青年が剣を握り、ラーと呼んだその頃ではない。もう少し時間軸は戻る。
それは丁度、プルソンが半ば仕方なく勇儀と早苗、にとりを連れてきた時だった。庭先で大きな音がしていたはずだが、それが止んだ時だった。普段から修練場として扱われている真四角の建物の中にある中庭では主にイフリートが自分の鍛錬のために使っている。だが、たまに行う演習では模擬的ではあるが凄まじい威力のぶつかり合いの為に大きな音が出る事がある。だからこそ、中庭を使い、静かな環境が必要なプルソンと休息の場が必要であるベルゼブブには東西で場所を与えてられていたりする。その事は内情であり、青年が連れてきた七人は知らない。
その場には確実誰か居るだろうがそれが誰であるのかは全く分かっていない。ここからは全く判断する事が出来ないからだ。
「此処からは自分達で向かってくれ。」
獣面ので厳つい表情はしているがそれは見た目だけであり、心は誰にでも優しく出来る人だった。故にヴァイオリンの練習をしていたはずだが此処まで道案内をしてくれた。
「ありがとう御座います。」
大きく頭を下げた緑色の髪をしている少女、東風谷 早苗。その人は他の二人よりも早く行動を起こしていた。その後、二人が同様の言葉を言った。プルソンはその事にいつでも助けになると言葉を残してその場からは離れた。勿論、門番が地面に伏せていようと彼には関係のない事なのであまり気にしていない。と言うよりかはあまり珍しい光景でもない。
「さて、これからどうされますか?」
早苗は戦闘を終えた後で少し疲れているような気がする勇儀といつも大きなリュックを背負っているにとりに話しかけた。早苗としては中庭で起きた音の正体を気にしているようで何だったら一人で行きそうに足を動かしていた。
「取り敢えず青年と霊夢を探そう。後はその場で決める。」
「同じだね。」
概ね意見が揃ったところで早苗は魔王が住んでいるとされている館へと入り込んだ。中は赤いカーペットが敷かれているあまりらしくはない作りをしている場所だった。窓などの外を眺めるものは特にないのはすでに分かっていたが蝋燭があるので薄暗いと言うわけでもない。陰湿で恐怖で押し潰すような場所であるかと思われたがそうでもなかった。
「何ですか、普通の感じなんて拍子抜けです。ですが、斬新で面白いかもしれません。みなさん、中庭へ向かいますよ。」
何処か間隔が二人と外れている早苗は一人で先行していく。歩いている左側には扉があり、何処から中庭に行けるのか知らないので失礼にも一つ一つ丁寧に開けていた。特に誰かいると言うわけでもなく、使っていないと思われる部屋が多くある。その他には住む上で必要な場所があるだけであまり面白そうな狡猾な罠はなかった。
「そんなもんだ。その辺りで詮索はやめておきな。」
勇儀はそんな早苗の姿を見ながら少し保護者目線で話しかける。早苗はあまり解っていない様子であるが先を急いでいた。
扉の先では何やら大きな音がする。そして此処に集結した六人は静かにいつ入るかを相談していた。扉の向こうは今までとは違う雰囲気のある重みのある扉で戦闘を行っている音がする。見られないと言う抑制が衝動を掻き立てる。が、それを誰も入ろうと思う勇気はなかった。