青年と霊夢が言い争っていた組の後ろの方では音が聞こえる程度の距離を開けている四人のまた別の組があった。そこでは比較的平和にことが進んでいる。先頭を歩いているのはノースリーブの白色の服装をしている額には赤い大きな角がある勇儀が歩いている。その後ろを動きやすい服装にしている緑色を基調とした服装をしている早苗が続く。
「楽しみですね。」
前の組とは全く違うテンションでいる早苗だが勇儀は特に付いてきてはいない。元々早苗のテンションに合わせられるほどの人物でもない。多少なりこうなるのは仕方ないことである。
しかし、後ろにいるにとりとその後ろにいるレミリアは余計に何ともならなかった。元々臆病な性格かそう多くは話さない人物である。青年とはあまりそのような面は見られないが本来は気品のある高貴な種族である。
「魔王さんはどういう方でしょうか?」
早苗はまた違うことを聞いている。それがどうしたと勇儀は言い返したかった。
「知らないよ。楽しみにしといたらいいんじゃないか?」
勇儀は無難に答える。だからと言って何かあるという事ではない。
「そう言っても気になりませんか?」
「いや、別に。」
勇儀もいつ終わるのか分からない旅の途中で余分な体力は使いたくないと思われる。対して早苗は少しでも楽しくしようとしているがタイプ的相性は悪い方だと思われる。青年なら別に気にしないので話は聞いてくれる。
「えー、楽しくいきましょうよ。」
「辞めとけ。後ろの奴と話したらどうだ。」
「そうですね。わかりました。」
「にとりさん、ブリタニア王国では何をしていたんですか?」
「工房で武具とか作っていたよ。」
外ハネしている癖のある青い髪で赤い紐で軽く結んでいる髪型をしている背中には大きなカバンを持っている少女は少し控えめに答えていた。
「にとりさんは本当に凄いですね。青年さんにもきっとそういうところを見ていたんですかね。」
「どうだろうね。」
あまりの勢いににとりは苦笑いを浮かべながら答えていた。何があったのかそれさえあればまだ何とかなったのかもしれない。
「貴女は少し口を慎んだ方がいいかもしれないわよ。」
にとりの後ろを傘をさしながら歩いていたレミリアが一言言っていた。吸血鬼として夜に君臨する王と言っても過言ではないが今回は年長者として落ち着いた雰囲気があった。早苗は特に話そうとはしなかった。
「こういう時は静かに歩いているのが一番良いわ。」
「暇じゃないですか。」
「そういう話じゃないわよ。青年に迷惑かけても良いのかしら。」
「それは困ります。」
その言葉を聞いた早苗は急にしおらしくなっていた。レミリアの言葉が聞いてしまったらしい。
「と言うか、レミリアさんはどう思っているんですか?」
「別に。居ると鬱陶しいだけよ。」
「居なければどうなんですか。」
「静かになるだけよ。」
レミリアは特に抑揚もなく平然と答えていた。何も思っていないのは確かだがそれだけではないはずだと早苗は思っているらしい。
「でしたら、私が。」
「それは無理ね。せめて咲夜に勝ってから物を言いなさい。」
「私が負けるとでも。」
「家事全般をこなす咲夜に敵うとでも?」
「うーん、そうなると話は別ですね。」
「でしょうね。」
レミリアは人のことなのにも関わらず自慢しているのがどうにも子供くさい。若気の至りということで片付く年齢でもないのでそれはそれでまた面倒な事になる。
「二人とももうそろそろだから静かにしておけよ。」
前から聞こえてきたドスの効いた声が聞こえてきた。気怠そうな声であるが元気がないということではない。
もう着くのだ。人気のある場所へとたどり着いたのでそこで一休みでも入れるつもりなのだろう。ここまで約一日。昼頃から出て早足で夕暮れぐらいにある村へと足を踏み入れることにした。