石造りの薄汚れた白色の壁が多く立ち並ぶ。前に寄ってきた村とは大きく違い、繁栄しているのが目に見えている。
村というよりかは小さな王国となっているこの場所は人々はよく笑い合いながらも、何処か寂しい雰囲気のあるところだった。そして、何処かブリタニア王国にも似ている。
夕暮れという時間にはもうそろそろ終わりを迎えている。薄暗い中で青年が率いる七人はそれぞれ楽しむ事にした。
それぞれがバラバラの時間を過ごそうとしている。
青年は一人でこの街と呼ぶべき場所をただ歩く事にした。何も目的はないが一日を過ごす分には何も問題はないと思われる。
青年は月の仄暗い灯りの下で一人で歩いていた。その影を追うものはなく、青年は一人、細切れの記憶が疼くのを感じた。淡い記憶が花開く。
一方その頃、借りた空き家の中で七人は集まっていた。何があるのか、何も聞かされていない皆の不安は相当なものであり、ここで急いで向かっている事もその事を助長させる要因となっていた。何もかもが消えかけている。
「あいつは今から何をしようとしている。」
「それは全く分からないわ。何も話してくれなかったわ。」
赤い服装をしている霊夢は少しいかつい口調で話していた。実際にそうする理由は分かっていない。
「何も知らないのですか。みなさんは何か聞いていることはありますか?」
緑色の服装をしている青年が言うには霊夢の競走馬である早苗は皆に聞いていた。が、その反応は悪く誰もが俯くことになった。
「霊夢、一ついいかしら。貴女が何か持っていると言うことはないでしょうね。」
クスクスと笑っているだけのレミリア。その右横では静かに状況を見定めている咲夜がいた。
「ある、わよ。けど言わない。」
目の辺りを暗くさせた霊夢のその様子に誰もが絶句した。何を持っているのかがなんとなく伝わってくるからかもしれない。
「霊夢さん、一体何を聞いたのですか?」
不審そうにそしてたどたどしく聞いてくる早苗に霊夢はむっ、とした不機嫌そうな表情を見せていた。そうならない理由も分からないが周りからすれば異端であると言う目をされていた。
「私は青年の覚悟を聞いてきたのよ。これからどうしたいのか。そして結果としてどうするつもりなのか。」
「盟友はなんて言ったの?」
青色の髪をしているにとりと言う少女は勇気を振り絞って聞いていた。その顔から伝わるのは必至であると言うことだけである。
「殺されにいく。私はそれを止めようとしているわ。」
「そんな話は信用出来ません。あの人はとてもお強いんですよ。そんなはずがありません。」
「早苗の気持ちは分かるわよ。でも、彼奴は私に確かにそう言ったのよ。」
霊夢も少しずつ感情が高ぶっていた。それこそこれから始まろうとしている闘争に胸躍らせているようであるがそれがどこまで通用するのかは全くと言って謎というものである。
「皆さんもこれは嘘だと思いますよね?」
早苗は嘆きにも似た声でそのように言っている。何とも悲しい光景であるが誰も何も言わなかった。致し方がなく飲み込むしかない条件、と静かに言っている。
「私が見るにとても自由で周りをかき回して生きている。そして腕も確かにある。そんな奴がそう言うのなら根拠はなくても信じる。」
「私も大体同意見よ。いけ好かないけど腕は認めるわ。」
落ち着いた雰囲気でレミリアは言葉を添えた。
「お嬢様がそのようにおっしゃるのなら私は言われた通りにするまでです。」
「お姉さまと同じなのは嫌だけど早く会ってみたいね。」
「盟友の力はよく知っている。それでも敵わないからこうやって人を集めたんじゃないかな?」
「アンタは如何するのよ。早苗。」
霊夢は一通り皆の意見を聞いてからゆっくりと早苗の方を向いていた。それはまるで鬼のようで何もかもを恐怖で覆い隠すような表情をしている。それと同時に博麗の巫女として多少なり慈悲がある優しい顔にも見えてしまう。
「信じたくありません。本人の口から言われないと信じません。」
早苗は目を閉じながらゆっくりと呼吸をした後に溜まっているその力で言葉を紡いだ。喉に詰まっていたが何とか取り出したようなその声。誰も反論というのはなかった。
皆、同じように不安がある。だが、大抵は青年に振り回される予定でついてきている人だった。今更、それは変わらないだろう。
青年がどのように考えてどのように霊夢に伝えたのかは残された六人には一切分からない。それでも青年が何も考えていないわけでもない、と信じていた。
「この事は青年には内緒にしていて。面倒なことにはなりたくないわ。」
霊夢は静かに言っていた。いけないことを話しているように感じるかもしれないが一切そのようなことはない。
夜も遅くなった時間でも青年は帰ってくることはなかった。物事は動くのは朝方となりそうだ。