あれから幾日か経っていたような気がする。俺はいつも通り浮浪者として王国の病原菌としての生活を送っていた。別に俺は見限ったという理由ではなく単純に誰かといるのを嫌っている。これは俺が慣れるまでかどうかの話であるので向こうが謝ろうと何をしようと許す気はない。何も非のない謝罪など無価値。
しかし、本当に本拠地となる小屋を見つけ出して、譲り受けて現在では俺が家に帰ってくるのを待っている。向こうの勘違いと言って突っぱねるのも出来たのだろうがああいう純粋な眼差しでこの紙を渡されては返すこともできなかった。俺が招待状を受け取らなければこうはならないだろうがもう遅い。これが運の尽きだったと考えておこう。
遂にけじめのついた幾条なしの俺は重い腰を上げることにした。それと来る分には対応するが俺から闇の中へと入るのはやめることにした。イーラにもしものことがあったときの原因となるのはごめんだ。しかし根強く残る影が付きまとうだろうが必ず俺が守る。
イーラの見つけ出した小屋は王国の外にある。何故かといえば、森の中にある廃屋であるらしい。俺は屋根があるだけで十分だが本当にそれで良かったのだろうか。俺は一度聞いてみるつもりであった。いつ聞くとは言っていない。
見た目は人が住んでいるような気はしない雰囲気をしていた。家の建材として使われている木材は汚れで木目を見ることはできず、隙間が空いていて外とあまり変わらないようにも感じる。それでも見つけてくれただけでも嬉しいものだ。俺は開いている扉を叩いて誰かいるか一応確認することにした。
「おかえりなさい。」
「まだ早い。」
少し慣れていないのかイーラが気恥ずかしそうに迎えてくれた。俺はどうにも気分が乗らず、そう返しておくことにした。正直どうしてこうなったのかは何もわからない。まだ何回と数えられる程度の回数しか会っていないが何故か親しそうに話してくれる。
「これからご指導お願いします。」
そういえばそういう約束だったのかもしれないと俺は思ってしまった。酒を飲んでいたのがまず間違いだったのかもしれない。 この後の後悔も含めて俺はこの状況を楽しむことにした。
そこから俺は後衛として度胸試しのために俺一人なら倒せる程度のクエストを受けてみることにした。結構有名だった為かすんなりと行けてしまったが本来は序盤のうちは簡単な誰でもやれる仕事しかやらせてくれない。だが、俺は信頼に足る浮浪者だったからこそうまく行けたと自分で言っておく。
環境にも慣れてきた頃、俺はその実力を買われて国王に呼び出されたことがある。今回のようなもので三回戦、計六人と戦った。結果としては随分な力を示せたようで魔王の退治へと向かう資格をもらえた。
俺はその事を伝えた。
「私を連れていってくれますか。」
イーラの回答はこれだった。俺は少し角度の変わった回答だったので迷ってしまった。
「良いのか。俺なんかについてきて。」
「はい。私、頑張ります。だからお願いします。」
俺は迷ってしまった。一人ぐらい連れていても良いのではないだろうか。だが、何が起こるか分からないのに連れていけば責任が問われる。
「そうか。俺には少し荷が重たい。」
「分かりました。私はここで貴方の帰りを待ってます。」
イーラはそう言って椅子と呼ぶには相応しくない場所に座り始めた。俺はどうしたら良いのか本当に思っていた。ここまで迷ったことも人生生きていて、なかったはずだ。だが、原因が何か分からない。何故ここまで迷っているのかさっぱり分からなかった。
「待て。俺はお前に傷を負わせたくなかった。だから連れて行きたくない。それでも貴方は付いてきてくれるか。」
「ええ。一緒に居たいもの。期待しています、よ。」
少し控えめなイーラがここまで言ったこともなかった。俺はその気持ちを受け止める。そして優しく包み込んでから自分の中に入れてあげた。
「そうか。少し王国で支度をしてから向かうことにしよう。」
俺はそう言って壊れて開いている扉を更に開いて外へと出た。周りは森であるが人気はなく静かな場所であるが王国からもそう遠くもない。俺はイーラと一緒に王国を探索してから魔王の討伐へと向かうことにした。
「誰も送り出してはくれないか。」
俺は周りの様子を見てから独り言かのように言っておいた。右隣にはイーラが居てもしもの時は回復をしてもらおうと思う。
「良いですよ。私はこれで満足なんですから。」
「そんなに嬉しかったか。」
「はい。」
「そうか。それなら嬉しい。」
俺はこうして一回目の魔王討伐へと向かった。今回は仲間を多く連れてきた。どうなるのかはまだ分からない。