命蓮寺という場所はとても静かな場所だった。鳥の声や虫の声が聞こえる。もうそのような季節ではないのだが此処ではどうやら違うらしい。青年は草履を脱いで縁側へと上がるといると思われる場所へと向かっていた。
此処には聖 白蓮という住職が居て先ほど会っていた一輪の他にも村紗や寅丸も居ることにはいるが今日は会うようなことはできなかった。運が悪かったのかよかったのかそれはどうにも判断がつきにくいところである。仕方ないので住職の方が探す事にした。
とは言え此処は一応小部屋もあったりするので正確に何処にいるかを当てるのは難しいものである。しかしやるからにはやらないといけない。青年はある信念のもとで動いていた。それを止めるのはとてもではないが難しいのだろう。
「何か困っていることでもあるのですか。」
「聖か。探す手間が省けた。」
青年は後ろを振り向くと其処には聖 白蓮がいた。金色で紫色のグラデーションのある髪型をしていて白い着物の上に黒い上着を羽織っていて前の部分は大きく開いているがばってんしるしを作るように紐がついているので風になびくような心配もない。
「何か私に用があったのですね。何か気になりますね。」
「別に何か気にするようなことではない。だが、どちらかと言えば協力を仰ぎたいのでここまで来たという事だ。」
青年は簡素に説明をしていた。本当にその通りで何か特別な事をしようとは考えていなかった。ただ話をしに来ただけである。けつまして危害を加えようとはしていない。
「私に出来ることなら何でも任せてください。」
聖は心強い言葉を言うので青年は大きく首を動かしていた。相槌にしては大きいのでありがたい言葉だったのか納得のいく返答だったのかは知らない。
「だが、此処で話すにはいささか不便だ。何処か部屋の中で話す事にしよう。」
「分かりました。付いて来てください。」
聖はそう言うので青年は何も文句を言う事なくついていく事にしていた。
四角い長めな机が置かれていているだけの部屋であった。そして座布団を一枚対面になるように置かれている。応接間だと思うが今回は特別仕様という事であるらしい。
「それで改めて聞きますが私に頼みたいこととは何でしょうか。」
聖は座布団に座ってから話を始めていた。青年はその対面に座っていて話し合いに来た事を示すために出入り口に剣を立てかけている。戦いに来たわけではなかった。
「人間と妖怪の両方を救いたいのが貴方の願いだったはずだ。それには間違いないか。」
青年は今更聞くようなことではない事を口にしていた。聖はそれでも誠意をもって答えていた。元々の性格故かそれともまた違う事があるのか。兎に角青年は確認のために聞いたのだと思われる。
「はい、そうですね。」
不思議そうに口を動かして言霊を作り出した聖。それを聞いて青年はうん、と一回首を振ると更に話を続けていた。
「そこで頼みたい事がある。人間と妖怪の前に立って俺の今からやる事に向かわせて欲しい。その為には貴方のその意思と存在が必要だと考えた。暴力で訴えるようなことで心は痛むかも知れないが承知してれないか。」
「何をしようとしているのかは見当もつきませんがやるからには協力させて貰います。私の願いが叶えられるのならそれは願ったり叶ったりです。」
「では、うまく行く事を願っている。して、それともう一つ。魔界に封印されていた貴方だからこそ頼みたいことがある。それも聞いてはくれないか。」
「それは何ですか。」
「神子のいる世界へと行きたいのだがその方法というのは知らない。そこで何か聞いていないかということと行かせてはくれないかということだ。」
「行き方ですか。それは簡単ですが何を目的としているのかは話を聞かせてくれませんか。」
「理由か。意外と簡単な理由だ。単純に会いに行きたい。十欲の声を聞けるからこそ俺の中身を見てほしいと考えた。それは揺るぐ事はない。」
「十分とは言えませんが貴方のその目に免じて連れていく事にしましょう。」
「そうか。それは有り難い。それでいつ行けるようになる。」
青年は身を乗りだしながら聞いていた。それはどうなるのかはまだ分かっていません。何処からでもいく事はできますがそれ故に何処に空いているのかは不明なのです。」
「そうか。時期を待つ事にしよう。急ぎたいがこのような時間も楽しめてこそまた先へと進むことができる。」
青年はそう言ってから立ち上がる。何処かへと向かうつもりらしいがそれは何処なのかは聖は分かっていない。