此処へと来てから一週間が経っていた。もう別に何処へ行こうとも勝手な身分ではあるが事実上は縛られる形になっている。その理由は弱者狩りがあるからでそこそこの実力が必要になるからである。
研修として与えられた一週間で誰からも行われないようにしてあれば別に関係のある話ではなくなる。霊媒師では二人がそれに値する。一人は黒髪のセミロング程の髪の長さで一つに結んでいる髪が風に揺れている。赤いリボンを付けたその少女が博麗 霊夢。それに対するのが緑色の髪をしている白い蛇で巻かれた一房の髪を左肩の上に乗せていて髪には緑色のカエルの髪留めをしている少女が東風谷 早苗。
この二人は元々の実力があった為、初日から弱者として狩られる対象にはならなかった。特に誰からも助けて貰えないこの環境ではお互いの足を引っ張っているようにしか思えなかったがこの二人はそのような事はなかった。時にはその場を制圧していた。と言うことである。
もし噂を聞いていて二人が対峙したならばどうなるのだろうか。
「これはこれは。博麗の巫女さんではありせんか。」
自分の二枚の紙が付いているだけの幣を振りながら早苗は霊夢に向かって宣戦布告のようにしていた。実際にはまだしていないがどこからその自信が湧いてくるのかは全く分からない。
「守屋の巫女じゃない。やはりここまで来たようね。」
早苗に対して落ち着いて対応している霊夢はお祓い棒を右手に持って冷静にその場を観察していた。周りの事など何も考えていないのだろう。おどおどとしながら霊媒をしようとしている人から比べると二人はまた別の方向ですでに完成していた。
「此処でどちらが青年のいるところへと行けるのか勝負しましょう。」
「勝負を受ける意味はないけどやってあげるわよ。」
お祓い棒を逆手に持っていた霊夢は早苗の軽い挑発に乗ってあげる事にした。博麗の巫女としてのプライドが早苗と交代することを拒んだのだろうか。そんな気はしているが何処かそこまで悩むことでもないと思われる。
「分かりました。」
早苗も同じように幣を構えるが別に何かある訳でもない。単なる指揮棒程度なのだろう。早苗にとってのこの場の幣はそのぐらいの役割しか持っていなかった。
霊夢の右足が地面から離れようにように集中しながら少しだけ間合いを詰めていた。此処から何が起こるのかは誰も分からないが早苗も一歩だけ前へと出てきていた。足が浮いていてその場を狙われても仕方がなかったがそれをする事はなかったのだろう。
「早く来た方が身のためよ。早く倒されるか此処で倒されるかの違いなんだから。」
何方から始まったという事でもない。霊夢が言い出したその言葉を早苗は行動に起こす事で答えるとそれに霊夢が合わせていく。演習場の地面を蹴り出した左足から霊夢は早苗へと一直線に近づいてくる。
早苗は指揮棒のように扱う幣を前へと突き進めた。カーブのかかった緑色の弾幕が霊夢を襲う。そこへ追い討ちをかけるように横へと振り切る。前方からと左側から来た弾幕に一旦足を止めた霊夢だがそれで諦めるようなこともなかった。逆にどうして諦めようなんていう考えに至るのかは聞くまでもない。聞く必要もない。
霊夢も同じようにお祓い棒を振るう。ホーミング性能のある三つの弾が早苗を襲う。早苗は咄嗟の判断で右側へと避けると前へと走り出していた。自分の背後に集めて一気に潰そうとしたのだろうがそれは霊夢の手の中からは抜け出すにはいささか力不足であったようだ。走り出した前方からホーミング性能のある赤い札のような真四角の弾が襲いかかる。
しゃがみこんだ早苗は更なる追撃を受けることになる。動きを止めた獲物に容赦なく三方向から放たれた弾が近づいて来る。後ろに避ければ当たる。左右は勿論の事当たる。もう此処はやるしかないと思ったらしく地面を転がり込んで前方からの弾を避ける。そして左右から来ていた弾が軌道を変えて早苗の背後を狙っていた。
霊夢もそうなることは読んでいた、はずだったが此処で不測の事態に陥る。早苗が滅茶苦茶に幣を振り始めていた。左右からではなく前方からも現れた無尽蔵な縦横無尽に放たれた緑色の弾幕が角度とタイミングを変えて襲ってきていた。霊夢もこれでは身動きを取ることができなかった。周りからすれば此処でナチが起こっているのかはさっぱり分からないという状態なのだろう。ホーミング性のある赤色の弾と緑色のウェーブのかかった弾幕を張る二人の勝負は周りからは一目置かれるものだった。それとかなり迷惑であることには違いない。
「中々やるじゃない。」
霊夢は地上に立ったまま話しかけていた。空を飛び上がることは青年によって禁止されているのでその行為はするつもりはないがしそうなほど白熱していた。
「霊夢さんも流石です。」
お互いを褒めたところは今日のところは終わるわけでもない。これから本番なのだと言いたそうにしている二人に周りにいた初心者の霊媒師や監視の役割を持つ兵士にも伝わっていた。こちらからは何も出来ないのか何も手を出そうとはしなかった。疲れ果てたところで入ってくるのだろうと思われる。
「言ってくれるじゃない。これまでは肩慣らし程度なのよ。」
霊夢は更なる弾幕を生み出そうとしていた。対して負けないように準備を始める早苗がその前に立っていた。