青年英雄記   作:mZu

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第77話

全体的に目立たない服装をしている八人は八雲 紫によって作り出されたスキマと呼ばれている異空間で最後の集会のようなものを開く事にした。

 

その場にはそれぞれがあちらの世界でなじめるようなみすぼらしい服装をしてもらう事にした。ボロボロにしてもらった薄茶色の布で全身を包んでもらったので何か目立つことをしなければ目をつけられる事はないのだろう。黒髪の鋭いと言うわけでもない目をしている青年はそう思えた。

 

「最初に話しておきたい事があるからそれだけは聞いてほしい。」

青年は一番最後に入ってきたにも関わらず特に気にしている素振りはなく何の気なしに適当に話し始めた。荒れるかと思われたが別にそうでもない。人それぞれ反応は違えど嫌になるような雰囲気はない。

 

「あまり目立つ事はしてほしくない。情勢的に荒れているので変に巻き込まれると後々面倒になる。」

一番最初に青年はその事を話していた。しかし他の七人は興味もないようで何もしようとはしなかった。

 

「そんな非力に感じるのか。」

赤い角を持っている四天王の一人である勇儀は挑戦的な笑った表情を青年に向けていた。だが純粋な力ではないので少し青年は説明を入れる事にしたらしい。

 

「勇儀、まさか王国にまで喧嘩を売ろうとは考えていないだろう。そうなれば神隠しにあってもらう。それでも良いのか。」

青年は負けじと勇儀を睨みつけていた。お互いがお互いを見ているその雰囲気の中で怖がる者もいればそうでもない者もいる。果ては興味のない人もいる。

 

「つまり、行くまでは嫌な方向に目立つのは良くないと言うことね。それなら仕方がないわ。」

黒髪をしている青年とそう見た目は変わらない少女は不機嫌そうに話していた。主導権を握るのは青年なのだがどうにも説明不足な気がしているのだろう。

 

「そうか。皆もそう考えてほしい。それと飛行は禁止だ。面倒だろうが徒歩でバルタニア王国内を歩いてほしい。」

 

「バルタニア王国はこれから私たちが向かう場所の名前よ。」

そのスキマの主人である八雲紫は青年の後ろから皆に聞こえるように話していた。驚いているわけではないが青年は後ろを振り向いた。

 

「説明してありがとう。して、歩き回る前に一旦王国の兵士として所属してもらう。そこから一ヶ月間はその中で過ごしてもらう。旅に出かける際の資金稼ぎとその場に慣れるための期間とする。」

 

「そう。私達なら簡単にいけそうね。一週間でやってみせるわよ。」

青い髪をしている幼い見た目をしている少女は口から牙を出しながら楽しそうに笑っていた。青年は特に何も感じていないが夜を統べる吸血鬼がここには二人いる。共に姉妹であるがそのメイドには少し面倒を押し付ける形となっている。

 

「そうか。無名な俺たちに来る仕事は雑用ばかりだ。その日食べられるのかどうかの話になるだろう。せいぜい頑張れ。して、最初のうちはどうしても見下される事がある。だからと言って手を出す事はしないでほしい。霊夢に言われたような理由だ。」

 

「お嬢様、妹様、分かりましたか。きっと一番の不安は貴方達のようです。」

心を読んでいるかのように話している吸血鬼のメイドである銀色の髪をしている咲夜はナイフのような鋭い目で不信感を醸し出すような目をしている。青年は別にそこまで行っているわけではないので誤解といえばその通りだが間違っていると言うことでもない。

 

「そうだ。その為に咲夜を世話役として組み入れている。申し訳ないが最初のうちはしっかりとやってほしい。」

頼み込まれた咲夜は断るような事はしなかった。それでも姉妹は不満そうにしている。

 

「青年が一番いいたいのは見た目、と言う事ですよね。」

 

「そうだ。どうしても実力が知らない他人から見れば子供も同然だ。兵士として所属できるかも怪しい。その場合も考えているから心配はするな。」

 

「そうね。青年しかここから先は知らない景色だものね。大まかな事は貴方と管理者に任せる事にするわ。」

吸血鬼の姉であるレミリアはその真紅の瞳を輝かせてその場から身を引いてくれた。

 

「それともし困って紫に聞きたい事があれば二人で話しに行くように人気の少ないところへといってほしい。その場での正当防衛は認める。ここまでの話をまとめる。王国に仇なす存在にはなってほしくない。飛行は目立つので禁止だ。それと一ヶ月間は皆の調整期間として自由に過ごしてもらって構わない。紫と話す時は人気のないところで話してほしい。以上だ。」

青年は立ち上がるともう既に行けるような準備をしていた。四本の剣を腰に携えている青年はその上から皆と同じような薄い茶色の布を羽織る。それから紫に開けてもらう事にした。

 

開けてもらったその先には今の八人と同じような格好をしている人が下の方に見えるような場所へと出ていた。石で作られた建物と程々に舗装されている道路が敷かれている。人は多く存在しているが人間とは違う見た目の人はそう多くはなかった。危険因子はまだある。それでも行けると思えた時に行かないと先には進むような事はできない。青年は誰よりも先に外へと出ていた。

 

 

「あれが今から兵士として所属する手続きをする場所だ。もしまた来たい時があればギルド養成所と人に聞けば道ぐらいは教えてくれるだろう。」

青年は片膝を建物に付けながら下の方を向いていた。その下には人は疎らながらも露店などは出ていて楽しそうな雰囲気があるのだと思われる。青年は何となく懐かしいようなそうでもないような感覚と頭が痛くなる感覚に襲われていた。

 

「後の事は青年に聞きなさい。それでは。」

紫はそう言って帰り道を閉じると姿も声も感じなくなった。もう後ろの壁は閉ざされた状態となっているのだと思われる。

 

「で、これからあそこに行ってそこからどうすれば良いのよ。」

 

「今日のところは空気に慣れてくれたらいい。俺が今日の分は稼いでおく。」

青年はそう言って後ろを振り向くと建物と建物の間に降りていた。それに続いて七人も降りてくる。

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