青年英雄記   作:mZu

40 / 140
第40話

霊夢は息を吸ってからゆっくりと思い出すように口を動かしていた。そして口ごもっていたがついに話す事にしたらしい。

 

「兎に角足が速かったわ。そして私の札を簡単に切ったのよ。そこで夢想封印で何とかしてみたけどそれでも退ける事にしか出来なかったわ。」

霊夢は青年に対してそのように説明していた。青年は興味があるように聞いていた。

 

「それで見た目はどんな感じだ。」

青年は霊夢に聞いていた。それを聞かない限りは何も事が進まないのでその通りであろう。

 

「紫色の髪をしていたと思うわ。それと黒いマントで身を隠していたからきっと暗い所に潜んでいると思うわ。それとナイフを使っていたわね。」

霊夢はその辺りで話すのをやめておいた。これ以上は何も話すようなことはない霊夢はそれ以上は口を破る必要もなかった。

 

「それなら此処で帰る事にしよう。また呼んでくれ。」

青年はちゃぶ台から離れていくと襖を少しだけ開けてから何処かへと歩いていた。霊夢は別に追いかけるようなこととしない。また別の事を思いついていた。

 

「紫、巫女としての修行を受けさせてもらえないかしら。」

 

「良いわよ、場所だけど書物だけは貸してあげる。私は少し休む事にするわ。二日くらいは完全に任せる事にしたわ。」

 

「そう。」

霊夢の返事はとても短いものだった。そうだと言うのならそれでも良いのだろう。紫は更に身体を疲弊させているようだった。霊夢にも時間はないと言うことを何となく示しているようだった。

 

 

霊夢と青年が話をしてから二日ぐらいだろうか。紫は完全にやるべき事に従事し始めていて少なからず良い感じに回り始めていたのだと思われる。

 

そんな事は知らない仙界ではある人が帰ってきていた。

 

「すまない。おかげでさっぱりした。」

黒髪を束ねていて後ろへと持っていくようなオールバックに近い髪型をしている青年は文字通りさっぱりとした表情でこの世界の主人と言葉を交わしていた。そして胡座をかいてその人の前に座る。

 

「それは良かったです。それにしても来た時は驚きました。あんな血生臭い匂いがするとは。」

金色とは言い難いが茶色ともまた違う髪の色をしていて耳のようなものが付いている髪型をしている。耳元には遮音用のヘッドフォンが付いていてそれのおかげで関係ないものまで読むことはなかった。ノースリーブの薄紫色の服装で紫色のスカートをしていた。いつも持っている七星剣は今は持っていないらしい。

 

「生活が大変だった。それだけで伝わるだろう。」

青年はそれ以上は語ることはなかった。青年の前にいる金色と茶色の間の色をしている髪色をしている豊聡耳 神子は一回だけ首を縦に振っていた。そして目を閉じていた。神子の能力は人の過去を一部分を見ることができる。それを知っている青年はそう多くは語る必要はなかった。

 

「して、最近の調子はどうだ。」

 

「段々と疲労の方が溜まって来ています。」

 

「膝を貸そうか。少しは眠れるだろう。」

 

「貴方の膝は借りません。」

神子はすぐに断った。だが、青年は何か気にしているようなことはなかった。それどころか何処か違うところを向いているように無関心とは言えないにしろそのような感じはあった。

 

「太陽はどうしても沈む事はある。休みを取るために、そしてまた神々しい光を人に平等に与えるために。」

 

「私の太陽は沈む事はないだろう。」

神子は立ち上がるようなそぶりを見せていたが床に手をつけて自身の体を支えると青年の方へと近寄っていた。そして身を翻すと天井を向き始めていた。青年は右膝を立てて左膝を床につけていた。そしてそこに何か柔らかい感触のあるものがあるだけで青年は気にしていなかった。

 

「神子、これからも頼る事になる。だから倒れてくれるな。」

青年は冷たく吐き捨てるようにそう言っていた。

 

「有難い言葉だよ。こう人に甘える事は中々ないだろうから。」

 

「そうか。」

青年はそれだけ答えていた。それ以降は二人は話す事はなかった。そして太陽は沈んで月が浮き上がる。柔らかい光で人々を安らかな眠りへと誘うようであった。そして太陽の代わりに暴れまわるその意思を優しく受け止めるようだった。

 

「俺にはまだやる事がある。」

穏やかで深い呼吸をしている神子は暫くそこから動くようなことはなかった。

 

 

薄紫色の服装をしていて紫色のダボダボのズボンを履いている青年は身を隠すように紫色のマントを羽織っていた。

 

「お疲れだな。」

 

「貴方ですか。まだまだですよ。」

 

「聖の謙遜は良いが俺には本音でぶつかって来てくれ。」

 

「そうですか。とても疲れました。まだまだ終わらなさそうですね。」

 

「俺が終わらせる。して、何か起こった。」

 

「ええ。何か怖いものを見ているのか何かに恐れた目をしてここへとやってくる人間や妖怪の心を静めてあげていました。皆さんは元気そうに帰っていくのですが何日かすると帰って来ていました。」

 

「そうか。段々と人が増えていったということか。」

 

「はい。私は出来るだけ頑張りましたがそれでも力不足だったようです。」

 

「そうか。して、どうしてそう思う。」

その質問には聖と呼ばれた女性は困惑していた。

 

「何故でしょう。」

 

「興味ない。」

 

「えっと。それは如何してでしょうか。」

 

「自分の力を自分で小さくするな。出来た分で満足すれば良い。」

 

「そうですか。それでも私は貴方に言われた事は全う出来ませんでした。」

 

「そうか。自分で低く評価はするな。」

 

「これから何処へ向かうのですか。」

 

「博麗神社だ。霊夢か紫に聞けば貴方がどれだけ頑張って来たのかは分かるだろう。」

 

「とても不安です。」

 

「そうか。俺は俺の道を行く。だから貴方は自分の出来ることでこれから歩いてほしい。時間が流れる以上はその足は止められない。」

 

「良い知らせを待っています。」

 

「そうか。」

青年は其処から立ち去る。その先には何もなくその後ろにも誰も居なかった。妖怪の森を抜けて人里の様子を見てから目的地に向かうつもりなのか珍しく灯篭のある場所を歩いていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。