青年英雄記   作:mZu

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第78話

七つの足音が聞こえた後にその場は静かなものとなっていた。人通りの多い路地の一本入った狭い路地では誰も人は居ない。下には下水のようなものが流れていてその上に木で蓋をしているだけの簡易的な水路が作られている。何となく臭いがきつい。

 

「俺が先に行っている。勇儀とレミリアと早苗とにとりは付いてきてほしい。後の三人は少し待っていてほしい。」

黒髪の青年はその鋭くもない目をして霊夢と咲夜とフランを見ていた。その目からは頼み事をしているようで仕方なさそうにその指示に従うことにしたので誰も反抗する事はなかった。青年と後の四人は建物の隙間から出て目の前にある建物の中に入っていく事にした。

 

「読みにくいですね。ギルド養成所ですか。」

緑色の髪をしている薄い茶色のコートに入れるように後ろで一本に結んだ東風谷 早苗は遠くを眺める老婆のようにしていた。幻想郷とはまた違う文字が使われているのでそれはそうだろう。

 

「じきに慣れる。それまでの辛抱だ。」

青年は安心させるように優しい声で早苗に応答する。実際はそのようにするような必要はないのだが何か意味はあるのだと思われる。

 

「後、にとりは少し特殊な書き方をする事になる。俺が教えるから安心してくれ。」

 

「教えてくれてありがとう。盟友。」

青色の外ハネのしている髪型をしている河童であり職人でもある河城 にとりはとても気弱そうに見える。以前、妖怪の山に君臨していた四天王の一人であるのでにとりがそのような反応をするのはよくわかっている。更に付け加えると妖怪の山の上下関係は厳しいもので失神しないだけマシかと思われる。

 

「もうそろそろ入る。絶対に俺より前には来てほしくない。」

青年はそう言いながら朝のギルド養成所と呼ばれる施設の中へと入っていた。中には人などは居ない。今は五人だけでここで働いていると思われる人もあまり気力のあるようには見えなかった。左側にはどうやら手続きをするための施設があるだけで他には何もなかった。右側には休憩スペースのように背もたれのない長椅子と本棚がある。どのようなものでも調べられるようになっていると思われる。

 

「おはようございます。今日はどのような要件でしょうか?」

しっかりとしたシャツを着ている茶髪のさっぱりとした男性は立ち上がって五人を迎えていた。青年はそこで初めて口を開いた。

 

「兵士として登録する手続きをしたい。」

青年はその男性に対してはっきりと答えていた。その男性はさらに質問を続ける。

 

「後ろの人とはどのような関係なのですか?」

 

「特に知らない。だがどうやら道が分からなくなったらしいので案内をする事にした。」

その返答には職人として働いているその男性も少しだけ戸惑いの目を向けていた。そもそもそんな理由で通るとも思っていない。後々修正する事にしようとした青年だがまだ動き出す事はしなかった。

 

「そうですか。貴方は国に住まわれる方ですか。」

 

「一応そうだ。少し曖昧な表現だが点々と住まいを変えている。」

 

「浮浪者ですか。分かりました。手続きはさせてもらいましょう。こちらに名前と職業をお書きください。分からないことがあれば私までお聞きください。」

 

「そうか。人も居ないしゆっくりと書くとする。それと一つ。鍛治の出来る人がいるので一応それも欲しい。」

 

「それでは五枚でよろしいですね。分かりました。少々お待ちください。」

その男性は立ち上がると奥の方にあるなんらかの紙の置かれている棚を探していた。その間に青年は後ろにサインを送っているだけだった。

 

「お待たせしました。ごゆっくりお書きください。」

 

「そうか。親切にどうも。」

青年は踵を返すとゆっくりと四人の元へ近づいていた。そして一枚ずつ渡してからペンを渡して書かせていた。

 

「勇儀は格闘家。早苗は霊媒師。にとりは鍛治職人と書いてくれ。それでレミリアだがどうしたい。」

 

「私は吸血鬼でいいじゃない。」

青い短い髪をした背の小さい少女はそのように言った。その言葉に青年は苦しそうな表情をしていた。

 

「そうすると魔物扱いされる。槍使いとでもしてくれ。」

 

「どこに所有しているの聞かれたどうするつもりよ。」

 

「折れたと答えておけ。」

青年は口を隠すように出来るだけ小さな声で話していた。それに黙って書き始めるレミリアを見ていた。他の人はもう書き終えているようで後は出すだけとなっていた。青年はもう一度踵を返すと職員の元へ手渡した。枚数を見て小さめな紙を渡された四人は不思議そうにもらう事にした。何かに必要だろうと感じていたのかもしれない。

 

「皆様にはこれから似顔絵を描かせてもらいます。もしもの時に必要となりますので大事に持ってください。」

そのように言われたのでしっかりと貰ってきた四人は青年の元に集まることはなく職員の道案内に従っているだけだった。そこからは青年が出る幕はないので何もしない事にした。

 

「今回は迷惑をかけた。俺はこれで帰らせてもらう。」

青年は最後に一言言ってからその建物から出て行く事にした。別にそうする必要性は皆無なのだが一応という事だろう。そして青年は出口へと帰っていくと何処かへと消えてしまった。

 

「四人は成功した。後はどうする。」

 

「どうするって、書きに行けばいいじゃない。」

 

「そうか。少し時間を置いてから昼頃に向かう事にしよう。」

 

「分かったよ。」

金色の髪をしているこの中では大分背の小さいフランが青年の言葉に元気に返事した。

 

「良い返事だ、フラン。」

 

「それで貴方はこれからどうなされるおつもりですか。」

銀色の髪をしている今回は一番苦労しそうな役目を任せてしまった咲夜は静かに声を出していた。状況に合わせて話しているのだろう。

 

「クエストを受けてくる。浮浪者として俺は暗躍をする事にする。後は任せた。」

青年はそう言うともう一度ギルド養成所へと向かっていた。

 

後に三人は前に行った四人と同様に軽々と兵士として認められて雑用としてこのバルタニア王国で動けるようになっていた。その間に青年は今日中に終わる簡単なクエストを点々としながら暫く暮らせるお金を作っていた。

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