魔王との契約を終えた後、親睦を深める意味とぜひ食卓を囲みたいと言う強い意志のある願いによってテーブルを囲むこととなった。
六人がけの椅子には城主であるラーと発案者である青年。そして計画の手助けをする八雲 紫と八意 永琳がテーブルに座る。後は空いている席となった。多分、スキマの中で待機していると思われる。
「と言うわけで行くことになった。」
料理が運ばれてくる間に青年は軽く説明をしておいた。これからどのようなシナリオを描くのか、それによってどのような結果が生まれるのか。どこで誰がどのような役割を担うのか。主にその辺りの点だ。
「簡単に言ってくれるけどどれだけ難しいことか分かっているでしょうね。」
紫はあまり乗る気ではないようで苦言を呈している。
「私は好きにするといいと思うわ。」
対して永琳は意外とすんなりと了承した。何かあったわけではないがそれだけ信頼に足る人物である事を見通したのか、それとも興味がないのでどうでも良いのか。
「それでも助けてはくれるだろう。ならやる。」
「仕方ないわね。」
紫も半ばこうなるだろうと諦めていたようだ。
「暴君とまではいかないが横暴ではないか。」
「俺は自分勝手だ。だから誰かの上に立つのは好ましくない。その点ではラーは向いている。」
「だが、こうやって突き進めてくれたのは間違いなく貴方だ。それだけは惑うことなく真実だろう。」
「そうか。褒め言葉として受け止めておく。」
其処で扉を叩くノックの音が聞こえた。ラーは入るように促した。
「失礼します。王様の仰る通り王国民から頂いた野菜と私が収穫したトマトを使ったスープでございます。」
四枚の皿を目の前に運んだ後に、一人ずつスープを分けていく。量こそは少ないが王がどれだけ慕われているかを示すのには十分な代物だった。
「ご苦労。今回は申し訳ないが下がってくれ。」
「承知しました。」
音もなく去ったその人は執事のような格好をしていた。
「それでは私のここまでに至った経緯を話そう。料理は冷めないうちに食べて欲しい。毒味が必要なら私がする。」
ラーは静かだが、他の三人には聞こえるように話した。真面目な表情をしているので固唾を飲んで言葉が出るのを待っていた。
「昔の話だ。もうそろそろ兄弟のどちらかに王様として座らせようとしていた。兄はとても大口なところがあり、それを実行する力が大きかった。しかし、乱暴なやり方には私はどうしても賛同出来ないので意見をしてみることにした。」
青年は手拍子のようにそれで、と返した。
「内容としてはもう少し国民の声も取り入れたらどうだ、と言うことだ。私は王子でありながら国民と会話を行うことが好きな性分で顔は知っている人が多かった。その中でもよくしてもらっていた人がいるがその人は今は関係ない。」
お兄さんとは意見がバラバラだった言うことね、と永琳が聞く。
「そう言うことだ。今は亡くなったと思われる王は実行力のある兄を選んだ。私としては実績を挙げていないので仕方ないと思った。それに怒らせると怖いのはよく知っている。どのような方法をとってでも陥れてくる。まだ、弟として手加減されていたかもしれないが怖くなった私は友と私に賛同してくれた人々と逃げてきたと言うことだ。」
ここでラーの話は終わる。
「簡単な話、紫。俺達は兄弟喧嘩を終わらせようとしている。」
「簡単に言ってくれるけどどれだけ自分勝手なことなのかは分かっているのでしょう。」
「分かっている。そうでもしないと動いてはくれなさそうだ。仕方ない。」
「助かる。」
「まぁ、良いわ。」
紫が本当に不服そうにしているが管理者として難色を示しているだけだろうと勝手に解釈してこの話は幕を閉じた。
「では、行こうか。紫、隙間を繋いでくれ。永琳はバックアップを頼む。ラーはしっかりとしてくれ。」