。

ラディッツの尻尾を掴んだ男は、釣り上げられた彼女をじろりと睨んだ。

 

「・・・・たく。手こずらせやがって。」

「おい。これ以上騒ぎを起こすなよ!」

「は!?なんでだよ、視られてんだぞ?」

「よく見ろ、そいつエリート候補だ。少し待て。」

「・・・・こいつがブロリーか。」

「や、めて・・・・・」

 

ラディッツは逆さづりの視界の中で赤ん坊が尻尾を掴まれ、吊るされているのが見えた。

 

「悪いが、これも仕事だ。」

 

それに、ラディッツは、目の前の存在がその赤ん坊を殺すことをはっきりと理解した。

 

「やめ、て。なに、したって、いうんだ・・・・」

「命令だと言っただろう。」

「おい、そいつさっさと気絶させろ。」

「そうだな・・・」

 

そんな声の中でもラディッツの視線はじっと赤ん坊のことを見ていた。

 

止めろ

 

赤ん坊の泣き声が響く。ラディッツが、ずっと、聞いてはあやしていた、手のかかる、でも確かに可愛がっていた赤ん坊。弟よりも、手を掛けていたかもしれない、赤ん坊。泣虫な、赤ん坊。

 

「やめて、ひどいこと、しないで。おねがいだから、そいつに、なにも・・・・」

 

ラディッツは自分に助けを求める赤ん坊の顔を、じっと自分を見る黒い瞳を見て、手を伸ばす。けれど、首に受けた衝撃によって、意識はそのままふっと消えてしまった。

 

 

 

 

 

「・・・・・・何?ブロリーを庇ったものが?」

 

ベジータ王は、報告をしてきた部下を睨むように見た。それに、部下の男は頷いた。

 

「それで、庇った者は?」

「はい、エリート候補だったため、処分は一旦は見送られています。どうも、ブロリーを殺そうとしたものを、誘拐犯か何かと勘違いした様で。」

「そんなもの、すぐに処分を・・・・」

 

そこで、ベジータ王は言葉を止めた。

エリート候補と判断されるほどの戦闘力を持ちながら、赤ん坊を庇うという特異さに興味を引かれたのだ。

 

「名は?」

「ラディッツ。下級戦士、バーダックの娘です。」

「・・・・・あれのか。」

 

下級戦士だというのに、飛びぬけた実力を持っているバーダックについては名だけ知っていた。

 

「ブロリーについては、反逆をした者の子だということにしてありますが。ただ、本人自体はブロリーについてショックを受けている様で、生まれたばかりの弟にべったりだとか。」

「ふん、甘いな。戦士には、向いていない。」

「ええ。何でも、技術者としてもやっていける程度に器用なようでしたが。戦闘力の面で高い能力を出したため、エリート候補に。」

「・・・・ふむ。技術者でもやっていける、か。」

 

ベジータ王は、それに少しの間考え込むような仕草をする。そうして、部下の男に視線を向けた。

 

「・・・・我が息子の入隊の件だが。その娘と同じところにするか。」

「処分は、見送りになるので?」

「ああ。サイヤ人でそう言った性質の者は少ない。」

 

ベジータ王は冷たく微笑んだ。

 

「息子の丁度いい手駒になるかもしれんな。」

 

 




ラディッツは一応上級戦士だそうですが、なんとなく子どもの頃は能力的に高くて大人になるにつれ伸び悩んだイメージです。
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