友好なる灯火は明るく、そして暖かく人々を起こしている。まるで母性溢れる人の抱擁のように優しく起こしてくれそうなその陽が此処、シソー国に降り注いだ。
一人、その前から起き上がっていた人もいた。
黒髪で灰色の服装で身を包んでいる何の変哲も無い市民のような青年は廃墟と化した建物の上でゆっくりと小高い丘の上にある屋敷を見ていた。その目には確かに復讐に燃えているように目をしていながらも穏やかな木々のような雰囲気を併せ持っていた。
随分と長く眺めていたので見飽きたのか、すぐに降りていく。
「此処からは何もすることは出来ない。」
青年は立ち上がって右腰から剣を抜くと切っ先を上に向けてゆっくりと空間を引き裂くように動かした。
八雲 紫のように上手くいくことはなく、プツリと糸を切るだけだったかのような徒労に終わった。
その様子を眺めてから青年の表情が柔らかくなると建物から飛び降りた。
「貴方達は太陽と月。どちらになりたい。」
後ろで髪を結んでいる青年はゆっくりとした落ち着いた口調で話し始めた。だが、その質問の内容は理解されなかった。
「そんなこと聞いてどうするつもりよ。」
黒髪で青年と同じく後ろで結んでいる赤い服を着ている少女はいつも通り青年に突っ掛かる。
「そうか。して、解答は。」
「太陽よ。」
「そうか。他は何かあるか。」
「私は月よ。」
「お嬢様がそうおっしゃるなら。」
「仕方ないけど月よ。」
「フランがそう言うなら仕方ないな。」
「その言い方やめなさい。」
「して、勇儀と早苗とにとりはどちらがいい。」
青年は最後に残っている人に話を聞こうとしていた。
「私は太陽だ。」
「私はそうですね。太陽の方が好きです。」
「盟友と同じにするよ。」
「それは俺か。それともそれ以外か。」
「太陽が良いです。」
少し戸惑いながらもしっかりとした口調でそのように言ったにとりを見て青年は頭を一回だけ縦に振った。
「そうか。ならば支度を済ませた後、向かうことにする。」
「何処に、なんて野暮なことは聞かないわよ。」
「そうか。ならば、行こうか。」
青年は踵を返して建物の中から出て行った青年の背中を追いかけるように七人が追いかけていく。しっかりとした足取りで向かっていく。偽装とかそんな事はしない。
「今回の作戦としては二手に分かれて敵を倒して行くルートを取る。その過程で面倒な敵の足止めをレミリアとフランドールと咲夜に頼みたい。無視しても構わないのが先ほども伝えた通り面倒な事になる。背後を取られる前に先に潰してくれ。」
「分かったわ。」
「そして、後の四人には俺について来てもらいたい。が、一つ忠告がある。自分の身は自分の力で守ってくれ。」
「後、面倒なのは何人居るのか全くわからないと言う事だ。もしかしたらその後で二手に分ける可能性がある。そこだけは注意してほしい。」
「それでは、武運を祈る。」
青年はそこで真っ直ぐに行く。レミリアには左側から攻めてもらうように伝えた。
此処からはどうなるのかは全く分かっていない。殺伐とした気持ちとは裏腹に皆は胸を騒がせていた。