青年英雄記   作:mZu

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第122話

青年が勇儀、にとり、と合流していた頃、霊夢と早苗は行動を共にしていた。

 

別にこれといった理由はないが巫女であると言う役職的な特徴に惹かれ合い何となくこのようなつながりがあるのだと思われる。実際のところは全く分からない。

 

「ここはなんて言う場所なのかしらね?」

博麗の巫女として幻想郷で存在していた博麗 霊夢はその場で少しだけ不安そうな表情を浮かべていた。しかし、口ぶりから顔ほどでもない。

 

「そういえば何も聞いていませんでしたね。」

守矢神社の現人神でもなりながら巫女でもある東風谷 早苗は霊夢の質問に少し首を傾げながら答える。特に話すことでないが気にならないと言うところだろうか。

 

「いつも肝心なところは伝えないのは変わらないわね。まぁ、あの状況では無理もないわ。」

 

「あの矢は何を意味していたのでしょうか。」

 

「さぁ。杞憂に終わる事を願うわ。」

赤い服装をして街の人々に紛れ込んでいる霊夢が何となく他人事のように言っていた。

 

「少し面白くなりそうですよね。」

対する早苗は何処か頭のネジの飛んだような発言をしている。まるで状況を分かっていないのではないか、と疑ってしまうが決してそのようなことはないと言いたい。

 

「面倒ごとには巻き込まれたくないわよ。」

息を吐き、早苗の言葉を吹き飛ばしたところで状況が変わることはなかった。

 

「良いじゃないですか。ここでは常識にとらわれてはいけないのですよ。」

 

「何自信たっぷりに言っているのかしら。」

 

「冷めた目を向けないでください。」

 

「良いじゃない。減るものは何一つないわよ。」

霊夢は平っぺたい目をしていた。少し小馬鹿にしているようにも見えるのだが、別にそのようなことはないのかもしれない。面倒なことには巻き込まれたくないだけなのかもしれない。

 

「何か怖いですよ。」

 

「常識には囚われないのでしょ。人によってその範囲は変わるものなのよ。」

少し胸を張っている霊夢に返す言葉のない早苗は黙ってしまった。そして、悔しそうな表情を浮かべる。少し涙を溜めているが男性には効くだろうが霊夢には見向きもされなかった。

 

「何処かに居ないかしら。」

 

「青年さんですか。」

 

「そう。早めに合流はしておきたいわよね。」

 

「確かにそうですね。でしたら、街の中心へと向かうのがいいと思いますよ。」

 

「その必要は特になさそうね。」

どうしてですが、そう聞こうと早苗が口を動かしていたが何処かで聞いたことのある慣れた声にひっそりと息を潜めてしまった。

 

「無事だったか。後は紅魔館組だけか。」

 

「そのようね。別に気にする必要はないと思うけど。アンタは見つけておくのでしょう。」

 

「そのつもりだ。」

黒髪の何処か懐かしい雰囲気のある灰色の服装をしている青年は後ろに束ねたものを揺らしながら首を縦に動かす。

 

「早く見つけなさい。私は此処で待っているわ。」

 

「そうか。異論はないなら俺はすぐにこの場から離れる。」

青年はそこに居る皆に聞いていた。その意思が伝わったのかどうかは分からないがどうやら何となく伝わったらしい。

 

「任せろ。待ってやるよ。」

 

「早く帰ってきてくださいね。」

 

「待ってるよ。」

 

「そうか。なら、俺は行く。」

踵を返して街の雰囲気という波に潜っていた青年は姿、そして存在感まで消えていた。

 

「待ちましょう。」

霊夢はそう言う。壁にもたれかかり人を待つ姿は如何しても巫女という感じはなく、何を隠しているのはよくわかる。

 

 

それからは少し時間が経っていた。片目を閉じながら青年の帰りを待っていた霊夢は誰かに話しかけられた。

 

「誰かを待っているのかね。」

全身を薄茶色のコートに身を包んでいるその人は何処か怪しい雰囲気を持っていた。そして急に話しかけられた事による不信感から何となく霊夢は警戒心をむき出しにしている目を無意識に作り出していた。

 

「アンタは誰よ。」

 

「私は名乗る名のないここら辺では有名な情報屋だ。」

 

「どうして私に声をかけたのかしら。」

 

「気になったから、と言う理由では不満かね。」

 

「ええ、そうね。」

 

「基本的に治安がいいので問題はないが気を付けてくれ。私のように声をかけるだけの行為では済まない人もいる。」

 

「忠告は素直に受け止める事にするわ。」

 

「それは助かる。では、私は此処で去る事にしよう。」

 

「早く行きなさい。」

 

「そうさせてもらおう。」

その人は家屋と家屋の間にある道を通って何処かへと行ってしまった。まるで風のような身のこなしであるが胡散臭さの取れないあれには如何しても反応し難い。

 

 

「今、帰った。」

 

「タイミング悪いわね。で、紅魔館組はどうしたのよ。」

 

「お嬢様姉妹と世話役のメイドとして別の所に行かせた。」

特に青年は何が起こっていたのかは触れなかった。

 

「そう。立ち疲れたわ。何処か行きましょう。」

 

「そうか。」

青年は何も気にしていなかった。特に詫びることもなければなにか思っているような表情はしていない。

 

「これからどうする。」

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