青年英雄記   作:mZu

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第66話

静かな地。幻想郷の中で一番静かな場所とも言えるこの場所は風はあれど当たる物もない。そよ風と晴れない雲で覆われた四季のあるこの世界はなんとも不安で覆い被せようとしている。そのような場所にある白玉楼という名を持つ屋敷の中、五人がある一室に集まっていた。東側には白玉楼の住人である二人が座り、その反対側は何処から現れたのか全く分からなかったが最近になってまた違う意味合いでわからなくなっていた三人がいる。マヨヒガは知っているが今回は上に合わせる事にした。

 

「今日は何を話しに来たのかしら。」

淡いピンク色の短めな髪をしている白玉楼の主人らしき人が口元を扇子で隠しながら来ていた。その人の名は西行寺 幽々子。そしてその隣で静かに座っている白髪の色白いの顔色をしている従者である魂魄 妖夢が座っている。

 

「少し勧誘に来たわ。」

幽々子と同じく扇子で隠しているが黒色ではなくて金色にしていた。金色の髪はウェーブが掛けられていて腰の辺りまで伸びているようにも見える。そして紫色のドレスを着ている。その横では式である狐が座り、その横には狐の式である猫が座っている。クスクスと笑いながら紫色のドレスを着ている人が話を進めていた。名は八雲 紫。幻想郷の管理者である事には間違いないがつい最近までは疲労困憊で倒れていた。

 

「何をしようとしているのかしら。」

クスクスと扇子で口元を隠しているだけだが何かあるようにしか思えないので他の三人はこれまで以上に重たい空気を浴びていた。二人が真剣に話をしようとすると周りにどれだけの影響があるのかはもう見ればわかるような状態だ。

 

「このままここに居ても仕方がないから根本を解決するという提案をしに来たのよ。それで人員を集めているわ。」

 

「そう。幻想郷で何が起こっているのかは全く知らないけど何か嫌な事でもしようとしているのね。」

 

「いえいえ、そんな事はないのよ。」

クスクスと両者は笑っているがその雰囲気に飲まれつつある三人は段々とその片鱗を味わう事になりそうだ。固く重苦しいと感じるような空気感に両者が駆け引きの様に繰り出される緊張感のある対話。急に振られる会話。此処からが地獄というものだった。

 

「邪魔する。」

ただし、例外というのもあるようで何の影響も受けなさそうな人もいた。黒髪を後ろで一つに結んでいる青年は少しだけ血の匂いを残しながら薄紫色の服装をしていた。帽子などは特にかぶることはない。

 

「いっらしゃい。」

白玉楼の主人である幽々子は扇子で口元を隠しながらそのように言っていた。その隣に座っている妖夢が梅干しを食べているような表情をしている中で青年はその場にドン、と座った。その度胸もあれだが座ろうなんて頭のネジでも吹っ飛んでいるとしか思えない。

 

「私が居るのは見えないのかしら。」

それに対して紫は少しだけ不機嫌な状態になっていた。だが青年は気にするようなことはなかった。肝が据わっているのかある意味ではとても感心するがある意味では社会不適合者のような気もしてくる。それとも命知らずの馬鹿なのだろうか。

 

「小手先の俺を使ってくれ。貴方が全員揃えてきたのであれば威圧感もあるだろう。そういうのは俺は望まないから口を噤んでほしい。出来なければ俺は歯向かっても良い。」

 

「それはこちらの自由よ。それに口を挟むならどうなるのか分かっているでしょうね。」

 

「俺は頭数は欲しくない。そう伝えているはずだ。希望する者だけを連れて来い。」

 

「時に非常にならないと生きていけないものよ。それでも何か口出ししようとしているならこちらにも考えはあるわ。」

 

「そうか。そんな同士討ちをしている暇はない。して、話を進める。」

青年は瞬時に話を切り替えた。多少強引でも行かせる必要があるということだろうか。

 

「本当に自由なのね。」

 

「そうか。それでどの辺りの話をしているのかはわからないがこれからは俺は異世界に行く。その準備はもうしている。そこで付いていきたいと思う人は後日配られる新聞に記載されている場所に来てほしいと言うことだ。」

 

「そういう事ね。紫も素早く話せば良かったのにね。」

 

「そんな事言っても段取りと言うものがあるじゃない。」

紫は余りにも予定が崩れていたのと雰囲気を打ち壊された事でなんとも言えないような虚無感に襲われていたと思われる。そんな事はつゆ知らず青年は話を進めていた。

 

「幽々子と妖夢は重要な管理があるので難しそうだが如何だろうか。」

 

「私は今回は遠慮しておくわ。妖夢は如何するのかしら。」

 

「幽々子様が心配ですので同じ意見になります。」

 

「そうか。なら仕方がない。」

青年はふと立ち上がると襖を閉めて外へと出かけていた。外で動いている影のようなものだけがあるだけで段々と遠くなっていた。何が起こっているのかは全くと言ってよく分からない。

