幻想郷でもブリタニア王国でもない何処か。スキマの能力を使用した八雲 紫は彼女の式である八雲 藍とその式である橙と暮らしていた。三人は青年に言われた通りにこの場所でどちらの対応も出来るようにしていた。お互いに世界を干渉する事になるがそれを可能としている紫は相当な力を持っていると思われる。だが半分はアーサーの時空超越の力による事も多い。それも青年の指示があったからである。それを正確に伝えた霊夢にも感謝をするべきだろう。
「ブリタニア王国の方はどのようにしているのでしょう。」
金色のさっぱりとした髪型をしているアーサーは橙色の鎧を着ておらず紫から借りた服を着ている。別に着られたらそれでも良いらしくアーサーは特に文句は言わなかった。
「様子を見てみましょうか。」
ひと段落ついたのか安堵の表情をしている紫は左手で頬杖をつきながら右手で軽く覗けるぐらいのスキマを出していた。その中にはしっかりとブリタニア王国の様子が見れた。
「凄いですね。くっきりと映っています。」
「それは良かったわ。藍には感謝しないといけないわ。」
一応区切りをつけれたので意外と安心した日になるのかと言われると別にそういうわけでもない。理由としては簡単な話、幻想郷の方が問題が残っているのである。言いたいことも分かるが力の均衡が著しく落ちた場所もあるので何ともならない所もある。
「有難うございます。藍さん。」
書類整理をしている紫の式である短い金色の髪と背中にある大きな九つの尻尾が特徴的な藍は少し不機嫌に顔を上げて手で合図を送っていた。相当忙しいようでアーサーも声をかけようとはしなかった。
「それで貴方はあの人とはどのように会っていたの?」
「アレスですか。あの人は元々は浮浪者という王国の病原体のような存在でしたので敵同士でした。」
「敵、ね。意外な関係ね。それこらどうなったのかしら。」
どうやら興味のあるらしい紫はアーサーに聞いていた。どうしてなのか理由は知らないアーサーは別に疑う必要もない相手なので話す事にした。
「私が追い出そうと戦っていましたが何度挑んでも相手にされていないかのように逃げられました。」
「その頃から対処に困っていたのね。でも、どうして兄者なんて呼ぶのかしら。」
「アレスさんの強さに惹かれて弟子にしてほしいと頼みました。そしたら、」
「そしたら何が起こったのかしら。」
「その代わりに正式に兵士として入れてほしいと言われました。その実力もあったので入れてあげる事にしました。」
「そこでも実力を発揮して特に相手が居なかったのかクエストをよく受けていました。王国内にいるのかさえも怪しくなった頃に魔王討伐を任命されたそうです。王国を出たその日以来ここに来るまでは会うことはありませんでした。」
「あの人らしいわね。幻想郷でもとんでもないことやらかしているわよ。」
紫はどこか嬉しそうに答えていた。その真意は全く理解できないアーサーなので別に気にしないという風にしてみる事にした。
「凄いですね。」
「これでこそ藍の許嫁よね。」
扇子で隠していたその笑みも段々と剥がれてきたようでとても良い顔をしていた。しかしそれを良しとしない人は机を叩いて抗議していた。別に怖いものではない。
「紫様、何故こちらに飛び火させたのですか?」
「良いじゃない。事実なのは変わりないわよ。」
「でも、確か妻に等しい人はもう居たような気がします。名前までは忘れてしまいましたが。」
アーサーはどうにも進言しにくそうにしている。状況が盛り上がっているのでそれを盛り下げる事にはなるのだろう。その事を考えていた。
「良いの。どうせ何処かに出かけていくのだから何股でも許してくれるなら別に良いわ。」
その表情は穏やかなものだった。しかしどこまで許せるのかは皆の器の大きさ次第だろう。