赤と緑色の弾幕が一斉に二人の人間から放たれる。それと同時に地面を蹴り出した両者はお互いの放った弾幕を避けながら自分の弾幕の濃さが増していくようにしていた。一つだったものが二つに変わり、それが三つへと来る頃には周りは避難を始めていた。
見ているだけではもう危険だと思えてきたのだろう。速度自体は別に脅威ということはない。当たらなければどうという事は無いのだが一発の威力が凄まじいものだと察知したのだろう。そして覆い尽くすような弾幕なのである。もう周りの知らない人間は逃げるしかなかった。
二人からすればこれ以上の好機はなかったのだろう。
東風谷 早苗は右手に持っている幣を使って覆うような段違いの弾幕を放つ。頭や胴体だけではなく当たることを予想しにくい足元まで完全に埋め尽くそうとしていた。
対して霊夢はそのような細かい事はしなかった。ホーミング性能のある弾幕に加えて放射状に米粒状の照らされた赤色をした弾を放つ。直線的な軌道だがその速さは此処にある弾幕には無いものだった。ふつうに攻撃だとしてもあり得そうなものだった。
ここまで来るといつ終わるのか、どのように終わるのか気になり始めた頭の弱い人は出てこようとしていたが簡単に倒されてしまう。速度もあれば飛んでくる場所も変わる。気にする箇所は不特定であり前後左右から狙われてはに逃げ場がなくなる。つまりは何らかの理由で止まれば其処を狙われる。
周りからすれば一切躊躇をしてくれないその横暴さに腹を立てた兵士もいなかったわけではないが出てくる馬鹿はいなかった。出たところで結果など分かっている。倒れている一人の男を見ればその様子は分かる。一発当たっただけだった。流れ弾に当たっただけであれである。誰も出てこようとは考えないのだろう。
「おい、いい加減止めた方がいいだろう。」
ある兵士は耳打ち程度に隣の人に聞いていた。特に面識がある訳ではないがまるで以前から知っていたかのように話を始める。
「それは辞めておこう。いつ殺されるのかはわからない。」
言うこともわからんでもない、と周りの人は思っていた。
「でも、このままだと占領された状態なんだ。なんとかしようとは思わないの。」
周りも肯定こそはすれど行動に起こす事はなかった。誰かが止めるしかこの場が収束する気がしない。
「もうこの話はやめよう。俺たちの非力さが理解できるだけだ。」
この言葉に誰もが黙ってしまった。
「どうしても勝てなさそうですね。」
早苗は肩で呼吸をしながら右肩を押さえていた。恐らく掠ったのだろう。そんな気はするが特に外傷があるわけでもなかった。
対する霊夢は余裕そうな表情とまではいかないが早苗よりかは軽症で済んでいると思われる。恐らくスタミナ切れの寸前なのだと思われる。肩で呼吸する両者に誰も何もする事はなかった。終わったことを確認していつも通りの光景に戻っているだけだった。
それまで起こっていた壮絶な戦いも戦争の闇に燃えた巻物のようだった。跡形もなく失われていく。】