周りには目の形をしている大きな模様のようなものがたまに瞬きしながらこちらを見ているようにしているようにも感じる。何とも不気味なもので何が起こっているのかは全くと言って分からなかった。黒い幕が敷かれているようになっているので目のような模様が異様に目立つ。
そしてその中にポツン、と一軒だけ白玉楼にも似ているような佇まいをしている場所があった。どうやら管理者の住んでいる館であるようで霊夢は前に来ていたのだそうだ。
黒い髪をしている後ろに一つに結んだ髪型をしている青年と金色の髪に橙色の鎧を着ているアーサー、そして博麗の巫女でもある博麗 霊夢が一つの部屋で机を挟んで座っていた。真四角に近いものを用意してもらったらしく四人が座るにはちょうどいいくらいの大きさをしていた。
「まずどこから話したらいいだろうか。」
黒髪の青年が全体の空気を読んでいたのかはどうかは分からないがいきなり話を切り出した。
「まずアンタは誰なのよ。」
霊夢はまず青年に突っかかる。
「覚えていない。戦法まで変わっているのであればもしかすると別人なのかもしれない。」
青年は静かに答えていた。まるで今居る誰にも目に止まらない時間の中に過ごしている四人のようだ。
「確かに大きく違いました。恐らく人間違えなのかもしれませんがその真相は私でも分かりません。それこそ何といえばいいのかは分かりませんが力になれなくて申し訳ない。」
青年に続くように兄者と慕うアーサーという青年がそのように話し始めていた。
「そうね。どちらも嘘はついていないわ。それとアレスと言う名の意味は何かあるのかしら。」
黄金色の扇子を広げて口元を隠している八雲 紫は少しだけ笑いながら少し怪しいところを残しつつ艶めかしく聞いていた。その声はよく通る。青年はそんな事を思った。
「それは兄者が一撃で打ちのめしたからですよ。」
「何で嬉しそうなのよ。」
「それと戦士として私のような鎧を着ることはなく衣服のみを身に纏っていたのです。なので狂戦士のような意味合いとしても扱われていました。」
「そんな頃から皆とは外れていたのね。今も大概だけどそれよりも酷いなんて何も言えなくなるわよ。」
呆れたような表情を浮かべている霊夢は青年に対して個人的な文句のように言っていた。大体はそれが占めている。
「かっこいいですよね。」
アーサーは霊夢のそんな反応に気付いていないのか嬉しさを前面に出していた。他の三人はそれぞれが反応が異なるがあまりいい反応ではないことは確かだ。
「アンタも大概ね。まぁ、いいわ。記憶が曖昧だけど何となく理解したわ。」
霊夢は少しだけ腹を立てているようにも聞こえなくもない。その理由としてはあまりにも気付いていないからなのだろうか兄弟揃って頭のネジが何本か飛んでいるように感じる。
「それで此処に侵略をしようとしているのは如何してなのかしら。」
紫は相変わらず口元を扇子で隠したままで話を進めていた。青年は特に気にすることはないがアーサーの方が何となく気になり出していた。
「それは私から話しましょう。恐らくの話ですので真に受けずに聞いてください。」
周りと目を合わせて心の準備が出来たかを一通り確認した後にアーサーの口は再度動き出した。
「魔王はその強大な野望によって他の国を奪おうとしています。その真意はよくわかりませんがなそのように王様に言われています。そして王国と魔王とは膠着状態が続いているので他の世界の国を取ろうとしているようです。それを阻止するために私は極端に弱くなっている世界へと飛び込んで助けている訳です。」
「そして偶々奪おうと考えたところがこの場所だったということね。」
霊夢はアーサーの話の流れを汲み取りそのように話していた。人里を中心に流行っていた病気によって力を弱まっているところを築こうとしているのはよく理解できた。
「その通りですと言いたいです。このような会話は何回もしていますが今回はどうしても違うと思うんです。此処に兄者がいる。これは何か違う思惑があると思われます。」
「居たとしてどうなるのよ。」
話していても進むそうもないので強引に行くことにしたらしい霊夢がそのように言っていた。
「もしかすると残党狩りというところでしょうか。非道な魔王軍は一度歯向かってきたものを全て排除しようとしてきます。そしてある程度その世界でその人を知らしめてからその後でなぶり殺すようです。」
「残党ということはもしかしてアンタ、とても強かったということね。」
霊夢は青年に対して机を叩きながら話していた。霊夢でさえもこのような反応を見せるのならば青年も同じような反応をするしかなかった。記憶のない過去のことを話されても何か思い出すようなこともない。それに深い話をしているので余計に何を言っているのかがよく分かっていない。
「そうらしい。」
青年は静かに答えていた。話がわからないので反応にはとても困っているということなのだろう。
「現在ではそのような面影はなかったのですが魔王軍に歯向かったのは記録に書き記されています。私はその頃また他の世界に行っていたもので知らないうちにいなくなっていたのもよく覚えています。」
「兎に角此処で立ち止まって猛攻を耐え抜くか。それとも直接乗り込むかの二択になるということね。」
「はい。その通りです。そして今回はどうするのかと言われると簡単な話、直接乗り込むしか方法はありません。」
「それはどうしてよ。」
「いくら此処で耐えていようともその猛攻が激しくなるだけだからです。」
アーサーの強い視線には二人が頭を悩ませていた。一番聞いているべき人は特に聞いていなかったようで興味をなくしているが空気は壊したくないので座っているだけのようだ。
「それなら問題ないわ。総力戦でいきましょう。」
立ち上がった霊夢はアーサーの目を蔑むように見ていた。本当にしているわけではないが勘違いされてもおかしくはないほどだった。
「そうか。して、アーサーに勝てる人は何人いる。」
青年は急に口を開き出した。この時のために此処までエネルギーを蓄えていたかのように低い声が聞こえてくる。そこにいた三人もどうしようかと悩んでいた。
「そうね。何人居るのかしら。」
霊夢はその質問には頭を捻らせていた。異変の際に目の当たりにしている強さがあるので何となく言葉を濁らせていた。兎に角この場では話はまとまらないようだ。