紫髪をしていて七割ほどの髪を紫色に染めていてその部分を右側へと流している目の吊り上がった細い目をしていて全身を黒いマントで覆っている男性がいた。歯並びは綺麗なものではない。霊夢も魔理沙もその人の事は全く知らないのでその場でたじろぐことしかしなかった。
「こっちの台詞だよ!元の世界に帰れねぇわ、博麗の巫女殺して来いとか言われたしよ!そんで、テメェがそうらしいな!面倒くせぇからとっとと終わらっせぞ!」
言葉のあちらこちらから怒気と意味の分からない復讐心をこみ上げさせている男性は何処から出したのか検討もつかないナイフを二本、その手に逆手持ちで握っていた。別に何処か問題があると言うことでもないが刀身は舐めた跡がびっしりと付いていて血のような赤いものがこべりついている。そして無駄に舌を長くしているのがどうしても気になるのだが別ににも意味はないのか。それともそれが彼の戦闘スタイルなのかは訳が分からなかった。
「私を殺そうなんて良い度胸ね。やるわよ、魔理沙。」
霊夢はこの時に感じていた。もう遊びで終わる程度の異変ではないこと。そして何処で誰を失おうともあり得る話であること。それから何が起ころうとも不思議ではない事。
「おうよ、後ろからやらせてもらうぜ。」
魔理沙は缶のような道具を取り出していた。そしていつでも発動出来るように手に持っていた。それから何をしたのかと言うと地面に投げつけていた。ピンク色の煙を出したその缶からはびっくり箱のように煙と同じ色の弾が湾曲した軌道から放たれていた。それに合わせるように霊夢が行動を制限するために札を投げつける。
二人の同時に行われたその連携には流石に参ったと思える。
だが、そう上手くは行かない。
「そんな遊びに俺を付き合わせるな!」
全身を覆っていたマントによって弾かれたと思われる魔理沙の弾は避ける訳もなく霊夢の札が行動を狭くさせたのも意味はなかった。さらりと流れていくだけのその札は男性から離れていくように森の中へと消えていった。
男性は素早く走り出していた。別に分かっていたのならば受け止めるだけだった。
霊夢のお祓い棒は男性の目の前に突き刺さった。それに驚かされるように男性は素早く身を翻して地面に倒れそうになるがそこをカバーするように地面を蹴り出していた。そして後ろにいた魔理沙へと標的を変えていた。
魔理沙も応戦しようとするが男性の方が一歩早かった。
「スターダストレヴァリエ!」
星屑を散りばめたような弾幕を瞬時に張った魔理沙だったが男性の凶器は魔理沙の横腹を掠めていた。だが、それで済んで良かったと思う。男性はその弾幕の濃さから被弾を恐れたのか素早く身を返して逃げていた。命を取られなかっただけでも儲けものである。
「良かったわね。」
そんな魔理沙に一言だけ霊夢は言葉をかける事にしていた。何か意味があるわけでもないが何処か冷たくて他人事のような霊夢に魔理沙はこれまでの年月は何だったのかを問いただしたかった。だが、今はそれをしていられるような訳がないので話をするのはまた後の話になる。
「ビビらすんじゃねぇぞ。」
男性は霊夢と魔理沙から等距離の位置に居た。視界に入らないと言うことではなく木を一本か二本挟んだぐらいの距離を取っていた。両者が遠距離攻撃持ちなので一気に不利なのだと悟り始めたのだろう。
「まだまだいけるぜ。」
魔理沙小さな八卦炉を持ちながら男性の方に向けていた。そして霊夢も同じ様にお祓い棒と札を持ちながら男性の方を向いていた。だが、別に問題があるのかと言われると別にそうでもない。
「雑魚同士はこうやって結託するから時間を取られるだよな。どうすっかな。」
「ここで終わりよ。どちらが良いかしら。」
霊夢は余裕そうにしていた。別にここから素早く決着をつけるようなこともできるが相手が何を持っているのか分からないのでそこは慎重に事を始めるつもりだ。男性はけっ、と一回だけ笑うと其処から霊夢の方を狙っていた。
爪先はそちらを向いていて其処から素早く両手に持っていたナイフを霊夢の方へと向けていた。それがどうしたとばかりに霊夢は冷静に対処していた。札で動きを止めさせると払い除けるように左側へと腰を捻ってからその力を使って男性を叩きつける。
直接当てるようなことはできなかった。
其処は男性の方が一枚上手だったようでナイフで当たらないように止めていた。
「マスタースパーク!」
魔理沙はいきなり撃ち始めた。発火して白色になっていた炎が男性を襲いかかる。
辺りの木は倒れそうになっていた。地面は抉れていて真っ直ぐに日の光が入って眩しいとさえ思えてくるホモになっていた。
男性は後ろへと一歩退くと何も無かったのように魔理沙の方を狙っていた。魔理沙はもう仕方がないのでボトルのような物を投げつけて男性の視界をくらませる事にしていた。効果としては今の一つのようで男性はその中でも正確に獲物の方を向いていた。
そして投げつけたナイフが魔理沙の左腕に刺さりそうになる。其処をグリグリと回すために男性はナイフの柄を持つとなんの躊躇いもなく手首を捻る。そして何の意識もないように抜いた。
魔理沙はまさかの痛みに声にもならない声を出していた。意識はしっかりと保っているようで珍しく睨みつけるように真剣な表情をしていたが男性はそれを見て口角を上げて気持ちが悪くなるほどに高笑いをしていた。
魔理沙はもう破れかぶれで一発だけ攻撃を浴びせる事にした。
「フォトンレーザー!」
魔理沙のお得意の魔法であるマスタースパークを小さくして狙いを定めて撃出るようにしていた。八卦炉から繰り出される針の穴を通すような一発には流石の男性も退くしか無かった。もうやっていられないのか面倒な事この上ないのは言うまでもない。
「これを怒らせる天才か!テメェら。」
男性は激昂したかと思うと魔理沙の方へナイフを素早く投げていた。それは魔理沙の左足の太ももに当たり男性が其処に勢いをつけるように突き刺す。そして素早く抜いていた。そして右足の膝を何の気なしに傷を付けてその場に倒していた。
魔理沙は立つ事も出来ずに子鹿のように足を震わせてその場に倒れそうになるところを上から男性によって踏みつけられていた。もう何がしたかったのかは一目瞭然だった。
霊夢を怒らせる。ヘラヘラと笑っている男性は霊夢の方を向いて親指を下に向けていた。一種の挑発として受け止められそうなものだが本当にそうとしか思えないほどだった。
「テメェはゆっくりと遊んでやるよ。」
男性はそう言ってから霊夢の方へと走り出していた。