 

「風のように立ち去っていったわね。妖夢、席を外しなさい。」

 

「はい。分かりました。」

襖を開けた妖夢は周りを何となく眺めるがその場には勿論居なかった。どこへ行ったのかも不明である。】

 

目の前には医者にも説明の付けられない病でその布団の中で眠るようにしている人がいる。声や感触には反応するが食べたりする事はなく目を半開きにした状態で一日を過ごしているようだ。このようになったのはどうやら昨日かららしいがそれが起こった理由は何も分からないので此処は何も言わない事にした。

 

ただし記憶もないという事ではないので知っている。カミラという人物は何者かによってこのようにされていた。医者と青年が相談した結果、何となくだが寝かせておく事にした。

 

「そうか。つまり、少しずつ近づいているという事には変わりはなさそうだ。」

黒髪をしている青年は銀色の髪をしている赤と青のツートーンカラーをしている女医に聞いていた。月の頭脳と呼ばれる八意 永琳がこの状態なので何ともなるわけがなかった。青年は何となく考えたが思い当たる節と頼れそうな人が居ないので何とも言えなかった。

 

「貴方の思い当たる事よね。何が差し迫っているのかしら。」

 

「もう来ている。ちょっとしたものだがこれはそのうち大きなものとして俺たちの前に顔を出す事になるのだろう。」

 

「珍しく本気を出しているようね。頼もしいわ。」

 

「言うのは簡単だ。それを信じてもらうのと行動に起こすことが本当に難しい。何も褒められたものではない。」

 

「そう言いながらも楽しそうにしているのは何故かしら。」

 

「さて。分かりかねない。」

青年は適当に永琳の言葉へと返答をたぶらかした所でその場から立ち上がった。カミラには何の思い入れもないがきっとそれよりも非情な人が向こう側にはいる事になる。道具にしか思っておらずそして失敗すればその場所から切り捨てられる。

 

「して、俺と来る気にはならないか。」

 

「突然の話ね。姫様が居るのに行くわけないじゃない。戻ってきて傷の手当てはしてあげられるでしょうけど。先に言っておくけど姫様は連れて行かせないわよ。」

 

「そうか。それは置いておいてこれからどうするつもりだ。」

 

「結界は破られたわけだしどうしたものかしら。」

 

「蓬莱人だから心配している。死の寸前で止められたりするとそれは苦しいだろう。」

 

「楽に死なせてくれと思えるような状態が永遠に続くのではないかという心配ね。私が居るからそれは大丈夫でしょう。」

 

「ならカミラも治してやってくれ。大事な住人だ。」

 

「そんな思い入れがあるのはどうしてかしら。」

 

「敵ではない以上はそうなるだろう。帰りたいと言うならそれでも良い。」

青年は深くは考えていなかった。それこそ何が起ころうとも関係ないと言い張るような人のようなものだ。何が悪いというつもりはないがつまるところそういう事だ。

 

「それは好きにしてもらうとして今の所何人くらい集まりそうなの。」

 

「居なければそれでも良い。居るなら少し考えさせて貰う。二人か三人集まればそれでも良い。」

 

「そんな考えで何とかなると思っているのかしら。」

 

「数をそろえようとも一撃でやられるのなら時間稼ぎにもならない。そういう連中しかないと思われる。」

青年は襖を開けながら外に出ていた。そこには大きく開けた庭とウサギが一人いた。そのウサギはていという名前で何年生きているのかは全く分からない。だがそれなりに小さいので機動力はあるのだと思われる。

 

「何話しているの。」

 

「これからの話だ。」

青年は至って普通に答えていた。

 

「もう聞こえているから何となく分かっているけど私は興味はあるよ。退屈なのはこれから生きていく上では要らないものだからね。」

 

「そうか。それは頼もしい。後聞いておきたいのは鈴仙だけか。」

青年は周りを探してみるが一切そのような姿を見るような事はなかった。何か準備をしていると思われるので此処には居ないという可能性もないわけではない。青年はそんな事を考えながら渡り廊下を通って行く事にした。そしてそう遠くはない部屋に入る。

 

「それで来てみないか。」

青年は一通り永琳に説明した内容を話してからそのように聞いた。その話の結果、鈴仙は行けるなら行く、とだけ答えていた。つまりはこんな私でも行けと言われたから行ってくるということなのだろう。

 

「そうか。後日記事を回して幻想郷に知らしめる事にする。それまでに鍛えておいて欲しい。」

青年はそれだけを言うと永遠亭の中庭に降りてから剣を抜いてその空の先へと進んでいた。これから北側へと向かうようでその方向を向きながらその場から浮いて空を飛んでいた。

 

「今度は何をするのかしら。」

どこか楽しそうにしている永琳が何処かおかしいと思い始めた鈴仙はその場で首を傾げていた。

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